#6 背後に鬼あり
覚悟を決めたはずが、インターホンを押す指は震えている。
今、シルバーはある人物に会うため家を訪れていた。
(本当にあいつを俺の問題に巻き込んで良いのか…いやぁ…何を躊躇ってんだ、ここまで来て引き返すほど、俺は腐っちゃいねぇ)
再度決意を強く固め、インターホンを押そうとしたが、またしてもその指は止まってしまった。それは何故か、とある人物が、シルバーの背後から、首元に、刀を当てられてしまったからだった。
そして後ろの人物は口を開く
「おう、ちょっと待てや」
その一言は、ドスの利いた低い声で、シルバーの背筋を氷つかせた。
シルバーの頬には汗が伝い、2人の間に緊張の一幕が訪れる。
その緊張感の中、シルバーは恐る恐る口を開く
「おいおい…脅かさないでくれよ…優作」
そう、シルバーが覚悟を決めて会いに来た人物こそ、今、背後に居る男【優作】だった。
ただ、この低い声の時の優作はいつもとは違い、一言で現すなら【鬼】と現すぐらいの威圧感を放っている。そのためシルバーは恐怖を感じていた。
「……すまん、すまん、ちょっと悪ふざけが過ぎたわ」そう言いながら刀を鞘に納めた。
声のトーンは低い声から、いつもの感じに戻り、さっきのが幻かの様に思えるほどだった。
それでもシルバーは、動揺を隠せずにいた。
(なんで刀持ってんだ?封印したんじゃないのか?)
「まぁーなんだ、ここじゃなんだし、とりあえず場所変えようや」
「場所を変えるって…どこにだ?」
「うーーん…こっちやな」
そう言うと優作は、刀で肩を軽く叩きながら、土手の方向へと歩き始めた。
聞きたいことは色々あったが、とりあえず言われるがまま、シルバーも優作の背中を追いながら土手の方に歩いて行った。
至らぬ点も多々あると思いますが、「初心者が頑張ってるな」みたいな感じで今後も読んでいただければ幸いです。