表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/134

90話 またまた個性的な美少女達

 レオアードの侵攻によって囚われの身となったヴァルゴルの民達を救う為に、直接ヴァルゴルへと乗り込んできた俺達一行。

 別動チームの陽動が成功した事もあり、順調に囚われている魔神ムルムル達の居場所も見つけ出せた俺達は……まず、彼女達の拘束を外しに掛かっていた。


「ほいっと、ボクの魔神装具、テサラムキーでちょちょいのちょいさー!」


「あ、ありがとうございます、鍵の魔神様!」


 頑丈な鎖によって両手両足を拘束されていた数十人のエルフ達であったが、ラウムの鍵開けの力を持つ魔神装具によって一気に解放する事ができた。

 鍵穴が合わなくても、鍵穴が無くても、いかなるロックをも開錠できるというテサラムキーの力は本当に心強い。

 だけど、そんな彼女の能力も――決して、万能というわけではなかった。


「……うーん、ごめん。やっぱり君達の拘束は特別頑丈みたいで、今のボクの力じゃあ開錠する事はできないや」


「ふぅ。やはり、貴女の力でも無理だったのね」


「ぎょぇあぁぁぁぁぁぁぁっ!! ボティ達だけ解放して貰えないなんておかしいのだわ!! 不幸なのだわ!! 全て終わりなのだわ!!」


「この鎖は罪の証なのかもしれない。野蛮な侵略者から森を守れなかった小生達への……許されざる罰の刻印」


 どうやら、魔神達に対する拘束はエルフ達の拘束とはレベルの違うモノであったらしく……ラウムが言うには、バラムの強大な魔力が使用されているそうだ。

 その為、ラウムの魔神装具の効力も弾かれてしまい、彼女達の拘束を解く事ができないというわけだ。


「我々の民が助かっただけでも、喜ぶべきなのでしょうね」


 チャラチャラと、解かれる事の無かった鎖を見つめていた合法ロリの魔神少女であったが……すぐにこちらへと顔を向けてくると。


「そういえば、こちらの紹介がまだでしたね。我々は序列第54位、公爵クラスの魔神ムルムルでございます」


「丁寧にありがとう……って、我々?」


「我々はこのヴァルゴルを治めている長ですので。個人を差す一人称ではなく、集団を意味する我々という表現を用いております」


 なるほど、そういう事なのか。

 言わんとしている理論はよく分かるけど、なんだか少し紛らわしいな。


「それと、我々の隣で震えているこの子が――」


「ぎょえぁ……ボティ達は永遠にバラムの鎖から解放されないのだわ、もう全て終わりなのだわ! ソロモン様が助けに来たって、何もかも破滅なのだわぁぁっ!」


「序列第17位、総裁クラスの魔神で……名をボティス」


「ボティス……それでボティなのか。それじゃあよろしく、ボティ」


「ぎょえ、ぎょえっ、ぎょぇ……こんなにフレンドリーなソロモン様はきっと偽物に違いないのだわ! やっぱり誰も、ボティを助けてはくれないのだわぁっ!!」


 ムルムルに続いて紹介されたボティであったが、さっきからずっと涙目で頭を抱えながら……だわだわと、騒いでばかりだ。

 一体何に対して、こんなにも怯えているのだろうか。


「…………ムルムル?」


「この子は被害妄想が強い子でして。あまり気にしないで貰えると、助かります」

 

 どうやら、このやり取りも毎度の事のようで、ムルムルは慣れた態度で淡々と事情を説明してくれた。

 幼い見た目をしているのに、ムルムルも気苦労が絶えなさそうだ。


「そして、最後はそこにいる――」


「紹介なんて必要ないさ、ムルムル。だって、そうだろう? 小生と彼は前世からの盟友同士なのだから!!」


 紹介を続けようとしたムルムルの言葉を遮り、仰々しい態度で俺の手を掴むピンク眼帯の少女。

 更にそのまま、自身の唇を近付け――俺の右手の甲にチュッと口付けをする。

 まるで、お姫様に忠誠を誓う騎士のような仕草に……俺は不覚にも、ドキッとときめいてしまった。


「その子は序列第52位、公爵クラスの魔神アロケル」


 そんなやりとりを冷めた目で見つめながら、ムルムルは棒読みの口調で説明を続ける。この見た目ロリっ子……なんて闇が深い目をするんだ!


「……アロケルは少々特殊な性格でして。上手く話を合わせて頂けると、色んな意味で助かります」


「あ、うん。善処するよ」


「盟友の手、スベスベしているな。昔よりも少し指が細いようにも見えるが……」

 

 ムルムルと俺の会話を気に留める様子もなく、ずっと俺の手を撫で回し続けているアロケル。

 女の子に触る事には滅法慣れてきた俺だけど、こうして逆に触られるのは未だに慣れない……うぅ、ちょっと恥ずかしい。


「ちょっとちょっと、アロケル。新マスター君が困ってるじゃんか」


「困ってる? 馬鹿な、盟友が小生のスキンシップを拒むわけがない!」


「……だといいけどね」


 珍しくイラついた表情で、アロケルに釘を差すラウム。

 嫉妬してくれている……というわけでは、なさそうだけど。


「……ソロモン王。このように騒々しい者達ばかりで、申し訳ありません」


「いやいや。ムルムルが謝る事じゃないよ」


 礼儀正しくペコリと頭を下げる小さな少女に、俺も同じように頭を下げる。

 外見と内面のギャップがありすぎて、なんだか凄く頭がこんがらがっちまうな。


「ありがとうございます。では、皆の紹介も終わったところで――」


「ま、待って欲しいかも!」

 

 キリよく紹介を切り上げようとしたムルムルだったが、そこに慌てた様子のカイムが口を挟んでくる。

 その顔には、明らかな焦りと困惑の色が浮かんでいた。


「ムルムル! どうしてここにバティンがいないの!?」


「バティン? あっ、そう言えば……」


 カイムがユーディリア城にやってきた時に言っていたヴァルゴル所属の魔神は、カイムを合わせて5柱。

 ムルムル、ボティ、アロケル、そしてカイムに続いて――もう1柱。

バティンと言う名の魔神がいる筈なんだ。


「カイム、落ち着いて聞きなさい。今、説明をします」


「え? あ、うん……了解かも」


 慌てふためくカイムを落ち着かせるように、静かな声色で話し始めるムルムル。

 しかし、そんな優しい口調とは裏腹に……彼女の表情には陰りが見られた。


「序列第18位、公爵クラスの魔神――バティン。彼女がここにいない理由は、単純にして明快です」


 話を続けるムルムルの隣で、ボティとアロケルが悲しそうに瞳を伏せる。

 更には背後に控えるエルフの少女達も一様に……瞳に涙を浮かべ出す。


「も、もしかして? バラム達に殺された、とか……?」


 震える唇から、恐ろしい考えを漏らすカイム。

 正直に言えば俺も、彼女と同じ結論に至ろうとしていた。


「いいえ、違います。彼女は死んだのではなく……」


 しかし、現実はそれよりも――ある意味では、残酷で。


「レオアードをヴァルゴルへと侵攻させた、裏切り者なのですよ」


「え!?」


 俺達の予想を、遥かに上回っていた。


いつもご覧頂いたり、ブクマ登録などして頂いてありがとうございます。

厨二病美少女とビクビク系美少女がお好きな方は是非、ブクマやポイント評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ