メインヒロインの私が死んだら、サブヒロインたちが本気出しちゃった!?
私の名前はクロミナ。
ゴウストア王国の何の変哲もない一般家庭に生まれ、今年十六歳になったばかり。
そして、なんやかんやで死んじゃった。
病気で。
「クロミナ……お前のことは一生忘れない。もう、二度と恋もしない。こんな女の恋人になれたんだから……俺の恋はこれが最後でいい! 終わっていい!」
まだ十代の女の子なんだから、やりたいことはいっぱいあった。
「姉さん! いや! 姉さん! お願い、やだ! いやぁ!」
「クロミナ! だめよ、まだ! まだ! しっかりして! クロミナ!」
「何をしているのです! ワタクシのライバルが、病などで逝くなど、ひっぐ、許しませんわぁ!」
「あぁ……クロミナ……」
「くそぉ……なんでお前がこんな目に……」
最後まで私の周りで泣いてくれている妹や友達。お父さんとお母さん。そして、生まれて初めてできた彼氏。
頭も良くて、かっこよくて、強くて、熱くて、でも照れたりすると可愛くて、たまに意地っ張りで……だから当然女の子にも人気があった。
そんな彼が私みたいなフツーの女の子に告白してくれた時は、すっごく嬉しかった。
これからいっぱい思い出作りたかった。
もっとイチャイチャラブラブしたかった。
手を繋いで、三回目のデートぐらいでキスをして、それで……でも、神様はイジワルというか、帳尻を合わせようとしてきた。
「クロミナ……」
愛しの彼氏でもあるヴェリュートくんが泣いている。
こんな素敵な彼氏を悲しませるなんて彼女失格だよね。
こんな素敵な彼氏ができたという分不相応な幸せを得ちゃったから、こんなに早く死んじゃうのかな?
でも、一方で私はこんなにヴェリュートくん、それに皆にも愛されてたんだなって実感できて、ちょっぴり満たされた気持ちもある。
そして、死んでこれからどうなるか分からないっていうのに、私は最後の最後までちょっと悩んだ。
ヴェリュートくんが私の所為で不幸を抱えたまま生きて欲しくない。
私なんかを本気で好きになってくれた男の子。幸せになって欲しいよ。
でも、そんなヴェリュートくんが私以外の女の子と結ばれて幸せになるっていうのも、ちょっと嫌かなって思っちゃう。
だって、私の彼氏だもん。
私を忘れて他の子とイチャイチャして、私ができなかったことを他の女の子とするのかな~? って考えると嫌な気持ちになっちゃった。
でも、死んじゃう私には関係ない。だから私は最後に「いい子」をアピールするかのように、ヴェリュートくんに最後の言葉を伝えた。
「ダメだよ……ヴェリュートくん……君の人生……あしひっぱりたくないもん……私のことさ……わすれちゃって、また素敵な彼女作っちゃってよ」
「できるわけないだろ! そんなこと言うな! 俺はお前のことがずっと……これからもずっと……たとえお前が―――」
あ~もう、好き……好き……大好き。
だから、心配だよ……こんなに私を想ってくれる君が……私が死んじゃったら……お願い……彼が立ち直るまで……みんな……
「みんなも……私の彼氏……『たのんだ』よ?」
これから色々と落ち込んだりして、つらい気持ちになるヴェリュートくんを『友達として』支えて欲しいってお願いをした。
「クロミナ!」
「姉さん! 何言ってるの! 姉さんッ!」
「何を言っていますの!? あなたらしくありませんわ!」
そしてそこで私の人生が終わり、意識も途絶え――――
……なんか、意識だけは途絶えなかった。
『いんや~……ま~さか幽霊になっちゃうとは~……幽霊って本当に居たんだな~』
青く輝く海を見渡せる丘の上にある共同墓地。
死んだ私はそこで幽霊として目を覚ました。
そして、お父さんとお母さんが建ててくれたであろう私のお墓で、私はどうしたもんかと笑うしかなかった。
『君はまだ若いね……』
『あっ、お隣さん、どうもです、初めまして。十六で死んじゃいました』
『それはまた……お気の毒に……』
隣の墓石に座っているおじさんに挨拶された。その人も幽霊みたい。
以前までなら幽霊なんて本当に存在してたら大声出して逃げ回ってたと思うけど、今は私も幽霊。
人間っていうのは本当に驚いたら逆に冷静になっちゃうのかもね。
と、その時だった。
「おはよう、クロミナ」
『ふぁああああああああ、ヴェリュートくん!?』
学校の制服に身を包み、これから登校すると思われるヴェリュートくんがそこに立っていた。
え? 私のことが見え――――
「変な感じだよ……今日から学校に行ってもお前がいないだなんて……お前がもう……どこにもいないなんて……信じられないよ……」
そう言って、一輪の綺麗なお花を私のお墓に供えてくれるヴェリュートくん。
あっ、やっぱり見えてないのか……
「お前は俺に忘れちゃえとか言ってたけど……ムリだよ……忘れたくても忘れられないんだ……忘れたくないんだから、なおさら忘れることなんてできるはずがない」
『ッ、ヴェリュートくん……』
微笑みながら私のお墓に話しかけるヴェリュートくんの瞳には涙があふれている。
その涙を見た瞬間、胸が本当に締め付けられた。
苦しい。
私はもう死んでるのに……胸が苦しいよ……大好きなヴェリュートくんにこんな顔をさせたくない……
「ごめん。弱音を吐いちゃって……また……来るよ――――」
「あっ、先輩……」
「ッ、あ……あ……妹さん」
あっ、システィア。
私の可愛い妹まで、こんな朝早くから私に会いに来てくれたんだ……
「あの、先輩……姉さんに……」
「ああ……ちょっと挨拶をって……」
「そうですか。姉さんも……喜んでいると思います」
そう言って切なそうに微笑むシスティア。でもその目元は赤く腫れてる。
きっと、私のことで泣いてくれてたんだろうな。
私と違って頭も良くて、スラっとしてて、清楚で美人で、ちょっと大人しい所があるけど、私の自慢の妹。
実は私とヴェリュートくんが恋人になった時、学校のみんなは私とヴェリュートくんじゃなく、ヴェリュートくんとシスティアが付き合ったって勘違いしちゃったらしく、お似合いの二人だとかすごい盛り上がってたな~
「その……先輩は……大丈夫ですか?」
「ん?」
「その……あの……」
「大丈夫じゃないけど……でも……ね……それに……妹さんの方こそ……」
「……はい……」
私の大好きな二人。でも、その二人が私のお墓の前で共に切なそうに微笑み合っている。
ますます私の胸が苦しくなる。
「それじゃ、妹さん。俺は先に行くから……」
「……はい……あっ、先輩!」
「うん?」
「……また……来てくれますか? そして……姉さんがいなくても……たまに……私とも話をし―――」
「当たり前だよ、そんなこと。だって……俺たちしか……クロミナのことで泣いたり……楽しかったことを振り返ったり……できないんだから」
そう言って、ヴェリュートくんはその寂しそうな背中を見せながら行っちゃった。
あとに残されたシスティアは、その背中をジッと見つめて、そして私へ振り返り……
「姉さん、良かったね……先輩が朝早くから会いに来てくれて……」
うん。嬉しかったよ。でも、苦しかった。
「でも、先輩の気持ちを考えると……苦しいよ……悲しいよ……姉さん……姉さんのバカ……どうして……どうして死んじゃったの!」
いつもは清楚で落ち着いて、他の人から見れば私なんかよりずっと大人びていると思われているシスティアも、やっぱり私にとってはまだまだ子供な妹。
誰も居ないとこうやって感情出して涙を流してくれる。
『うん。ごめんね……』
「姉さん……私ね……私も……ヴェリュート先輩のこと……好きだったの」
『うん……うん……ん!?』
え? は? そうだったの? うそ、全然知らなかった!
『姉さんとヴェリュート先輩が付き合いだして……ちょっと悲しかった……でも嬉しかった。姉さんも先輩のこと大好きだって知ってたし、先輩も姉さんのことを……だから、私の好きな二人が結ばれてくれたって……先輩の相手が姉さんなんだったら、私は引き下がって祝福しようって……』
知らなかった。
まさかシスティアがヴェリュートくんのことをだなんて……うそ……私、ヴェリュートくんとのことをシスティアに色々と相談して、それをシスティアはいつも親身になって聞いてくれたけど、本当は……
「でもね、姉さん。今、先輩と会って……先輩のあの痛々しい顔を見て……私……決めた……」
『……ん?』
「姉さん言ったよね? 先輩のことを頼むって……」
『え? う、うん……言ったけど……』
「私が先輩を支えるよ。先輩を立ち直らせてみせる。私が先輩の傍に居る。姉さんの代わりに……私が先輩を幸せにするよ! これから……ずっと!」
『……ん? ……うぇええええええええええええええええええ!?』
「先輩はステキな人……いつか立ち直って……新しい恋を見つけるかもしれない。でも、姉さん以外の人が隣になんて……私……嫌なの。だから……私が先輩の隣に立つから!」
いや、いやいやいやいやいや? え?
まさかの最愛の妹からの彼氏寝取り宣言?
いや、私はヴェリュートくんと寝たことないけども、えええ!?
システィアがヴェリュートくん好きだったってだけで驚いたのに、まさかの恋人になる宣言?
「姉さん、私はもう行くね。……走ればまだ先輩に追いつけるかな? 私、頑張るから! 先輩は私に任せてね!」
『いや、え、あの、ちょっと待って! いや、うん、確かにそれはそうなんだけど、まだ死にたてほやほやな私にそんなこと言われても気持ちが複雑すぎて……システィアァァァァ!!』
そして、私がどれだけ声を上げてもシスティアに届くことはなく、システィアは走って……ん?
「あら? システィア……」
「あ……え? あ……デイレさん……」
あ……我が親友のデイレちゃん!
学園一の優等生にして女帝。だけど、誰にでも分け隔てなく優しくて、私の小さいころからの親友。
いつも「デイレちゃんを見習いなさい」とかって言われてたけど、それが悔しくないくらい大好きな私の親友。
「クロミナにお花……いいかしら?」
「……はい……わざわざありがとうございます」
「……ええ……」
そういえば、システィアにとってもデイレちゃんは幼馴染だけど、私がいないとあんま二人で一緒にいるところは見なかったかな。
なんだか気まずそうな雰囲気……そりゃそうか……
「……あ……その、私……」
「ふふふ、いいのよ。私もちょっとクロミナと話だけして学校行くから、あなたは先に……ね?」
「……はい……」
「あなたもしっかりと……いえ、私もね……」
嗚呼……いつも自信に満ち溢れ、威風堂々とか無敵の女王様とかそんな感じのデイレちゃんまでこんな弱々しく笑うなんて……
なんか、私が死んじゃってから、ほんと色々な人に……
「おはよう、クロミナ。妹を泣かせて……ほんっと、お姉ちゃん失格ね、あなたは」
システィアを見送ってから、一人になって私のお墓にデコピンするデイレちゃん。
はい、反省です。
でも、どうしようもないんだけどね……どうしようもなかったし……
「ヴェリュートくんのこともね……」
『うん……』
そうだね、デイレちゃん。私もそのことを身に染みて分かっているよ。
「あなたバカよ……バカよ……この私を差し置いて、ヴェリュートくんの彼氏になったくせに……私も……あなたならって……諦められたのに……」
『うん………………ふぁ?』
「何がヴェリュートくんのことを頼むよ……あなた……私の気持ちを……私もヴェリュートくんのことを好きだってことを知っていて、あとを託したっていうの?」
『ぬわんだってええええええ!? うそおおおおおお!?』
いやいやいやいや、ええええ!? これまで数多くの男子生徒に告白されてもことごとく迎撃した、迎撃無敵浮沈の女帝でもあるデイレちゃんが、ヴェリュートくんのこと好きだったの!?
っていうか、デイレちゃん「も」!?
「ふざけないでよ……なんて遺言よ……それがどれだけ残酷なことだと……」
『いやいや、ほんとそんなつもりじゃなかったんだって。つか、知らなかったし! 私はただト・モ・ダ・チとしてヴェリュートくんを支えてと……』
「でも、いいわ。あなたの親友として……あなたの最後の望みを受け取ったわ。私が彼を支えるわ。悲しみの淵から救い出してみせるわ。彼を生涯に渡って幸せにしてみせるわ……新しい彼のパートナーとして!」
『なんか、メッチャ男前な発言されたけど、なんでさあああああ!?』
待ってよぉ、私はそんなつもりじゃ……そりゃぁ、ヴェリュート君にとってはその方がかもだけど……せめて私が成仏してからにしてよぉ。嫌だよ……
「あら? デイレさんではありませんの?」
「え? ……あ……リチナ姫……」
『んあ? あっ、お姫様!?』
なんか頭抱えている間に、ものすごいゴージャスなドレスを着て、もう頭の上もゴッチャリなティアラを着けた金髪ロールにしてこの国のお姫様。
私と同じおバカさんで、成績に関してはいつも二人でビリ争いをして、何だかライバル扱いされていた……
「リチナ姫も、クロミナに?」
「ええ……我が好敵手でしたもの……色々とワタクシも思うところがあるのですわ」
「……ふふ……そうなの……あなた……友達思いなのね」
「トモダチ? 違いますわ! ライバルですわ! この高貴な身であるワタクシが、庶民であるクロミナさんのお友達だなんて、オーッホッホッホ、学年一の秀才もおめめが節穴ではありませんの?」
「あら、そうかしら?」
「ええ、その程度の目と思考では、次の学年末試験ではトップから陥落するかもしれませんわね。オーッホッホッホ!」
そして、リチナちゃんとデイレちゃんも同じ学年で、リチナちゃんはデイレちゃんにもライバル意識を持っていた。
まぁ、私たちと違って学年一の秀才と学年最下位争いしていたリチナちゃんではちょっと……って感じだったけど……
「はいはい。じゃあ、私はもう行くわ、姫……」
「あら、そうですの?」
「ええ、あなたもクロミナと話を……あ、それと……」
「?」
「……涙で化粧が大変なことになっているから、学校に来る前にちゃんと直すことね」
「ッ!?」
あっ……姫様も……涙……
びっくりした顔で固まる姫様。だけど、デイレちゃんが居なくなるまで、必死に堪え続け、そして……
「泣いてなど……いませんわ……あんな庶民のやかましいおバカさん一人いなくなったぐらい……ひっぐ、さみしぐなんて……ないですもの」
『……ひ、姫様……』
「ふん。でも……仮にもライバルだった人ですもの……ですから……」
嗚呼、この国のお姫様まで私のことを……ほんと私は……私ってば……
「ですから、ライバルであるあなたの最期の願いぐらい……聞いて差し上げますわ……ヴェリュートさんのこと!」
『…………』
「ヴェリュートさんのことは、ワタクシにお任せなさい! きっと立ち直らせ、そして我が夫としてこの国を共に―――――――」
『って、おめぇもかよこんにゃろおおおおおおおおおお!!!!』
私の彼氏……モテすぎ……
『いやあ……君は凄い男の子と付き合っていたんだね……あんなかわいい子たちに加え、お姫様にまで好かれている男の子と……』
『そうっすね……つか、私はもう何で彼に好かれてたのかが、今になってよく分かんなくなってきました……』
引き攣った顔で笑っている隣の幽霊のおじさんに私も項垂れながらそう言うしかなかった。
妹。学園一の優等生。お姫様。なんで、この三人が同時に私の彼氏を寝取る宣言してるの!?
『嫌だなぁ……せめて成仏してからにして欲しいなぁ……していない間に、イチャイチャされたり……ましてや結婚とか……子供を見せにくるとか、そういうことあるかなぁ!?』
『あ~、あると思うよ? 成仏は個人差があるみたいで私もなんとも言えないけど、ほら、向こうのお爺さんは娘が結婚の報告に来たり、孫を連れてきたりとかってあるみたいだよ?』
『うおおおお、嫌だぁぁぁぁぁあ! そんなの耐えられないよぉぉぉぉお! なんとかできないのぉ!?』
既に死んでいる私に何もできないし、ヴェリュートくんの幸せを考えたらってのもあるけど、心がどうしても許せないんだもん。
何とかできないかな……せめて私が成仏するまで……ヴェリュートくんには私を好きなままで……
『なんとかか……まぁ、成仏するまでの間……』
『え!? 何かあるんですか!?』
『わわ、お、落ち着いて。いや、あまり……その……おすすめはしないんだけど……』
そのとき、私は幽霊のおじさんの言葉に反応して、勢いよく詰め寄ってた。
『私たちは死んでしまっているので、この世の物とか人に干渉はできない……でも、『エクトプラズム』という魔法の一種で……ほんの一瞬だけ現実に干渉できるみたいなんだ』
『え……そんなことが!?』
『ああ。それでたまに肝試しにくる人とかを驚かしたりとか……かわいい女の子のスカートをめく……色々とあって、それで……』
『つまり、それをうまく使えば、皆の邪魔できたり怖がらせたり……うらめしや~! っていうのもできる!?』
『あんまり頻繁にはできないみたいだけどね……』
『よーし! そういうことなら、さっそく邪魔してくる! うおおおおおおおお、彼氏をまだ寝取られてたまるかぁぁぁぁあ!』
なんと、幽霊にそんな力が……っていうか、幽霊の目撃情報とかひょっとしてそういう……まぁ、いいや。
どうせ死んじゃってる私にできることなんて限られているし、死んだんだし、自分の気持ちに忠実に死後のライフを送ってやるんだから!
そう心に決めて私は墓場から飛び出して……
『っていうか、墓場から幽霊って出れたんだ……なら、これからはヴェリュートくんの家に侵入できたり、部屋も、お風呂も……のぞき放題!? でへ、でへへへへ』
あれ? なんか少し楽しくなってきたような……ん? いや!
目的を忘れちゃダメだ。
何故なら、私の彼氏を寝取ろうとするメギツネたちを見つけたからだ!
「えっと、あの……どうしたんだよ、みんな」
うおおおおい、困った顔している私の彼氏を取り囲んで……
「ちょっと、いい加減にしてください。先輩は傷ついているんです。今は姉さんの妹として私が……姉さんに託されたのは私です!」
「何を言っているの? 親友の私が託されたのよ?」
「あら? 好敵手たるワタクシですわ」
この野郎、覚悟しろ!
どさくさに紛れて三方向からヴェリュートくんにくっついて、密着したり、おっぱい当てたり、三人密着して……三密は許さないから!
『くらぇぇぇえ! よくわかんないけど、えくとぷらずま~~~~!』
「「「ッッッ!!??」」」
「えっ、あっ!?」
そのとき……私の放った何かしらはイタズラな風となって、三人のスカートを捲って……妹ピンク!? 親友白!? 姫紐!?
『あああああ、違う違う! こんなラッキーエッチな風……うわ、ヴェリュートくんが顔を背け……いや、これでいいのかな? これで三人が、今の見た? エッチ! 変態! もう知らない! なんて三人が怒れば……』
すると、スカートを抑えた三人は顔を赤らめながら……
「ふふ……先輩に見られちゃいました♡」
「んもう、ヴェリュートくん……見たわね♡」
「おほほほ、見ましたわね♡」
こいつらなんか誘惑できた?! 的なことを……このビッチどもめぇ! 私の感動を返せええ!
「ちが、今のは……その……」
「んもう、先輩ったら……でも、いいです。先輩なら……。ふふ、さぁ、学校へ行きましょう?」
「ほら、行くわよ。別に怒ってないし、気にしてないし……こんなのであなたが少しでも気がまぎれるなら……これからいくらでも……」
「ふふん、責任……取ってもらいますわよ?」
そして、もはや私の気持ちなんて一切分からない三人は、私の彼氏と一緒に登校しようとしている。
その瞬間、私の中で成仏するまでにやることが決まった。
『幸せになるのは……もうちょっと待っててね、ヴェリュートくん……私がまだ成仏しない間は……彼女なんて作らせないんだから! 勝負だよ、システィア! デイレちゃん! 姫様ッ!』
大好きな彼氏を寝取られないように、怨霊となって邪魔しちゃうんだから!
初めて短編書いてみました。
書いてみて、「別に異世界にする必要なかったな」とも思いましたが……たぶん連載したら魔法とか絡んでファンタジーに? 何とも言えませんが、とりあえず今後のために色々と参考にしたいので、下記の★でご評価いただけましたら嬉しいです。つまらなければ★1つでいいです。★3つで作者デレデレです。
※キャラ名を現実世界の日本に変えてカクヨムに投稿してみました。ご興味持っていただけましたら下記リンクからどうぞです。




