ラッキーはかえってくる!
稚拙な作品ですが、良かったらどうぞ
ラッキーはかえってくる!
むかし、むかし、ある所に大そうケチな王様がいました。
そんな王様の一日はニワトリがコケコッコ―と鳴いて始まります。
王様は眠い目をこすりながら、歯を磨きます。でも歯ブラシは使いません。自分の指で磨くのです!
シツジは聞きました。
「どうして歯ブラシを使わないのですか?」
王様は答えました。「私はケチだからだ!」
そうして王様は歯を磨き終わると、王妃様におはようと言ってテーブルに座ります。そして王妃様は王様に聞きます。
「どうしてまだパジャマを着ているのですか?もう朝ご飯ですよ」
そうして王様はこう答えるのでした。
「服は買いたくない!私はケチだからだ!」
そしてなんと朝ご飯はパンと水だけです。王妃様はまた聞きました。
「どうしてパンと水だけなのですか?」
すると王様は答えました。
「私はケチだからだ!」
それを聞いた王妃様は自分だけ良いご飯を食べるわけには行きません。そうして二人は小さなパンと少しのお水で朝ご飯を終えるのでした。
さて、少ない朝ご飯を終えた王様はパジャマのまま王冠を被り、王座に座りました。その玉座はお金に囲まれていました。それもたくさんの!そして王様は一日中お金を嬉しそうに眺めて居るのでした。それを見た王妃様は王様に聞きました。
「どうしてお金があるのに使わないのですか?」
それを聞いた王様は答えました。
「私はケチだからだ!」
実はこのたくさんのお金は国民のお金でした。
ある日王様は国民に言いました。
「お前たちのお金は王様の私がもらう。なぜなら私は王様だからだ!」
そうして王様はみんなから奪ったお金で玉座をお金まみれにしたのです。そして王様はケチですから、そのお金を誰にもあげたくなかったのです。
そうして夜になるとたいへん豪華な夕食を取るのです。王妃様は聞きました。
「どうして夕ご飯だけは豪華なのですか?」
「お金は毎日集めている。だから増えた分だけ豪華にするのだ!どうだ!私はケチであろう!」
そんなケチな王様が納める国ですから、国民もケチになりました。お巡りさんは体力をケチって、パトロールをしませんでした。お肉屋さんはお客に渡すお肉をケチって少なめに渡しました。お洋服屋さんは布をケチって服は小さい服しか作りませんでした。道具屋さんは鉄をケチってボロの道具しかお店に置きませんでした。お弁当屋さんは食材をケチってオカズを減らしました。工場の社長はお金をケチって働く人に少ないお金しか渡しませんでした。
その中でもひときわケチな人がいました。その人の名前はケッチー。いかにもケチそうな名前でしょう?ケッチーはケチな社長の工場で働いていました。ケチなケッチーはお酒が大好きでした。そしてお給料が出ると、すぐにお酒買いに行ってしまいます。
でもそんなケッチーにも子供がいました。その子供の名前はラッキー。ラッキーそうな名前でしょう?それにラッキーはちっともケチじゃありませんでした。でもラッキーはちっともラッキーじゃあありませんでした。なんせ周りの友達もケチで、お父さんのケッチーは一度もおかしやおもちゃを買ってくれたことはありませんでした。ラッキーはケッチーに聞きました。
「どうしてパパのお酒は良くて、僕のおかしはダメなの?」
するとケッチーは言いました。
「これは俺が稼いだ金で買ったお酒だからだ。おかしが欲しかったら働きな」
それを聞いたラッキーは悲しくなりました。だってラッキーはどうやったら働くのか知らなかったからです。
公園で考えたラッキーはお肉屋さんに聞いてみました。
「僕を働かせてください」
ケチなお肉屋さんはこう言いました。
「お前を雇うくらいなら猫の手を借りるさ」
ラッキーは悲しくなりました。でもラッキーはあきらめませんでした。お肉屋さんがダメでも他の所があるじゃないか!
でもどこもラッキーを雇おうとはしませんでした。何せ、みんなケチなものですから誰かを雇ってお金を払いたくなかったのです。
悲しくなったラッキーはとぼとぼと家に帰り始めました。
「あーあー。どうしてみんな僕を働かせてくれないのかな……」
ラッキーは下を向いて石ころを蹴飛ばしました。するとカキーン!と石が何かに当たる音がしました。
「なんだろう?」
ラッキーは石が当たったものを見ました。なんとそれは王冠でした!ピカピカと金色に輝いて綺麗な宝石がいっぱいついています。
「わぁ!王冠だ!」
ラッキーはうれしくなって拾いました。手に取ってみると王冠はずっしりと重くてとてもきれいでした。売れば沢山のお金が貰えそうです。実はこの王冠はケチな泥棒が盗んだものだったのです!しかし王冠を入れるズタ袋をケチったせいで穴が開いていることに気付かず落としたのです!
「王様が落としたのかな?」
ラッキーは不思議に思いました。でも同時に怖くなりました。だって誰かが見たら泥棒だと勘違いされてしまいます!ラッキーは自分の上着で王冠を隠しました。
「どうしよう。パパに言おうかな……」
ラッキーははじめはそう思いました。でもラッキーはそうしませんでした。だってパパに渡したらお金にしてお酒ばっかリ買ってしまう、と思ったからです。そこでラッキーは気付きました。
「僕がこれを売っちゃえば欲しかった、おかしだっておもちゃだってなんだって買えるぞ!」
そう思ってモノをお金にしてくれる質屋に行こうとしました。でもラッキーは思いました。
「ケチな王様が困っちゃうかな……王冠は王様のモノ。僕のじゃない」
頭の中に浮かんだおいしそうなお菓子や欲しかったおもちゃをあきらめてラッキーは交番に行くことを決めました。
ラッキーが交番に行くとケチなお巡りさんが居ました。
「こんにちはお巡りさん」
「ああ、こんにちは。何か事件かい?」
ケチなお巡りさんはめんどくさそうにそう言いました。
「はい。王様の王冠が落ちていました。王冠を王様に届けてください」
ラッキーはそう言って走って逃げました。僕が泥棒だと思われたらどうしよう!怖くなったラッキーは交番を飛び出して走っていきました。
「王様の王冠だ!なんてことだ!大事件だぞ!」
お巡りさんは王様の住んでるお城に行こうと思いました。でもお巡りさんはラッキーと同じように考えました。
「俺がこれを売っちまえばお金が沢山もらえるぞ!」
そう言って質屋に向かおうとしました。でもふと交番に届けたラッキーを思い出しました。
「あの坊やは何で走って逃げたんだろう……。ああ!そうか!あの坊やは我慢していたんだ!お金がたくさんもらえるのに交番に届けるなんて、なんていい坊やなんだ!」
そう思ったお巡りさんは恥ずかしくなりました。なにせ小さくなったボロの服を着た少年が王冠をお金に変える事もしないで、交番に届けたのですから。
「よし、この大事件!お巡りさんの俺があずかった!」
そう気持ちよさそうにお巡りさんはお城へ向かいました。
大きなお城に着いたお巡りさんは王様に言いました。
「王様、お金を持たない小さな坊やが王冠を届けに来ました」
「なに!?じゃあその坊やが泥棒だ!なんで捕まえなかったのだ!」
王様はカンカンに怒りました。王様が寝ている間に王冠が無くなっていたのです。そんなものだから王様は怒っていたのです。
「いえ、その坊やは泥棒ではありません。貧しいのにどうして王冠を返すのでしょう?」
「ええい!そんな嘘は聞きたくない!坊やは太っ腹だったんだ!それならば国民は豊かということじゃないか!もっとお金を巻き上げてもいいんだな!」
「そんな!」
お巡りさんは王様の言葉にびっくりしました。お巡りさんだって給料が減るのは嫌だったのです。
「王様」
すると話を聞いていた王妃様が言いました。
「お巡りさんが言っていることは本当だと思いますよ。その坊やが泥棒だったらお巡りさんは捕まえてるもの。王様、坊やはケチでもなく、太っ腹でもなく、いい子だったのです。貧しいのに自分の欲しかったものを我慢して王様に王冠を返そうとしたのですよ。だって王冠は王様の物なんですもの」
「その貧しい坊やはケチでも、太っ腹でもないのか。じゃあなんなのだ!」
「王様、その坊やはいい子だったのです。そしてお金がないのに、善意であなたに王冠を返そうとしたのですよ」
「善意!?なんだそれは!」
「それは、人を思いやる気持ちです。坊やは王様が悲しまない様に自分の欲しかったものをあきらめて王冠を返したのです」
「なんと!この国にそんないい子が居るはずはない!お巡りさんよ!その坊やはどんな坊やだったのだ!」
「痩せておりました」
お巡りさんは言いました。
「食べ物を買えばいいものを!」
「それに、ちんちくりんになってしまった服を着ていました」
「新しい服を買えばいいものを!」
「そして、貧乏でした」
「お金を持てばいいものを……」
そこで王様は気づきました。今国民のお金はどこにあるのかを。自分の王座を見渡せばお金いっぱいあります。王様は国民からお金を巻き上げてしまったから、その坊やは貧乏になってしまったのです。その事を知った王様は恥ずかしくなりました。
「そ、そうか。私のせいでその坊やは貧乏なんだな……私がケチなのに坊やは善意で私に王冠を返してくれたのか……。よし!お巡りさん!あなたは泥棒を捕まえてくれ!捕まえてくれた暁にはお金をあげよう!私は私が出来ることをしよう!」
王様はそう言ってお巡りさんに泥棒逮捕を任せました。
お巡りさんはお城を出た後にお肉屋さんに行きました。王冠泥棒を捕まえる大仕事の前にやりたいことがあったのです。
「やぁ!お肉屋さん!」
「どうも、なんだい元気がいいね。お巡りさん」
お肉屋さんはめんどくさそうにそう言いました。
「お肉を売っておくれ!」
「いつものでいいかい?」
お巡りさんにはケチなお嫁さんが居ました。ケチなお嫁さんはいつもほんの少しのお肉をお巡りさんにお使いさせていました。だからお肉屋さんもお巡りさんと顔なじみだったのです。
「いや!今日は特上のお肉をたくさんくれ!」
「なんだって!いつも安いお肉を少しだったじゃないか!」
「これから大事件を解決しに行くんだ!僕のお嫁さんにいつもありがとう、と言いたくてね。だからお肉屋さんの美味しいお肉を買いに来たのさ」
お巡りさんは笑顔でそう言いました。
それを聞いたお肉屋さんはビックリしました。いつもお客さんには少なめにお肉を渡していたのです。どのお客さんも不満しかいいませんでした。でもお巡りさんは美味しいお肉をくれと言ってくれたのです!お肉屋さんはやる気を出しました。
「お金はあるのかい?」
「少しだけどあるとも!大事件を解決すれば王様がお金をくれるんだ!」
「なんだって!?あのケチな王様がお金を?!」
「そうなんだ!」
「そうか!それは頑張れよ!よーし!特上のお肉を安く譲るよ!」
「え!?お肉屋さん、ケチらないのか!?」
「お嫁さんに喜んでもらいたいんだろう?それにおいしいお肉を僕も売りたいんだ!」
「そうか!それはどうもありがとう!」
そうしてお巡りさんは笑顔で帰っていきました。
その後、お肉屋さんは値札を全部書き換えました。主婦もびっくりのお安い値段です!
「さぁさぁいらっしゃい!今日のお肉は美味しくて安いですよ!いらっしゃい!」
お肉屋さんは元気にお客さんに声をかけました。
それを聞いたケチな主婦が言いました。
「どうせケチるんでしょ」
「いやいや!お客さん今日はいいことがあったからね!お安くするよ!」
「ええ!そんなにお安いの!じゃあたくさん買うわ!」
それを聞いていた他の主婦は皆お肉屋さんに集まりました。お肉屋さんが売る美味しくて安いお肉は飛ぶように売れました。
「ありがとうございます!いやあ、今日はなんていい日なんだ!毎日おいしくて安いお肉を売ろう!」
するとお隣のケチな洋服屋さんが来ました。
「あら、なんでこんなに安いの?お肉屋さん、あなたケチじゃなかったの?」
「ケチはもうやめさ!お客さんのために僕は頑張るんだ!洋服屋さん!いつもありがとうね!お世話になっているからこのお肉をあげるよ!」
「ええ!なんですって!こんなにおいしそうなお肉をくれるの!?」
ケチな洋服屋さんはビックリしました。なにせ、お肉屋さんに売るエプロンは小さくて布をケチったエプロンを売っていたのですから。そんなお肉屋さんがお世話になっていると言ってお肉をくれるというのです!洋服屋さんは申し訳ない気持ちになりました。
「ありがとう!ちょっと待っててお肉屋さん!」
そう言って洋服屋さんは走って自分のお店に入って行きました。
「あのケチなお肉屋さんがケチを辞めたんですもの!エプロンを作ってあげなくちゃ!私も頑張ろう!」
そうして出来上がった素晴らしいくて頑丈なエプロンを作った洋服屋さんはお肉屋さんまで走りました。
「どうも!お肉屋さん!新しいエプロンを作ってあげました!どうぞ!」
「ええ!お肉の代わりにはならないほど出来がいいじゃないか!」
「お金はいりません!あんなに素晴らしいお肉もらいましたし。どうか使ってください!」
「そう言ってくれるかい!?ありがとう!洋服屋さん!」
そう言ってお肉屋さんはより一層頑張りはじめました。
いいことをして気持ちよくなった洋服屋さんはミシンでたくさんの綺麗で素晴らしい服をたくさん作り始めました。布をケチらず、ちゃんと大きな服も作りました。
「さぁさぁいらっしゃい!とってもかわいい服!かっこいい服を作りましたよ!いらっしゃい!」
ケチな主婦はそれを聞いて言いました。
「どうせ主人に合う服なんて置いてないんでしょう?」
「いえいえ!布をケチらずちゃんと大きな服も作りました!それにどれも頑丈ですよ!」
「まあ!なんてかわいいの!ああ!これもかっこいい!でも、お高いのでしょう?」
ケチな主婦は悲しそうにそう言いました。
「いいえ!とってもお安くお売りしますよ!」
「ええ!こんなに安く!?主人も喜ぶわ!」
それを聞いた他の主婦も皆洋服屋さんに殺到しました。洋服屋さんが丹精込めて作った服はどんどん売れていきます。
「ああ!なんていい日なの!毎日ちゃんとした服を作ろう!」
そう言っていたお洋服屋さんにお隣の道具屋さんが来ました。
「やあ、随分とお客さんが来ているじゃないか」
「やあどうも道具屋さん!いつもお世話になっています!あ!これどうぞ、頑丈な手袋です!」
「ええ!貰っちゃっていいのかい?お洋服屋さんケチやめたのかい?」
「はい!もうケチりません!みんなにいい洋服を着てもらいたいと思いましたから!」
「そうかい!そうか……」
道具屋さんはそう言ってもらった手袋を見ました。それはとても頑丈で使い勝手の良さそうな手袋でした。そしてなんと道具屋さんの刺繍までされてありました!
「ありがとう!僕も頑張るよ!あとで良い針を持ってこよう!」
そう言って道具屋さんは自分のお店に向かいました。お店に着くと道具屋さんは穴の開いたフライパンや、なまくらの包丁を集めて全部溶かしてしましました。
「僕はもっといい道具を作るぞ!」
道具屋さんはそう言って大きなハンマーを振るい始めました。そして言葉の通り、素晴らしい道具をあれよあれよと作り出しました。そして作った綺麗な針をお洋服屋さんに渡した後にお店を開きました。
「やあやあいらっしゃい!素晴らしい道具がお安く売っておりますよ!いらっしゃい!」
それを聞いたケチな主婦は聞きました。
「お安くてもどうせボロのフライパンにボロの包丁でしょう?」
「やあ奥さん!今まですみませんでした!お詫びにもっとお安く売りますよ」
「ええ!こんなにお安く!買うわ!」
それを聞いていた主婦は皆ほしかった道具を買いに来ました。道具屋さんが必死で作った素晴らしい道具はぽんぽん売れていきます。
「やあ、なんていい日なんだ!これからもいい道具を作ろう!」
するとお店にお弁当屋さんが来ました。
「どうも、いい包丁を置いてあるって聞いたんだけども」
「やあ!これはお隣さんのお弁当屋さんじゃないか!いい包丁あるよ!いつもお弁当ありがとう!これはお礼の印です!」
「ええ!この包丁くれるの?一体全体どうしたんだい?」
「いやぁこの手袋見てください!お洋服屋さんがくれたんです!この手袋があってどうして道具を作らないでいられるか!」
「はあ、あのケチなお洋服屋さんが!こんないい包丁どうもありがとう!後でお弁当届けに来るよ!」
お弁当屋さんは綺麗な包丁を見てやる気がわいてきました!今なら王様のお抱えのシェフにも勝てそうな気さえしたのです!
「よおし!わたしゃ、やるよ!」
そう言ったお弁当屋さんはおいしそうなオカズをたくさん作り始めました。もちろん作業はとってもはかどります!そうして今までにないくらいおいしそうなお弁当が出来きました。道具屋さんにお弁当を届けたお弁当屋さんは自分のお店の前で言いました。
「さあさあ、新作の美味しいお弁当が出来たよ!出来立てさ!」
それを聞いたケチな主婦は言いました。
「でもお高いんでしょう?」
「そんなことはありません!オカズも沢山のってますよ!」
そうしてお弁当を見た主婦は言いました。
「ええ!そんなにお安いの!買うわ!」
それを聞いていた他の主婦はお弁当を奪い合うように買っていきました。お弁当はじゃんじゃん売れていきます。
「いやあ、こんなに売れたのは初めてさ!工場に持っていくお弁当も美味しいお弁当にしてあげよう!」
お弁当屋さんは工場に着くとケチな工場の社長にお弁当を渡しました。
「これはこれはお弁当屋さん。うん?今日のお弁当はずいぶんとおいしそうな匂いがしますね」
「はい!今日はいい包丁が手に入ったものですから頑張りました!」
「そうか、でも高い弁当は買うつもりはありませんよ」
「とんでもない!いつものお値段でいいですよ。毎日買ってくれるのですから」
「なんだって!」
工場の社長は飲んでいたコーヒーを吹きだして言いました。
「お弁当屋さんはいつもケチだったじゃないか!どういう風の吹き回しだい?」
「今日はとってもいい日だったんです。ケチだった道具屋さんが素晴らしい包丁をくれたし。それで私はおいしいお弁当を頑張って作りました。そしたらどうでしょう!お弁当がどんどん売れていくじゃありませんか!私は自分でいい日にできたのです!だからいつもお世話になっている社長に喜んでもらいたくていつものお値段にしました!」
「なんと……!」
ケチな工場の社長はその話を聞いて泣き出しました。実はこのケチな工場の社長は涙もろい人だったのです!
「なんと見上げた話だろうか!そうか!やる気を出したのだな、お弁当屋さん!」
「はい!毎日おいしいお弁当を作ります!」
「そうか、そうか!あいわかった!このおいしいお弁当は受け取っておこう!」
そう言って工場の社長は嬉しそうにお金を渡しました。
お弁当屋さんが帰ったのを見た社長はこっそりお弁当を覗きました。なんとオカズがいっぱいでおいしそうなお弁当でした!よだれが止まらなかった社長は思わずつまみ食いするほどでした!
「あのケチなお弁当屋さんがこんなにおいしそうなお弁当を作るとは……やる気を出したのか……うちの社員もやる気があればな……」
工場の社長はそう言ってしばらく考えました。そうして社長はうんうんと唸り始めました。しばらくして社長は思いついたのかパンッと手を叩いて言いました。
「そうだ!社員のやる気を出してもらうためにいい工場にしよう!お給料も上げよう!そうすれば社員も頑張っていい物を作るだろう!善は急げだ!」
そう言って社長はお弁当を持って走り出しました。そうして少し早めのお昼にしました。いつもお昼時間はぎりぎりにならないと休ませてくれなかったものですから社員は驚きました。そして驚いた社員の中にはあのケッチーもいました。気になったケッチーは聞きました。
「社長、どうしたんですいったい」
「おお、ケッチーよ。なにはともあれお弁当を開けてみなさい」
「おお!なんだこのおいしそうなお弁当は!」
それを聞いた他の社員は自分のお弁当を開けてビックリしました。
「社員のみんな、食べながらでいい。聞いてくれ。今日からこの工場を良い工場にしたいと思う!みんなの給料も上げよう!そして、いい物をたくさん作ろう!そしたらまたお給料を上げるつもりだ!」
「な、な、なんだって!?」
ケッチーを含め社員のみんなが口をもごもごさせながら叫びました!中には涙を流して喜ぶ社員もいました。ケッチーは驚きました。なにせ時間いっぱい働いてもちっとも給料をくれないケチな社長が給料を上げると言ったのです!
「しゃ、社長!それは本当ですか!?」
「ああ、本当だともケッチーよ!私は気づいたんだ!みんながやる気を出せばもっと素晴らしい物を作れるとな!人を幸せにすることが大切なんだ!だから私はいつも頑張ってる社員を大切にしようと決めたのだ!ケッチーもラッキーにおいしいご飯でも食べさせてやれよ」
「そうだったんですか……はい!」
ケッチーはそう言っておいしいお弁当を食べ始めました。しかしケッチーはあることに気付きました。ラッキーにおかしも買ってあげたことがなかったことに気付いたのです。そしてケッチーは目の前のおいしいお弁当を自分だけ食べていることを恥ずかしく思いました。そしてケッチーはお弁当を残してきれいに包みなおしました。
「なんだケッチー。お前お弁当もケチるのか」
他の社員はケッチーにそう言ってバカにしました。いつものケッチーならここで怒っていました。しかしケッチーは怒らずにこう言いました。
「ああ、そうだ。俺はケチだからな」
そう言ってケッチーは必死になって働きました。そしてどのような幸運でしょうか。なんと今日は給料日だったのです!そしてケッチーは社長からいつもより多めの給料をもらいました。
その日のケッチーはお酒を買いませんでした。そして真っ直ぐお家に帰ったのです。お家に帰るとラッキーが泣いていました。
「ただいま、ラッキー。どうしたんだい」
ケッチーは優しくそう聞きました。
「パパ、僕はズルできなかったよ。僕はケチじゃないからお金持ちになれないんだ」
ラッキーはそう言ってまた泣き出しました。
「なにがあったか分からないけど、ラッキーよ。お前はいい子なんだズルしなかったお前は偉いぞ。それに俺みたいにケチになるな」
その言葉にラッキーはビックリしました。
「どうしたのパパ。どうして今日はケチじゃないの?」
「いや、今日もケチだよ」
そう言ってケッチーはお弁当をラッキーにあげました。
「残りものでごめんなラッキー。でもこのお弁当とってもおいしいんだ。それを食べ終わったらお出かけしよう」
ラッキーはなにがなんだかわかりませんでした。だってこんなにケッチーがやさしかったことはなかったからです。なにがなんだか分からないまま、ラッキーは冷えていても美味しかったお弁当を食べてケッチーとお出かけをしました。ケッチーはいままでのケチっぷりが嘘の様でした。ラッキーが欲しかったおかしとおもちゃを買ってくれ、お洋服を買ってくれました。でもラッキーは自分のお家が貧乏なのは知っていたのでたくさんはねだりませんでした。お家に戻るとラッキーは甘い飴玉をなめながらケッチーに言いました。
「パパ、今日はどうもありがとう」
「ラッキー……いつもごめんな、パパはお酒やめるよ。毎日はこうやってお出かけにはいけないけど、時々はおかしもおもちゃも買ってやるぞ」
ケッチーは優しくそう言いました。でもラッキーは首を横に振りました。
「ううん、いい」
「え?どうしてだい?」
「パパがケチじゃなくなったから、それでいいよ」
ラッキーはそう言って笑いました。
その後、王様は国民にお金を返して、いい国を作ろうと努力しました。お巡りさんは泥棒を捕まえてみんなから褒められました。そしてケチなお嫁さんと美味しいお肉を食べました。実はケチな主婦はケチなお嫁さんだったのです!そのお嫁さんはケチじゃなくなり、お巡りさんと仲良く暮らしました。お肉屋さんも、お洋服屋さんも、道具屋さんも、お弁当屋さんも、みんなとっても頑張って皆を笑顔にしました。工場の社長も社員を大切にして国一番の大きな会社を作りました。ケッチーはケチじゃなくなってラッキーを大事にしました。ラッキーは名前の通りラッキーだったのです!
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