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天才魔導師(美女30)が、情けない恩師(42)を全力で守って落とします ~ポンコツ乙女の暴走ラブコメ~  作者: よっしぃ@書籍化


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第44話 天使のランジェリーと、研究記録という名の…

「では、始めますわね、先生! しっかりと記録してくださいまし!」

 

 私は、まるで研究発表をするかのような真顔で、無限収納箱から取り出した、まだ先生が見たことのないデザインの、精巧なランジェリー(ラベンダー色で、銀糸の刺繍が施されたもの)を掲げて見せた。

 

「こちらが、今回わたくしが検証したい新作のランジェリーですわ! このラベンダー色は、文献によりますと『殿方の心を穏やかにしつつも、密かな情熱を呼び起こす神秘の色』とされておりますの! そして、この銀糸の刺繍は…」

 

 先生は心の中で何か叫んでいるようだったが、私はお構いなしに、その場で旅装を脱ぎ始めた。

 

「先生! 目を逸らしてはいけませんわ! しっかりと記録してくださいまし! この銀糸の刺繍の繊細さ、レースの透け感の絶妙なバランス、身体の動きに合わせた生地の追従性、すべてを映像に収めていただきたいのです! ああ、そうそう、様々な角度からお願いいたしますわね!」

 

「(様々な角度!?)」

 

「正面、側面、そして後ろ姿も重要ですわ! ランジェリーは全方位から美しくなければなりませんもの!」

 

 先生は、もはや記録用クリスタルを構え続けるしかなかったようだった。

 

 目の前で繰り広げられる、私の、全く羞恥心という概念が存在しないかのような生着替えの光景。

 

 ラベンダー色のランジェリーをまとった私は、まるで天使のような、それでいてどこか妖艶な美しさを放っていた(と文献に書いてあった)。

 

 銀糸の刺繍が、部屋の魔法照明を受けて淡く輝き、私の白い肌をさらに際立たせている。

 

「先生! どうですか!? このフィット感、この透け感、お分かりになりますか!?」

 

 私は、何の躊躇もなく、様々なポーズを取りながら、ランジェリーの「機能性」を実演してみせる。

 

「この部分のレースは、身体の動きに合わせて伸縮するのですわ! ほら、こうして腕を上げても…」

 

 先生は、何か複雑な表情をしていた。

 

「そして、背中の部分のデザインも重要ですわ! 先生、後ろからもしっかりと記録してくださいまし!」

 

 私は、先生に背中を向け、髪を片手でさっと持ち上げる。

 

 その仕草は、文献で学んだ通りの「殿方の心を惹きつける仕草」だ。

 

 先生の脳は完全に思考を停止したようだった。

 

 私は――とても真剣だった。

 

 この古代の技術を、しっかりと記録しなくてはならない。

 

 そして――先生に、私の姿を、しっかりと見ていただかなくてはならない。

 

「よし、これで下着の検証は完了ですわ!」

 

 私は満足げに頷くと、今度は軽やかなブラウスとスカートを取り出した。

 

「では、最後に、このランジェリーの上に普段着を着用した際の、ラインの出方なども確認いたしますわね!」

 

 数分後。

 

 私は、ラベンダー色のランジェリーの上に、軽やかなブラウスとスカートという、どこか活動的ながらも女性らしい装いに着替え終わっていた。

 

 一方、リリアは、私が選んだ、お洒落なデザインだが比較的露出は控えめな、しかし上質な古代風のシルクのワンピースに落ち着いていた。

 

 そして、私たちが、それぞれ最高の装いで先生の前に並び立ち、小首を傾げて問いかけた。

 

「先生、わたくしたち、いかがでしょうか? これで工房の探索も、より一層捗るはずですわ! しっかりとご覧になっていただけましたか? 記録も完璧ですわよね?」

 

 私は自信満々の笑顔だ。

 

 リリアも、私に促され、ぎこちなくお辞儀をする。

 

 先生は、完全に魂が抜け殻になったような顔で、かろうじて「あ、ああ…す、素晴らしかったよ…二人とも…しっかりと…見守らせて…もらった…記録も…完璧だ…」と答えるのが精一杯だったようだった。

 

 私は――とても満足だった。

 

 先生が、私の姿を、しっかりと記録してくださった。

 

 そして――この記録は、後で先生と一緒に確認する。

 

「先生、この記録用クリスタル、わたくしが後で確認いたしますので、大切に保管しておいてくださいまし。今度、工房の研究室で一緒に見ながら、改善点などをご相談させてくださいね」

 

 私は、そう言って記録用クリスタルを先生に預けた。

 

 先生は、何か複雑な表情をしていた。

 

 でも――私は嬉しかった。

 

 先生と一緒に、私の姿を見ることができる。

 

 先生の目線から見た私を、確認することができる。

 

 これは――とても大切な「研究記録」だ。

 

 そして――私の「先生攻略作戦」の、重要な資料となる。

 

 私は――静かに決意した。

 

『この記録を見ながら…先生との距離を…さらに縮めよう…!』

 

 レティシアさんは、その一部始終を冷静に記録しながら、小さくため息をついたように見えた。

 

【マスターの精神的負荷、及び倫理観のパラメータに、重大かつ不可逆的な変化を検知。特に、『義務』および『研究記録』という名目での自己正当化パターンの形成を確認】

 

 でも――私は気にしなかった。

 

 これは――正当な研究だから。

 

 そして――先生との絆を深めるための、大切な一歩だから。

 

 私の「先生攻略作戦」は――確実に、成果を上げていた。

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