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天才魔導師(美女30)が、情けない恩師(42)を全力で守って落とします ~ポンコツ乙女の暴走ラブコメ~  作者: よっしぃ@書籍化


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第43話 硝子の少女と天使の生着替え、そして「見守る」という名の義務


 リリアの自爆を阻止し、彼女の瞳に初めて人間らしい涙が浮かんだ、あの激動の瞬間から数時間が経過した。

 

 私たちと、まだ少し虚ろな表情ながらも落ち着きを取り戻したリリアは、エルリック翁の地図に記されていた工房内の比較的安全な小部屋で、ようやく本格的な休息を取っていた。

 

 先生は、先ほどの空間操作による極度の消耗と、精神的な疲労で壁にぐったりと寄りかかっている。

 

「先生、本当にお疲れ様でした。ですが、リリアさんもずっとあの簡素なお召し物では、お身体に障りますわ」

 

 私は、先生に回復薬(もちろん私特製で、成分は不明だが、なぜかラベンダーの香りがする)を無理やり飲ませると、今度はリリアの方に向き直った。

 

 私の瞳は、使命感と、どこか新たな「研究対象」を見つけたかのような輝きに満ちている。

 

「リリアさん、わたくしの『無限収納箱』には、あなたのための素晴らしい『研究資料(お洋服や下着)』がたくさんございますのよ! さあ、こちらへいらして!」

 

 先生が「アリア君、リリアはまだ…」と制止の声を上げようとした時にはもう遅い。

 

 私はリリアの細い手を取り、無限収納箱から、次々と素敵な衣装を取り出し始めた。

 

「まずは下着からですわね! リリアさんのような清らかで儚げな乙女には、やはりこれが一番かと!」

 

 私が取り出したのは、鮮やかな紅色の、黒いレースと小悪魔的なリボンがふんだんにあしらわれた、非常にセクシーなデザインのパンティとブラジャーのセットだった!

 

 先生は内心で絶叫しているようだったが、私は気にせず続けた。

 

 その瞬間、私が先生の肩をぐいっと掴んだ。

 

「あら、先生! どちらへ行かれるのですか?」

 

 私の瞳が、真剣そのもので先生を見つめている。

 

「い、いや、これは女性の着替えだから、俺は外で…」

 

「それはいけませんわ!」

 

 私は、まるで重大な研究発表をするかのような真顔で言い切った。

 

「わたくしが熟読した『古代淑女教育論~信頼関係構築の七十二の秘儀~』によりますと、『乙女が殿方の前で装いを整える儀式は、両者の絆を深める神聖な行為であり、殿方はその一部始終を真摯に見守ることで、乙女への理解と愛情を深めるべし』とありましたわ!」

 

 先生は、戸惑っているようだったが、私は続けた。

 

「先生!」

 

 私は、先生の両肩を掴み、その美しいアイスブルーの瞳で真っ直ぐに見つめた。

 

「わたくしとリリアさんの『成長の記録』を、ちゃんと見守っていてくださいまし! これは、先生への信頼の証ですのよ! それとも…先生は、わたくしたちを信頼していないとでもおっしゃるのですか…?」

 

 私の瞳には、期待と、そしてどこか寂しげな色が浮かんでいる。

 

 先生は、完全に詰んだことを悟ったようだった。

 

「…わ、分かった…ちゃんと、見守らせてもらうよ…」

 

「まあ! 先生!」

 

 私の顔がぱあっと輝いた。

 

「やはり先生は、わたくしたちのことを理解してくださいますのね! では、どうぞこちらの椅子にお座りください。ベストポジションですわ!」

 

 私は、先生を部屋の中央の椅子に座らせると、ふと何かを思いついたように、無限収納箱から小型の記録用クリスタル(映像と音声を記録できる魔法装置)を取り出した。

 

「あ、そうですわ! 先生、大変重要なお願いがございますの!」

 

「な、何だい、アリア君…」

 

 私は、記録用クリスタルを先生の手に握らせると、真剣な表情で言った。

 

「こちらの記録用クリスタルで、この『研究資料着用実験』の一部始終を、しっかりと記録していただきたいのです!」

 

「き、記録!? つまり、撮影しろと!?」

 

「はい!」

 

 私は、何の躊躇もなく頷いた。

 

「わたくし、後で自分の立ち振る舞いや、ランジェリーの着用時の姿勢、身体への追従性などを、客観的に確認したいのです! 鏡だけでは見えない角度もございますし、動きの中での下着の機能性を分析するには、映像記録が不可欠ですわ!」

 

 私は、続けた。

 

「文献にも『淑女は常に自らの美しさと品格を研鑽し、客観的な視点を持って己を高めるべし』とありましたわ! それに…」

 

 私は、少し頬を染めて、恥ずかしそうに続けた。

 

「わたくし、先生の目線で、わたくし自身がどう映っているのか…それを、知りたいのです。先生は、わたくしにとって最も信頼できるお方ですから…先生の視点から見た記録こそが、わたくしにとって最も価値のあるものなのです…」

 

 先生の顔が真っ赤になった。

 

「先生? お顔が赤いですわよ? 大丈夫ですか?」

 

「だ、大丈夫だ…」

 

「では、お願いいたしますわね! わたくしとリリアさんの着替えの様子、しっかりと記録してくださいまし! 後で、わたくし、その記録を見ながら、先生にご意見を伺いたいのです!」

 

 先生は、震える手で記録用クリスタルを握りしめた。

 

「それでは、『研究資料着用実験および映像記録』を開始いたしますわ! 先生、しっかりと撮影していてくださいまし! ああ、そうそう、リリアさんだけでなく、わたくしの着替えも忘れずに記録してくださいね! 特に、新しいランジェリーのフィット感や、レースの繊細な動きなど、細部までしっかりとお願いいたしますわ!」

 

 先生は、もはや運命を受け入れるしかなかったようだった。

 

 そして、先生の手の中の記録用クリスタルが、静かに光り始めた――。

 

 私は「この究極に合理的なデザイン!」と、何の躊躇もなく、リリアの白い簡素なワンピースを脱がせ始めた。

 

 リリアはされるがまま、大きな金色の瞳で私と先生を交互に見ている。

 

「先生! 目を逸らしてはいけませんわ! ちゃんと記録してくださいまし!」

 

 私の声に、先生はハッとして記録用クリスタルを構え直した。

 

「ふふん、やはりお似合いですわ! 文献によりますと、紅は殿方の情熱を掻き立て、乙女の秘めたる魅力を開花させる聖なる色なのです!」

 

 紅いランジェリー姿のリリアは、その色の対比もあってか、倒錯的なまでの美しさを放っていた。

 

「先生! どうですか!? この紅の発色の美しさ、お分かりになりますか!? ちゃんと記録できていますか!?」

 

「あ、ああ…ちゃんと…記録している…よ…」

 

 先生は、震える手で記録用クリスタルを構え続けていた。

 

 私は、リリアへの一連の「着せ替えショー」を続けた。

 

 そして、リリアへの一連の「着せ替えショー」が一段落したところで、私はにっこりと微笑んだ。

 

「先生、リリアさんの記録、ありがとうございましたわ! とても素晴らしい映像が撮れていますわね!」

 

 先生は、ようやく終わったかと安堵の息をつこうとしたようだった。

 

 その時、私は言った。

 

「さて…次は、わたくしの番ですわ」

 

「…え?」

 

「わたくしも戦闘と看護で汗をかいてしまいましたもの。新しい『研究資料』に着替えて、先生にご意見を伺わなくては! もちろん、わたくしの分も…しっかりと記録してくださいますわよね、先生?」

 

 私は、無邪気な笑顔で、そして何の躊躇もなく、自分の旅装に手をかけた。

 

 先生は、その言葉の意味を理解した瞬間、全身から血の気が引いていくのを感じたようだった。

 

「ア、アリア君…!? ま、待て、それは…!」

 

「まあ、先生? どうかなさいまして? ご心配なく、リリアさんの時と同じように、しっかりと記録していただければよろしいのですわ。さあ、準備はよろしいですか?」

 

 私の瞳が、期待に満ちて先生を見つめている。

 

 先生は、記録用クリスタルを握りしめたまま、ただ呆然と立ち尽くすことしかできなかったようだった――。

 

 私は――とても真剣だった。

 

 この研究資料の性能を、しっかりと記録しなくてはならない。

 

 そして――先生に、私の姿を、しっかりと見ていただかなくてはならない。

 

 私の「先生攻略作戦」は――新たな段階へと進もうとしていた。

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