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紅軍第四軍第九回党員代表大会(古田会議)の決議(一九二九年一二月)

「中國共產黨紅軍第四軍第九次代表大會決議案 一九二九年十二月閩西古田會議」(『毛澤東選集』巻三 晋察冀日報社 一九四五年三月再版 一三七一ー一八三ページ)


〔編注〕本決議の起草者毛沢東は、当時紅軍第四軍の政治委員。紅軍が都市の労働者からの人的・組織的・思想的指導を直接仰ぐことは不可欠の条件とした当時の中共中央に対し、紅軍内部でのプロレタリア思想教育、プロレタリア指導の組織的保証などによって、紅軍が農村拠点で革命軍として自立的に存在しうる道をひらいた記念碑的文献。本決議はのちに第四軍以外でも実施されたことにより、中国人民解放軍建軍の基本原則となった。


紅軍第四軍第九回党代表大会は、一九二九年一二月から翌年一月にかけて福建省西部の古田で開かれ、古田会議と通称されている。大会では、決議採択に先立ち、第四軍総司令朱徳の軍事報告、毛沢東の政治報告がなされたという(スメドレー著、阿部知二訳『偉大なる道』下、二九一-三〇ページ)。この決議の存在およびその重要性については、一九三六年、三七年に毛沢東・朱徳がスノーおよびスメドレーに語ったことによって知られ、一九四二年には軍隊幹部の整風文献および全軍の教材に指定された。なお現在の『毛澤東選集』には、本決議の第一部のみが「關於糾正黨內的錯誤思想」として、若干の字句を修正して収録されている。


関連資料は、資料18・34および毛沢東「給林彪同志的信(一九三〇年一月五日)」(『毛澤東選集續編』中共晉察冀中央局編印)など。その他、John E. Rue, Mao Tse-tung in Opposition, pp. 171-188, Richard C. Thornton, The Comintern and the Chinese Communists, 1928-1931, pp. 106-107 参照。


なお本資料テキストには、「この文章は毛沢東同志が書いた中国共産党の建党および建軍のもっとも早く、もっとも重要な文献の一つである。この立場・方法と基本内容は、今日にもなお完全に通用される。この決議の第一部では、当時の紅軍内でさまざまな非プロレタリア的偏向、すなわち軍国主義の偏向と小ブルジョア的偏向があらわれていることを指摘しているが、これは当時の紅軍にとって根本問題であったばかりでなく、今日の八路軍・新四軍にとってもまた根本問題である……」との編者注が付されている。


一 党内の非プロレタリア意識の正しくない傾向を是正する問題




〔紅軍〕第四軍の〔共産〕党の内部に、さまざまな非プロレタリア的思想が濃厚に存在することが、党の正しい路線を実行するうえで極めて大きな障碍となっており、もしこれを徹底的に是正しないならば、中国の広範な革命闘争が第四軍に課している任務をけっして担いきれないであろう。第四軍のさまざまな正しくない傾向の全般的な根源は、もちろん党の組織的基礎の最も大きな部分が農民およびその他の小ブルジョア的構成要素のうえに据えられていることである。しかし、党の指導機関がこれらの正しくない傾向に対して一致した断固たる闘争を欠いており、党員に対する正しい路線の教育を欠いていることもまた、これらの正しくない傾向を存在させ、発展させている重大な原因である。大会は党中央からの九月の書簡の精神に立って、第四軍の党内のさまざまな非プロレタリア的意識の正しくない傾向の根源やそのあらわれ、およびその是正の方法を指摘し、同志諸君が起き上がってこれを徹底的に一掃するよう呼びかけるものである。


A 軍事一点ばりの観点 1 軍事一点ばりの観点の根源は次の点にある。(1) 政治水準が低いこと。したがって、〔軍隊内での〕政治指導について認識せず、紅軍の任務が白軍のそれと根本的にちがっている点を認識しないのである。 (2) 傭兵軍隊的観念の残存。とくにたびたびの戦いで捕虜となってきた兵士が非常に多く、このような分子が紅軍に加入する際、濃厚な傭兵軍隊的観念をもちこんでくるために、軍事一点ばりの観点が下層兵士の間に根をはっているのである。(3) 以上の二つの原因によって、第三の原因が生まれている。すなわち、軍事力を過信し、大衆の力を信じないのである。(4) 党が軍事工作に対して積極的に注意せず、討議もしないこともまた、一部の同志の間に軍事一点ばりの観点を形成する原因となっている。




2 軍事一点ばりの観点が紅軍の一部の同志の間に非常にはびこっており、それは次のような点にあらわれている。(1) 軍事と政治の両者が対立するとみなし、軍事が単に政治的任務を達成する道具の一つにすぎないことを認めない。それどころか、「軍事がよければ政治もおのずからよくなり、軍事がよくなければ政治もよくはなりえない」というものさえおり、さらにすすんで、軍事は政治を指導するとさえ考えているのである。(2) 紅軍の任務も白軍のそれと似たようなもので、ただたんに戦争するだけのものだと考えている。それは、中国の紅軍の任務が〔政治的〕意義からいえば、階級的な政治任務を遂行する武装集団であることを知らないものである。工作上では、とくに中国の現在の工作上では、紅軍はけっして単に戦争するだけではなく、戦争するという工作のほかになお、大衆に宣伝し、大衆を組織し、大衆を武装し、大衆を援助し、政権を樹立するなどの重大任務を担わなければならない。紅軍が戦争するのは、戦争するために戦争するのでなくて、まさに大衆に宣伝し、大衆を組織し、大衆を武装し、大衆を援助し、政権を樹立するためにこそ戦争するのであり、大衆に対する宣伝、組織、武装および政権〔樹立〕などの目標を離れては、戦争することの意義が全く失われ、紅軍存在の意義も根本から失われるのである。(3) このことから、組織のうえでは、政治工作機関を軍事工作機関に従属させ、司令部が外にあたるというスローガンをもちだしている。このような路線が発展していけば、国民党軍隊がたどった〔軍閥主義の〕道と同じように、大衆から離れ、軍隊が政権を独占し、階級的立場から離れた道を歩む危険が生まれる。(4) 同時に、宣伝のうえでは、宣伝隊工作の重要な任務を無視し、大衆組織のうえでは、〔軍隊内での〕士兵〔委員〕会の組織および〔地方での〕労農大衆の組織を無視している。その結果、宣伝および組織工作がすべて解消されたような現象が生まれている。(5) 戦いに勝てば驕りたかぶり、戦いに負ければしょげかえる。(6) 第四軍本位になり、なにごとにつけても基本部隊のためを考えることしか知らず、地方〔の大衆〕を武装することが紅軍の重要な任務の一つであることを知らないのであり、これは多少拡大されたサークル主義である。 (7) 少数のかも同志たちは、第四軍をめぐる局部的な環境にとらわれ、それ以外には革命動力はないもののように考えている。そのために、実力を保存し、闘争を回避しようとする観念が非常に濃厚である。これこそ日和見主義の残滓である。(8) 主体的・客観的条件を無視し、革命のせっかち病にかかり、苦労してきめの細かい厳密な大衆工作をやろうとせず、派手にやることばかり考え、頭のなかは観念的な幻想でいっぱいになっている。これはまた、盲動主義の残滓である。


3 是正する方法。


(1) 教育を通じて党内の政治的水準を高め、軍事的観点の理論的根源を一掃することである。それと同時にまた、日和見主義や盲動主義の残滓を一掃し、第四軍本位主義を打ち破ることである。(2) 将兵の政治訓練を強化し、とくに捕虜出身者に対する入隊期の教育を強化し、同時に、できるだけ地方政権機関から闘争経験をもった労農分子をもっと派遣して紅軍に参加させ、軍事一点ばりの観点の根源を組織の面から弱めるか、ひいては一掃していく。(3) 紅軍の党に対する地方の党の批判や、紅軍に対する大衆政権機関(ソヴェト)の批判を盛り上げて、紅軍内の党および紅軍将兵に影響を与える。(4) 党は、軍事工作について、積極的に注意し討議しなければならない。すべての工作は党で討議し決定した後、大衆路線を通じて実行に移す。(5) 紅軍に関する法規を制定し、紅軍の任務、軍事工作系統と政治工作系統との関係、紅軍と人民大衆との関係、士兵〔委員会〕の権限と機能およびそれと軍事・政治機関との関係などをはっきりと規定する。


B 極端な民主化




1 紅軍内の党では、中央の指示を受けてからたしかに極端な民主化の現象は大いに減少した。たとえば、党の決議は比較的よく実行できるようになった。「下から上への民主集中制」とか、「まず下級にうつして討議し、それから上級で決議する」とかのスローガンを口にするものがいなくなったことも事実である。だが実際には、こうした減少という現象は表面的なものにすぎず、けっして一般党員の考え方のなかから、極端な民主化の思想が一掃されたわけではない。自らはつまり、極端な民主化の毒がまだ多くの同志の心のなかに深く根をはっているということであり、たとえば決議の実行にあたって示されるさまざまなふしょうぶじょうな態度はいか、その一つの証拠である。


2 是正する方法。


第一は、理論のうえから極端な民主化の根を取り除くことである。そのためにはまず、極端な民主化が党の組織を傷つけ、さらにはそれを完全に破壊し、党の戦闘力を弱め、ひいてはそれを完全に壊滅させて、党が闘争の責任を負いきれなくなるようにし、それによって必然的に革命を敗北させる方向に党を導き、同時に支配階級の反革命の寿命が長びくのをたすけるものである、ということを指摘しなければならない。次には、極端な民主化の根源が小ブルジョア的(小農生産および都市小資本)な自由主義の散漫さにあり、このような自由主義的な散漫さが党内にもちこまれると、政治上・組織上の極端な民主化の思想になることを指摘しなければならない。このような思想はプロレタリアートの闘争任務と根本的に相容れないものであり、客観的には全く反革命思想の一種であり、こうした思想の持ち主がもしその是正につとめず、それがのびるままに放任するならば、必ずや反革命の道を歩むことになるであろう。


第二は、組織のうえで、集中的指導のもとでの民主的生活を励行することである。その路線は次のとおりである。


(1) 党の指導機関が正しい指導路線をもち、問題にあえば解決策をうちだすようにしていって、指導の中核を確立しなければならない。(2) 上級機関は下級機関の状況や大衆生活の状態をはっきりつかみ、〔そのことによって〕正しい指導のための社会的基礎をつくらなければならない。(3) 党の各級機関が決議したことをいいかげんに取り扱ってはならず、いったん決議となった以上は、断固として実行しなければならない。(4) 上級機関の決議のうち、比較的重要なものはすみやかに下級機関および党員大衆に伝達しなければならない。そのやりかたとしては、活動者会議を開くとか、細胞ないしは縦隊〔独立部隊〕の党員総会を開いて(環境がそれを許すかどうかをみたうえで)、報告のためにそこに人を送ることである。(5) 党の下級機関および党員大衆は、上級機関の指示について詳しく討議して、その指示の意義を徹底的に理解するとともに、その実行方法について決定しなければならない。


C 非組織的な意識




第四軍の党内に存在している非組織的な意識は、各方面に数あらわれている。そのうちの最も顕著なものは、次の三つである。


1 少数多数にしたがわないこと。


たとえば、提案が否決されると非常な憤怒の色を示したり、誠意をもって党の決議を実行しようとしなかったりする。これらはその一例である。


是正する方法。


(1) 会議では、出席者にできる限り意見を発表させ、論争になった問題をはっきりさせ、是非を明らかにしなければならず、調停したり、いいかげんにすましたりしてはならない。一回で解決できない問題はもう一度討議して(工作を妨げないことを条件にして)、はっきりした結論をひきだすようにする。(2) 党の規律の一つは少数多数にしたがうことであり、少数者はその意見が党の最初の会議で通らなかった場合、次の会議が開かれるまでは多数で採択した決議を守らなければならず、次の会議にもう一度提出して討議することができるほかは、行動のうえではどのような反対の態度をも表示してはならない。


2 非組織的な批判。


(1) 党内批判は党の組織を強化し、党の戦闘力を強める武器である。だが、紅軍の党内での批判は多くの場合、この意味が分かっておらず、誤って個人攻撃に使われている。その結果、単に個人をいためつけるだけでなく、党の組織をも破壊している。これは小ブルジョア個人主義的思想のあらわれである。これを是正する方法は、党員に、批判の意義が党の戦闘力を強めることによって階級闘争の勝利を達成することにあり、批判を個人攻撃の道具として利用してはならないことをはっきり理解させることである。(2) 多くの党員は、党内では批判せずに党外で批判する。これは、党の組織の政治的意義についての認識が一般党員のなかにかなく、したがって党の組織(会議など)の重要性が理解されていないため、批判するのに組織の内部でやろうと、組織の外部でやろうと、何らちがいはないと考えているからである。こうしたことの結果もまた、党を破壊の道に導くのに十分である。これを是正する方法は、党の組織の政治的意義を一般党員の考え方のなかにうちたてることであり、こうしてこそ無責任な、大衆に悪影響を与えるすべての非組織的な批判を根本から一掃することができるのである。


3 一部の党員の特殊化。


仕事が忙しいことを口実にするが、実際には大衆に接近したがらず、また大衆の批判をおそれるがゆえに、支部〔細胞〕総会および小組〔班〕会議にも参加せず、会に出席しても工作報告もせず、種々の点で一般党員とちがっているのであり、その結果、大衆から離れ、党から離れていくのである。しかもこのことでは、支部の責任者はこうした現象を是正しないばかりでなく、逆にこれらの特殊な党員をおそれるような態度がみられるのである。


こうした現象が生ずる原因としては、第一に、紅軍内にはこれまで一つの重大な誤りがあった。すなわち、党の機関が軍事工作についての討論に注意することが極めて少なく、したがって軍事問題に責任を負う同志が、党の会議で軍事についての諸計画(たとえば訓練計画・管理計画・作戦計画)などおよび諸報告を日常的に提出するよう督促することもなかった。その結果、党の討議は軍事から離れ、また軍事上の責任ある同志も党の指導を受け、党に報告すべきであることを忘れてしまい、紅軍の軍事工作を党の機関や一般党員にははっきり分からない特殊部分にしてしまっていた。こうして、単に党員の軍事化という任務を大いに妨げたばかりでなく、党と軍事とを分離させ、党が軍事を指導できないようになる危険をつくりだしていた。第二に、上述の党の任務のうえでの重大な誤りのために、一部の軍事上の責任ある同志たちを、党内で特殊な存在たらしめていた。同時に、その他の工作の責任ある同志たちのうちでも、支部会議には出席したがらず、また出席してもものをいわない特殊な存在となっているものが多かった。このようなことこそ、紅軍内の党の支部生活が現在のような片輪で不健全なものとなった原因の一つである。


是正の方法としては、第一に、党の各級会議(支部から前敵委員会にいたるまで)ではすべて、軍事工作計画およびその報告を議事日程にのせ、これを討議し、決定しなければならない。第二に、どんな工作を担当する党員であろうとも、すべて支部大会および小組会議に出席し、かつ工作報告を行なわなければならず、理由なしに欠席することはできない。


D 絶対平均主義




1 紅軍内の絶対平均主義は、かつてある時期にひどく盛んであったことがあるが、多くの闘争を通じて、たしかにかなりの程度減少した。しかし、なお多くの残滓がのこっている。たとえば、負傷兵にその費用を支給する際、負傷の軽重によって区別をつけることに反対し、平均に支給することを要求する。将官が馬に乗ることは仕事の必要からだとは考えず、不平等な制度だと考える。物を分配するにも極端な平均化を要求し、特別の事情のあるものにはすこし多目に支給することも望まない。米を運ぶにも、大人も子供も、身体が強くても弱くても、均等に背負わせようとする。〔宿営の際の〕部屋の割当も均等にしようとし、司令部がすこしばかり大きな部屋をとろうとすると、たちまち文句をいう。勤務につくにも同等であることを要求し、少しでも勤務が多くなることは納得しない。それどころか、担架が一台で負傷兵が二人いるというような場合でも、一人だけ乗せるくらいなら、いっそ二人とも乗せないようにする。こうした例はみな、紅軍将兵の間では絶対平均主義がなお兵士大衆の頭のなかからすっかり拭い去られておらず、若干拭い去られたといっても、それは部分的ないし表面的なものにすぎない、ということを証明している。


2 絶対平均主義の根源は、まさしく政治上の極端な民主化と同じように、いずれも手工業および小農経済の産物である。ただその一つは政治の面にあらわれたものであるが、他の一つはそれが物質の面にあらわれただけである。


3 是正する方法。絶対平均主義は、資本主義がまだ消滅しない時期には、単に農民小所有者の幻想にすぎないばかりでなく、たとえ社会主義経済の時期においても、物質の分配は各人および各工作の必要に応じて行なわれるべきで、けっして絶対的平均というようなものではないことを理論的に指摘することである。紅軍内の物質の分配は、将兵などの給与の平均化と同様、最大限度の平均化をはかるべきである。なぜなら、これは現在の環境での紅軍の闘争がそれを求めているからである。しかし、いっさい理由をぬきにした絶対的平均には反対しなければならない。なぜなら、それは闘争が必要としていることではなく、まさにその反対に、闘争を妨げるものだからである。


E 観念的思考について




1 観念的思考は、紅軍内の党員の間で非常に濃厚である。その結果、政治分析にとっても、工作指導にとっても、党組織にとっても、非常に大きな妨げとなっている。なぜなら、政治上の観念的な分析や工作上の観念的な指導、およびそれに付随する必然的結果は日和見主義となるか、そうでなければ盲動主義となるからである。党内の観念的な批判の精神、根拠のないでまかせの議論、あるいは相互の邪推などの結果にいたっては、とかく党内に無原則的で無意味な紛争をかもしだし、党の組織を破壊するようになる。


党内批判の問題についていえば、観念的な批判の精神のほかにお論及しなければならないのは、非政治的批判の精神である。批判の最大の任務が政治上の誤りを指摘することであり、その次が組織上の誤りを指摘することであり、個人的な生活上の欠点および小さな技術面のことについていえば、もしそれが政治的な誤りや組織的な誤りと密接なつながりがないならば、あまり多く指摘して同志たちがどうしてよいかわからなくなるように仕むけてはならないし、そのうえ技術的な批判が昂じてくると、党内の気分が完全に小さな技術的な面に集中されることになり、人びとはお心翼々とした君子に変わってしまい、必ずや党の政治的任務が忘れられることになる。これはもっとも大きな危険である。紅軍の党の内部の技術的・非政治的な批判の精神は、観念的な非科学的な批判の精神と同様に、必ずやその最悪の結果を招くであろう(もうすでに招いているが)。


2 是正する方法。その唯一の方法は、党員の思想や党内の生活を政治的かつ科学的なものにすることである。この目的を達成するためには、次のことが必要である。(1) 観念的な分析や評価にかえて、マルクス主義の方法によって政治分析を行ない、階級勢力の評価を行なうよう党員を教育すること。(2) 党員が社会・経済の調査や研究に注意し、それによって闘争の戦術や工作の方法を決定するようにさせ、同志たちに実際の調査を離れると空想や盲動の深淵に陥ってしまうことを分からせること。(3) 党内批判にあっては、観念的な技術的な〔批判の〕精神を一掃し、発言には根拠をもたせ、工作の討論に際しては、その政治的意味に留意しなければならない。


F 個人主義




1 紅軍の党の内部における個人主義のあらわれには、次のようないろいろなものがある。


(1) 報復主義。党内で兵士の同士からの批判を受けると、党外で機会を見てその兵士に報復しようと、なぐったり悪罵したりする。こうした例は非常に多い。そのほかになお、内部でも報復の機会をさがす。今度の会議で君がおれを批判したから、次の会議ではおれが君のあらをさがして仕かえしてやる、というわけである。このような例も少なくない。このような報復主義は、全く個人的観点から出発するものであり、階級的利益や党全体の生活については全然念頭にないのであり、ただ自分個人のことが念頭にあるだけである。その目標は敵階級にあるのではなくて、自分の陣営内の他の個人にある。全くこれは組織を弱め、戦闘力を弱めてしまう腐食剤である。(2) サークル主義。表面義には個人主義を大きくしたものであるが、骨子は依然として極めて狭い個人主義であり、それと同じように極めて大きな腐食作用と遠心作用をもっている。紅軍内には、これまで小集団的な気風が非常に盛んであったが、闘争の結果それはだいぶ衰えた。しかし、その残滓は依然として存在しており、より一層闘争し努力しなければならない。(3) 雇われ者の観念。党と紅軍が革命の任務を実行する道具であり、自分がそのなかの一員であることを認識しない。自分が闘争の主体であることを認識せず、闘争は自分とは関係なく、自分はただ紅軍の上官または党機関に対して責任をもっているだけで、革命に対して責任を負うものではないと考える。このような革命の雇われ者の観念は、紅軍内で非常にひろがっている。これが、無条件に努力する積極的な活動家があまり多くないことの原因である。雇われ者的観念が一掃されなければ、積極的な活動家はふえようがなく、革命の重責はいつでも少数のものの肩にかかるであろう。これは闘争にとってたいへん不利なことである。(4) 享楽主義。個人主義が享楽主義としてあらわれるのもまた、紅軍内で少なくない。彼らはいつでも部隊が大都市に移動することを望んでいる。彼らが大都市に行きたがるのは、享楽のためであって、仕事をするためではない。彼らが何よりも好まないのは、生活の苦しい赤色地域内で仕事をすることである。享楽主義の結果はつまり、個人の利益だけ考えて、革命全体・団体行動には思いをめぐらさなくなる。(5) 消極的で仕事をサボること。少しでも思うようにいかないとすぐ消極的になり仕事を怠ける。消極的になり仕事を怠ける原因は、根本的にはもとより個人主義からでており、自分の階級的任務を正しく認識していないことからきているが、なおそのほかに、党および軍の内部に、問題を処理したり、仕事を配分したり、規律を励行したりする上で適切でない面がある、という客観的原因もある。(6) 部隊を離れたがる観念。紅軍内で仕事をしているもので部隊を離れて地方で仕事をしたいと要求するものが日ましにふえている。その原因はすべてが主観的な個人主義にあるわけではなく、そのほかにも、(イ) 紅軍の物質生活があまりにも悪いこと、(ロ) 長い間の戦いで疲れを感じていること、(ハ) 問題の処理、仕事の配分、あるいは規律の励行が適切でない、などの原因もある。


2 個人主義の根源は、小農思想からブルジョア思想までが党内に影響してくることにある。是正する方法は、主として教育の方法により、思想の面から個人主義を是正することである。それからさらに、問題の処理、仕事の配分、規律の励行も適切でなければならない。それからまた、なんとかして紅軍の物質生活を改善し、あらゆる可能な機会を利用して〔部隊を〕休ませ、整備して、客観的条件を改善しなければならない。


G 流賊的な思想




1 紅軍内の流賊的な思想の根源は、次の点にある。紅軍内でルンペン・プロレタリアが大多数をしめていること、これが近因である。(ロ) 全国、とくに南方各省に巨大なルンペン大衆がいること、これは遠因である。遠近の二つの原因によって、第四軍内に流賊主義的な政治思想や行動・主張が生まれている。だが、黄巣・李自成・洪秀全流の大規模な流賊的行動は、帝国主義に支配されている中国では、とくに、進歩した武器(手榴弾・大砲・機関銃など)、進歩した通信方法(軍用電話および無線電信)、および進歩した輸送方法(自動車・汽船・鉄道)がすでに輸入されている現在の中国では許されないことであり、したがって流賊的思想が紅軍の行動において最終的にもっとも強力な主張となりえないのはもちろんである。しかし、その影響は各方面でなお非常に大きなものとなってあらわれている。たとえば、(1) 苦難に耐えて粘り強く大衆の政権建設を援助し、それによって政治的影響を拡大しようとは望まず、ただ流動的な遊撃という方法でだけ政治的影響を拡大しようとすること。(2) 紅軍拡大の組織路線については、地方赤衛隊・地方紅軍の拡大ないしは非地方紅軍の拡大という路線を通じてではなく、「兵馬を募り」「投降兵・寝返り兵を抱えこむ」ことによって、紅軍の拡大をはかる路線をとろうとすること。(3) 面倒くさがらずに、大衆と一緒に粘り強く闘争しようとせず、大都市にいって大いに食ったり飲んだりすることだけを望んでいること。すべてこうした流賊的思想のあらわれは、紅軍に課せられた重大な任務の執行をひどく妨げており、したがって流賊的思想を一掃することは実に紅軍の党内における思想闘争の重要な目標の一つとなっている。


2 是正する方法。


(1) 教育的方法で党内のルンペン的要素の存在にもとづく正しくない思想を改めることによって、流賊主義を一掃する。(2) 現有の紅軍基本部隊および今後新たに参加してくる捕虜出身兵に対する反ルンペン意識の教育を強める。(3) 闘争の経験をもつ労農積極分子を現有の紅軍部隊に引き入れて、紅軍の〔階級〕構成を改める。(4) 闘う労農大衆のなかから新しい紅軍部隊をつくりだす。


H 盲動主義の残滓


1 紅軍の党の内部での盲動主義に対する闘争については、すでにたいへんな努力がはらわれてきたが、まだ十分とはいえない。だから紅軍内では、盲動主義の思想と行動はすでに大いに克服されたとはいえ、なお多少残っている。盲動主義の根源についていえば、それはルンペン・プロレタリアの意識と小ブルジョア意識とが合流してできたものである。それは次の点にあらわれている。(1) 主体的条件および客観的条件をかえりみないめくら滅法な行動。(2) 都市政策が十分に断固として行なわれていないこと。(3) 軍規がゆるんでおり、とくに戦いに敗れたときにゆるむ。(4) 大衆的基礎を必要としない家屋焼払いの行為が各部隊になお一部残っていること。(5) 逃亡兵を銃殺する制度や体罰制度もまた、その一部は盲動主義からきている。


2 是正する方法。


(1) 理論面から盲動主義を一掃する。(2) 制度の上でも政策の上でも、盲動的な行為を是正する。


二 党の組織問題


紅軍〔内〕の党の組織問題は、いま非常に重大な時期にきている。とくに党員が質的に劣っていることと組織的に弛緩していることが、紅軍の指導と政策の実施に非常に大きく影響している。大会はこの問題についてとくに詳細な分析と決定を行なった。同志諸君は大 会の精神をふまえて党の組織を改造するようにつとめ、党の組織を確実 に党の政治的任務を担当しうるものにしなければならず、そうしてこそはじめて成功に達したといえるのである。


A 党の組織路線


1 党員拡大の路線としては、戦闘兵を主要な対象とする。同時に、役夫・勤務兵などの非戦闘兵についても軽視してはならない。


2 連〔中隊〕ごとに一つの支部を設け、班ごとに一つの小組を設ける。これが軍隊内の党の組織の重要原則の一つである。党員の数があまりに少なく、事実上班ごとに一つの小組を設けることができない部隊では、一時的に排〔小隊〕を単位として小組を設け、小組員を計画的に各班に配分する。ただし、これが過渡的方法であることを理解していなければならない。


3 紅軍の従来からの小組の編制法、すなわち幹部分子と一般分子、知識分子と勤労者分子を混合させた編制法はたいへん正しいものである。しかし、なお計画的に工作の異なった、能力の異なった各種の分子をたいへんうまく混合させる編制が欠けており、今後はこの点にもっと注意をはらわなければならない。もっぱら幹部分子だけで小組を編制するやり方については、そういうやり方はしてはならない。


B 党の組織弛緩の問題


1 第四軍内の党組織の現状。


(1) 党員を加入させるやり方があまりにも行きあたりばったりで、党員の資格が十分でないものまでも多数引き入れている。とくに上官の場合、なんらの条件もつけずに一様に党に引き入れている。このため、党の質が非常に低下する。(2) 各級党部の工作は問題が一応処理されるところまではいっているが、ただ同志を教育するという仕事を完全に忘れてまつっている。訓練的性質の会議、たとえば大会、書記・宣伝員・小組長の連席会議〔原文は「書宣組聯席会」—訳注〕、委員・小組長の連席会議〔原文は「委組聯席会」—訳注〕、支部大会、縦隊または支部の党員大会など、これらは極めてまれにしか開催されていない。(3) 一般的に規律が弛緩している。とくに重要な工作を担当するものについては、これにとってかわってやれるものがいない状態にあるために、そのものがおかした誤りについてはしばいい加減にお茶をにごし、規律に照らして処分を加えない。ある一人に対してそうすれば、他のものに対してもそうせざるをえなくなる。このため、規律を一般的に強緩させてしまうのである。(4) すべての上官がみな党員となっているために、およそ軍事・政治機関の工作員についてその社会的職業上の工作にほどんど注意がはらわれず、社会的職業上の工作はつまり党工作であると考えられ、両者は区別されていない。たとえば、軍事工作会議、各級の政治工作会議はほとんど全く開かれず、なことにつけても党が決定すればそれでことは終わったと考えられ、党員は社会的・専門的柄において中核的役割をだすべきだということについては全く問題にもされないのである。(5) 上級と下級の関係が密接でない。下級の報告に対して上級が回答を与えたり指示したりすることはまれである。下級の会議に上級から人を派遣し、出席させることもまれである。これはもとより上級機関の組織が不健全なためであるが、上級機関の工作態度が積極的でないことも、下級に対する指導が欠けたり、綿密でなかったりする原因の一つである。とくに、たとえばある部隊が遊撃にでかける際の工作指導などのような実際工作の指導に際して、一般に綿密さが欠けている。さらにはいくつかの部隊では、大まかな指導さえほとんど行なわれていない。(6) 支部大会や小組会議は、その多くが決めた時間通りには開かれていない。


2 是正の方針。


(1) 古い基礎の一掃につとめること。たとえば、政治的観念がまちがっているもの、アヘンを吸飲するもの、金儲けをしたり賭博をしたりするものなどで、何度訓戒しても改めないものは、幹部であろうが幹部でなかろうが、一律に党から追い出すことである。(2) 今後の新規入党者の入党条件。① 政治的観念が誤っていないこと(階級的自覚を含む)。② 忠実なこと。③ 犠牲的精神をもち、積極的に活動しうること。④ 金儲けをしようという考えをもっていないこと。⑤ アヘンを吸わず、賭博をしないこと。


以上の五つの条件が完全にそなわったものでなければ、党に推薦入党させてはならない。推薦者は事前に被推薦者が以上の条件を確実にそなえているかどうかを審査しなければならない。必要な推薦手続を経て推薦入党させた後には、新党員に支部生活(秘密工作を含む)、および党員の遵守すべき事項を詳細に教えなければならない。推薦者は自分が推薦したものについては相応の責任を負うべきである。支部委員会は人を派遣して入党しようとするものと話し合い、入党条件をそなえているかどうかを審査しなければならない。


(3) 各級党部は、単に問題を解決し、実際工作を指導するだけでなく、さらに同志を教育するという重大任務を負っている。同志を訓練するための各種の会議およびその他の訓練措置、たとえば訓練班・討論会などを計画的に挙行しなければならない。(4) 規律を厳格に実施し、規律問題をいい加減に処理するような現象をなくすこと。(5) 党員の社会的職業と党活動の性格とをはっきりと区別すること。あらゆる党員(党内で重要な、あるいは専門的な任務をもつ職業的革命家を除き)は、なんらかの社会的職業をもたなければならず、同時にその社会的職業のなかで党から与えられた工作を担当しなければならない。(6) 各級党部の工作態度は、これまでよりもっと積極化すべきであり、下級は上級に対して詳しく報告しなければならず、上級はそれらの報告について詳しく討議し回答するとともに、できるだけ人を派遣して下級の会議に出席させなければならず、工作員が少ないとか工作能力が低いとか、工作時間が足りないなどを口実にして、自分の消極性を覆い隠したり、これらの工作を粗略にするようなことがあってはならない。(7) 支部委員会および支部委員会以上の各級党部は、計画的に毎月、支部大会および小組会議の討論材料を決めるとともに、会議の期日を決めて会議の開催を厳しく督促すべきである。


C どのようにして党員に興味をもたせて会議に出席させるか




1 党員が会議出席に興味をもたない原因。


(1) 会議の意味をはっきりと理解していないこと。支部会議の重要な意味の第一は、問題を解決することである。あらゆる闘争の問題、内部の問題などは、すべて会議で集中的に討議しなければならない。会議に出席しないか、または出席しても積極的に意見を発表しないならば、それはその人が会議の政治的意味を理解していないからであり、闘争に興味をもっていないからである。およそ闘争に積極的なものなら必ず熱心に会議に出席し、熱心に発言するであろう。〔支部会議の重要な意義は〕第二には同志を教育することである。会議は単に問題を解決するだけでなく、問題を解決する過程でその問題の環境を考察し、上級の指示を参考にしなければならず、このようにすれば同志たちの思考力を高めることになり、また会議が政治化し実際化することによって、同志たちの一人ひとりの頭脳も政治化し実際化するのである。同志の一人ひとりが政治化し実際化してくれれば、党の戦闘力も強化されるわけで、これがつまり会議の教育的意味である。紅軍内の党員にはこの意味が分かっていないために、それが喜んで会議に参加しないとか、参加しても興味をもてない第一の原因となっているのである。(2) 決議文が決議されても実行されなかったり、あるいは上級に請求した事項について長いこと回答が与えられなかったりするために、討論する意欲をそがれるのである。(3) 責任者が事前に十分に準備していないことである。議事日程を準備せず、問題の内容や環境についてはっきりとさせず、また問題をいかに解決すべきかについてもなんらの意見も用意していないのである。(4) 議長が軽々しく党員の発言をやめさせることである。発言がたまたま問題からそれるとすぐにそれを禁止するために、発言者は興味をそがれて何もいわなくなるのである。発言に誤りがあったりすると、発言をやめさせるだけでなく、そしり笑うのである。(5) 会場の雰囲気が封建的で活気がなく、出席者にまるで監獄にでも坐っているかのように感じさせるのである。


2 是正の方法。


第一に、会議を政治化し実際化すること。第二に、会議の重要性について、同志たち、とくに新党員や工作に消極的な党員に対してたえず注意すること。第三に、軽々しく決議せず、いったん決議した以上はあくまでも実行すること。第四に、上級機関は下級機関の問題にできるだけ早く回答し、いつまでもひきのばして熱意を失わせるようなことをしないこと。第五に、責任者は事前に議事日程を準備するとともに、議事日程を具体化しておくこと。問題の内容と環境については、前もってはっきりと調査しておくとともに、どのように解決するかについてあらかじめ考えておくこと。第六に、議長が会議を指導する際、あらかじめすぐれた技術を駆使し、大衆の討論の流れがある一つの問題に集中するように導いていくこと。しかし、議題からそれていても、重要な意義をもつ議論については、興味をそぐやり方でこれを抑えてはならないだけでなく、その発展した議論の要点をていねいにつかんで大衆に紹介し、新しい議題として成立させるべきである。このようにしてこそ会議が興味あるものとなり、ほんとうに問題が解決されるし、同時に会議もその教育的意味を真に達成するのである。第七に、会場の封建的な雰囲気を取り除くことである。共産党の会場はプロレタリアートの積極的な、活発な、爽快な精神を反映すべきであり、こうした精神によって会場の雰囲気をつくらなければならない。


D 紅軍の党内の青年組織とその工作




(1) 部隊内では青年の利益と成年の利益とを区別することはできず、団〔青年団〕には特別の工作対象はない。また党の小組は班を単位にして設けることこそが闘争に有利である。したがって、党の支部内には団の小組を設ける必要はないのである。(2) 党員のなかで、青年層は成年とは異なった感情をもつがゆえに、一般的に党の訓練を受ける以外に、なお特別に青年教育を受ける必要がある。また労農青年大衆の獲得が党の重要任務の一つであることから、青年工作を担当する専門の組織がなければならない。したがって、支部内で、年齢二〇歳以下の青年党員(党の重要工作を担当しているなどの特別な事情があるものを除き)を区分して、青年工作会議を設けるものとする。この会議は大隊を単位とし、経常的に計画的に召集するほかに、支隊および縦隊でもそれぞれ適当な時期を決めてこの会議を召集すべきである。(3) 青年党員の教育を計画し、労農青年大衆を獲得する方法を計画するとともに、青年工作会議を指導するために、前敵委員会および縦隊委員会のなかにそれぞれ五人からなる青年工作委員会を設け、支隊委員会および支部委員会にそれぞれ一つの青年〔工作〕委員会小組を設け、各級党部の指導の下で工作に従事させる。


E 政治委員と党内工作との関係


大隊および支隊のそれぞれの党部の書記は、政治委員を兼ねないことを原則とする。ただし、工作員が欠乏している部隊では、一時的に兼任してもよい。党の書記としての責任を負っていない政治委員については、上級党部が状況を斟酌し、条件が適合している場合には、これに党の特派員の職を委任し、当該の級の工作を指導する任務を担当させることができる。


F 直属隊の最高党部の問題


軍および各縦隊の直属隊は、それぞれ直属隊委員会を組織し、これを最高党部とする。委員の数は五人ないし七人とする。


G 士兵〔委員〕会の党フラクションの問題


大隊の士兵〔委員〕会には党フラクションを設けず、工作は支部委員会が指導する。縦隊の士兵〔委員〕会には党フラクションを設ける。この党フラクションは縦隊委員会の指導を受ける。


三 党内教育の問題


A 意義


紅軍内の党のもっとも切迫した問題としては、教育の問題をあげなければならない。紅軍の健全化と拡大のためには、そして闘争任務を十分に担いうるようにするためには、まず党内教育から着手しなければならない。党内の政治水準を高めず、党内の種々の偏向を一掃しないならば、紅軍を健全化し、拡大することはけっしてできないし、重大な闘争任務を担うことはなおさらできないであろう。したがって、党内の教育を計画的に行ない、過去の無計画な、なりゆきまかせの状態を是正することは、党の重要な任務の一つである。大会は、次に示す資料と方法をもって党員を教育することを決めた。党の指導機関は一層詳細に討議して、この任務を実行しなければならない。


B 資料


(1) 政治分析。(2) 上級指導機関の通告の討議。(3) 組織上の常識。(4) 紅軍党内における八つの誤った思想の是正。(5) 反日和見主義およびトロツキー主義反対派問題についての討議。(6) 大衆工作の戦術および技術。(7) 遊撃区域の社会経済の調査研究。(8) マルクス・レーニン主義の研究。(9) 社会経済諸科学の研究。(10) 革命の当面の段階およびその見通しの問題。


以上の一〇項目のうち、その一部(たとえば社会経済諸科学の研究のように)は実際には幹部クラスのものにしか適用されないが、その他の各項目は一般党員に適用されるものである。


C 方法


(1) 党機関紙。(2) 政治情報。(3) 同志を教育するための各種パンフレットの編集。(4) 訓練班。(5) 組織的に書籍を配分し、読書させる。(6) 文字を知らない党員に新聞や書籍を読み聞かせる。(7) 個別の話し合い。(8) 批判。(9) 小組会議。(10) 支部大会。(11) 支部委員・小組委員連席会議。(12) 縦隊を単位とする組長以上の活動分子大会。(13) 全軍支部書記以上の活動分子大会。(14) 縦隊を単位とする党員大会。(15) 縦隊を単位とする各級書記・宣伝員・小組長の連席会議。(16) 全軍の支隊以上の書記・宣伝員・小組長の連席会議。(17) 政治討論会。(18) 党員を適宜に配分して、実際工作に参加させること。


四 紅軍の宣伝工作問題


A 紅軍の宣伝工作の意義


紅軍の宣伝工作の任務は、政治的影響を拡大して広範な大衆を獲得することである。こうした宣伝任務を実現してこそ、はじめて大衆を組織し、大衆を武装し、政権を樹立し、反動勢力を一掃し、革命の高潮を促すなどの紅軍の全般的な任務を達成することができるのである。したがって、紅軍の宣伝工作は紅軍の第一に重要な工作である。この工作を軽視するならば、それは紅軍の主要な任務を放棄することになり、支配階級に協力して紅軍の勢力を弱化させるのにひとしい。


B 紅軍の宣伝工作の現状




1 宣伝内容上の欠陥。


(1) 具体的な政治綱領を公表していないこと(かつて公表した「四言の布告」などのような政治綱領は具体的ではない)。(2) 大衆の日常闘争についての宣伝・煽動をおざなりにしていること。(3) 都市貧民の獲得をなおざりにしていること。(4) 婦人大衆に対する宣伝をなおざりにしていること。(5) 青年大衆に対する宣伝が十分でないこと。(6) ルンペン・プロレタリアに対する宣伝が十分でないこと。(7) 地主階級の武装組織(民団・靖衛団など)を破壊するための宣伝が極めて少ないこと。(8) 時・所をわきまえない宣伝。


2 宣伝技術上の欠陥。


(1) 宣伝隊の不健全さ。


① 宣伝員は各大隊五名から三名に縮小されており、なかには一、二名しかなかったり、わずか一名のところもあり、また少数の部隊では一名の宣伝員もいない。② 宣伝員の社会的構成があまりにも劣悪で、捕虜出身兵もおれば、炊事夫や馬丁もおり、アヘン吸飲者もあり、逃亡の疑いがあるため武装を解除されて宣伝隊にまわされたものもおり、司書になったがその器でないために宣伝隊に入れられたものもあり、廃残者となり他の工作機関では使えないために宣伝隊に入れられたものもいる。〔こうして〕現在の宣伝隊は全く収容所化しており、その任務が全く遂行できない状態である。③ ほとんどの上官が一致して宣伝隊を排斥しており(それとともに宣伝員の社会的構成があまりにも劣悪で、紅軍の成果があがらないこともまた、一般の人の彼らに対する不満を招く原因となっている)、「穀つぶし」、「インチキ薬売り」というのが一般人が宣伝員にたてまつっている称号である。④ 宣伝隊に十分な宣伝費がない。⑤ 宣伝員に対する訓練計画がなく、同時に彼らの工作に対する督促も十分でない。このため、宣伝隊の工作は全く勝手気ままで、やろうとやるまいと問題にしようとしないのである。


(2) ビラ・布告・宣言などが陳腐で新鮮味がなく、同時にそれを配布するにも郵送するにもそのやり方が当を得ないのである。(3) 壁新聞の出し方があまりにも少なく、政治簡報の内容があまりにも簡略すぎ、その出す回数も少なく、また字があまりに小さくてはっきり読めない。(4) 革命的歌謡が全くない。(5) 画報はわずかに数枚しか出されていない。(6) 仮装宣伝が全くない。(7) 兵士の娯楽および労農大衆への接近という二つの意義を含んでいるクラブが設けられていない。(8) 口頭での宣伝が少なく、またそのやり方もなっていない。(9) 紅軍の規律は大衆に対する一種の実際の宣伝である。ところが現在、規律が以前にくらべて弛緩している。このため、大衆によくない影響を与えている。(10) 〔寝台替わりに使った〕戸板は返し、〔寝〕藁はちゃんと束ねて片づけ、地面は掃除し、おだやかに話しをし、物の売買は公平にやり、借りた物は元通りに返還し、損害は弁償する。これらは紅軍の宣伝工作の一つとなっているが、現在はこれも十分に行なわれていない。(11) 大衆大会がごくまれにしか開かれず、また開き方もまずい。(12) 白軍兵士に対する宣伝方法がまずい。


C 是正の方針


1 宣伝内容の面では、


(1) 具体的な政治綱領を発表し、紅軍綱領と名づける。(2) 宣伝は大衆の闘おうとする気運にぴったりしたものでなければならず、一般的に暴動スローガンを発表するほかに、さらに大衆の闘争への気運がなお低い地方の日常生活にも合致したスローガンをも含め、それによって日常闘争を盛り上げ、それらの暴動スローガンと結びつけなければならない。(3) 都市貧民(中小商人や学生)は、民主主義革命の過程においては、それなりに一つの勢力をなしている。この勢力の獲得を軽視することは、この勢力を豪紳・ブルジョアジーに渡すことにほかならない。今後は、都市の中小商人および学生大衆に対しもっと徹底した宣伝工作を行なって、彼らを獲得しなければならない。(4) 婦人は人口の半分を占めている。勤労婦人の経済的地位と彼女たちがとくに抑圧されている状態は、婦人たちの革命に対する切実な要求を証明しているばかりでなく、彼女らが革命の勝敗を決定する一つの勢力であることを証明している。今後、婦人について適切なスローガンをかかげ、広く宣伝を行なわなければならない。(5) 勤労青年大衆は人口の三〇%以上を占めており、彼らはまったく、闘争のなかでもっとも勇敢であり、もっとも断固としている。したがって、青年大衆獲得のための宣伝は、宣伝任務全体の中での重要な任務である。(6) 中国の広範なルンペン大衆が、もし革命階級の側に立つならば革命の武器となるが、もし反動階級の側に立つならば反動階級の武器となるであろう。したがって、反動階級の影響下からルンペン大衆を奪取することは、党の宣伝任務の一つである。宣伝工作を行なうにあたっては、各部分のルンペン生活〔状態〕や性格の相違に注意し、それに応じた宣伝をしなければならない。(7) 地主階級の武装組織を破壊し、そのなかの大衆を奪取することは、農村における土地革命の勝利のための条件の一つである。今後は、民団・靖衛団などの団員大衆に対する宣伝工作にとくに注意しなければならない。(8) 〔紅軍は〕どの地方に行っても、その地方の状況に合致した宣伝のスローガンと煽動のスローガンをかかげなければならない。また、それぞれの異なった時期に応じて(たとえば、秋の収穫時と年の瀬、蔣桂戦争の時期と汪蔣戦争の時期というように)、異なった宣伝のスローガンと煽動のスローガンをうちだすべきである。


2 宣伝技術の面では、


(1) 宣伝隊の問題。


a 意義


紅軍の宣伝隊は、紅軍の宣伝工作の重要な道具である。宣伝隊がうまく動かせなければ、紅軍の宣伝任務の重要な部分が台なしになってしまうだろう。したがって、宣伝隊の整理や訓練の問題については、党が当面とくに力をいれなければならない工作の一つである。この工作の第一歩は将兵の間にある。宣伝工作および宣伝隊について、これを軽視する一般的な考えを是正することである。「穀つぶし」「インチキ薬売り」などの怪奇な呼称は、今後これをなくしていかなければならない。


b 組織


① 支隊を単位とし、軍および縦隊直属部隊はそれぞれ一つの単位を構成して、各単位ごとに一個中隊〔宣伝隊の〕を組織し、隊長と副隊長はそれぞれ一人、宣伝員は一六人、運搬夫は一人(宣伝品をかつぐ)、小使は二人とする。各中隊の宣伝員をいくつかの分隊に分ける(大隊またはその他の部隊および機関の人数に応じて分隊員の多少を定める)。各分隊には分隊長一人、宣伝員三人をおく。② 各支隊の宣伝員は、支隊政治委員の指揮を受ける。各大隊が分かれて遊撃戦を展開する際には、各大隊ごとに一つの宣伝分隊を同行させて活動させ、大隊政治委員の指揮の下におく。直属隊の宣伝隊は、政治部宣伝科長の指揮を受ける。全縦隊の各宣伝隊は縦隊政治部宣伝科の指揮を受け、全軍の宣伝隊は軍政治部宣伝科の指揮を受ける。③ 宣伝隊の経費は政治部が支給するものとし、〔十分活動できるように〕十分の額を支給しなければならない。④ 宣伝員の社会的構成を改善する方法としては、隊から地方政府に要請して進歩的な分子を派遣してもらい、これを紅軍宣伝隊に参加させるほかに、各部隊兵士の間から優秀な分子(班長はできるだけ選抜から除外する)を選抜して宣伝員とする。政治部は経常的に宣伝隊訓練計画を作成し、訓練用の資料・方法・時間・訓練員などを決め、積極的に宣伝員の質の改善をはかること。


(2) 宣伝ビラ・布告・宣言などの宣伝文書のうち、古いものは審査し、新しいものはできるだけ早く起草すべきである。宣伝品の配布を適切に、また効果的にすることは、宣伝隊の技術的問題のなかでも重要な一項とすべきである。宣伝品を郵送し、郵便物のなかに宣伝品をはさみ、あるいは郵便物の上に宣伝・煽動のスローガンを印刷するなどについては、政治工作機関がそれを行なうよう注意し、しかも上手にそれを行なわなければならない。(3) 壁新聞は大衆に対する宣伝の重要な方法の一つである。軍および縦隊がそれぞれ一単位となって一種類の壁新聞を出すものとし、政治部宣伝科がその責任を負う。名称はすべて「時事簡報」と名づける。内容としては、①国内の政治ニュース、②遊撃地区大衆の闘争状況、③紅軍の工作状況、を載せ、毎週少なくても一回発行し、だいたいにおいて大型紙に筆写し、謄写印刷はしない。毎回、できるだけ多く何枚も書くこと。「政治簡報」の編集発行には、次の点を注意する——①迅速にすること。②内容をより豊富にすること。③字は大きくはっきりと書くこと。(4) 各政治部は、責任をもって各種の大衆の気分をあらわす革命歌謡を募集・編集するものとし、軍政治部編集委員会は督促および調査上の責任を負うものとする。(5) 軍政治部宣伝科の芸術係はこれを充実させ、石版印刷または謄写印刷の画報を出版するようにすること。芸術係を充実するために、全軍から絵の上手なものを集めて活動させること。(6) 仮装宣伝はもっとも具体的な、またもっとも効果的な宣伝方法である。各支隊・各直属部隊の宣伝部隊はそれぞれ仮装宣伝係を設け、大衆に対する仮装宣伝を組織し、指揮すること。(7) 大隊として、士兵委員会にクラブを設ける。(8) 宣伝隊内に口頭宣伝係と文字宣伝係を設け、口頭および文字による宣伝技術を研究し指揮すること。(9) 三・八条の規律を厳格に守ること。(10) 政治部および宣伝隊は、計画的・組織的に各種の大衆大会〔集会〕を召集すべきであり、前もって開会の順序・講演者・講演題目および時間をきめておかなければならない。(11) 白軍兵士およびその下級将校に対する宣伝は非常に重要であり、現在は次に示すやり方に注意しなければならない。


① 宣伝文は簡単で短いものにし、彼らが一瞬のうちに読み終わるようにすること。ぴりっとしたもので、彼らが一読して深い印象を受けるようにすること。② 敵が通過する道の両側に、ある現実の部隊にぴったりした標語を計画的にたくさん書くほかに、沿道の党部および大衆機関に宣伝ビラを渡しておき、敵軍が通過するのを待って、これを巧みに手渡するようにすること。③ 捕虜にした将兵のなかから、および郵便物検査中に敵の将兵の姓名と所属部隊の番号を調査して、宣伝品を彼らに送ったり、彼らに手紙をやったりすること。④ 敵の捕虜兵を優遇することは、敵軍に対する宣伝の極めて効果的な方法である。捕虜兵優遇の方法としては、第一に、彼らが身につけている金銭その他一切の物を捜索しないことである。過去において、紅軍将兵が捕虜の財物を捜索・押収していた行為は断固として廃止しなければならない。第二に、大きな熱情をこめて捕虜を歓迎し、彼らに精神的な喜びを感じさせることがであり、捕虜に対し、言葉や行為のうえでどのような侮辱を加えることにも反対することである。第三に、捕虜に対して、老兵と同様に、物質上の平等な待遇を与えることである。第四に、残留を希望しないものに対しては、宣伝を行なったうえで旅費を支給してこれを放棄してやり、原隊に帰還したのち彼らが白軍の間で紅軍の影響をふりまくようにすることである。いたずらに兵士の数を多くしようとして、残留を希望しないものを無理にひきとめることに反対することである。以上の各項は、捕れてきた将兵についても特殊な状況を除いて、完全に適用される。⑤ 敵の負傷兵を治療してやることもまた、敵に対する宣伝の極めて効果的な方法である。敵側負傷兵を治療したり、金銭を支給したりすることは、紅軍負傷兵に対するのと完全に同様でなければならない。そのうえ、すべての可能な条件を利用して十分に治療してやり、金銭を与えた負傷兵を敵軍に送り還してやらなければならない。負傷した敵軍将校に対する取り扱いもまたこれと同様である。


五 兵士の政治訓練の問題


A 資料の問題


次の各項目を大いに芸術的に、教科書として編集し、兵士に対する訓練のための資料とすべきである。


(1) 当面の政治分析および紅軍の任務と計画。(2) 土地革命の諸側面。(3) 武装組織とその戦術。(4) 三ヶ条の規律確立の理由。(5) 朝夕点呼の際のスローガン。(6) 識字運動。(7) 大衆工作をどうするかのやり方。(8) 紅軍標語の逐条解説。(9) 各種偏向の是正。(10) ソヴェト・ロシアの赤軍。(11) 革命の当面の段階とその見通し。(12) 紅軍と白軍の比較。(13) 共産党と国民党の比較。(14) 革命物語。(15) 社会進化の物語。(16) 衛生。(17) 遊撃区の地理および政治・経済常識。(18) 革命歌。(19) 地図や画報。


B 方法




1 政治課の授業。


(1) 普通班、特別班、幹部班の三班に分ける。普通班はまた二種の形態に分ける。一つの支隊が一緒にいるときには、支隊を単位として授業を行なう。授業としては支隊の政治委員を主任とし、大隊の政治委員が各課目を分担する。戦闘兵が授業を受けるほかに、伝令兵・勤務兵・役夫兵・馬丁・炊事夫も授業を受けなければならない。普通班の目的は、一般兵士に初歩的な政治常識を習得させることにある。(2) 特別班は支隊を単位とし、各大隊の兵士のなかから、文字がある程度読め、また多少の政治常識をもっているもの五〇名を選抜して編成する。支隊政治委員を主任教授とし、大隊政治委員が各課目を分担する。特別班の目的は、普通班より一層高い政治常識をもった人材を養成し、将来下級幹部に登用するためにそなえるのである。(3) 幹部班は縦隊を単位とし、軍直属隊は別に一単位とし、大隊長・大隊副官・中隊長・中隊副官・各級補佐官およびその他の指定された人員をもって編成する。その目的は、現下の段階部の政治水準を高め、彼らが大衆を指導できるようにし、彼らが将来中級幹部となれるようそなえることにある。政治委員・政治部主任・縦隊司令官およびその他適当な能力をもつものが教授を分担する。(4) 支隊を単位として政治訓練委員会を組織し、支隊の各政治委員および軍事長官のなかで政治訓練を担当するものをもって組織し、支隊の政治委員が主任となる。その任務は、一つの支隊内での兵士の政治訓練実施に関する種々の問題を討議することである。(5) 軍および各縦隊直属部隊の政治訓練については、軍および各縦隊の政治宣伝科の責任において政治訓練委員会を組織しこれを実施する。(6) 教授法。a 啓発式による。(注入式を廃止する) b 身近のことから遠くにおよんでいく。 c 浅い理論から深い理論へとすすむ。 d 通俗的に話す。(新しい言葉は俗語で説明する) e わかりやすくはっきりと話す。 f 話はおもしろくする。 g 身振りをまじえて話す。 h 次の授業では前回の概略を復習する。 i 要綱を与える(プリント、その他で)。 j 幹部班では討論形式を採用する。2 朝夕の点呼の際、話をする。(1) 話をする時間は毎回多くとも三〇分を超えないこと。(2) 材料。 a 政治ニュースを報告する。b 日常生活を批判する。 c 毎週の政治スローガンを説明する。3 集合講話。 (1) 支隊は毎週一回、縦隊は半月に一回行ない、全軍は不定期に行なう。(2) 毎回の講話については、計画的に政治工作機関(支隊は政治委員)が軍事工作機関と協議して講話内容をきめ、講話者を指定するとともに、講話時間を割りふりすること。(3) 毎回の講話には、勤務中のもの以外は必ず参加すること。 (4) 毎回の講話内容とその大衆に対する影響については、下級政治機関は上級政治機関に報告すること。4 個別談話。(1) 次に示す各種の人びとについては、これらの人びとと個別に談話しなければならない。 a 傾向があるもの。b 処罰を受けたもの。c 負傷兵。 d 病兵。 e 新兵。 f 捕虜兵。 g 仕事に不安を感じているもの。 h 思想的に動揺しているもの。 (2) 話し合う前に、話し合う相手の心理や環境を調査しなければならない。 (3) 話し合っているときは、同志としての立場に立って、懇切な態度で相手と話をしなければならない。(4) 話し合った後、話し合った要点およびその影響を記録しておかなければならない。5 レクリェーション。(1) 大隊を単位として、士兵委員会の娯楽部の工作を充実するために、次にあげるような各種のレクリェーションを行なう。a かくれんぼ。b サッカー。c 音楽。d 武術。e 花鼓調(小歌劇のこと—訳注)。f 旧劇。


(2) 各宣伝隊の下に、仮装宣伝団を設ける。(3) レクリェーションのための設備費は軍から支給する(大隊で行なうものは縦隊政治部の承認を要する)。


6 待遇改善。(1) 断固として体刑を廃止すること。(2) 罵倒・侮辱を廃止すること。(3) 傷病兵を優遇すること。(4) 毎月四角(〇・四元)の草鞋代を支給する制度を復活すること。


7 どのようにして新兵および捕虜兵の特別教育を行なうか。(1) 次のような紅軍の生活習慣を説明すること。a 将兵間の生活の平等(将兵の間には職業上のちがいがあるだけで階級の区別はなく、将校は搾取階級ではなく、兵士は被搾取階級ではない)。b 三大規律とその理由。c 士兵委員会の意義とその役割。d 紅軍中の経済制度(経済の源泉、経済管理の組織、経済公開主義および兵士による審査制度)。e 経済委員会が大隊の食事を管理すること、および食費の残額を分配すること。f 体刑や侮辱・罵倒を廃止すること。g 捕虜の優遇。


(2) 紅軍の闘争の歴史を講述すること。(3) 紅軍の主要な目的について説明すること。a 紅軍が白軍と異なる点。この点については、捕虜兵にとくに詳細に説明すること。b 紅軍が土匪と異なる点。c 紅軍の三大任務。


(4) 紅軍の組織系統について説明すること。a 一般的な政治常識について説明すること。b 国民党と共産党。c 英・日・米三大帝国主義の中国侵略史。d 各派の軍閥が帝国主義の指揮を受けているところで混戦をやっている事実。e ソヴェト。f 赤衛隊。


六 青年兵士の特別教育


(1) 各縦隊の政治部が責任をもって青年用識字教科書を編纂すること(商務印書館の小学校材、平民千字体、平民文化社の教科書などを参考にする)。(2) 各縦隊に青年兵士学校一校を設け、三班ないし四班に分ける。各支隊にも一班、直属隊にも一班を設け、各班の学生数は二五人を超えないものとする。政治部主任を校長とし、宣伝科長を教務主任とする。各班に主任教員一名をおき、各班の一学期間の授業時間は九〇時間とする。(3) 公費で筆・紙・墨などの文房具を購入しておき、学生に支給する。


七 体刑廃止の問題


1 各部隊のうち、部下に殴打することがもっともひどいところでは必ず兵士たちから恨まれ、逃亡者もそれだけ多い。そのもっともいちじるしい例は、第三縦隊第八支隊の某将校が人を殴打した例である。その結果は、伝令兵や炊事夫のほとんどが逃亡したばかりでなく、軍の必要とする上官や副官までも逃亡してしまった。第九支隊第二五大隊では、かつてたいへん人を殴りたがる大隊長がきたことがある。人びとは彼に厳治屋と渾名をつけた。その結果、兵士たちのたえようもない怨嗟の声がみなぎるにいたったが、やがてこの大隊長が転任したため、兵士たちはやっと解放された。


特務支隊第三大隊では、殴打が行なわれた結果、四人の炊事夫と一人の特務長、二人の長い間闘ってきた班長が逃亡した。蕭文成と呼ばれているその一人は逃亡に際して一通の手紙を残し、自分は反革命ではなく圧迫に耐えれなくなって逃亡するのだと弁明した。第四縦隊が成立した当初、第一、第二、第三の各縦隊から転任してきた隊長は、相変わらずいつまでも兵士を殴ることをやめなかった結果、兵士たちは次々に逃亡してしまい、最後には、この班長自身がその立場をなくして、第四縦隊を離れざるをえなくなった。


第二縦隊の逃亡兵は他のどの縦隊よりも多い。その原因の一つにとどまらないが、第二縦隊の下級将校の大大多数は人を殴る習慣がもっともひどく、これがやはりもっとも重要な原因の一つである。第二縦隊では、かつて三回も自殺事件(分隊長一名、兵士二名)が発生したが、これは紅軍の最大の汚点である。これは極めて重大な意味を持つものであり、これまで第二縦隊で殴打の風習がとくに濃厚だったことの結果だといわざるをえない。現在、紅軍内の一般兵士の間では「将校は兵士を殴るな。将校は死ぬほどひどく殴る!」という叫びが上がっている。こうした大衆の不平と怨嗟の発露は、われわれが実に厳重に注意をはらわなければならないことである。


2 体刑の由来とこれを廃止する理由。


封建階級は、その封建的搾取を維持するために、もっとも残酷な刑罰を手段にして被搾取階級の反抗と反乱を鎮圧せざるをえない。これこそ、体刑が封建時代の産物である理由である。経済の発展につとまって資本主義制度へと進歩していくが、それは労働者・農民・兵士大衆の個性を伸ばし、それぞれの労働能力と戦闘能力を増強するために、自由主義を提唱する必要に迫られる。そこで、あらゆるブルジョア国家では、一斉に体刑が廃止され、軍隊でもとくに人を殴るなどという奇怪なことはなくなっている。社会主義を誕生させるまでに経済が発展し、階級闘争がすすむ、労働階級が支配階級の権力およびこの権力に依拠した搾取をくつがえすところまでくると、自己の階級の広範な大衆の力を動員せざるをえなくなり、またそうしてはじめて闘争の勝利をかちとることができるようになる。


ソヴェト政権はもっとも進歩的な階級の政権であり、その政権の下では封建制度のなごりの存在を許すことはできない。だから、では赤軍の内部にとくに体刑がなくなっているだけではなく、一般に法律上でも、体刑が厳しく禁止されている。紅軍第四軍は封建制度がまだ一掃されていない中国に生まれたものであり、その主要な構成員の多くは封建軍閥の軍隊から転向してきたものであり、封建制度の思想と習慣が依然として非常に濃厚に一般兵士の間に残っている。このため、封建軍閥の軍隊内にみられると同様、殴打の習慣や殴打されなければ恐れないという習慣が存在するのである。ずっと以前に、将校は兵士を殴ってはならないとのスローガンがうちだされ、また士兵委員会には兵士の苦しみを訴える権利があることが規定されているにもかかわらず、ぜんぜんなんの効果もなく、その結果将兵間に感情的な隔たりが生じ、士兵から将校にいたるまで一般的士気の低下をきたし、逃亡者の数は日ましにふえ、軍隊内に怨嗟の空気が充満し、自殺事件さえも生ずるにいたっている。これは紅軍の闘争任務と完全に背反する現象であり、早急に正ししないならば、いうに耐えない危険をも生じかねないであろう。


3 是正の方法。


(1) 断固として体刑を廃止すること。(2) 体刑廃止運動を行なうこと。この運動は将校と兵士の両方で行ない、「体刑を廃止してこそ闘争に有利になる」ことの意義を将兵大衆の間に普及させなければならない。こうして、将校たちの側においても、体刑を廃止するために兵士を統率しきれないように感じさせずですむばかりでなく、管理と訓練がより一層容易になるであろうことを理解させることができるであろう。兵士の側でも、体刑を廃止することによって彼らがより一層かたくなるようなことがないばかりでなく、むしろそれによって彼らの闘争への気運を高め、将兵間の隔たりを取り除き、管理・訓練および一般的規律が自覚的に受け入れられるようになるであろう。(3) 体刑廃止後も、歴史的習慣のために、一時的には多少はよくない現象が生ずることもありえよう。このため、われわれは自己の責任感を強め、説得の精神と自覚的な規律遵守の精神の提唱によって、闘争任務に背くこうしたもっとも悪質な封建制度を克服するよう努めるべきであり、多少のよくない現象の存在を口実にして、封建的な、人を殴るような習慣を擁護してはならない。一時的なよくない現象を口実にして、体刑廃止に反対したり体刑廃止運動をサボったりすることは、客観的には革命闘争の発展を妨げるものであり、つまりは支配階級をたすけすることである。(4) 紅軍内での体刑廃止に関する法律的手続は、次のとおりである。a 紅軍懲罰条例を改正すること。b 最高軍政機関が体刑廃止の命令を公布するとともに、新たな紅軍懲罰条例を公布すること。c 命令公布後、一方で軍政機関が長官会議を召集して体刑廃止の理由を詳細に説明し、全長官にこの通令にもとづく重大な改革を支持させ、部隊内でこれを実施するようよく努力 させることである。d 他方では、士兵委員会が士兵代表会議を召集して、この改革に同意させ、今後は自覚的に規律を守るよう求めるほか、なお厳しい大衆的な規律的制裁によって体刑廃止後に良好な成果をおさめるようにしなければならない。


八 負傷兵遇の問題




1 傷病兵の苦しみの実情とその影響。


(1) 全軍各部隊とも、衛生機関が不十分で、医官も少なく、担架設備も不十分であり、衛生事務担当者も少いうえに不健全であり、そのため多くの傷病兵が十分な治療を受けられないばかりか、たいていのものが応急の治療さえも受けられないありさまである。(2) 全軍の軍事・政治機関も傷病兵に対して十分注意をはらっていない。たとえば、次のとおりである。a 衛生機関の健全化について最大の努力がはらわれていないばかりか、ぜんぜん注意がはらわれておりず、各種の会議で衛生問題が討論されることも極めてまれである。b 将校は傷病兵に対して、随時にできるだけ慰問してやるべきだが、そうはしていない。将校が傷病兵のために湯茶を汲み与えたり、布団を掛けてやったり、暇をみて随時慰問したりする習慣は、紅軍内では全くない。将校は傷病兵に対して無関心の態度をとり、それどころか彼らを嫌うかのような態度を示す。c 行軍の際にも、将校から兵士にいたるまで、途中で落後する傷病兵に対していささかの同情も示さず、彼らのために何とか手段を講じてやろうとはしないばかりか、かえって一途に怒鳴りつけたり、無慈悲に追いたてたりするのである。


(3) 重傷兵・重病兵に十分な給養や費用を与えず、負傷兵は負傷後七、八日間も着替えさえ与えられず、将校が病気には糞生費が支給されるが、兵士の場合には支給されないので


(4) 蛟洋病院の欠陥。a 無組織状態。b 医官も薬品もはなはだ少ない。c 医官が薬品を横流しする。d 不清潔。e 防薬用の衣類や寝布団が足りない。f 看護兵があまりにも少ない。g 食事が劣悪である。h 建物が狭い。i その土地の大衆との関係がうまくいっていない。このため、傷病兵は病院を牢獄のように考え、後方に残りたがらない。


以上の例にみられるように、傷病兵に対する待遇が悪いために、次のような影響が生じている。


a 兵士たちは紅軍に不満を抱き、「紅軍にはいいことはない。ただ、負傷したり病気したりするものじゃない」といっている。こうした世論がそれこそ全兵士および下級将校の間にますます増大している。b 兵士も将校も不満を抱いており、このため将兵間の隔たりがますます増大している。c 兵士および下級将校がみな負傷することを恐れており、このため紅軍の戦闘力が減退している。d 逃亡者が多い。e 労農大衆に影響し、彼らが紅軍に加入する勇気を減退させている。


2 解決の方法。


(1) 軍政機関は衛生問題についてこれ以上従来のように無関心であってはならず、今後各種会議で、衛生問題を十分に討議すべきである。(2) 衛生機関の組織はとくにこれを健全なものにし、事務員としては能力のあるものをさがし求めるべきで、ほかのところでは役立たないものを衛生隊にまわすようなことをしてはならず、また事務員の数を増やして世話が十分ゆきとどくようにしなければならない。医者や薬品の不足については、できるだけ解決策を講ずべきである。医者についていえば、いい加減にせず、もっと念をいれて看病するように注意を与えるべきである。(3) 上官、とくに兵士に接近する連の上官は、随時傷病兵を見舞い、彼らに湯茶を運んだり、夜は夜具を掛けやることでの。彼らが寒さを訴えたときには、他から衣類を借りてそのものの衣類を増やしてやるなど、手段を講じてやるべきである。以上のような傷病兵をいたわる方法は、これを制度化し、みんなが実行するようにしなければならない。なぜなら、これを大衆を獲得するもっともよい方法だからである。(4) 行軍の際、途中で落後した負傷兵に対しては、次のようにすべきである。a 誰も彼らを罵倒したり、そしったり、笑ったりしてはならない。b 傷病兵が道を譲ったときには彼らに慰めの言葉をかけてやるべきであり、これを路傍に押しやってはならない。c どの部隊でも、どの機関でも、病気や負傷のための落後者が生じたときには、それが戦闘員か非戦闘員であるかにかかわらず、ただちに彼の世話をするためにひとを一人派遣しなければならず、もし重傷または重病の場合には、さらにできるだけ人夫を雇って、運ばせなければならない。d 行軍の際はいつでも、後衛部隊は面倒を厭わず、落後した傷病兵をつれてこなければならず、必要な場合には銃器・弾薬もかついでやらなければならない。(5) 傷病の程度に応じて傷病兵に小遣銭を支給するものとし、重い傷病兵に対しては軽い傷病兵よりも多く支給しなければならない。養生費はとくに重い傷病兵に対しては、将校・兵士・役夫の別なく斟酌して支給すべきである。(6) 傷病兵の衣類や寝具の問題については、軍当局で極力これを手配するほか、各部隊の将兵の間で義捐金を募る運動を起こすべきである。これは傷病兵の小遣銭を増やすばかりでなく、全軍の相互救済精神を喚起するいい方法である。(7) 蛟洋病院の多くの欠陥は、計画的に是正すべきである。その他、福建西部の労農大衆の間でも寄付を募る(衣類・現金・食料など)ことによって、労農大衆と紅軍を密接に結びつけるべきである。


九 紅軍の軍事系統と政治系統の関係の問題




(1) 高級地方政機関がまだ建設されない間は、紅軍の政治機関と軍事機関は前敵委員会の指導のもとで、並行して工作を行なうこと。(2) 紅軍と大衆の関係については、a たとえば、綱領を公表するなどのような全般的意義をも事項については、軍事機関と政治機関が連名で行なうこと。b 大衆工作、たとえば大衆への宣伝、大衆の組織化、政権の建設および没収、裁判、処罰、寄付の募集、資金調達、〔犠牲者〕救済などに関する指揮監督は、地方政権機関が建設されるまでの間はすべて政治部の職権とする。c 政権機関が建設されていない地方では、すべて紅軍政治部が現地政権機関にとって代わるものとする。ただし、それは地方政権機関が建設されるまでとする。およそ地方政権機関がすでに建設されている地方では、地方政権機関が独自に一切の事務を処理すべきであり、大衆の間におけるその信頼をうち固めるべきである。ただ、地方政権機関がなお不健全である場合、および紅軍と地方の双方に関係のある事項については、地方政権機関と紅軍政治部の協議という方法でこれを処理することができる。d 地方武装組織の確立と発展をたすけるのは政治部の責任であり、地方武装組織の平時の軍事訓練と戦時の作戦指揮をたすけするのは司令部の責任である。ただし、いずれの場合にも、できるだけ地方政権機関の路線としてこれを行なうようにしなければならない、これを直接処理することは極力避けなければならない。


(3) 紅軍内部の人事行政については、軍事・政治の両系統でそれぞれ独自の路線によって行なうこととし、相互関係がある場合、たとえば人員の相互移動や消息の相互伝達などの場合には、公文書で並行して通報しあうこと。(4) 儀礼および軍規の執行については、軍事・政治の両系統とも相互に階級的な服従の原則を守るべきであり、系統の相違を口実としてそれを怠ったり、指揮にしたがわないようなことがあってはならない。(5) 給養・衛生・行軍・戦闘・宿営などについては、政治系統はすべて軍事系統の指揮にしたがわなければならない。また政治訓練や大衆工作などの事項については、軍事系統はすべて政治系統の指揮にしたがわなければならない。ただし、指揮の形式は相手機関内の従属機関(たとえば総務科あるいは副官処など)に直接通達できるだけとする。(6) 紅軍の経費調達上の指揮および政治工作費の決定ならびに支出は、すべて政治部に属するものとし、軍事機関はこれに干渉してはならない(金銭引出し手続としては、政治部からは直接軍需処へ)。党部の経費は政治部から支給される。(7) 軍事機関の一切の命令は政治委員の副署を要するだけで、政治部主任の署名は必要としない。政治機関の一切の命令は政治部が単独に行ない、政治委員の副署を必要としない。


(竹島金吾訳)

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