表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才魔導師(美女30)が、情けない恩師(42)を全力で守って落とします ~ポンコツ乙女の暴走ラブコメ~  作者: よっしぃ@書籍化


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/48

第39話 ポロリ!聖女の無防備と騎士の限界突破


 先生の意識は、私の柔らかな膝の感触と、目の前に広がる純白のレースの中で、彷徨っていた。

 

 顔は真っ赤に染まり、心臓は限界を超えた鼓動を続けている。

 

 先生は最後の理性を振り絞り、このあまりにも危険な状況から脱しようと、私の膝からゆっくりと頭を持ち上げ、ふらつく体で起き上がろうとした。

 

「せんせ…? もう大丈夫ですの…?」

 

 私は、まだ少し眠そうな、それでいて心配そうな瞳で先生の顔を覗き込んだ。

 

 その無防備な優しさが、今の先生には毒だったのかもしれない。

 

 先生は、まだ少し朦朧とした意識の中、バランスを崩しかけた。

 

 とっさに近くにあった私の肩口あたりに手をつこうとしたのだが、その手が滑り――

 

 運命の悪戯か、あるいは必然か――

 

 先生の指は、私が身に着けていた純白のランジェリー『聖女のため息』の、繊細なレースで作られたブラジャーの左肩のストラップを、不運にも、しかし確実に掴んでしまったのだ。

 

「あっ…!」

 

 先生が気づいた時にはもう遅かった。

 

 先生が体重をかけようとした瞬間、あるいは無意識にストラップを引いてしまったのか、そのブラジャーははらり、と音を立てるかのように肩から滑り落ちた。

 

 そして――

 

 私の柔らかな左胸が、その美しい丸みを惜しげもなく先生の目の前に晒してしまったのである。

 

「……………………………………………………。」

 

 先生の思考は、完全に、そして決定的に停止したようだった。

 

 血の気が一気に引き、次の瞬間には顔全体が爆発したかのように真っ赤に染まる。

 

 先生は、生まれてこの方経験したことのない衝撃と、圧倒的なまでの美しさと、そしてどうしようもない罪悪感の奔流に飲み込まれ、声も出せず、ただただ硬直するしかなかったようだった。

 

 一方の私は、自分の胸元がどうなっているかなど全く気づいていなかった。

 

 あるいは、ブラジャーがズレたことに一瞬「あら?」と思ったかもしれないが、それよりも目の前で金縛りにあったかのように固まってしまった先生の顔色の悪さの方が気になった。

 

「先生? 先生! どうかなさいましたの!? またご気分が…!? もしかして、先ほどのわたくしの『聖女のため息』から放たれる"聖なる波動"が、先生のお身体に浄化作用を及ぼしすぎて、魂が抜けかかってしまわれたのでは…!?」

 

 私は本気で心配し、身を乗り出して先生の額に手を当てようとした。

 

 その時、冷静な声が響いた。

 

【マスターの偶発的接触により、アリア様の胸部保護装甲ブラジャーの左側固定機能が完全に喪失。現在、アリア様の左胸部の露出率は99.2%と推定されます】

 

 いつの間にか状況を記録していたレティシアさんが、淡々と事実を告げた。

 

【マスターの脳波は、先ほどの気絶状態から回復する間もなく、再び異常な興奮と混乱のパターンを示しており、これは『視覚情報の絶対的飽和による思考能力の完全かつ持続的な停止』状態、通称『聖域侵犯サンクチュアリ・ブレイクダウンショック』と酷似しています。アリア様、早急な衣服の修復、または着替えを強く推奨いたします。このままではマスターの精神が崩壊する可能性があります】

 

 レティシアさんの言葉に、私はようやく自分の胸元に視線を落とし、そして現状を把握した。

 

「ま、まあ! わたくしとしたことが、こんな…! は、はしたないですわ…!」

 

 さすがの私も、これには顔を真っ赤にし、慌てて胸元を押さえた。

 

 そして、先生の鼻から再び微量の赤い液体が垂れているのを発見し、さらに先ほどの戦闘で自分の服が汚れていることも思い出し、決然とした表情で宣言した。

 

「こ、これでは淑女失格ですわね! それに、この『聖女のため息』も、先生の聖なるお鼻からの血で汚れてしまっては大変ですもの! レティシアさんの言う通り、すぐに着替えなくてはなりませんわ!」

 

 先生は、まだ魂が半分抜けかかったような状態で、私のその言葉をぼんやりと聞いていた。

 

          ◇

 

 私は――申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

 

 先生に、こんなにも心配をかけてしまって。

 

 そして――はしたない姿を見せてしまって。

 

「先生、ご心配には及びませんわ。わたくし、すぐに別の『研究資料』に着替えてまいりますから!」

 

 私は、先生を元気づけるかのように明るく言い放つと、例の『無限収納箱』をごそごそと漁り始めた。

 

「ええと…『聖女のため息』は、その…少し破損してしまいましたし、汚れも気になりますものね。次は、もっと耐久性があって、そして先生のお好みにも合うものにしなくては…ああ、これならきっと!」

 

 私が取り出したのは、夜空の深淵を思わせるような、妖艶な光沢を放つ濃い紫色のランジェリーセット――『月影の誘惑』だった。

 

 それは、純白の『聖女のため息』とは対照的に、見る者の心を惑わすような、ミステリアスで大人びた魅力を湛えている。

 

 先生は、その色とデザインを見た瞬間、先ほどの『ポロリショック』とはまた別の種類の衝撃に襲われたようだった。

 

「ア、アリア君! ま、待つんだ! き、着替えるのは構わんが、せめて、俺が…その…向こうを向いている間にとか…いや、そもそも、こんな場所で着替えるのはいくらなんでも…!」

 

 必死の形相で懇願する先生。

 

 しかし、私はきょとんとした顔で首を傾げた。

 

「あら、先生に見ていただかなくては、わたくしの選択が正しかったか、そしてこの『研究資料』の真価が先生に伝わるか、分かりませんもの。それに、わたくしの愛読する文献『殿方を虜にするための日常的所作~着替え編~』によりますと、『女性の着替えという神秘的な儀式に立ち会うことは、殿方にとって何よりの栄誉であり、二人の間の信頼関係をより深めるための重要なステップである』と記されておりましたわ!」

 

 私は、自信を持って続けた。

 

「先生は、わたくしとの信頼関係を深めたくないとでもおっしゃるのですか?」

 

 先生は「そ、そんな文献があるのか…いや、あるわけないだろ…!」と内心でツッコミを入れているようだったが、もはや言葉にして反論する気力もなかったようだった。

 

 そして、先生の目の前で、私の『お着替え』という名の時間が始まった。

 

 私は――真剣だった。

 

 この『月影の誘惑』の性能を、しっかりと確認しなくてはならない。

 

 そして――先生に、私の選択が正しかったことを、証明しなくてはならない。

 

 やがて、私は『月影の誘惑』セット――肩紐は細く、胸元を大胆に、しかし上品に飾るブラジャーと、腰のラインを美しく見せるカッティングのパンティ――を身にまとった。

 

 濃い紫色は、私の白い肌を一層際立たせ、アイスブルーの瞳にミステリアスな輝きを与えている。

 

 私は軽く体を動かし、そのフィット感を確かめるようにくるりと一回転すると、先生に向き直り、少し首を傾げて微笑んだ。

 

「先生、こちらの『月影の誘惑』はいかがでしょうか? なんだか、先ほどの『聖女のため息』とはまた違った力が、体の奥からみなぎってくるような気がいたしますわ! 文献によれば、この深遠なる紫色は、高貴さと神秘性、そして秘めたる情熱を象徴し、見る者の心を深淵へと誘う色だとか…」

 

 私は、少し誇らしげに胸を張って見せた。

 

 先生は――もはや直視するには危険すぎる状態だった。

 

 レティシアさんが、いつものように冷静に状況を分析した。

 

【アリア様の装着衣類変更を記録。ランジェリー『月影の誘惑』。マスターの脳波パターンに新たな高周波刺激を確認。アドレナリンおよびノルアドレナリンの分泌量が、前回の『聖女のため息』着用時と比較して、さらに157.3%を超過。これは『闘争・逃走反応』の範疇を完全に逸脱し、極度の『魅了状態』および『美的感動による思考能力の一時的、かつ広範囲な放棄』と判断されます】

 

 先生は、ただただ、目の前の『月影の誘惑』をまとった私の姿に魂を抜かれたように見惚れていた。

 

 もはや、言葉も、思考も、呼吸の仕方すら忘れかけている。

 

 私は、そんな先生の様子を見て、不思議そうにさらに首を傾げた。

 

「先生? お気に召しませんでしたか…? それとも、こちらの『月影の誘惑』の力も、先生には強すぎましたでしょうか…?」

 

 私は――少し心配だった。

 

 でも――同時に、少し嬉しかった。

 

 先生が、私の姿に――こんなにも心を動かされているのが。

 

 私の「先生攻略作戦」は――確実に、成果を上げていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ