緑青色の人形(三)
三
ダイニングルームに戻ってきた者達は皆、畏怖の眼差しを一点に向けていた。特に、館の再建以降彼女と常に一緒にいた小川の反応は凄まじく、さながら檻の中の猛獣を見るような視線を向けていた。多田は、VHSの一件で既に鴨川に違和感を感じていたのかもしれないが、その鴨川が鴨川ではなかったことに当惑した様子だ。
誰も席につく事なく入り口付近で立ち止まったまま、岸辺と向かいあって座る犯人の様子を眺めている。俊典一家を除いた全員が集まったことを確認すると、岸辺は煙草を灰皿に捨てて口を開いた。
「三宅の方から軽く話は聞いたことと思いますが、犯人が見つかりました」
先生は周知の事実も今一度口にすると、これまで犯人を前に述べたVHSの件や兼光氏の殺害方法、そして、犯人と鴨川との入れ替わりについて詳らかに語った。
「どうして姉を・・・二人を殺したんですか・・・」
小山内は鋭い視線を犯人に向け、震える声で訊いた。
机上についた自らの両手を呆然と眺めていた犯人は、一度横目で小山内を捉えると、すぐに視線を戻し、
「彼が大切にしていたものを奪うためです。あの男は足の悪い妻への気持ちを私にぶつけておきながら、妊娠が判ると、妻に知られることを恐れて私をこの島から追放したのです。多少の金こそ渡されましたが、それ以降は一切音沙汰なし。島へ何度も手紙を出しましたが、彼から返信が来たことは一度もありませんでした」
書斎の抽斗に仕舞われていた、差出人不明の手記—彼女の云う手紙とは、これのことだろうか。
「だからと云って、どうして殺すという発想になるのですか。まして、姉が命を奪われる理由などないじゃないですか」
小山内は鬼気迫る表情で使用人に向かって歩き始めた。それを多田が諫める。
「そうですかね。彼への罰としてはかなり効果的であると思いますけど」
多田の制止から必死に逃れようとする小山内に涼しい目を向け、犯人は述懐した。
その言葉に小山内はさらに我を失い、今にも襲い掛からんばかりに多田の手を振り払った。三宅も立ち上がり、放心状態の隆平の前を通って多田に加勢する。
犯人は我関せずといった面持ちで、再び視線を机上に戻した。
漸く正気を取り戻した小山内は二人に詫びると、極めて冷酷な口調で、
「警察の到着まで、あの人をどこかに監禁しておきましょう。もう顔も見たくありません」
犯人を睨みつけながら吐き捨てた。
「お待ちください」
岸辺は吹かしていた煙草を灰皿に落とすと、
「真犯人はまだ顔を出していません」
冥冥から困惑と動揺の声が漏れ出ると同時に、互いが離れるように距離を取った。
「安心して下さい。共犯者がいるわけではありません」
岸辺は犯人の方に向き直り、
「もういいでしょう。これ以上、黒田由美さんの名誉を傷つけるような真似はやめてください」
その言葉に犯人は瞠目した。これまで平然としていた彼女に明らかな動揺が見える。
「どう云うことですか?」
小山内の質問に答えることなく、岸辺は続ける。
「大体、自室に隠していたVHSを僕に回収された時点で、あなたは自身の犯行が露呈したことが分かっていたはずです。ですから僕はてっきり、諦めて自供するか、強硬手段で僕達の調査を妨げてくると思っていました。しかし、あなたは一切取り乱すこともなく、平然とリモコンを渡し、これまで通り鴨川黎子として、僕達の調査に協力する素振りを見せた。疑問に思っていました。犯行が暴かれたのに何故そこまで落ち着き払っていられるのかと」
「・・・まだ何か策があったということですか?」
小山内は畏怖の眼差しを犯人に向けながら呟く。
「ええ。島外に逃げることができなくても、自分の本当の素性さえ知られなければ、まだ挽回の機会があると踏んでいたのです。だから、リモコンを隠すというような変な抵抗は早々にやめて、黒田由美として自分が犯人だと認めた。先程まで、全ての犯行を鴨川黎子さんに着せようとしていたように、今度は罪の転嫁先を黒田由美さんに切り替えたのですよ、本当の自分を守るために。—できれば、あなた自身の口から話してくれることを期待していたのですが。この期に及んでまだ逃げ果せる気でいたのですか」
「云っていることがよく分かりません。この人は黒田さんなのではないのですか?」
多田が険しい表情で、宙を仰ぐ。
「僕は一度も彼女のことを黒田由美さんであるとは云っていませんよ。第一、樹海で発見された遺体からは黒田由美さんのDNAが検出されていますからね」
「これ以上あなた方にお話することはありません。これが全てです」
当の彼女は機械的に断言する。
岸辺は一度煙草を深く吸い込み、吐き出す。
「あなたは、鴨川黎子さんの皮を被って兼光氏を殺害したように、黒田由美さんの皮を被って雪子さんを殺害している—ですよね、灰原楓さん。畢竟、全てあなた一人の犯行です」
「どういうことですか。黒田さんは?」
久しぶりに声を出した三宅の疑問に、
「本当の彼女はこの島に戻ってきていない。完全なる被害者だ」
岸辺はそう答えると、証拠を挙げはじめた。
「始まりは、鴨川さんの振る舞いに対する不信感でした。鴨川さんの履歴書を拝見した際、彼女には看護師の経験があることが分かりました。しかし、当の彼女には看護師をしていたような素振りはまるで見られなかった。体調不良の美香ちゃんへの対応も小川さんに任せていましたし、真希さんが倒れた時も傍に膝をついて見守るだけでした。いくら、同じ元看護師の小川さんがいるからといって、ただ傍で見守るというのは、何十年も看護師をしていた人の行動とは思えません」
小川は思い出したようにハッと顔を上げると、視線を犯人に向けた。
「二つ目は利き手です。僕はいつもの癖で、この館内にいる全員の利き手を確認していたのですが、その結果ご主人と僕を除いた全員が右利きであると分かりました。しかし、兼光氏の書斎の棚。あそこには五十音順でVHSが並べられていますが、『大江戸惨殺譚』が置かれていた位置の右隣のVHSだけが、埃が払われた状態で五十音反対に並べられていました。その段は、僕の身長よりも高い棚の最上段です。恐らく、最上段の『大江戸惨殺譚』のVHSケースを取ろうと手を伸ばした結果、左隣にあった作品にまで指をかけて、落としてしまったのでしょう」
「何故、左手だと分かるんですか?」
小山内が指摘する。
「身長が165cm程の人であれば、目的のVHSの真下に立ち、つま先立ちで手を伸ばすことで、漸くVHSケースに指がかかります。それ程の高さのものを取るときには、僕達は基本的に人差し指と中指、薬指を使いますよね。原則として、そのような正確性が求められる場面では、利き手を使いたがるのが人間の心理です。そして、ご主人の部屋には、椅子のように踏み台として用いることができるものはありませんでした。ただでさえ、一目を盗んで書斎に忍び込んでいる最中に、わざわざ一度書斎を出て、他の部屋から踏み台になるものを持ってくるとは考えにくいですし」
立ち上がった岸辺は左腕を頭の真上に上げ、動きを再現しながら説明をする。
「取りたいVHSケースがどれか確認するために、当然顔も上げます。しかし、望みのVHSに人差し指、あるいは人差し指と中指の二本をかけた時点で、上げている自分の腕も顔の真上に位置することになります。その時、上げたのが左手であれば、望みのケースの左隣が、右手であれば右隣のケースが、自分の頭上の掌によって隠されてしまいます。そして、落ちていたのは、左隣のケースでしたし、それには一つ分の指の指紋が残されていました。このことから僕は、犯人は左手でVHSを取ったと仮定しました。しかし、今や僕以外に左利きはいないはずだと。このことから、故意に自身の体質、或いは身分を偽っている人物がいる可能性に気づきました」
岸辺は一度溜息のように紫煙を吐くと、
「かくして僕は、誰かが鴨川さんになりすましているのではないかという疑問を抱きました。では、その正体は誰なのか。当然初めに疑ったのは、二年前の事件の容疑者である黒田由美さんでした。二十年ぶりに使用人としてこの島を訪れ、雪子氏を殺害した彼女はその後、同じく事件に居合わせた同僚である鴨川さんを殺害し、邸宅の再建以降は鴨川黎子として現在まで働いていたという流れです。しかし、樹海で発見された黒田さんの遺体からは当人のDNAが検出されていると云うことなので、大変頭を悩ませていました」
「どういうことですか、犯人は灰原楓なんですよね。結論から述べてくださいよ」
興奮気味の小山内に気圧され、岸辺は少し動揺した。
「え、ええ、すみません。正直な話、僕も彼女の正体が灰原さんであると気付いたのは、つい先程のことなのです。そして、三つ目の証拠。僕の抱いていた仮定が確証へと変わったのは、 この首飾りです」
そう云って岸辺はコートの内側からまた何かを取り出した。
「どっかで見たことある気がするわ……ああそれ、真希様が持っていらした首飾りですか」
岸辺が手からぶら下げた薄紫色のそれを見て、小川が思い出したというように呟く。
岸辺は頷き、
「先程灰原さんの部屋を確認させて頂いた時に、抽斗の中に置かれていたこれがふと目に留まりましてね。真希さんは特別な日に、母親の形見の首飾りを着けていたと話しており、二年前の火事の際にその首飾りを取り忘れてしまったことをとても悔んでいました。生憎、その火事で二階は全焼したので、本来であれば、真希さんの部屋に残された首飾りも当然残っていないはずなのです。そして、その真希さんに火事のことを報せに行ったのは、当時黒田由美さんに扮していたあなただった。美香ちゃんを抱いて真希さんが部屋を脱した後、あなたは部屋の中にこの首飾りが残っていることに気づき、回収したとしか考えられません」
「違いますね。それは私が知人からもらったものです。勝手に人の部屋を漁っておきながら、証拠を捏造するとは趣味の悪い」
自称黒田由美は嘲笑するように云った。
「無理がありますね。これはあなたが娘である真希さんにあげたものです。フランスで買ったと云うのもあなたなのでしょう。それを自分が一番分かっているはずです。小川さんにも見覚えがあるようですが、偶然真希さんの首飾りと全く同じものを別で持っていたと云うのですか。蓋し、火が差し迫っている部屋の中に取りに行くような危険な真似は他人にはできません。この首飾りは、真希さんにとっては母の形見であったと同時に、あなたにとっても宝物だったのでしょう。しかし、これを真希さんに返せば、自分の行動を不審がられてしまうかもしれない。だからあなたは自分で保管していた」
そして、岸辺は首飾りの中心に据えられたアメジストを裏返す。
「裏に刻印が掘られています。かなり古いもので少し滲んでいますが、確かにK.Hと。この首飾りを購入した人物、灰原楓のイニシャルが掘られていますね」
三宅は顔を近づける。確かにかなり年季が入っているが、確かにイニシャルを確認できる。
「そして肝心の灰原楓さんの利き手。先程確認した『大江戸惨殺譚』では、左手で吹き矢を構えていた。—紛れもない左利きです。そして、先程勝手にもあなたの部屋を覗いた時、カップは持ち手が左側になっていました」
その時、小川がハッと何かを思い出したような声を出した。
「ほんなら、あれですか。来たばっかりの頃のあれもそうですか」
「そうです」
小川の曖昧な発言の意図を汲み取ったらしく、岸辺は頷いた。
「多田さんが証言していた、事件前の黒田さんの不審な行動。彼女が皆さんと食事を取らずに、自室で食事をしていたと云うのもこれが理由です。入れ替わりを行なった後に利き手の問題に直面したのでしょうから、黒田さんとしてこの館に来たばかりのあなたは、まだ右手では自然に食事が摂れなかったのですね。その後の努力の甲斐あって、今では難なく右利きを装うことができるようになったものの、誰にも見られない場所では使い勝手が良い利き手を使用する。そんな器用な使い分けさえも可能になったのでしょう」
灰原楓はその指摘に反応を見せず、あいも変わらず虚な目をしていた。
「何か反論は?」
岸辺は尋ねたが、灰原は何も云わない。力無く項垂れ、反駁する気力を失っているようだ。岸辺は吸い終えた煙草を灰皿に捨てると、灰原に向かってではなく、扉の前に集まっている群衆に向かって説明を始めた。
「灰原さんの計画は二十五年以上前から始まっていました」
岸辺の眴を受け、三宅は何十枚もの手紙と履歴書を机上に広げる。
これは全て、兼光氏の書斎机の、鍵がかけられていた抽斗に保管されていたものだ。
「兼光氏と雪子氏の人気は役者引退後も顕在で、この館の使用人という職への応募者はかなりの数でした。しかし、届いた数多の履歴書の内に、奇妙なものも紛れていました」
「奇妙?」
小川が合いの手を入れる。
「ええ、多田さんが応募者の中に娘である夏美さんの名前を見つけたのですが、履歴書に記された日付には既に亡くなられていると。違和感を感じて、三宅に警察の方に問い合わせてもらった結果、次の結論が出ました。それは、二十年以上前から届いていた履歴書の内、女性名義で届いたものの内の約半数—四十三通は、履歴書が出された時点で既に亡くなられている人の名義で出されていました。その全員に見られた共通点は、二十代から四十代で亡くなられていること。そして、新聞やニュースが取り上げることのない病気や事故で亡くなった方達です。これが何を意味するのか。——[灰原楓]としてこの地を踏むことはできないことを分かっていた彼女は、二十年以上前から、自分と似た年齢、身長の亡くなった女性の名前を拝借して、使用人の職に応募していたということです。この島で世間の様子を知ることができるのは、テレビと新聞のみ。周囲の人間を欺きながら赤の他人になりすまして生活するなど、本土では到底不可能ですが、世間から断絶したこの島でなら可能なのです」
聴衆は呆然と口を開いたまま、絶句している。
「しかし、彼女の目論見は二十年経っても奏功しなかった。二十年もの月日を費やすひたむきな姿勢は見習いたいですが、何故そこまでするのかがまるで分からない。……そもそも、船でこの島に侵入すると云う手もありますからね—でも、そうか。あくまで他人を犯人に仕立てあげようとしていたから—でも、既に灰原楓は死んだことになっているのだから、犯行後は船で逃げてしまえばいいのでは—」
「先生、先生」
三宅は、いつの間にか問わず語りを始めた岸辺の肩を揺すった。
正気を取り戻した岸辺は失礼、と詫びると、
「えー兎に角、この島に来る為の「役」を探していた灰原さんの格好の標的となってしまったのが、あの黒田由美さんだったのです。黒田さんの履歴書に書かれていた電話番号に電話を掛け、黒田由美さんの母、アキさんからお話を聞くことができたのですが、彼女によれば、いわき市で和菓子店の経営に勤しんでいた由美さんは、失踪の三ヶ月前に癌が発覚し、精神的にも参っていたそうです。これはあくまで推測ですが、精神的な疲労を抱えた由美さんは、心理カウンセリングを受診し、そこが同市にある、灰原さんが当時勤めていた精神科だったのではありませんか。そこで偶然にも二人は出会ってしまった。灰原さんはカウンセリングを通して黒田さんの話を聞くうちに、彼女がかつてこの島で使用人として働いていたことを知った。その時の彼女の驚きは計り知れない程のものだったでしょう。なんせ、二十年以上探していた絶好の「役」が向こうから現れたのですから」
岸辺は一枚の履歴書の手に取る。それは、二年前に黒田由美名義で出されたものだった。
「そうして灰原さんは、カウンセリングの名の下に黒田さんの来歴や性格、使用人時代の様子や細かい仕草まで、あらゆることを聞き出して着実に入れ替わりの準備を進めた。その間に黒田さんの名前と写真を用いて履歴書を出し、幸運にも、いや、不幸にも書類選考を通過し、黒田由美さん当人の知らない間に、兼光氏との面接まで漕ぎつけていたのでしょう」
脳内に流入し続ける信じがたい情報に三宅の脳は拒否反応を示す。吐き気を催し始めた。
他の人も同じようで、今や誰も口出しすることはない。
「灰原さんは事前に、北海道に転勤になったという旨を告げて真希さんと暮らしていたいわき市の家を離れていた。そして、入れ代わりの日。旅行に行くと云って実家を発った黒田さんを誘拐し、どこか人目につかない場所に監禁、或いは殺害した。その前後で顔をそっくりに整形し、灰原さんは黒田由美としてこの島を訪れた。準備の甲斐あってか、その演技は兼光氏をも欺き、面接を突破。彼女は遂にこの島に足を踏み入れてしまったのです」
自らの犯行の軌跡を語られる灰原は、相変わらず感情の籠らない目を宙に向けている。
岸辺の話も碌に耳に入っていないのかもしれない。
「そして約一年間、次の入れ替わり候補を探しながら使用人として働いていた彼女は、翌年の兼光氏の誕生日に第一の犯行を決行。入れ替わりを念頭に置き、明確な痕跡は残さないようにしながらも、後の警察の捜査で黒田由美———自分に疑いの目が向けられるように動き、犯行を完了した」
「……だから、どうして姉なんですか」
小山内は怒りを露わにしながら尋ねた。
その質問に岸辺は灰原の顔を見やるが、当人が答える気配はない。
小山内は両手で目を覆い、自分を落ち着かせるように深呼吸する。それを何度か続けると、諦めるように、
「……では、姉の……姉の死因はなんなのですか」
荒くなった呼吸の隙間からなんとか捻り出すように尋ねたが、灰原は沈黙を続ける。
「あくまで推測ですが」
見兼ねた岸辺がそう前置いて話し始めた。
「雪子氏の身体には、頭部に締め付けられたような痕は残っていたものの、直接的な死因となる外傷は見当たらなかった。他に見られたのは、左腕にあった火傷の痕だけ。俊典さんは、館から運び出した時にできた火傷であると云っていましたが、これが殺害の痕跡なのだと思います。しかし毒物の反応は検出されていないため、注射痕を隠すためのカモフラージュという訳でもない。————雪子氏の死因はショック死であると、そう考えています」
「ショック死?」
三宅を皮切りに、各人から困惑の声が漏れる。
「とある科学実験の話です。視覚を塞いだ囚人を椅子に縛り付け、肉体のどこかを切って軽く出血させた後、水が滴り落ちる音を半永続的に聞かせ続ける。すると、実際の出血量は生命の維持に影響しないほんの微量であるにも関わらず、囚人は自らの肉体からどんどん血が抜けていると錯覚し、終いにはその恐怖によってショック死してしまった、というものです」
「そんな—実際の出来事ではないでしょう。俄かに信じられません」
小山内は訴えるように反論する。
「ええ、僕も大方同感です。ですが、必ずしも起きないとは限らないのです」
岸辺は人差し指を立て、第二の事例を説明し始めた。
「似たような話では、このようなものもあります。縛り付けて身動きできない囚人に火で鉄を炙る様子を見せた後、視覚を塞ぐ。そのまま鉄を炙る音だけを聞かせ、それを囚人の肉体に当てると告げる。実際に囚人に当てるのは常温の別の鉄でも、熱された鉄を当てられたと錯覚した囚人はショック死してしまうという。暖炉の前で車椅子に縛られていた雪子氏————その頭部には視界を覆い隠すように何かを巻かれた痕—————どうですか、灰原さんはこの方法を用いたと思えませんか。蓋し、灰原さんは人の心理に深い造詣を持つ心理療法士。その知識を、人を救うためではなく人を陥れるために使うこともできる。車椅子に縛り付けた雪子氏を言葉巧みに恐怖の底に貶め、引導を渡したのです」
岸辺は灰原の方に向き直り、彼女の反応を伺う。
「この突飛な方法であれば、主たる外傷や痕跡を残さずに済む。結果として警察の捜査は難航してしまったのです」
岸辺の視線に灰原は微かに口角を上げて、
「かなりの慧眼ですね」
自分の出した難問を解いた生徒を褒め称える教師のように二、三度拍手した。
岸辺はそれを受け、
「そうして犯行を完了した後、遺体発見者として、各室で眠っていた全員を部屋に呼び、その前後に二階のどこかに火をつけた。当時の館は大部分が木製だったこともあって火は瞬く間に広がり、全員を館外へ脱出させた。そして、警察による事件の捜査のため、舞台は本土に移り全員が個々で取り調べを受けていた矢先、灰原さんは遂に第二の入れ替わりを敢行したのです。多田さんと島に戻った兼光氏の依頼によって、事件の捜査が終わるまで各々が本土で生活することになって三ヶ月後、————1991年の二月に、黒田由美さんの遺体を遺書とともに樹海に遺棄することで、全ての罪を彼女に擦りつけたと同時に、更なる犯行のために、本土で暮らしていた鴨川黎子さんと入れ替わった」
小川はがくりと力無くその場に倒れ込んだ。
「それから十ヶ月経った館の竣工後、鴨川黎子としてこの島に戻ってきた灰原さんは、新たな役に適応しながら、第二の犯行に備えていたのでしょう」
岸辺は煙草の煙を吐き出しながら、灰原の方に視線を向け、
「使用人鴨川黎子として島にいるのであれば、わざわざ他の客人が訪れ、容疑者が増える誕生日ではなくても犯行に臨むことも可能だと思いますが、兼光氏の誕生日————今日まで約一年間計画を実行しなかったのはどうしてなのでしょうか。今日まで息を潜めていたのには何か特別な理由があるのですか」
岸辺の質問に、全員の視線が灰原に集まる。しかし、呆けたように呆然と机上の履歴書を眺めている。
岸辺は改まった様子で咳払いをすると、第二の犯行について話始めた。
「今朝の第二の犯行でも、当初あなたは二年前と同じ方法を用いるつもりだったのではありませんか。兼光氏は、記念日の朝に『大江戸惨殺譚』をシアタールームで鑑賞するという習慣があったそうですね。以前は雪子さんや息子さん達と一緒に観ていたようですが、最近は一人で鑑賞していたと。つまり、一度上映が開始すれば、上映終了までの約90分間兼光氏は一人、完全防音のシアタールームは犯行に絶好の場所だと云えます。その事情を知っていた灰原さんは、当然今朝も兼光氏一人での鑑賞だと踏んで、予めシアタルームに侵入し、後部座席に潜んでいたのでしょう。——これは今朝の事件後、映写室に落ちていたものなのですが」
岸辺はズボンのポケットから、布切れを取り出した。
「これも、雪子氏の時と同じように兼光氏の視界を塞ぐために用意していたものだったのでしょう。ところが、僕と三宅という招かれざる客人の存在によって、この計画は大きく狂うことになった。だからこそあなたは土壇場で計画を変更せねばならなくなった」
岸辺はそう云い終えると、表情を幾分引き締めて神妙な面持ちをつくった。
「しかし、凶器に吹き矢を用いた理由を考えるのは、かなり難解です。推測としては、手足を縛るためにまず眠らせる必要がありますから、麻酔を打つために用意をしていたということ。二つ目は、当初の方法が失敗した場合に備えて、島内で採取した鳥兜の毒と共に用意していたということ。そして最後は、自分の正体を暗示するため。長年自分という人格を殺して他人を演じ続けていましたから、兼光氏殺害において、自分が演じた廉と同じく吹き矢を凶器として用いることで、僕達、或いは、兼光氏に自分の正体を知らせたいという願望が働いたのかもしれません。雪子氏と同様の方法での殺害を企てていたのであれば、身動きのできなくなった主人を殺害する前に、自身の正体やこれまでの思いを明かそうと考えていてもおかしくないですから」
先生は灰原楓の表情を伺いながら説明をしたが、当人はそのどれにも反応を示すことはなかった。
岸辺は彼女の態度に拍子抜けしたように溜息を吐くと、
「まあ、理由がどうであれ、計画を変更せざるを得なくなったあなたは、持ち合わせの道具で計画を遂行しなければいけなくなった。今朝の時点で主人に不審な手紙が届いている以上、計画を中止したとしても疑われることなくシアタールームを辞すことなど不可能ですからね。そうして、あなたはその時持っていた吹き矢と鉢巻状の布、そしてライター類を用いて次善策を捻り出した。ライターもまた、二年前の時と同じ用途で持っていたのでしょう。そしてあなたは、目の前で上映している『大江戸惨殺譚』の映像を駆使するという妙案を思いついた。鑑賞中ほんの一瞬映像が停止した時がありましたが、その時に灰原さんはライターと布を用いて時限でフィルムに燃え移る仕掛けを施したというわけです。突然の事態に冷静さを欠いた僕達はまんまと術中に嵌まってしまいました」
岸辺は説明を終えると、気のない顔で煙草を吹かす。
「事件の全貌を概観すれば、灰原さんの目的、それは二人を殺害することで道源家の持つ莫大な遺産を子供の元に流すことだったと考えることができます」
「子供?俊典様と隆平様……美香様ですか。でも、何故彼女が三人のために?」
多田は自問するように呟く。
「いえ、もう一人—真希さんがいます」
途端に灰原の目に意識が戻った。
「真希さんは亡くなった父親について母親であるあなたから、役者の引退後専門学校で出会ったと聞かされたと云っていました。しかし、真希さんは現在三十一歳、俊典さんより一年早く生まれています。俊典さんが生まれたのは両親兼光氏と雪子氏が役者業を引退した年、その頃灰原さんもまだ女優として活動していたはずです。畢竟道源真希さんは、兼光氏が雪子氏と出会う前に、灰原さんとの間にできた子供だと考えることができます」
「では、美香ちゃんは……」
小山内さんが恐る恐る呟いたが、その先は口にしなかった。
俊典と真希夫妻は、共に兼光氏の血を引いていると云うことを。
「ええ。二人の殺害を終えた灰原さんは、娘にさえ本当の名前を明かさずに姿を消し、黒田さんの時と同じように、鴨川さんの遺体と遺書をどこかに残すことで、罪を全て死人になすりつけるつもりだった。その後はまた別の人と入れ替わり、平穏な余生を過ごすつもりだったはずです。しかし、真希さん本人は何も知らないのでしょう。子供には罪はありません。真希さんと俊典さんの出会いにはあなたが関与しているようですが、真希さんは純粋な愛情を彼に抱いて結婚したと思いますし、当然、母親は現在北海道で暮らしていると思っている。あなたはそんな純粋無垢な娘を利用したのですよ、己のエゴのために」
灰原は途端に顔を顰め、過剰とも云える程強く反発した。
「たかが金のために、このようなことをしたと思われるとは、遺憾です」
岸辺は少しの間考え込むと、納得したような面持ちで、
「成程。確かに、計画自体は真希さんの生誕と同時期に始まっており、真希さんが俊典さんと結婚したことも必然ではない。それに、二つの犯行日程を兼光氏の誕生日にしている点や、吹き矢を用いたことからも、灰原さんには何か特別な意味があったと考えられる」
岸辺は説明を終えると、深く溜息を吐き、灰原の方へ顔を向ける。
「—どうも気になります。あなたをここまで動かした理由、動機が。是非ともお聞かせ願いたい」
ふうっと、灰原が溜息を吐いた。
「その首飾り、返してもらえませんか」
岸辺が差し出したそれを受け取ると、灰原は慈愛に満ちた表情で眺める。
「これ、フランスで兼光君と買ったものなんです」
三十年以上体内に蓄積されていた澱が吐き出されたのか、憑き物が落ちたような妙に清々しい顔だった。
「これは私のイニシャルではないのです。私と、兼光君の役者名—道源寺〈H〉鳳氏と青柳〈K〉加那のイニシャルです。兼光君が持っていたもう一つの首飾りには、私達二人の本名のイニシャルが刻印されていたはずです」
これまでの「黒田由美」としての話し方、仕草、声色もまた今や完全に消え去り、目の前の彼女は文字通り完全な別人となっていた。
灰原は横目をキッチンの方へ向ける。
「それに、あの古いレンジ。あれも彼の誕生部に私が送ったものです。彼、昔お母さんに一回だけ作ってもらったタルトタタンが好きだったって云うから、私がよく真似てつくってあげていました。そうしたら、彼、何度も美味しい美味しいって、そう云いながら食べていたんです。—私たちは誓い合った。二人で幸せになるって。それは何にも勝る誓いでしょう。でも兼光君は去っていった」
「去っていったというのは?」と、岸辺。
「横濱の赤煉瓦、いつもの待ち合わせ場所でした。いつも予定より五分遅れて来る彼が、三十分も早くきたと思ったら、彼は突然、『もう終わりにしよう』とだけ云って去って行きました。私はずっと戻ってくるのを待っていたのに。夜が更けても、陽が落ちても来なかった。その内兼光君は仕事を辞めてあの女と結婚すると。そうしてこの島に来たようですが、私が手紙を出しても彼は返事をくれませんでした。いつ戻ってきてくれるのか知りたかったので何度も出したんです。ずっと待っていましたから。でも、彼からの音沙汰はない。だからもう、私の方から彼を迎えに行こうと思いました」
「兼光氏と縁を戻すために、雪子氏を殺したと?なんて身勝手な」
突き刺すような岸辺の指摘に、灰原は強く反駁する。
「身勝手?違いますね、愛ですよ。ですがあなたの云う通り、私は兼光君と再び一緒になるためにこの島に来ました。だから、小山内……小山内雪子さんには安らかに眠ってもらいました。そして、漸く彼に私の本当の名前を告げ、一緒になれると思っていたのに。ある時偶然、彼の書斎の傍に置かれたあの人形が目に入りました。私は今も綺麗な青銅色のまま大切に持っているのに、彼の人形はすっかり錆びて変わり果てた色に。そうして悟りました。もう彼は私の元に戻るつもりはないと。だから、彼にも眠ってもらうことにしました。兼光君にはできる限りの苦痛を味わって欲しかった。苦しんで欲しかった。私の元から去ったことを悔やんで欲しかった。あなた達が居なければ、最後に二人で話をしたかった。私はただ彼一筋に想い続け、名前も、見てくれをも変えて彼に会いにきたのに。彼はそんなことにも気付かずに、死んだあの女のことばかり口にする。こんなのあんまりです」
小山内が説得するような口調で云う。
「何故、そこまで兼光さんに執心していたんですか。彼にはもう愛する妻子がいたというのに。あなたのその身勝手な執着のせいで……姉も、兼光さんも、俊典さんも隆平さんも、それに真希さんまでもが、苦しみを今後一生背負い続けることになるんですよ」
「彼は、私が人生で初めて愛した男性でした。そして彼もまた、私を一生愛すると、そう誓ってくれた。愛は永遠でしょう。私は彼との約束を守り、彼が戻ってくるのを待っていただけです」
彼女の言葉は、心の底から自分が被害者であると信じて疑わないというような言い草だった。
と、そこで三宅は気づいた。居ない。一人欠けていた。
「おやめください」
それに気づいたと同時に、小川が叫ぶように声をあげた。
小川の視線の先、——キッチンの方へ振り向くと、そこには隆平が立っていた。
壊れた人形にようにカタカタと肩が揺れ、右腕には果物ナイフが握られている。
完全に正気を失い、頻りにぶつぶつと呟く彼の双眸が一点に捉えているのは、両親の敵だった。彼は一直線に歩を進める。
「落ち着いてください。隆平様」小川が叫ぶ。しかし、彼の耳には入らない。
座ったままの灰原は横目で隆平を捉えながら、微かに口角を上げる。
「隆平様、おやめください。お気持ちは分かりますが、このようなことをしても兼光様も雪子様も浮かばれません」多田が背後から隆平を止めようとする。
「両親はもう死んでるよ。黒田さんも鴨川さんも皆、こいつのせいでな」
隆平は漸く声を発した。酷く震えて乾いた声だった。多田の賢明な説得も叶わず、隆平は歩き続ける。やがて、灰原の席の背後で立ち止まると、右腕を振り上げた。
ナイフの鋒が灰原の頭頂部に向けられる—三宅は思わず目を背けた。
しかし、その右腕が振り下ろされることはなかった。小山内が全身の力を込めて隆平の腕を抑えていたのだ。
「お願いです。どんなに憎くても、両親はそんなこと望んでいません。彼女の罪は、法が裁いてくれますから。あなたもこれ以上苦しみを抱えなくてもいいんですよ」
小山内は眦に涙を浮かべながら、囁き声のような掠れた声で云った。
隆平は途端にがくりと項垂れ、腕に込めていた力が抜けた。ナイフも地面に落ちる。隆平はそのまま床に膝を突き、悲しみを押し殺すように呼吸を続けながら頭を抱える。
しかし、落ちたナイフは他の者に握られる。
「灰原さん、やめてください」
岸辺の制止はまるで気にも留めず、灰原は左手に握った凶器を頸動脈に当てた。
「岸辺さん。あなたは、私がまた入れ替わりを行うつもりであると云っていましたね。はなからそんなつもりなんてありませんよ。もう生きる意味もありませんし、これが済めば誰にも見つからない場所で一人、命を絶つつもりでしたから」
「それはあくまで、『鴨川黎子』、或いは『黒田由美』として、ですよね。そうすれば最後まで誰もあなた——灰原楓の存在に気づくことはないですから。ですが、もう既にあなたの正体は白日の下に晒された。どう足掻いてもあなたの名前が世間に公表されることを防ぐことはできません。ここで命を絶ったとしても、ただ現実から目を背けるだけの空虚な現実逃避に過ぎません」
「もう、どうでもいいのです。なんだか疲れてしまって。兼光君と死に場所を共にできるのであれば本望。—では」
「—真希さんはどうなるんですか?」
灰原は動揺を露わにし、ナイフを握る両手の力が抜ける。
「あなたは娘である真希さんに自己願望を投影していたのではないですか。道源の名を持つ男性と結ばれるという自身が叶えることのできなかった願望を、娘である真希さんに叶えさせようとした。だから、真希さんに俊典さんのスタジオを紹介したのではないですか。ただあなたは、灰原楓という存在を世間から消す際、娘を一人残してしまうこことに負い目を感じていた。あなたは二人の使用人という役を通して、真希さんを間近で眺めていたのでしょう。しかし今、この愛憎混在の犯行計画は完了を目前にして失敗した。明日には警察がここを訪れ、あなたの名はこの凄惨な事件の犯人として報じられることになる。当然、真希さんと俊典さんも知ることになります。—もしそうなれば、あの家族はどうなってしまうでしょうか」
灰原はがくりと項垂れ、肩を震わせる。
岸辺はこれまでよりも幾分声の調子を落とした。
「真希さんが今のあなたを見たら、どう思うでしょうか。自分の母親が、精神的にも肉体的にも変わり果てた姿で目の前に現れたら、何を思うでしょうか。生憎、兼光氏と真希さんに対するあなたの愛は紛れもない本物でしょう。ただあなたは、その愛によって二人を不幸にした。もう他人を演じるのはやめて、せめて最後くらいは、黒田由美さんでも鴨川黎子さんでもなく、灰原楓として、母親として、真希さんに自分の罪を告白してください」
ナイフは落ち、灰原楓は慟哭した。長年の時を経て錆び付いてしまった愛情が留めどなく溢れていく。それは数分にも数時間にも感じられる、奇妙な感覚だった。
やがて彼女は力を振り絞るようにして立ち上がり、ふらつく足取りで部屋を出て行く。
スクリーンの中では、豆太郎と廉の手が重なっていた。
—ごめんね、楓。もうパパとは会えないの。
『どうして?』
—初めまして。これからよろしくね。それと、娘達とも仲良くしてあげて。
—はやく片付ろよ。お父さんとお義母さん返ってくるから。
—なんで泣いてんの。邪魔だからどっか行ってよ。
—楓、ほんっとうに泣いてばっか。可哀想な子ね。
—どうも。待ち合わせですか?—おや、なんで泣いてるんすか?まあ、いいや。それより、モデルとかって興味ありません?これ、興味あったら電話してください。
—灰原、いや、『青柳佳那』。いいか、お前には演技の才能がある。あの役が欲しいなら、何がなんでも手に入れろよ。
—こちら、共演相手の道源寺さんです。
—それは辛いね。僕も子供の頃は散々だったよ。
『どう?』
—ああ、美味しいよ。君がつくるタルトタタンは最高だ。やっぱり、昔母さんが作ってくれたものと同じ味がするよ。
—そうだ、楓。どこか二人で海外にでも行かないか?
『いいわね。私、フランスに行ってみたいな』
—なんだか変わった店だな。
『あ、この人形可愛い』
—これ、番いの人形か。でも、なんか古臭い色じゃないか?
『いいのよ。この色がいいんじゃない。お揃いみたいな感じで、思い出にも残るでしょ』
—ねえ、楓。ずっと一緒にいようか。
『急にどうしたのよ』
—ごめん。不意にそう思って。ずっと傍にいるよ。
『信じていいのよね、兼光さん。本当に、ずっと一緒にいてくれるって誓ってくれる?』
—ああ、誓う。ずっと楓を守るよ。
『ねえ、どういうことなの?』
—すまない。本当にすまない。
『あの時の誓いは?一生愛してくれるって。あの時云ってくれた言葉は嘘だったの?』
—申し訳ない。
『私、待ってるから。ずっと、あなたが戻ってきてくれるって、信じてる』
—えっ、灰原君。こんなところでどうしたの。裸足じゃないか。寒いんだし早く家に帰った方がいいよ。
—「道源寺鳳史さんと小山内雪子さん結婚!突然の芸能界引退にも世間は二人の結婚を祝福」
—ママ、パパってどんなひとなの?——どうしてないてるの?
『ごめんね、真希。パパは遠くへ行っちゃったの』
『お元気ですか?』
『ずっと待っています』
『私が迎えに行きます』
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