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天才魔導師(美女30)が、情けない恩師(42)を全力で守って落とします ~ポンコツ乙女の暴走ラブコメ~  作者: よっしぃ@書籍化


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第34話 開かれし知の聖域と、乙女の魂の再点火

 先生は――私のそんな姿を――とても優しい目で見つめていた。

 

 私は気づいていなかったけれど。

 

          ◇

 

 私たちが工房の入り口付近を慎重に調査し始めると、すぐに最初の障害が見つかった。

 

 奥へと続く通路が、分厚い金属製のシャッターで閉ざされており、その脇には複雑な紋様が刻まれた古代の制御パネルが設置されている。

 

「この紋様…古代アストリアの数秘術と、失われた魔法言語の組み合わせですわね。おそらく、正しい手順でパネルに魔力を流し込み、特定のコードを入力しなければシャッターは開かない仕組みでしょう」

 

 私は、即座にパネルの解析を開始する。

 

 その指先が、まるで踊るようにパネルの上を滑り、レティシアさんと専門用語を交わしながら、驚くべき速さでその構造を解き明かしていく。

 

「レティシアさん、この魔力コンバーターの周波数特性を逆算できますか? おそらく、入力すべきコードのヒントは、この工房全体のエネルギー循環パターンと同期しているはずですわ」

 

【解析中…アリア様の仮説に基づき、エネルギー循環パターンとの相関関係を検索…候補となるコードパターンを3種類に絞り込みました】

 

 先生は、私たちの高度なやり取りをただ見守っていた。

 

 私は――問題解決に没頭していた。

 

 技術者として、純粋に、この謎を解き明かしたかった。

 

 やがて、私は「これですわ!」と確信に満ちた声で、制御パネルの特定の箇所に自身の魔力を流し込み、いくつかの紋様を順番に押していく。

 

 すると、重々しい金属音と共に、目の前のシャッターがゆっくりと上昇し始めた。

 

「やりましたわ、先生!」

 

 私は、額に滲んだ汗を拭いもせず、達成感に満ちた笑顔で振り返った。

 

「ああ、お見事だ、アリア君」

 

 先生は心からの称賛を送ってくれた。

 

 その言葉が――とても嬉しかった。

 

 開かれた通路の奥からは、これまで以上に強いエネルギーの波動と、さらに複雑な機械音が響いてくる。

 

 そして、レティシアさんが静かに警告を発した。

 

【マスター、アリア様。前方通路の奥、複数の高エネルギー反応を検知。生命反応ではありませんが、極めて高度な自律型防衛システムである可能性が高いです。警戒を】

 

「望むところですわ!」

 

 私は、先ほどの成功で完全に自信を取り戻した。

 

 その瞳に再び冒険への強い光を宿らせた。

 

 先生は、そんな私の姿を頼もしく思ってくれているようだった。

 

          ◇

 

 私は――気づいていた。

 

 「貴重な文献」を失ってから、何かが変わったことに。

 

 文献がなくても――私は、先生のお役に立てる。

 

 文献がなくても――私は、自分の力で問題を解決できる。

 

 先生が――そう言ってくれたから。

 

 「君自身の頭で考え、君自身の心で感じたことを信じればいい」

 

 先生の言葉が――私の胸の中で、温かく響いていた。

 

 でも――

 

 私は、まだ少し不安だった。

 

 文献なしで――本当に、先生の心を掴めるのだろうか。

 

 文献なしで――本当に、先生との距離を縮められるのだろうか。

 

 そんな不安を抱えながら――

 

 私は、先生と共に、『古代の自動工房』の本格的な探索へと――足を踏み出した。

 

          ◇

 

 通路の奥には、さらなる謎と危険が待ち受けている。

 

 でも、私は怖くなかった。

 

 先生がいるから。

 

 レティシアさんがいるから。

 

 そして――

 

 私自身の力を――先生が信じてくれているから。

 

 私は、前を向いた。

 

 技術者として。

 

 そして――

 

 先生を想う一人の女性として。

 

 私の心の中で、何か新しいものが芽生え始めていた。

 

 それは――バイブルの教えとは違う、もっと温かくて、もっと大切な何か。

 

 でも、それが何なのか――

 

 私は、まだ、はっきりとは分からなかった。

 

 ただ――

 

 先生と一緒にいると――

 

 とても、幸せだった。

 

          ◇

 

 私たちの『古代の自動工房』の本格的な探索が、今、始まろうとしていた。

 

 そして――

 

 私の「先生攻略作戦」も――

 

 文献なしの、新しい形で――

 

 静かに、でも確実に――

 

 動き出していた。

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