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第二十三話「囚われのアイシア様」②

「なぁ、リドル……そろそろ、出してもらえないかな? さすがに、この歓迎はないと思うぞ?」


 お兄ちゃんが交代で洞窟に入ってきたリドルさんと言う若いエルフに声を掛ける。

 どうやら知り合いらしい。


「すみません……僕もそう思いますし、出してあげたいのもやまやまなんですが……。エドさん達を監禁するように、上の人達が言ってるもんで、僕らの独断ではどうにも……」


「まぁ、そりゃそうだな……下っ端の辛いとこだよな」


「すみません……でも、長老達も意見が分かれているみたいで、ずっと大喧嘩してて、結論が出てないみたいなんです。僕らとしては、こんな横暴、許されないと思ってるんで、皆で抗議しようって話し合ってるとこですよ! だから、すぐに出れると思いますよ……あ、これ皆からの差し入れです」


 リドルさんは果物の入った籠を抱えていて、お兄ちゃん達に差し入れをしてくれてる。

 こっちにはなしかなー? って思ってたら、こっちにも来てリンゴくらいの大きめの樹の実を檻の隙間から手渡してくれた。

 

「ありがとっ!」


「いえいえ、こちらこそ……本当にご迷惑をかけて……」


 うん、リドルさん……イケメンだねっ!

 

 でも……これ……何?

 

 リンゴっぽいんだけど、色も茶色で手触りもザラザラしてるし、丸くなくって小さな実がボコボコと合体したような変な形をしている……これどうやって食べるんだろう?

 

 何と言うか……色といい形といいジャガイモを彷彿させる……。

 

「クロルの実って言うんですよ……そのまま囓ると、皮が渋いんで……ちょっと貸してくださいね」


 ソフィアちゃんにジャガイモもどきを手渡すと、最初にデコボコの部分を削ってから、器用にスルスルと皮を剥いて切り分けてくれる。

 

 果物ナイフなんかも別に取り上げられなかったし、銃火器類も手付かず……。

 まぁ、わたしに武装解除とか無意味なんだけど。

 

 ソフィアちゃんが樹の実を切り分けてくれたので、早速一切れ食べてみると、甘味が強くて、程よい酸味もあってとっても美味しいっ! 

 

「なにこれ! リンゴみたいだけど、酸っぱくなくって甘くて美味しーいっ! 見た目はジャガイモみたいなのに……不思議っ!」


「僕らは良く食べるんですけど……見た目が悪くて、街で売ってもあんまり買ってくれないんですよね……やっぱり、美味しいですよね? 今度から、皇女様のお墨付きって言って売ろうかな……」


 そう言いながら、リドルさんも何だか嬉しそう。

 

 こんな風に、割と入れ替わり立ち替わり、若いエルフの人達がせっせと差し入れをしてくれたり、毛布なんかを寄越してくれたり、何かと気を使ってもらってる。

 

 おトイレなんかも頼めば、行かせてもらえるし、食事もちゃんとくれる。


 品目は干物とか樹の実とか、謎のお団子とか……。

 基本的に、火を使わない物が中心で薄味なんだけど……エルフの人達の主食らしいので、贅沢は言えない。


 お風呂に入りたいとか話してたら、身体を拭くためのお湯と手ぬぐいを用意してくれて、先程まで皆で身体を拭きあったりなんかしてた。


 服の汚れなんかも、カティちゃんが使う聖術には、服の汚れとかを綺麗にする「清めの法」ってのがあって、一瞬で綺麗にしてくれたので、洗濯したてみたいになってる。

 

 ……これ、森の行軍中にも何度か使ってもらったんだけど、ある意味女の子にとっては超重要な魔術……。

 

 森の中の行軍や遠征ともなると、嵩張る着替えなんて、とても持ち歩けないから、いいとこ下着を変えたりするのがやっと。

 でも、何日も同じ服着てると、汗かいたり、泥やら草の汁で汚れてくるし、当然ながら臭くなってきたりする訳でして……皆、着替えとかどうしてるんだろうって思ってたら、聖術ひとつで服も脱がなくても、綺麗サッパリにしてもらえたと言う……。

 

 元々はお祈りとかの前に、身体を清めるって意味で使われてたんだけど、色々応用が進むうちに、こんな使い方が主流になっちゃったらしい。

 

 冒険者パーティに聖術使いが必須と言われるのも納得いった。

 

 泥水を真水に変えたり、食べ物を腐りにくくさせたりとかそんなのもあって、超便利!

 そう言う魔術があるって話は知識として知ってたけど、実際にその恩恵に預かるとやっぱり、魔術ってのは便利って実感できる。

 

 それと、先程……皆で身体拭きやってて判明したこと。


 ……ソフィアちゃん……結構、胸があった!

 カティちゃんとサティちゃんもそれなりで、わたしは……この4人でワーストだと判明。

 

 く、悔しくなんかないもんっ!

 

 ……それは、ともかく。

 それなりに気を使ってくれているようなのは、確かだった。

 

 それに、若いエルフの人達も長老たちへの抗議活動、わたし達の待遇改善の要求など……色々と手を打ってくれてるようで、それは彼らの親世代の人達も同様で……彼らにとっても、わたし達の扱いが不本意だと言う事は伝わってきていた。

 

 わたし達としても、彼らの立場を悪くするような真似は出来ないので、大人しくしていると言う訳。


 わたしを捕縛しようとしていた帝国兵に対しては、全く容赦しなかったお兄ちゃんも、このまましばらく様子を見るとのことだった。

 

 ……当然ながら、わたしも異存はなかった。

 何でもかんでも力づくで解決とか良くないっ!

 

 力づくなんて、他にどうにもならなくなって、初めて選択する手段なのだから。

 

 問題は、エルフの人達がわたし達を監禁して、どうするつもりなのかと言うことなのよねー。


 さすがに、殺されたりするような心配はなさそうなんだけど、理由が全然解らないのが困る。

 心当たりも全然ないし……。

 

 そもそも、シーリーちゃんの話だと、むしろ歓迎の準備をしてくれてるとか言ってたのに……なんでこんな事になってるんだろ。

 

「色々気遣いありがとな……お前らの気持ちは十分解った……お前らだって、不本意なんだろ?」


 隣の方では、お兄ちゃんがリドルさんと世間話を続けていた。


「そりゃそうですよっ! せっかく僕らエルフだって街に出たり、交易なんかも始めて暮らしも良くなったんですから! こんなバカな事、はっきり言って許せないですよっ! こんなの蛮族呼ばわりされてた頃とやってることが、一緒じゃないですか!」


 リドルさんが声を荒げている……何と言うか、普通にいい人だ。


「まぁまぁ……お前らも立場ってもんもあるからな。……気持ちはありがたいんだが、程々にして抗議活動なんかも自重しろよな……どうせ、お前らが騒いだくらいじゃ、あの石頭共は方針を変えたりしないんだろ?」

 

「……実際、そうなんですよね……すみません……本当に……」

 

 リドルさんが申し訳なさそうに、頭を下げる。

 

 そこへ、唐突に咳払い……別のエルフがやって来たようだった。

 リドルさんが慌てて、姿勢を正すと生真面目な顔をする。

レギュラー女性陣乳比べランキング。


プロシア>リーザ>越えられない壁>ソフィア>>サティ、カティ>シーリー、アイシア様。



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