初詣
12/31・21:00―自宅
「そうだ、初詣に行こう。だが一人で行くのはなぁ…」
「お兄ちゃ〜ん。リモコン取ってー」
「ほい。ときに妹よ」
「何?」
「俺と一緒に初詣に行かないか?」
「うーん…外、寒いし」
「厚着をすればいいじゃないか」
「でも、寝たいし」
「じゃあ、仕方ないな」
「よし、地元のヤツを誘うか」
12/31・23:00―自宅
『すまん、僕には用事があるんだ』
「そうか…」
『俺の彼女と一緒にならいいが』
「リア充、爆発しろ!!」
『巫女さんが沢山いる場所ならいいぜ』
「誘っといてあれだが、一人で行け」
『お掛けになりました番号は、現在使われておりません』
「なん…だと…」
「まさか全滅とは…そこで問題だ!俺はどうすればいいんだろう?」
三択―一つだけ選びなさい
答え(1)妹を叩き起こす
答え(2)電話がかかってくるのを待つ
答え(3)一人で行く。現実は非情である
「俺が○をつけたいのは答え(2)だが期待は出来ない…さっき電話したヤツがあと数分の間に都合良く電話をかけてきて「一緒に行こうぜ!」と言ってくれるってわけねーよ」
「やはり答えは……(1)しかねぇようだ!」
『お兄ちゃん、うるさい!!』
「…ごめんなさい。妹よ、目が醒めたなら一緒に初詣行こうぜ」
『ふざけるな!』
答え―(3)
答え(3)
答え(3)
12/31・23:45―自宅
「チクショー……結局良い案が出てこない!」
「…仕方ない。行くか」
1/1・00:06―近所の神社
「……寂しい」
「一人で新年を迎えるなんて…やってらんねぇよ」
「何、愚痴ってんだ?」
「…なんで居るんだよ。用事があるんじゃなかったのか?」
「解消してきた」
「…電話してこいよ」
「忘れてた」
「よう」
「「リア充爆発しろ!!」」
「いきなり何だよ!?」
「うるせぇ!彼女作ったヤツは敵だ!」
「消えろ!爆発しろ!塵となれ!」
「落ち着けよ、お前ら」
「…あれ、彼女は?」
「まさか…あれはウソ?」
「いや、寝やがった」
「…さいですか」
「俺等と一緒に行くか?」
「おう」
「おや、皆の衆」
「お前、巫女さん見に行くんじゃなかったのか?」
「いやいや、夜じゃない方が写真写りが良いと気がつきまして」
「さいですか」
「久しぶり〜」
「電話どうしたんだよ?」
「壊れた」
1/1・00:16―賽銭箱前
「よし、五円玉で…と」
「げ、一円しかない…」
「二十円で良いかな」
「なら我輩は三十円だ」
「じゃあアタシは50円だ!」
『今年も良い一年でありますように』
『健康でいられますように』
『彼女と仲直り出来ますように』
『二次元に行けますように』
『バイトが見つかりますように』
1/1・00:40―自宅
「ただいま」
「おかえり〜」
「あれ、妹?なんで起きてるんだ?」
「お腹すいたから蕎麦茹でてるの」
「俺の分もよろしく」
「もう作ってるよ」
「ありがと」
1/1・01:37―自宅
「…いい夢見られますように」