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天才魔導師(美女30)が、情けない恩師(42)を全力で守って落とします ~ポンコツ乙女の暴走ラブコメ~  作者: よっしぃ@書籍化


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第24話 小さな女神(人形)たちと、ギデオンの困惑

「開きました!」

 

 私の叫びと共に、重々しい鉄の扉がゆっくりと開き始める。

 

 その先には、この騒動に気づき、眉間に青筋を立ててこちらを睨みつけている鉄鼠組のリーダー、ギデオンと、その屈強な護衛たちの姿があった。

 

 彼らは、扉の外で繰り広げられているであろう『アリア様(人形)万歳!』の大合唱に、まだ完全に状況を把握できていないようだ。

 

 先生は剣を抜き放ち、私は魔導杖を構える。

 レティシアさん(本人)は、既に両腕をエネルギーブレードに変形させ、臨戦態勢だ。

 

 まさに一触即発。

 

 その時、レティシアさん(本人)が静かに、しかしどこか誇らしげに告げた。

 

【マスター、アリア様。ヒューマノイド・ユニットMk-IIレティシア・カスタムの3Dプリンティングも、ただいま完了いたしました。起動しますか?】

 

「なっ…レティシア、お前、いつの間に自分のまで!?」

 先生は驚愕した。

 

『レティシアさん…!』

 私は、嬉しくなった。

 

 レティシアさんの足元、先ほどまで淡い光を放っていた簡易3Dプリンターから、アリアMk-IIと寸分違わぬサイズの、レティシアさん本人と瓜二つの小さな人形――レティシアMk-II――が、静かに立ち上がった。

 

 そのアイスブルーの瞳は、本物のレティシアさんと同じように、どこかミステリアスな輝きを宿している。

 

『完璧ですわ…!レティシアさんも、私の発明を理解してくださった…!』

 

「…なぜ、今、それを…?」

 先生は、もはやツッコむ気力も失せかけていた。

 

【アリア様のユニットMk-II(小型人形)が、敵兵士に対して予期せぬ高い心理的影響(崇拝行動及び戦闘意欲の著しい減退)を及ぼしたデータを観測しました。同様の効果を期待し、私のユニットMk-II(小型人形)も戦線に投入することで、さらなる敵戦力の無力化、及びマスターとアリア様の安全確保に貢献できると判断いたしました。極めて合理的な判断です】

 

 レティシアさんは、一切の感情を排した声で、しかしどこか得意げにそう説明した。

 

『さすがレティシアさん…!私の最高傑作…!』

 

 つまり、だ。

 今、開かれた『黒曜石の間』の入り口には、

 先生(満身創痍のベテランエージェント)

 私(本物。旅装だが、その下には例の防護肌着。手には魔導杖)

 レティシアさん(本物。銀色の美しいアンドロイドボディ。腕はエネルギーブレード)

 そして、そのすぐ後ろに、

 アリアMk-II(私そっくりの、フリフリドレスを着た小さなリアルな人形)

 レティシアMk-II(レティシアさんそっくりの、ビキニ風防護肌着を着た小さなリアルな人形)

 という、一行が勢揃いしていることになる。

 

『完璧な布陣ですわ…!』

 

 そして、扉の外からは、未だに「アリア様ー!」「レティシア様も麗しいー!」という熱狂的な声援(?)が聞こえてくる。

 

 ギデオンと、その忠実な護衛たちは、目の前の光景を理解するのに数秒を要した。

 

「…き、貴様ら…一体、何なんだ…? 何のつもりだ、その…小さな人形は…?」

 

 さすがのギデオンも、その異様な光景と、部下たちの裏切り(?)に、動揺を隠せない。

 彼の赤黒い瞳が、困惑に揺れている。

 

 先生は、深いため息をついた。

「…説明すると長くなる。というか、俺にもよく分からん。とりあえず、そこの祭壇の上にある『エネルギーコア』を渡してもらおうか。話はそれからだ」

 

 先生の声には、もはや何の覇気もなかった。

 

 私は、そんな先生の隣で、自信満々の笑みを浮かべた。

 

「そうですわ、ギデオンさん。私たちには、こんなにも可愛らしくて、そして強力な(?)援軍がいるのですから!」

 

 私は、アリアMk-IIとレティシアMk-IIを、まるで自分の子供のように誇らしげに見やった。

 

『紅の書には「自信満々な態度は、敵を圧倒する」と書いてある…!』

『私の発明が…ついに敵を圧倒しましたわ…!』

 

 レティシアさん(本人)は、ギデオンとその部下たちのバイタルサインを冷静に分析していた。

 

【ギデオン及び護衛6名の心拍数、上昇。混乱及び警戒レベル、最大。…マスター、アリア様、敵は我々の編成及び戦術意図を完全に誤認している可能性があります。これは、好機かもしれません】

 

『計算外でしたけど…結果的に、完璧な状況ですわ…!』

 

 こうして、自由都市リューンの地下深く、『黒曜石の間』で、私たちと二体の『女神(小さな人形)』による、前代未聞の日本のオーバーテクノロジー争奪戦が、混沌の渦の中で始まろうとしていた。

 

 私は、内心でガッツポーズをした。

 

『蒼の書には「知恵と技術で敵を圧倒することで、男性に尊敬される」と書いてある…!』

『先生、私の活躍、見てくださいまし…!』

 

 私の「先生攻略作戦」は、私の発明を通して――思わぬ形で――大成功を収めようとしていた。

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