救出作戦その2
皆さんどうもガクーンです。
マインたちがルリアーナを救出できるか。ぜひ、見ていってください。
では、お楽しみください。
俺は地方貴族の屋敷を調べ終え、限りなく白に近い事を確認し急いでネイフィン公国に帰還していた。
ネイフィン公国に到着した頃には辺りはすでに日が昇り、住民の生活音で騒がしくなっていた。そんな賑やかな音を耳で拾いながら、俺は長年利用している宿へと向かう。
ガイズの奴。上手くやっただろうか?
ガイズに任せたのは、3つある内の中でも一番簡単な任務だった。総勢50人ほどの盗賊の制圧程度、ガイズなら容易くこなせるはずなのだが。
俺はガイズを心配しながらも、待ち合わせの宿へと到着する。
「いらっしゃいませー! あっ、マインさんじゃないですか! 朝早くからお仕事ご苦労様です」
俺は扉を開け中へと入ると、一人の少女が声を掛けてきた。
「レイナちゃんも朝早くからお父さんのお仕事の手伝いご苦労様」
この子は熊犬亭の店主ゼーブルさんの娘、レイナちゃんだ。焦げ茶色の髪をいつも一つまとめており、小さい頃からお父さんの仕事を手伝っている。
「このぐらい当然ですよ! 今お水をお持ちしますね」
レイナちゃんは厨房の中へ姿を消すと、トレーに水の入ったジョッキを乗っけて俺の元まで持ってきてくれた。
本当にこの子は気が利くな。
俺は長距離移動の疲れとのどの渇きを潤すべく、水をがぶ飲みする。
「っはぁ。ありがとう。助かったよ」
「お粗末様です。そういえば、ガイズさんが2時間ほど前に帰ってきたとお父さんが言ってましたよ」
無事あいつも終えたようだな。
「レイナちゃん助かったよ。ゼーブルさんにもお礼言っておいて」
レイナちゃんは小さくお辞儀をすると、トレーに空となったジョッキを乗せて厨房の中へと去っていった。
「よし。いくか」
俺はガイズがいるであろう部屋へと移動を始める。
俺達の部屋は熊犬亭2階の一番奥の部屋、俺が7号室でガイズが8号室だ。かれこれ3年以上は通った見慣れた階段を上り、奥の部屋まで続く廊下を歩く。
コンコン
ガイズが居ると思われる8号室を2度ノックする。すると、部屋の中から……
「空いてるぞ」
俺は返事を合図に扉を開け、部屋の中を見渡す。
いつも通り食べ物が山積みになったテーブルの付近の床に、ドテッと胡坐をかいて食事をするガイズの姿。
「おい。これから大事な任務があるってのにそんなに腹に詰め込んだら……」
「大丈夫だ。俺の腹はそんなに柔じゃない」
腹を叩いて笑みを浮かべるガイズを横目にため息をつくマイン。
「そうだったな」
こいつに言っても意味はないか……
俺はテーブルの上に山積みになっている食べ物の中からリンゴを一つ手に取り、口へと運ぶ。
一日ぶりの食事を済ませガイズの暴食を止めると、マインは本題へと進む。
「俺が受け持った任務は白だった。そっちは?」
「こっちもだ。ただ……」
「ただ?」
「一人だけ手下を逃がしてしまったのが心残りだ」
「そのぐらい誤差のようなものだろう。住処は壊したんだろう?」
「粉々にした」
「そうか……なら大丈夫だ」
ガイズが言う粉々。それは文字通り、原形を留めないほどに破壊しつくしたという意味だろう。
それから俺は最後に残った任務。ルリアーナ救出の大本命。王子の帰還途中を狙った作戦についてもう一度ガイズに説明を始めた。
「準備は出来たな?」
「あぁ!」
俺達は必要な物。と言っても俺は護衛団に侵入する為の最低限の準備。ガイズは数日の野営を考慮に入れての準備をした。
「よし。出発しよう」
こうして俺達は最後の任務を行うため、ハイランド国第二王子の別邸へと移動を始めた。
~ハイランド国第二王子別邸~
ハイランド国第二王子が住まう屋敷は朝から慌ただしく、使用人が帰還の準備を進めていた。
「おいまだか!」
椅子に座り、誰の目から見てもイライラしているのが分かる金髪のチャラそうな男。この男こそがハイランド国第二王子、ビルスクであった。
「もう少しでございます。坊ちゃん」
傍らに佇んでいたのはビルスクのお目付け役、ゼダーイン。護衛団の頭であり、ハイランド国の英雄。
「早く帰らなければ見つかってしまうぞ……」
ビルスクの貧乏ゆすりのリズムが早くなる。
「安心してください。きちんと見張りも置いていますので」
こんなやり取りを数度行った時。
「ゼダーイン様! 準備完了しました!」
ゼダーインは眉一つ動かさず、連絡を受け取る。
「やっとか!」
「準備が出来た様です。こちらへどうぞ」
ビルスクは飛び上がるようにその場を立ち上がると、ゼダーインは子供を落ち着かせるように移動を促す。
ゼダーインとビルスク。二人は馬車が用意されている裏庭までゆっくりと移動する。その最中……
「ゼダーイン。あいつは俺と一緒の馬車に乗せろ」
あいつ……。意味深な言葉を口にする。
「それは無理です」
「何故だ?」
怒気を含ませながらゼダーインを睨むビルスク。
「あの女はまだ反抗する気力が残っているそうで、もしもの事があった場合を考えるとまだ危険です」
「チッ。途中に遊べるかと思ったのによ……。ゼダーインもしっかりしてくれよ」
ビルスクは舌打ちをしながらゼダーインを肩を数度叩き、足早に馬車へと歩いていく。
その様子を後ろから眺めるゼダーイン。
「小僧が……」
彼の手は血管が浮き出るほどに強く握りしめられており、誰の耳にも入らない小さな声でそう呟いた。
「準備は出来たな?」
「「「はい!」」」
馬車が2台とその周りをゼダーインを含め、総勢20人余りの護衛の兵士が囲っていた。
「今回は王子と大切な荷物を積んだ馬車2台の護衛任務である。総員、ハイランド国まで気を緩めず任務に取り掛かれ。良いな!」
「「「はい!」」」
ゼダーインが士気を高めるため、その場にいる者たちを鼓舞したあと、それぞれの持ち場へと戻る兵士たち。
一見、何も違和感が無いかに思われた王子の護衛達。しかし、ハイランド国所属の兵では無い何者かがこの団体御一行に紛れ込んでいた。
「よし。第一関門突破だ」
誰かがそっと呟く。
目を光らせ暗闇に潜みじっと獲物を待ち続ける狩人の様に、兵に成りすました何者かが今、最後の任務を開始した。
お読みいただきありがとうございました。
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では、また次回お会いできることを楽しみにしています。




