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2.初登校、そして……。

よいしょ(*'▽')ノ









「あっははは! 『発火』なんて雑魚異能が、俺らに敵うと思うなよ!」

「ホント、馬鹿だな。大人しくしてれば良いのにさ」

「分かったかなぁ、無能くん?」




 三人の同級生が、ボクのことを足蹴にして笑っている。

 場所は長峰先生に指定された学校の校舎裏。時刻は放課後で、まだまだ日が沈むのが早いらしい。夕方五時現在で、周囲はすっかり暗くなっていた。

 こちらが立ち上がろうとすると、彼らはまた笑いながら蹴りを入れてくる。

 自身の異能を発動しようと試みても、どういうわけか上手くいかない。



「く、そ……!」



 ボクは頭を踏みつけられながら、思わずそう悪態をついた。

 口の中に広がる鉄と砂利が混ざり合った感覚に、不快感が湧き上がる。だけど、自分から足を踏み入れた一件だ。誰にも文句は言えない。

 それでも、ふと思い返す。



 いったい、どうしてこうなったのか――と。







「今日から遅れて通うことになった『狛江大和』だ。……はい、自己紹介」

「狛江大和、です。よろしくお願いします」




 今朝はこれといっておかしくなかった。

 遅れて入学することになった同級生、と紹介されて拍手で迎えられる。空いている席に案内されて、クラスメイトと簡単に自己紹介をし合った。



「――ね! 狛江くんは、どんな異能を持ってるの?」

「え、あー……『発火』だ、って言われたけど」

「なんで他人事みたいなの?」



 そんな中で、一番親切にしてくれたのは隣の席の女生徒。

 名前を兵藤沙耶という彼女は、気さくな語り口調で色々と教えてくれた。



「でも、そっか……『発火』だったら普通だし、最初の序列は最下位かも」

「序列、って?」

「え、知らないの?」

「あー……うん」



 そのうちの一つが、学園内の序列制度だ。

 現在の高等学校では異能の特殊さ、強さを基に順位を付けているらしい。なんという制度だ、とも思ったが、いまの世界ではこれが常識なのだろう。順応するしかない。

 何はともあれ、ボクの持っている異能はありふれたもの、という話だった。



「そっか……授業も遅れてるし、意外と大変そうだ」

「うん! でも大丈夫だよ! 私、協力するから!!」

「いいの? 迷惑じゃないかな」



 記憶喪失になって、初めての大きな壁を感じたボク。

 だが、そんなこちらに兵藤さんは笑顔でこう言ってくれたのだった。



「私も序列下の方だから! 一緒に頑張ろう!」――と。



 ボクはそれを聞いて、思わず握手を申し出て。

 そして――。




「おいおい、雑魚同士で傷舐めあってるぜ!」




 そんな人相の悪いクラスメイトの声に、反応してしまったのだ。







 ――で、放課後に呼び出されて凹されている、と。



「ほーら、狛江くん? ご自慢の『発火』はどうしたのかなー?」

「無意味だけどな、俺の異能は『激流』だし!」

「お前には、勝ち目なんてねぇよ!」



 同級生たちは何故、こんなにもボクを嘲笑うのか。

 その理由は分からないけれど、いま確かなのは理不尽な扱いを受けていることだった。なにもできないままで、ただただ力に屈してしまう。

 だけどボクは、事実として弱かった。

 異能の使い方もろくに知らない、世にも珍しい普通の人間だ。



「で、も……!」



 悔しいのには、変わりない……!

 砂利を血が出るほどに握り締めて、拳を震わせる。

 記憶も何もないけれど、そんなボクだけれど、負けたくないのは変わらない。記憶を失う前の自分も、このような場面ではきっと戦ったのだろう。

 だからこそ、こんなにも――。





『だったら、教えてあげようか? ……戦い方』



 その時だった。



『ようやく聞こえたみたいだね。だったら、負けたくないわけだ』



 頭の中に、ハッキリとそんな声が聞こえたのは。

 ボクは一瞬だけ唖然とするが、しかしすぐに答えた。



「負けたく、ない……!」



 すると、さらに声が聞こえるのだ。





『それじゃ、力を貸してあげるよ!』――と。





 


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