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プロローグ
「キミが担当にするとクライアントは必ず不幸な目に合うらしいな。」
上司は手元の書類をパラパラめくりながらそう言うとネットリとした口調で再び話し始めた。
「それでクレームになっている案件も多数あるので当社としても黙って見過ごす訳にはいかないのだよ。」
そう言うと書類を机の上に乱暴に放り投げ。
「オマケにセンターの連中に『疫病神』なんて有難くないアダ名まで付けられてるらしいじゃないか。ええ?」
と高圧的な態度で言い放った。
「まったく。これだけ科学が発展してるにも関わらずこの様な事が起きてるとは信じられんよ。」
上司はひとしきりそう言うと相手をいちべつし。
「次、キミがミスをするしないに関わらずこのようなクレームが出たら解体処分だぞ?解ってるだろうな?んん?」
少し間の空いた後に、ジャラっと幾重にも重ねられたアクセサリーの擦れる音がまるで処分に抵抗するかの如く部屋に響いた。