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僕の想い君にとどくまで

作者: 彩紅羅

僕の想いが君に届くまで、僕はいつまでも、君に僕の想いを伝えるよ。もう二度と君に会えなくても。ねえ、沙輝、君はもうここには居ないけど、きっとあの空で見守ってくれてるんだよね?


僕らの心はいつから離ればなれになってしまったんだろう?今日の空はあの日の空と変わらなく澄んでいて、まるで僕だけが2年という時を過ごしてきたみたいだ。ねえ、沙輝、少しだけ沙輝、君の勇気を借りるね。今から僕らの心を1つにしに行くよ。2年という時はかかってしまったけど、僕頑張るから、だから沙輝、見守っててね。

「ただいま。母さんいる?」

ここには、2年ぶりに帰って来る。今はちょうど高校2年の春休みだ。

「あら、おかえりなさい純!さっ!入って。久しぶりじゃねぇ。」

居間に入ると、なんだか急に懐かしさが込み上げてきた。

「…懐かしー匂いだ。」

「何か言ったね?」

「いや、何でもないよ。ほんっとなっつかしーなー!と思ってさ!」そんまんまねっころがって寝てしまった。目が覚めた時はもう夕方で、空は夕焼けに染まっていた。

…ピンポーン

家のチャイムがなった。

「純!ごめんやけど出てくれんねぇ」

玄関を開けると、懐かしい人が二人立っていた。

「…李紅、真亜紗。」

「おっかえりー!純!元気やった?おばさんに今日帰ってくるって聞いて来たんだ!だから、おばさんと話して皆で純の歓迎会しようって計画してたんだ」

ふっと李紅が僕の顔を見て言った。

「純、ちょっと出れるか?」

「あぁ。どこ行くんだ?」

「あぁ。ちょっとな。真亜紗は残って純の歓迎会の準備してて」

外に出ると、家の庭の満開の桜の木に黄金色の光が差し込んでいてスッゴク綺麗だった。

僕たちは林の中の細い砂利道を進んだ。

僕らが小学校から中学校まで毎日のように歩いた道だ。

学校に行くのだろうか?李紅は無言で黙々と歩いている。また背が伸びて大人っぽいなぁ。昔から李紅はモテた。バレンタインにはこの小さい町のなかのほとんどの女の子にチョコもらってた。極めつけは、80歳ぐらいのお婆ちゃんにチョコじゃなく、団子を貰ったことだ。でも、李紅は意外と純粋で、町一番の美女と言われる真亜紗をずっと想ってた。中2から付き合ってるけど…

30分くらい歩いただろうか?周りはもう暗くなってて、僕らの母校、大津小学校についた。小学校の隣には、中学校と高校もあって、この場所で僕らは9年間を過ごした。校舎の前側の校庭にある木で出来た大きめの朝礼台まできて、ふっと李紅が朝礼台にねっころがって空を見上げ口を開いた。

「…星。綺麗だろう?東京で、こんな星見れんのか?」

李紅がこんな寂しげに話すのを僕は初めてみる。

「ううん。全然。星なんか見たことない。それに忙しーしさ。」「あーあいぃよなぁ。純は。頭めっちゃよくて特待生で東京の高校行けんだもんなぁ…」

…違うんだ。違うんだよ。僕は…僕は…

「…僕は逃げたんだ。」

「純?」

「僕は、沙輝がいたこの町にいるのが怖くなった。だから、逃げたんだ。」

李紅が起き上がった。僕も起き上がった。李紅が真剣な瞳で言った。

「沙輝から、手紙預かってるんだ。沙輝が、“純が自分を責めないように”って。校舎開いてるから図書室で読めよ。俺、先帰ってるからさ!」

それだけ言って桜色の封筒を渡すと、李紅はもと来た道を戻って行った。

校舎を開けると、校舎は静まり返っていて、僕の足音だけが響いていた。図書室にはいって電気をつける。懐かしい、思い出の場所だ。裏庭側の一番左の席。僕と沙輝の指定席だった。春は陽当たりがよくて、昼休みにポカポカ陽気の中よく2人で昼寝したなぁ。その指定席に座って裏庭を見る。真っ暗な闇の中に一本だけ桜の木が光っていた。そんな昔の事を考えながら、手紙を開いた。

”純へ”

あぁ。久しぶりに見る懐かしい沙輝の字だ。沙輝。沙輝… 沙輝の暖かい字に自然と涙が溢れてきた。


―僕らの出会い―

僕らの出会い。それは、小学校の入学式の日だった。きっとあの時、僕は沙輝に一目惚れしてたんだ…

新1年生は全員で16人で、そのうち、おんなじ地域の野々田沙輝、木山李紅、山岡真亜紗とは、すぐに仲良くなった。

「戸野多純くん。わたし、野々田沙輝っていうの。よろしくね。」

その時の沙輝の笑顔が僕の心に絡みついて離れなくなった。―5年後―

僕らが小学6年になった春。

―ガラッ

昼休み。図書室に行くと、裏庭側の一番左の席、僕らの指定席に沙輝が座ってこっちに手を降っている。

「純!おそい!純が呼び出したんでしょう?でっ!話って何?」

「…うん。えっと・・・」

今から僕は、沙輝にこっ、告白するんだ。チラッと図書室を見渡すと、人は全然居ないけど、本棚の間から李紅と真亜紗が覗いてる。沙輝がそろそろイライラしだしてるから、思い切って言った。

「沙輝、好き。僕と付き合って。」

自分でも赤くなってるのが分かる。沙輝をみる。驚いたことに、沙輝が真っ赤になってうつ向いている。ふっと沙輝がつぶやいた。

「うん。私も、好き。」

そのか細い声に、全身が震えた。

「純ー!よかったなぁー!はは。うらやましー。こんやろーιειЬ」

李紅と真亜紗が飛び出してきて、その日は、学校サボって、僕らの秘密基地に行った。学校に行く林の一本道をそれたトコロのおくにあるドコまでも続く野原。真ん中には樹齢500年を越えるとゆう桜の大木があり、雨だって防げるし、木の上に、4人が寝れるぐらいの小屋もたてた。そこで、夜になるまで、ずっと笑った。僕は、こんなに楽しい日々が崩れるなんて、思っても見なかった。


―中学生…別れ、崩れゆく季節…

それは、中学2年の春、李紅の誕生日の日だった。

「ねえ、真亜紗、また李紅告られてるよ。2年になってもう8人目だよ。いいの?真亜紗?早くしないと取られちゃうよ。」

真亜紗がうつ向いて言った。

「私みたいなのがモテモテの李紅と釣り合うわけないもん」

僕と沙輝は顔を見合わせた。だって、僕らは知ってるんだ。李紅が今まで告白を断ってきたのは、真亜紗が好きでたまらないからだ。それにきずかない真亜紗みどうかと思うけど…それに、真亜紗は町1番の美女だ。はっきり言って、李紅よりも多く告られてる。真亜紗が告られた日の夜、いっつも基地に呼び出され、暴れる李紅を抑えるのに僕らがドレだけ苦労してるか!李紅は焼きもちやきすぎなんだよ。はぁ、まったく。

―バンッ!!!!!

突然、李紅が教室にはいって来たかと思うと、真亜紗の腕を掴んで出ていった。

「残されたね。放課後だからだれもいないょ?」

二人っきりの教室で、僕が沙輝の頬に手を当てる。この感じになるとつい、Sになってしまう。沙輝の柔らかい唇にキスをする。沙輝がうつ向く。

「ねえ、沙輝恥ずかしいの?可愛い。もっとしてあげる。」

さっきよりも激しいキスをする。

「んっふっ…ッやぁっ!んっ」

沙輝の喘ぎ声、吐息が僕の心をみだす。

…やばぃ。おさえらんない!

沙輝を机の上にのせてセーラー服のボタンをはずしていく。ハラリと白いはだが現れた。綺麗な鎖骨にキスをおとす。

「…んっ、止めて純!はずかしいよぉ…」

「そんな言い方して、本当は誘ってんじゃないの?」

沙輝の服を全部脱がせた。恥ずかしそうに瞳を潤ませて僕に言う。

「はぁっ…おねがい。優しくして。おねがい。」

「…分かった。優しくする。」

あの時程に沙輝を愛しく思ったことはなかった。しばらくして、李紅と真亜紗が手をつないで帰って来た。いまくいったみたいだ。あの時の僕らは最高に幸せだった。―中学2年秋―

その時は、突然やって来た。

「…みんな、あのね、私、入院する事になった。あのね、…がっ、癌なんだって。結構進行してるみたいで…」

沙輝がうつむきながら真剣な瞳でポツリといった。

「何言ってんだよ沙輝!ははっ!おもれ―冗談!なぁ、純も真亜紗もそう思うだろ?」

「だよねえ。沙輝ちゃんが癌なんて、うそだよね!」

僕は、あんなに真剣な瞳をしてる沙輝を見たことがない。いっつもニコニコ笑ってて、元気な沙輝。その沙輝が冗談であんな事言うはずが無いんだ。だから、僕も真剣に聞いた。

「本当か?…沙輝。嘘、だよな?嘘だろ?」

一言だけ沙輝は答えた。

「ごめん。ほんとなんだ…」次の日から、沙輝はここから一時間くらいの市内にある病院に入院した。僕は、毎週日曜日、バスで通った。日に日に弱っていく沙輝を見るのはとても辛かった。でもきっと、沙輝は僕の何十倍、何百倍み辛かったはずだ。

「沙輝!今日は、学校の皆からプレゼント!」

「えっ!なになに!」

「開けてみ。」

瞳を輝かせながらプレゼントを開けている。ここでも笑顔だ。やっぱり沙輝=笑顔だ。

「わぁー!可愛い!ちっさいクリスマツリーだぁ!そっかぁ、…明日、クリスマスイブか。すっかり忘れてたぁー!それに…」

急に沙輝の声が途切れる。」

「…?沙輝?どした?」

「入院して、1ヶ月たつね…」

「…そっ、だなぁ。」

沙輝は入院してから一回も外に出ていない。その時だった。急に沙輝の瞳が輝きを取り戻して、口を開いた。

「そうだった!あのね純、明日、1日だけ一時帰宅出来ることになったの!それでね、あのね、明日の夜6時に基地に来て。」

ヤバイ!なんだこの可愛い天使は!

「分かった。じゃ!明日な!」

そのまんま僕は病室をでた。抗がん剤で髪は抜けてるけど、細い身体がよけいに細くなったけど、沙輝は沙輝のまんまだった。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆

―24日午後6時―

桜の下に沙輝が立ってる。白のワンピースにコートにマフラー。可愛いすぎる。

「沙輝!」

「純!」

「おまたせ。寒かっただろ?ごめんな。」

「ううん。大丈夫だょ。」

沙輝を抱きしめ。沙輝の指にそっとリングをはめる。「えっ!純?これッ」

「クリスマスプレゼント!これからもずっと一緒にいれますようにって!」

僕のむねに顔を埋める。沙輝のめから沢山の涙が溢れ出てきた。

「ゎ、私ね、あのね、あと3ヶ月しか1ヶ月しか生きられないって…どうしよぅ、純!死にたくない。死にたくないよぉ…ずっと、純と一緒にいたいよ…」

こんなにも沙輝が乱れるなんて…沙輝は今までずっと弱気見せないで、いっつも笑ってて、きっと辛かったんだ。今、沙輝の心が崩れてしまった。これ以上、沙輝の心が壊れないように、僕が、僕が…

「沙輝、僕が守るから。ずっと…」

「純…。本当?ホントに本当?」

沙輝が瞳を潤ませながら僕をみる。

「僕の事、信じられない?」

「ちがッ!んっ」

なんかムカついた。信用されてないかと思うと、腹がたった。だからキスした。1ヶ月ぶりだ。

「僕の事、信じて。僕の想いが沙輝に届くまで、僕、毎日沙輝に会いに行くよ。」

「うん。純。信じてるよ」

◆◇◆◇◆◇

―君がいた季節―

「寒いね。李紅。」

「あぁ。風邪引くなよ!」

「あっ!男前発言!うける→」

「うっせー」

その時だった。

「あっ!雪だぁ!あーあ、純と見たいなあ」

「ヘーへ俺じゃ嫌ですか!」

今日は久しぶりに李紅がお見舞いに来てくれた。

「あっ!あのね、李紅。おねがいがあるの。…」

「…!えっ!」



その日の夜、僕が病院につく前に沙輝は亡くなった。綺麗な星空に日だった。

◆◇◆◇◆◇◆

―中学3年秋―

「おい!なにいってんだよ純!東京の高校行くって、逃げんのかよ!」

李紅が僕の胸ぐらを掴んで怒鳴った。原因は、僕が東京の高校に進学するって言ったからだ。僕は、嫌だった。この町を見ると、沙輝との思い出だけが鮮明に思い出される。

「やめて!二人とも。話し合おうよ!ねっ。」

「うるせえ!もう純には幻滅したよ!」

「まって!李紅!」

二人とも、教室を飛び出していってしまった。僕のせいで、僕らの心まで離れていってしまった。沙輝がいたら、なんて言ったかな?きっと、”早く仲直りしてこい”って背中押してくれただろうな。いっつもそうだったから。沙輝、ごめんな。


◆◇◆◇◆◇◆

今日は純が東京に出発する日だ。あの日、純と喧嘩してから、4ヶ月くらい李紅と純はろくに話もしてない。見送りに行くのを防ぐためか、李紅は”今日はデートしよう”って言い出した。

「…さっ!真亜紗!」

「えっ!何?」

「大丈夫か?ボーッとして!なんかあった?」

李紅が心配そうに聞く。

「李紅、やっぱり行こうよ。純の見送り。」

すると、意外な反応が返ってきた。

「行きたい。でも、ダメだ。今はダメなんだ」

こんな沈んだ李紅、初めてみる。

「なんで?」

「あの日、沙輝と約束したんだ。」



―1年前―

あの、初雪の日―

「あっ!あのね、李紅。おねがいがあるの。…」

「何?」

「純に、この手紙を渡して欲しいの。純の心が落ち着いたら。純は優しすぎて、立ち直れなくなったら、困るし!だからいつか、純の心が強くなったら、絶対に渡して。おねがい。…」

その瞳があまりに真剣な瞳をしてたから、俺は沙輝に圧倒されてしまった。最期に聞いた質問の答えが今も忘れられない。

「純の事、好き?」

”うん。宇宙1大大だぁい好き!」


◇◆◇◆◇◆

「沙輝は、強かったもんな。それに、純の事なんでもおみとーしってわけか!」

「そうだね。沙輝ちゃんらしいね。純が今度気持ちの整理がついて帰って来たら、その時に、手紙渡そ!今あったら、李紅、手紙渡しちゃいそうなんでしょ?」

「ははっ!ばれたか!」

純、もしお前が東京から帰って来たら、盛大に盛り上げてヤるぞ!楽しみに、まってるよ!

◆◇◆◇◆◇◆


◆◇◆◇◆◇◆

図書室の窓から空を見る。あの日のような綺麗な星空だ。

―純へ―

純、あなたがこの手紙を読んでる頃、私はあなたの隣にはいないでしょう。

純、あのリング、すっごく、うれしかった。

純といたときだけは、楽になれた。

純との思い出がたくさんありすぎて、溢れだしそうだよ。もし私が死んでも、悲しまないで。私はずっと、純の隣にいるから。もし、大人になって、好きな人ができたら、結婚して、幸せな家庭つくって下さい。どうか…どうか…おねがいです。幸せになって、純。それだけを祈ります。最期に、純、大好き。ありがとう。愛してる。愛してるよ。

―沙輝―

「…ふっんっ!さ、さき、沙輝、」

涙が止まらなくて、一時間近く泣いた。すこし、スッキリした。

さぁ!帰ろう!きっと皆遅いって怒ってる。ねえ、沙輝、僕もう、大丈夫だ。僕も愛してるよ沙輝。これからも、それは変わらない。

僕は歩き出した。新しい僕の世界で…

今回の”僕の想い君にとどくまで”はいかがだったでしょうか?字の間違いや、内容が分かりにくかったかも知れません。これからも彩紅羅をよろしくお願いいたします。

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