プロローグ
突然の思い付き
かなりの不定期更新が予想されますが、よろしくお付き合いいただけると嬉しいです
昔から、迷子になった兄弟を探しに行って、自分まで迷子になることが多々あった。
方向音痴ではないけれど、好奇心が旺盛で、興味が沸けば、その心が赴くまま、ふらふらと消えてしまう片割れが迷子になるたびに、何度も手を焼いて…もう片方まで迷子になり、何故か原因である片割れに見つけられて、手を繋いで一緒に帰るということが、様式美化していた、幼い頃の思い出。
ミイラ取りがミイラ…だなんて、その話を聞いた友人たちは、声をそろえて笑って言って、意味がちょっと違うんじゃないかとか、納得いかないけれど、その通りだと、頭の片隅で思っていた。
片方がいなくなれば、必ずもう片方が、導かれるように相手を見つけ出す。
双子の神秘と周囲はいうけれど、特にそんなことはお互いに意識はしていなかったはずだ。
業務的というわけではないけれど、ある種の使命感があった。
相方は、自分が見つけなくてはいけないという、使命感と義務感。
ブラコンだ、シスコンだと周囲に言われ、お互いにその通りだとも思った。
たった一人の自分の兄弟。大切にするのは当たり前。
幼い頃に両親を事故で亡くし、父方の祖父母に育てられた。
祖父母の口癖は、「兄弟仲良く、助け合って生きていかなくてはいけないよ」
その祖父母も、中学、高校と相次いで亡くし、本当にたった二人だけの肉親になり、改めてお互いを支えるようになった。
でも、けして依存していたわけではない…と、思う。
自分以上に相手が大切で、高校生であるけれど、早く自分以外の大切な人…相方が「守りたい」と心から思え、相方を支えてくれる相手。
相方を「守って」、相方が支えたいと願う相手を見つけることを願っていたのだから。
けして、疎ましいわけじゃない。だけど、世界を二人きりの狭いものにしてはいけないと、お互いにわかっていたのだ。
いつか、離れる時が来る。
お互いに、片割れ以外の家族を見つけて。
でも、それは、「別れ」じゃなく、「分かれ」。
だからこそ、こんな別れ方は、絶対に嫌。
拝啓 君へ
お元気ですか、My Twin?
君と離れ離れになって、早行年、ただいま異世界迷子です。
これは、大事な片割れを見つけるまでの軌跡。
双子の異世界迷子譚。
待ってて、必ず、君の隣に戻るから。