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98話 契約! 喋ったぁ!?

 今まで俺が契約してきた魔神少女達は、その紋章の位置が体のあちこちにあったものだけど……流石に、顔にある紋章は初めてだ。


「それじゃあ、触るよ……」


「がぁうぅ」


 顔に触れる関係上、どうしてもお互いに顔を見つめ合う形になってしまう。

 下手に胸とかに触るよりも、こうして視線を合わせながら触れる方が緊張するかもしれない。そう思いながらも、俺はそっと……フロンの右頬に指を添えた。


「んぅっ!? がぅっ!?」


 まだ紋章には触れていないが、フロンはくすぐったそうに身体を震わせる。

 その仕草がまた可愛くて、ずっと触れていたくなる誘惑に襲われるが……向こうで尻込みしているエリゴスがいつ襲ってくるか分からないからな。

 名残惜しいが、早く契約を済ませるとしよう。


「じゃあ、触るよ」


「がぅぅん……ぅっ!? ふぁっ……ぁ、ぁっ、ぁ、あぅ……!」


 優しく紋章に指を触れると、フロンは気持ちよさそうに目を細めながら、甘い吐息を漏らし始める。

 よく見ると、内股をスリスリと擦り合わせており……全身を駆け巡る快感の波に耐えようとして必死に堪えているみたいだ。


「ぁんっ……が、がぅぁ…んぅっ……んぁぁんぅ……がぁん……」


「ひゅぅーっ! 同じ日にマスター君と直接契約を交わすなんて、これでボクとビフロンスは親友を越えて、姉妹みたいなもんだね!」


「その言い方はちょっと卑猥な感じがするけど……まぁ、いいか」


 とにかくこれで、無事にフロンとの契約も交わす事ができた。

 そうなれば、ベリアルという切り札を無理して使用する必要も無い。


「はぁ、はぁ……がぅぅ」


「怪我しているけど、まだイケる……のか?」


 フロンがこのタイミングで契約を申し出てきたという事は、契約によって強化した自分の力を使って欲しいのだろう。

 そんなフロンの意思を尊重し、彼女を憑依して戦おうと思ったのだが――


「がうっ!! あたしの力を存分に使ってくださいっ! ご主人様っ!!」


 ニッコリと微笑みながら、俺の質問に答えるフロン。

 なんともイメージ通りの、可愛らしい声……って、ちょい待った!


「……んんんっ!?」


「わーお!? ビフロンスが普通に喋ったぁっ!!」


「がぅ? あれ? もしかして、伝わってる? どうして?」


 フロンが唐突にスラスラと話し始めた事に、驚きをかく得ない俺とラウム。

 しかし当のラウムは自覚が無いのか、きょとんと首を傾げている。


「アスタの時と同じで、俺と契約した事で悪い状態が治った……みたいな?」


「そうかもしれん。じゃが、千年前のソロモンの時でさえ……ビフロンスは普通に話す事はできなかった筈じゃ。それなのに――」


「まぁ、理由はどうだっていいだろ。フロンと話せるようになった事が重要なんだから」


「がぅーっ! そんな風に見られると、照れちゃいますので」


 頬に手を当てて、いやんいやんと頭を左右に振るフロン。

 なんだか、彼女の素顔を見られた事といい……普通に話せるようになった事といい、今日は色んなイベントが目白押しだな。


「……ビフロンスと契約? それも、直接契約で?」


 と、このタイミングで。

 今までずっと黙り込んだまま、俺達の様子を探っていたエリゴスが口を開く。

 いっけねぇ。存在を忘れていたわけじゃないけど、少し放置しすぎたか。


「なぜ、わざわざ直接契約を? それに、さっきのだらしない表情は……どう考えても、あのソロモン王とは思えねぇですよ」


「そりゃそうだ。俺はソロモン王じゃなくて、その生まれ変わりだからな」


 俺の正体に勘付き始めたエリゴスには、俺はあっさりとネタばらしを行う。

 もはや時間稼ぎも意味を成さないし、そもそも俺は女の子に嘘は吐かないという信念を持っている。

成り行き上モノマネで勘違いさせはしたけど、自分の口でソロモン王本人だと名乗ってしまうと……それは真っ赤な嘘になるからな。


「俺の名前は根来尊。いずれは、お前達ソロモンの魔神全員と契約して、史上最高のハーレムを築く男だ。以後、お見知りおきを」


「……なるほど。声や姿は似ているのに、あの方に比べて覇気もオーラもまるで足りねぇのは……そういう事情だったわけですね」


 エリゴスは合点がいったと言わんばかりに、妙に晴れやかな表情になると、手に持っていた剣を再び構える。


「ソロモン王本人ならいざ知らず、その生まれ変わり程度なら問題ねぇですよ。魔法陣による契約もできねぇような出来損ないなら尚更です」


「出来損ないとは、酷い言い草だな。仮に魔法陣の契約ができるようになっても、俺は直接契約の方が好きだから、やり方を変えるつもりは無いのに」


「減らず口を。先程は突然の事で驚きましたけど、正体が分かった以上……容赦せずに、ぶっ殺してやりますよ」


「うーん……君を口説き落とすのは時間がかかりそうだし、やっぱりここは戦うしかないか。ゴエティア!!」


 隙あらばエリゴスも勧誘しようかと思ったが、彼女のツンツンぶりを見て説得は無理だと判断。俺は右手の中にゴエティアを出現させる。

 本日三回目の魔神憑依、その対象となるのは勿論――


「オープン!! 魔神ビフロンス!! 汝の力を我が物とせよ!!」


「がるるるるるっ! 一緒に戦いましょう! ご主人様っ!」


 眩い閃光が、俺とフロンを包み込む。

 暖かな光の奔流の中で、フロンは俺の体の中へと入り、そして……


「よしっ!! 行くぞっ!!」


 俺達は一つになった。


いつもご覧頂いたり、ブクマ登録などして頂いてありがとうございます。

フロンとの契約の瞬間、彼女が会話できるようになる日を楽しみにしてくださっていた方は是非、ブクマやポイント評価などお願い致します!

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