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伝説のレフリー津久田健次郎、悪役令嬢に転生す。  作者: 南蛇井


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54/82

噂が国境を越えるとき、“国家の都合”で形が変わる

王都で生まれた、たった一つの“歪んだ真実”。

それが国境を越えた瞬間、

各国は自国の思想・歴史・政治的都合で、

まったく別の物語として再構築してしまった。


●北方連邦に届いた噂のバージョン

――精霊観測大国では「精霊現象」として変質する


北方連邦・氷霧図書院

広大な氷原に建つ、白銀の大図書館。


古代精霊術を研究する魔導士たちが、

最新の王国報告を手に取り、眉を上げた。


魔導士A

「……王国学院で“精霊干渉事故”の可能性?

 中心に少女がいた――と?」


魔導士B

「しかも、その少女が王太子の暴走を止めた、と……

 これは単なる事件ではなく、

 “精霊流の乱れ”が媒介を求めた可能性も……」


魔導士たちは息を呑む。

彼らにとって“謎の少女が中心にいた”などという情報は、

学術的興奮の塊でしかない。


魔導士C

「少女の体質……あるいは魂相が、

 精霊流の特異点になっていたのでは?」


すでに研究派遣の話が出る。


「観測隊を王国へ送るべきだ。

 前例のない現象だ。

 この少女は……精霊術史を塗り替えるかもしれん」


レティシアの名前は、

学術分野の“最高優先研究対象”に格上げされた。


●南方帝国に届いた噂のバージョン

――神権国家では「神意の預言者」へ変質する


南方帝国・神意殿

黄金の柱が並ぶ神殿の一室。


帝国神意官たちは王国の通信文を広げ、

揃って神妙な表情になる。


神意官A

「王国学院に……“新たな兆し”が現れた、と?」


神意官B

「神意の波形記録を確認しました。

 確かに、王国方面で軽い“揺れ”があります。

 少女がその中心にいた可能性がありますね」


その瞬間、空気が変わった。


神意官C

「――預言の芽、かもしれん」


神官たちが一斉にざわめく。

神意の“予兆”と認められれば、

帝国はそれを政治の切り札にできる。


「王国が抱えているという“少女レティシア”。

 帝国はこの存在を注視すべきです。

 場合によっては――

 帝都に招くことも検討すべきかと」


神意殿の最奥では、

影のような高官が静かに呟いた。


「王国の秩序が揺れる時、

 預言者は必ず現れる。

 ……今回の揺れは、利用できる」


帝国では、

レティシアは“神意の候補者”として扱われ始めた。


●周辺小国に届いた噂のバージョン

――軍事的脅威として再解釈される


小国・戦略会議室

国境沿いの小規模国家。

王国の動揺は、彼らにとって死活問題だ。


宰相

「……王国学院で王太子の地位が揺らいだ。

 それを止めたのは、身元不明の少女?」


軍務卿

「さらに宗教勢力が学院へ侵入したとの噂。

 これは――王国の内政崩壊の兆しと見るべきかと」


宰相は深い息を吐く。


「……王国が弱れば、その余波は我が国境を必ず直撃する。

 兵力再配置を検討せよ。

 念のため、貴族派と学院派の動きも監視する」


小国では、

レティシアの存在は政治的意味を持たない。

しかし、

“王国が不安定化している”というシグナルとして扱われる。


その結果――

軍備増強、同盟国との連携強化、

国境警戒の強化が次々と決定された。


●そして、それらの中心には必ず――


精霊の媒介

預言者の候補

王国弱体化の兆し


そのどれもが、

“レティシア”という名前を中心に再構成されていた。


当の本人がまだ

「今日の宿題やってない……」

程度のことしか考えていない間に。


王国の外ではすでに――

レティシアは国家情勢を揺らし得る人物として

極秘扱いされ始めていた。

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