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天才魔導師(美女30)が、情けない恩師(42)を全力で守って落とします ~ポンコツ乙女の暴走ラブコメ~  作者: よっしぃ@書籍化


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第8話 日常の幸せと、夜の決意

 レティシアの誕生から一週間が経った。

 私たちの工房での生活は、少しずつ日常のリズムを取り戻していた。


 朝は、レティシアの報告で目を覚ます。

「マスター、アリア様。おはようございます。本日の気温は18度、湿度は65%です」

「おはよう、レティシア」

「おはようございます、レティシアさん」


 朝食は、先生が作ってくれる。

 日本から持ち帰った調味料で味付けされた、簡単な料理。

 でも、それが何よりも美味しい。

『先生の手料理…毎朝食べられるなんて…幸せですわ…!』

 私は、幸せをかみしめながら食事をした。


 午前中は、工房の修復作業。

 私は、破壊された機械の修理や、新しい魔道具の開発を行う。

 先生は、日本から持ち帰ったデータの整理や、王国の情報収集。

 レティシアは、私たちをサポートしながら、様々なことを学んでいく。


「アリア様、この魔力回路の配線、こちらの方が効率的ではないでしょうか?」

 レティシアが、設計図を見ながら提案してくれる。

「まあ!レティシアさん、素晴らしい発想ですわ!」

 私は、レティシアの成長に驚いた。

 コロさんの魂を受け継いだレティシアは、日に日に賢くなっていく。

 そして、私の技術を理解し、さらに改善案まで提示してくれるようになった。

『レティシアさん…私の最高傑作…!誇らしいですわ!』


 昼食後は、少し休憩。

 この時間が、私にとって最も大切な時間だった。

 なぜなら――

 先生と、二人きりになれる時間だから。


「先生、お茶をどうぞ」

 私は、先生の隣に座り、お茶を差し出した。

「ああ、ありがとう、アリア君」

 先生は、疲れた表情で微笑んだ。

『先生…疲れていらっしゃる…』

 私は、先生の顔を見つめた。

 工房の修復作業、追手からの逃避、そして新しい生活への適応。

 先生には、大きな負担がかかっている。

『何か…先生を元気づける方法は…』

 私は、枕元に置いてある5冊のバイブルを思い出した。

 特に、紫の書の「癒しの技術」の章。


「先生」

 私は、優しく声をかけた。

「ん? どうした?」

「少し、肩を揉んでもよろしいですか?」

「肩…?」

「ええ。先生、お疲れのようですから」

 私は、紫の書の教えを思い出しながら、先生の背後に回った。

 そして、そっと先生の肩に手を置いた。

「ア、アリア君…?」

「動かないでくださいな」

 私は、優しく先生の肩を揉み始めた。

 紫の書には、「疲れた男性を癒すには、優しいマッサージが効果的」と書いてあった。

『これで…先生の疲れが取れれば…!』


 最初は緊張していた先生も、次第にリラックスしていく。

「…気持ちいいな」

 先生が、小さく呟いた。

『!』

 私の心臓が、高鳴る。

『先生が…喜んでくださっている…!紫の書の教え、完璧ですわ!』


 しばらく肩を揉み続けていると――

 先生が、突然私の手を掴んだ。

「アリア君」

「は、はい…?」

「ありがとう。君がいてくれて…本当に助かっている」

 先生の声は、優しかった。

 私は、顔が熱くなるのを感じた。

「い、いえ…私こそ、先生に助けられていますわ…」


 その時――

「マスター、アリア様」

 レティシアの声が響いた。

 私は、慌てて先生から離れた。

「な、何かしら、レティシアさん!?」

「午後の作業の準備が完了しました。確認をお願いします」

「あ、ああ…分かった」

 先生は、立ち上がった。


 私は、一人残されて、深くため息をついた。

『ああ…もう少しで…もう少しで先生と…!』

 でも、同時に――

『でも、先生が喜んでくださった…紫の書の教えは正しかったですわ…!』

 私は、自信を深めた。


 午後の作業を終え、夕食を済ませた後――


 私は、自分の布団の中で、5冊のバイブルを広げていた。

 蒼の書、紅の書、桃の書、紫の書、黒の書。

 そして、日本から持ち帰ったファッション雑誌。

「さて…次は、どの作戦を実行しましょうか…」

 私は、真剣な表情でバイブルを読み返した。


 蒼の書には、「知的な会話で心を掴む」と書いてある。

 紅の書には、「大胆な肌見せで視線を釘付けに」と書いてある。

 桃の書には、「甘えと気遣いのバランス」と書いてある。

 紫の書には、「癒しの技術」と書いてある。

 黒の書には、「最終段階:直接的な告白」と書いてある。


『今日の肩揉みは、紫の書の教え通り…完璧でしたわ!』

 私は、満足そうに頷いた。

『次は…そうですわね…蒼の書の「知的な会話」を試してみましょう!』

 私は、蒼の書の該当ページを開いた。


 そこには、こう書いてあった。

「男性は、自分の専門分野について語ることを好む。相手の話を真剣に聞き、適切な質問をすることで、相手はあなたを『理解者』と認識する」

『なるほど…先生の専門分野…日本の技術や、エージェントとしての経験…それについて質問すれば…!』

 私は、メモを取り始めた。

「明日、先生に質問すべきこと…」

 1. 日本での任務について

 2. エージェントの技術について

 3. 先生の過去について

『これで…先生との距離がさらに縮まるはず…!完璧ですわ!』


 その時、工房の外から、また物音が聞こえた。

 私は、ハッと起き上がった。

「先生…」

 私は、小声で先生を呼んだ。

 先生も、既に起きていた。

「また追手か…」

「レティシア、確認を」

「了解しました、マスター」

 レティシアが、センサーを起動した。

「工房の外に2つの生体反応。おそらく、スヴェン殿下の兵士です」


 私たちは、息を潜めた。

 幸い、兵士たちはすぐに立ち去ったが――

 この生活が、いつまで続くのか。

 私は、不安を感じた。


「大丈夫だ、アリア君」

 先生が、私の肩を優しく叩いた。

「俺たちは、必ず道を見つける」

 先生の言葉に、私は勇気をもらった。

「はい…先生」


 その夜、私は先生の優しさを胸に、眠りについた。

 そして――

 枕元には、5冊のバイブルと、日本のファッション雑誌、そして今日書いたメモが、しっかりと置かれていた。


 私の「先生攻略作戦」は、着実に前進していた。

 そう、私は信じていた――。


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