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121話 開戦不可避

「これはまた随分とお久しぶりでございますね、ミコト氏。実際にはたった一日ぶりかもしれませんが、手前め的には数ヶ月は会っていなかったように感じます。やはり手前めとしては毎日お会いしたいものですが、それができない何か理由などあるのでしょうか? 単純に怠惰な振る舞いであるのならば――ふぐぇっ!?」


「うぇーっひっひっひっ! 邪魔ですわよっ!!」


 顔を合わせて早々、捲し立てるように話しかけてきたドレアを突き飛ばして、俺の前に躍り出てくるGちゃん。

 可哀想だとは思うが、まぁドMのドレアなら大丈夫だろう。


「あややややー!! もっとえぐり込むように、激しくお願いしますよ!!」


 ほらね、やっぱり。


「この騒がしい子に同意するのは癪ですけど、確かに久しぶりに会ったような気がしますわね。ミコト、一体どういうつもりですの?」


「どういうつもりも何も、色々あったといいますか」


 レオアードに侵攻されたヴァルゴルを救う為に、あれこれと頑張ってきたのだ。

 公爵クラスや支配者クラスの上位魔神達とも闘い、なんとかかろうじて勝利を収められたのである。

 その苦労もあって、ずっと気を失ってしまったわけだが。


「むぅん!! 勇士の活躍は聞き及んでいる!! 流石だ!!」


「確かに活躍は認めますわ。しかし、金髪エルフを連れてこなかったのはどういう事ですの!? それだけがワタクシの楽しみでしたのに!!」


「ご、ごめん。気絶さえしなければ、何人か連れて来られたかもしれないけど」


「むぅ……仕方ないですわね。それでしたら今夜は、普段以上にアレを激しくヤらせて頂きますわよ」


「ああ。勿論、構わないよ」


 Gちゃんの言うアレとは、俺の体に金粉を塗ってペロペロする儀式の事である。

 普段は腕を舐めてばかりだが、今夜はもっと色んな場所に金粉を塗られそうだ。


「ぬぅ……勇士よ。そうなると、吾はどうなる?」


「え? キミィとの日課だって、当然頑張るよ!」


「ぬぅぅぅっ!! それでこそ吾が認めし勇士だ!!」


 そしてこちらのキミィとの日課……彼女の筋肉を撫で回すという儀式もまた、今夜はかなり激しくなる事だろう。

 彼女達を寂しがらせてしまった責任は、しっかり取らねばなるまい。


「あやー!! それではミコト氏! 手前めにはどんなご褒美が!?」

 

「……特に、無いかな」


「あやぁーっ!! でもそんなミコト氏が大好きですぅー!!」


 放置プレイの宣言を受けて、床の上で寝転がってビタンビタンと跳ねているドレア。彼女はこういう対応で喜んでくれるから、いろんな意味でありがたい。


「相変わらず、騒々しい子ですわねぇ」


「むぅーん、落ち着きが足りないぞ!」


「ひ、ひひひ、そう言われましても……この快感は中々ですよぉ」


 だからって、白目を剥きながらビクビクするのはどうかと思う。

 アヘ顔みたいで、俺は割とイケるけども。

 ちょっぴりエロいなって、思うけども!


「しょうがありませんわね。この子の事はワタクシ達にお任せなさいな」


「ありがとう。それじゃあ、夜になったらGちゃんとキミィの部屋に行くから……」


「ちょぉーっと待って欲しいかもぉー!!」


 なんだかんだで、ようやく話がまとまりかけたと思ったのも束の間。

 これまで静かにしていたカイムが、凄まじい剣幕で割って入ってくる。


「あら、カイム。いましたの?」


「ぬぅ? 気付かなかったぞ」


「うがぁー!! それはとっても酷い扱いかもぉー!!」


「うるさいうるさいうるさいかもー!! ボクちゃんは怒ってるんだから!」


 決して意地悪や冗談などではなく、素で気付いていなかったという反応を見せるGちゃん達に食ってかかるカイム。

 だがそれでも、彼女達は眉一つ動かさずに……淡々と。


「それではミコト。今夜は楽しみにしていますわよ」


「吾もそろそろ、兵士達の訓練に戻る。夜にまた会おう勇士よ」


 そう言い残し、踵を返して廊下の奥へと去っていくGちゃんとキミィ。


「あややー! もっと優しく、いだっ! 優しく運ば……なくてもいいですー! 激しくしてくださぁーい! あーやーやー!」


 そして彼女達は、ドレアの両足をそれぞれ片方ずつ掴み、ズルズルと引きずっている。

 歩幅を合わせる気が無いのか、時折体があらぬ方向に曲がって、ドレアは痛そうに呻きつつも、歓喜の声を上げていた。

 アイツ、いろんな意味で無敵だよな。本当に。


「むきぃぃぃっ! どうしてみんな、ボクちゃんを馬鹿にするの!?」


「そういう反応をするからだと思うね」


 そしてこちらは、そんなGちゃん達に軽くあしらわれてご立腹の様子。 

 ドレアならこういう扱いも喜ぶだろうが、構って貰いたがりのカイムには、この手の対応はかなり堪えたようだ。


「むぅ……! ボクちゃん、今回はすっごく頑張ったのに……」


「他にも褒めてくれる子はいる筈だよ。さぁ、俺達も行こう」


 地団駄を踏むカイムの頭を撫でてから、俺は彼女の手を引く。

 そうでもしてあげないと、カイムは今にでも泣き出してしまいそうだからな。


「残りの連中に、そんな殊勝な奴がいるは思えんが」


「……言うな、ベリアル」


 頭の上のぬいぐるみが、救いの無い呟きを口にする。

 しかし、そんな残酷な事実を知らず……カイムは期待をやめない。


「よーしっ! 次こそ、ボクちゃんの事をいっぱい褒めて貰うかも! そして、ボクちゃんこそ、ミコトっちの正妻に相応しいって事を証明するかもー!」


 機嫌を取り戻し、意気揚々と歩き始めるカイム。

 願わくは、彼女がこうして明るい顔を浮かべたまま――今日という一日を終えられるといいんだけど……


「はぁぁぁぁっ!? アンタがミコトの正妻? ありえないわよ!!」


「むふぅぅぅっ!? ミコト様の正妻は私以外にありえませんからっ!!」


「……やぁ、久しぶり」


 そんな俺の儚い願いは、廊下の角から姿を現した彼女達のせいで……すぐに頓挫してしまう事だろう。

 炎の翼を持つ、紅い髪の少女と――頭に角を生やした白髪の少女。


「ルカ、フェニス。元気そうだね」


「はいっ!! 私は元気ですよ! ミコト様っ!!」


「ふんっ。さっきまでは元気だったけど、アンタの顔を見て台無しよ」


 ルカとフェニス。

 この2柱の魔神少女の手によって。

更新が滞ってしまい、申し訳ありません。

ぼちぼち頑張って参りますので、今後ともお付き合い頂ければ嬉しいです。

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