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103話 びくんっびくんっ!

「カ、カイム? お前、今なんて……?」


「もう!! 一度しか言わないって、さっき言ったかも!!」


 いきなり俺のお嫁さんになると発言してくれたカイムに、俺は半信半疑で訊ね返してみるが……この反応を見るに、どうやら聞き間違いでは無かったようだ。


「早く契約してよミコトっち! このポーズ、結構しんど……ごめん、やっぱりちょっと休憩するかもぉ……」


「カイム。自分が何を言っているのか……ちゃんと分かっているのですか?」


「馬鹿にしないで欲しいかも!! ボクちゃんも、ラウムやビフロンスみたいに、ミコトっちのお嫁さんになりたいの!!」


 ムルムルの質問に対し、服の裾からはみ出したお腹をどてぷーんと揺らしながら答えるカイム。 

 あっ、それを聞いたムルムルが心底面倒くさそうな顔で頭を抱え始めたぞ。


「カイム。我々は、ソロモン王の支配下に置かれるわけには……」


「……ムルムルは、ミコトっちの事を誤解しているかも」


「誤解?」


「ミコトっちはソロモンっちの生まれ変わりだけど、ソロモンっちじゃない。少なくともボクちゃんが見てきたミコトっちは、前よりずっと素敵かも」


 カイムはムルムルの言葉を真っ向から否定し、俺の顔を見つめてくる。

 うっ、この子の瞳って……こんなに、綺麗だったっけ?


「今のユーディリアは、昔とは全然違うかも。まだ魔神の数は少ないけど、みんなの仲が良くて……楽しそうで、ボクちゃんはその光景が少し――羨ましかったの」


「カイム、お前……」


 俺は、千年前のユーディリアがどんな国だったのかを知らない。

 だけど恐らくは、今の俺が築き上げようとしているハーレムとは……何から何まで違ったものであった事は間違いないだろう。


「あの意地悪なフェニックスも、黄金にしか興味が無かった筈のベリトも、口うるさいアンドロマリウスも……みんな生き生きとしていて、幸せそうだったかも」


「そう、ですか。あの子達が……そのように」


「うん。だからね、ボクちゃんは思うんだ。ミコトっちなら、きっとボクちゃん達を支配なんてしない。幸せにしてくれるのかも……って」


「かも、じゃないよ。俺は必ず、お前達を世界一の幸せ者にしてみせる。それこそが、俺の望む最高のハーレムだからな」


 ただ女の子を侍らせて、俺が楽しむだけでは……それは真のハーレムとは呼べない。俺も、俺を囲む全ての少女達が幸せであってこそ――それがハーレムなんだ。


「ふひふひふひぃ、というわけでボクちゃんは! 今日みたいにいつ終わるか分からない中立を続けるよりは……ミコトっちを信じてみたくなったのかも!!」


「…………カイム」


 普段の気怠そうな雰囲気も影を潜め、強い意思を秘めた瞳で語る彼女の言葉を誰が否定できようか。

 そもそも、今の彼女にはどんな説得の言葉も意味は成さないだろうけど。


「カイムが、そこまで言うなんて……信じみても、いいのかもしれないのだわ」


「無論だ、我が友よ!! 友の言葉を疑う必要など無い!!」


「我々は……」


「素晴らしいですよカイムさぁんっ!! ダーリンは世界最高最強最上最良のダーリンなんですからぁっ!!」


 そんなカイムの態度が、ムルムル達の心にも響いたのか。

 元から契約に消極的ではなかったアロケルとボティは勿論、断固反対していたムルムルさえも……感情が揺らいだ素振りを見せる。

 あと、ハルるんはほんの少しの間だけ静かにしていてね。


「なになに? なんだかすっごく騒がしいけど? ボクにも教えてよー」


 と、ここで、ようやくエルフ達の拘束を全て解き終えたラウムが戻ってくる。

 俺達が話し合っている内容が気になって仕方ないと言った表情で、フロンに事の経緯を訊ねていた。


「ががうーががーう、ががー。って、感じだよ!」


「ええっ!? いつの間にそんな展開に!?」


 それだけで伝わるんかい。

 がうがう語……思ったよりも便利だな。


「外野としては面白い見物だけど……マスター君はどうしたいの?」


「ん? そりゃあ、俺が断る理由なんて無いよ。カイムが俺を認めてくれて、自分の意思で契約を望んでいるんだから」


 ラウムの単刀直入な質問に、俺は右手の指先をワキワキさせながら答える。

 ルカ、フェニス、ハルるん、ドレア、キミィ、Gちゃん、アスタ、ラウム、フロンに続く……10柱目の契約。

まだまだ先は長いと思うが、二桁の大台に乗った事は素直に嬉しいな。


「……では、我々にカイムの契約を阻む術はありませんね」


「ごめん。でも、安心して欲しい。この指輪に誓って、俺はカイムを無理やり従える事なんてしないし……君達に嫌われるような真似も絶対にしない」

 

 ただ、カイムとの契約でムルムル達との間に禍根が残ってしまう事は俺の望むところではない。だから一応、俺は彼女達に誓いの言葉を述べるが――


「お気遣いの言葉、ありがとうございます。その約束が破られずにいれば、いつかは我々も考えを改める事でしょう」


 ムルムルは柔らかな微笑みを俺に返し、そのままコクリと頷く。

 どうやら俺は、要らぬ心配をしてしまったようだ。


「じゃあ、ボクちゃんもミコトっちと契約してもいいの!?」


「ええ。ですが、アナタをソロモン王の元に送り出すのは……また違った意味で躊躇われます。くれぐれも、ソロモン王にご迷惑をお掛けしてはなりませんよ?」


「ぶぅ、そんな事言われないでも分かってるかも!! ムルムルは小さいくせに、ボクちゃん達を子供扱いしないでほしいかもぉ!!」


「……こういう子ですが、よろしくお願いします。ソロモン王」


「あ、ああ。任せてくれ」


 見た目は完全にロリなのに、中身は完全に反抗期の子供を嗜める母親だな。

 ラウムも幼い見た目の割に大人びているけど、ムルムルの場合はもはやそういう次元ではなく……圧倒的なバブみを感じさせる。

 もしもいつか契約を交わせたら、耳かきとかして欲しいぞ。


「……ダーリン? どうしてムルムルさんを見てぇ、そんなに顔を赤くしているんですかぁ? ああいう幼児体型がお好みなんでしたらぁ、この余分な脂肪を今すぐ削ぎ落としてご覧にいれますけどぉ?」


「ふひぃ!! ミコトっち!! ムルムルにデレデレしないでほしいかも!!」


「ごめんごめん! って、ハルるん!! マジでそれだけはやめろ!! お前の素敵なおっぱいとお尻には傷一つ付けさせんぞ!!」


 ヤキモチを妬いてポカポカと叩いてくるカイムはまだ愛らしいが、ハイライトの消えた瞳で物騒な大釜を取り出したハルるんは洒落にならん。


「はいはーい、落ち着こうねー!」


「がぅがぅがぅー!! ご主人様を困らせないで!!」


「はーなーしーてーくーだーさーいー!! 体を傷付けるのがダメならぁ、布でグルグル巻きにして圧縮するしかないじゃないですかぁっ!!」


 咄嗟にラウムとフロンが止めに入ってくれたお陰で、惨劇は免れたか。

 まぁ、俺がやめろと言った時点で、契約の制約によって自傷はできなくなっていたんだけどさ。


「ぎょぇぇぇ……おっかないのだわぁ!!」


「己自身を傷付けようとする者と、それを止めようとする友! ああ、なんて美しい光景なのだろう! この邪眼さえ無ければ、両の眼に焼き付けたものを!」


「……ソロモン王。少々騒がしいですが、契約を交わすならば今の内ですよ」


 ハルるんの暴走にボティが怯え、アロケルがなぜか瞳を輝かせている最中、ムルムルがヒソヒソと俺に契約を促してくれる。

 確かにここは彼女の言う通り、今の内に契約を済ませた方が良さそうだ。


「ありがとう。ほらカイム、そろそろ契約を交わそうぜ」


「ふひぃ、ふひぃ……りょ、了解かもぉ」


「今ので息切れしてるのか……」


「うるさいかも! 契約で強化されれば、多少はマシになるかも!!」


 肩で息をしていたカイムは、ぷくーっと頬を膨らませたまま……先程から裸足になっていた右の足裏を俺に突き出してくる。

 そこにはカイムの魔神としての証、紋章が刻まれており――後は俺がそこに触れるだけで、直接契約は完了となる。


「それじゃあ、触るぞ」


「ふひぃ! 覚悟はとっくにできているかも! 別に直接契約くらい、ボクちゃんにとってはどうって事も――」


 鼻息荒く、意気込むのはいいけど……カイム、お前は知らないだろ。

 直接契約が生み出す快楽は魔神にとって、性行為よりも気持ちがいいのだとか。


「はいっ、たーっち!!」


 それに、今まで数多くの魔神達がこの直接契約を受けて、中には契約の快楽に抗おうとした子もいたけどさ……


「ふひぃんっ!? ほにゃっ、ふひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


 みんなそうやって、気持ちよさそうにビクビクしていたよ。

いつもご覧頂いたり、ブクマ登録などして頂いてありがとうございます。

心底どうでもいいですが、今日は自分の誕生日なので。

美少女に誕生日を祝って貰えるという方は是非、ブクマやポイント評価などお願い致します。

ちなみに自分は一度も祝って貰った事ないです。

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