#5 親友ならば
学校が終わり日が沈み始めた頃、シルバーは板チョコの様に舗装された土手で横になっていた。
(今日はほとんど気が抜けていたな、皆には心配かけちゃうし、授業も集中できてなかったし、よくねぇな)と夕陽が沈むのをただただ眺めながら、1人反省会をしていた。
それから少しばかり時間が過ぎた。日は完全に沈み、月が昇り始めたが、シルバーはまだ土手にいた。
そこに1人の人物が近づき、声を掛ける。
「よう、こんな時間にこんな所で、何してるんだシルバー」
「あー、進介か、どうしてここに?」
「なんなんだ…その体たらくは…」シルバーを見下ろす進介の顔は、呆れ顔になっていた。
「んで、なんで居んのよ」
「あいつらから連絡来たんだ、お前を鼓舞してやってくれってよ、面倒ごとを俺に丸投げしないで欲しいもんだ」
「すまねぇな、迷惑掛けたみたいでよ」そう言うとシルバーは上体を起こす。
2人の間には少しの静寂が訪れた。数秒して、進介は静寂を切り裂く様に声を発した。
「何を躊躇っている、お前はもう答えが出ているんだろ」
「何をって…だがよ、自分の問題に他人を巻き込む訳にはいかねぇだろ」
進介はそんな事を言うシルバーに、珍しく激昂していた。
「バカなこと言ってんじゃねぇぞ!頼り、頼られ、支え合う、それこそが【親友】ってもんじゃねぇのか!俺たちの関係を、他人なんて言う冷たい言葉で、語るんじゃねぇ!!」
シルバーはその一言で目を覚まし、決意を固め、立ち上がる。
「恥ずかしいね…そんな当たり前な事を忘れてたなんてよ…」
「たぁくよ、お前は周りが見えてないんだ、頼れる仲間がいることを忘れるなよ」
「ああ、そうだな、世話掛けた、そうなれば行動あるのみ、この恩は必ず返すぜ」
そう言うとシルバーはとある人物に会う為にその場から歩みだした。
「恩なんて感じる必要はない、強くなればそれでいいさ」
そうつぶやくと、進介もその場を後にするのだった。
至らぬ点も多々あると思いますが、「初心者が頑張ってるな」みたいな感じで今後も読んでいただければ幸いです。