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父と母の主張

作者: 黒辺あゆみ

Sideトム


俺の名はトム。ピートとコニーの父だ。


俺の家は代々木こりをしているのだが、子供の頃、俺の父が「世間を見て来い」と言ってくれたので、都の学校へ行かせてもらった。そして軍に入り、運良く隊長にまでなれたんだが、どうにも自然が懐かしくなってしまって辞めた。その時都からついてきてくれたのが、今のかみさんだ。俺が言うのもなんだが、美人で都でも人気があったんだぞ。


 こほん、話が逸れたな。

 とにかく。そんな俺とかみさんの子であるピートとコニー、特にコニーの話だ。いつだったか、一人で裏山に入りたがって駄々をこねた。それまではピートか俺と一緒じゃなければダメだと言って聞かせてきたのだが、コニーももう十歳になるし、まあいいかと思って行かせたんだ。知らない辺りには行かない約束で。コニーも木こりの子だから、山の怖さは分かっているからおかしなことはすまいと信じて。

 それが、帰ってきたら変な生き物を連れていた。ピートが言うには竜の子供じゃないかって言うんだ。竜って言ったら、ここからずーーーーっと離れた山に住んでいるって聞くぞ。それがなんでこんな山に。しかも汚れ具合からして、一週間はあの辺りをさまよっていたんじゃないかという話だ。俺が全然気付かなかったものを、どうしてコニーが見つけたのかが謎だ。

 うちのかみさんが大丈夫だと言うんで家で飼うことになったんだが。とにかくコニーが夢中でな。食事もトイレも遊ぶのも寝るのも、一日中一緒にいるんだ。見た目はなんていうか、一番近いのは毛の生えたトカゲみたいなんだが、とにかく可愛がっている。でも竜に、あの竜につける名前がポチっていうのはどうだろうか。将来あの竜の話を聞きつけた魔術師が聞いたらどう思うだろうか。いや、こんな田舎に来るような酔狂な魔術師はいないだろうが。それに、コニーの愛は危険と表裏一体だ。馬鹿力で竜を絞め殺そうとしたことが何度あったことか。竜の親に復讐されるのはゴメンだからな。


Sideメリー


私はメリーっていうの。子供たちのお母さんよ、よろしくね。


私は都生まれの都育ち。都には兄二人がいるわ。私は魔術師をしていたのだけれど、軍で若くして隊長をしていたお父さんにヒトメボレしたの、キャッ♪生まれ故郷に帰るっていうお父さんに、半ば押しかけるみたいにしてついてきたの。お父さんは途中で嫌になって帰るだろうと思ったみたいだけど、愛があればどこへだって行くわ私!


そんな私とお父さんの愛の結晶、ピートとコニーはとにかく可愛いのよ!ピートはお父さんに似てるけど、コニーは私に似たみたい。魔術師の素質があるのよね。私の実家は魔術師の家系だから。あの子の馬鹿力も、無意識に手に魔力を込めるからじゃないかしらって思うの。ポチちゃんを見つけたときも、コニーに聞いたら「そっちに行かなきゃいけない気がした」そうなのよ。ポチちゃんの竜の魔力が呼んだのね。

 竜は、誤解されがちなんだけれども、こちらから危害を加えない限りは、とっても大人しい、穏やかな種族なのよ。ポチちゃんはたぶん、生まれて間もないんじゃないかしら。火を吹くのも飛ぶのもヘタクソだもの。同族なんてこの辺りにはいないから、ポチちゃんの成長についてはそのうち考えなければならないでしょうね。折を見て兄たちに相談してみることにするわ。

 それはいいんだけれど。ポチちゃんって、ちょっと太りやすいのかしら?野生に比べてカロリー消費が足りないせい?一度ダイエットで懲りたのか、ポチちゃんも体型に気を遣っているみたいなんだけどね。やっぱり、なんていうか、全体的に丸いのよねぇ。まだ子供で、尻尾も短いことも影響しているんでしょうけど。親竜に怒られちゃうかしら?コニーはちょっと太めの方が触り心地がいいらしいのだけれど。


でも可愛いからいいわよねっ♪

「迷子の竜シリーズ」にたくさんの方にアクセスいただき、ありがとうございます!感想などがあれば、一言残していただけるとうれしいです!

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