#7 背中を押す一言
土手に着くと、優作は川辺に行く為の階段の中心に、シルバーはその少し上の段に腰掛けた。
そして数日前の、シルバーと龍司の戦い後、何があったかを優作は話し始めた。
~~数日前~~
シルバーが足早に階段を登り、土手を走って帰るのを2人は見送っていた。
シルバーが遠くに行ったため、優作も帰ろうとして龍司に声を掛けた。
「ほな、俺も帰るわ」
先に帰ろうとする優作を、龍司は後ろから声を掛け引き留めた。
「お前はこのままで良いのか」
「なにがや?」
「お前と、あいつのことだ」
その一声は、優作の眉間にしわを寄せさせ、立ち止まらせた。
「お前が戦いから一歩引いてから、あいつは確実に弱くなった、俺があいつの力になれれば良かったんだがな、そうはいかないらしい」
「……」
「今のあいつを鍛えられるのは、同じ師匠から剣術を学んだ、お前だけだ」
「……」
「お前、昔言ってたよな、【仲間の為に、全力になれない奴は、バカだ】と、今のお前は、本当に全力なのか?」
龍司が話しかけていた間、優作は終始無言だった。
龍司は言いたかったことを言い切ると、道具を肩に掛け、帰ろうと歩き始めたが、止まっている優作を少し通り過ぎた所で足を止めた。
「そろそろ下ろしたらどうだ、お前が背負っているもんを」
その一言を告げると、龍司は再び歩き始めた。
帰る龍司の背中を、優作はただただ見つめていた。
そして少ししてから、深い溜息をついて「アホらしい」と呟いたのだった。
至らぬ点も多々あると思いますが、「初心者が頑張ってるな」みたいな感じで今後も読んでいただければ幸いです