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最弱の雑用係をクビになったら、万能補助スキルで王女様たちに奪い合われました ~追放から始まる逆転冒険ライフ~  作者: 妙原奇天


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第28話 暴走する勇者、王都壊滅の危機

 闇と光が交錯する広場。

 俺たちの共鳴の光で一時的に押し返したはずのアランが、再び立ち上がった。

 その身体を覆う瘴気は先ほどよりも濃く、赤い瞳は狂気に濁っている。


「レオンォォ……俺から全てを奪ったお前を……この街ごと滅ぼしてやる!」


 アランが大剣を天に掲げると、黒い霧が広場全体を覆い、空が昼なお暗く染まった。

 魔物の群れが次々と召喚され、民衆の悲鳴が響く。

「ひ、ひいいっ! 化け物だ!」

「助けて、英雄様!」


 俺は歯を食いしばり、すぐさま広域結界を展開する。

「〈補助術・広域防御結界〉!」

 光の膜が広場を包み、魔物の爪や牙を弾き返す。

 だが、アランの大剣から放たれる瘴気の奔流は、結界を軋ませ、ひび割れを走らせた。


「くっ……耐えられない……!」


 アリシアが最前線に飛び込み、魔物を斬り伏せながら叫ぶ。

「レオン! あんたが止めなきゃ、この街は終わる!」


 リリアも次々と魔法を放つが、闇に吸われて力を削がれていく。

「瘴気が魔力を喰ってる……長くは保てない!」


 ソフィアは震える声で祈り続ける。

「神よ……どうか、この街を……レオン殿に力を……!」


 結界が砕け散る寸前、俺の胸に熱い衝撃が走った。

 ――まだ足りない。

 守るだけでは、追いつかない。


 アランの剣が振り下ろされる。

 大地が裂け、王都の建物が崩れ始める。

 民の悲鳴が轟き、俺の耳を突き刺した。


「やめろおおおおっ!」

 俺は全身の魔力を絞り出し、叫んだ。

「〈補助術・究極共鳴――全体統合〉!」


 その瞬間、仲間との絆が光となって走った。

 アリシアの剣に黄金の刃が宿り、リリアの魔法は蒼白の雷となり、ソフィアの祈りが純白の翼を広げた。

 その全てを俺の術が束ね、一つの巨大な光柱となって天へ突き抜ける。


 広場の群衆が目を見開き、歓声とも悲鳴ともつかぬ声を上げる。

「な、なんだ……あの光は!」

「神の奇跡だ!」


 アランの黒い奔流と、俺たちの共鳴の光が衝突した。

 轟音が大地を揺らし、広場が白と黒に染まる。


「ぐぅぅ……まだだ、まだ俺は負けん!」

 アランが狂気の叫びを上げ、力をさらに解放する。

 闇の波動が膨れ上がり、広場の建物を次々と飲み込んでいく。


 リリアが必死に支えながら叫ぶ。

「このままじゃ王都ごと吹き飛ぶわ!」


 ソフィアの祈りが震えながら響く。

「レオン殿……どうか、最後の一歩を!」


 俺は歯を食いしばり、胸の奥に残る魔力をすべて掴み取った。

 仲間の声、民の叫び、国を守る誓い――その全てを光に変える。


「アラン……俺は英雄なんて望んじゃいない! でも守ると誓ったから……俺は、負けない!」


 光が爆ぜ、広場を覆い尽くす。

 闇と光が拮抗し、王都全体が揺れる中――次なる決着の瞬間が迫っていた。

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