次の試験は……
ドトールの豆乳オレが美味しすぎたのでここに登場させました。めちゃくちゃ私情です。みんなほんとに飲んでほしい。
「……あむ……ーい」
微かな声が暗闇から聞こえる。聞き覚えのある声。その声はだんだんこちらに近づいているように感じる。
「レアムーー!!」
「きゃっ!?!?」
ついさっきまで少し遠くから聞こえてきたはずの声がいきなり耳元にまで近づく。
思わず身を翻す。
「あ、起きた~」
すぐ隣ににっこにこのキャリーノが立っている。ああ、あの声、キャリーノさんだ。夢にまで出てくるなんて……
「おはようございます、キャリーノさん……もうちょい心地よい起こし方してくれませんか。ドsですかあなた」
「あ、今更気づいた?というか、レアムもう夜だよ」
「へ……」
「あら、レアム起きたの。ちょうど起こそうと思っていたのよ、はい、これあげる」
片手に持っていた豆乳オレをそっと差し出してくれた。
「ありがとうございます。起きたというかどっかの誰かさんに起こされたんですよねー」
ぼそっと愚痴をたれながらもらったオレを口に含む。
「いやいや、むしろ感謝してほしいよ!レアムは次の試験に向けてまた訓練しないとなんだから!」
そういえば僕はまだ序章に入ったにすぎないんだった。まだ、身体的選抜を突破しただけ……。
前回の試験はただでさえぎっりぎりの合格であったが、次の段階の試験を突破することはできるのだろうか……
「次の試験は何なんですか?」
「次は……五感的選抜試験だね。レアムは特別選抜者にあたるから、第2選抜の頭脳的選抜は免除になるね!」
「え、あぁ……そいえば私……」
「レアムの他にも軍人を捕まえたりしてる子たちは免除だね。正規ルートじゃなくて裏ルートみたいなもんだし」
僕以外にも気づいた子はやっぱりいるのか……
「でもまあ免除ルートを通る人ってなかなかにいないから、ほんとに逸材よねぇ。だいたいこのルートで受かる子たちって何かと優秀だし、きっとレアムも受かるわよ」
メアリーさんポンポンと優しく僕の頭をなでてくれる。メアリーさんのあふれ出るお母さん感!!
「じゃあレアムが豆乳オレ飲み終わったら、次の試験の要項を説明するから、ちゃちゃっと飲んじゃって!」
「ゆっくり飲ませてください!」
「レアムちゃん今日ご機嫌ななめ~?」
「キャリーノさんが無理やり起こすのが悪いんです」
「レアム~~~~~~!!( ;∀;)」
犬みたいに縋ってくるキャリーノさんを無視しつつ、メアリーさんとしばらく談笑していた。
「さて、飲み終えたことだし、キャリーノさんにかまいに行きますか~」
あれから不貞腐れてベッドに丸まっているキャリーノさんを起こしに行く。
「キャリーノさんーー、ごめんなさい、一緒にお話しましょ?」
「……もう私のことないがしろにしないでね……」
「ごめんなさい((笑))」
ヘラってるキャリーノさんが可愛すぎてたまにはいじるのも面白いなぁとか思ってみたり……
「よし、それじゃ五感的選抜について説明してくね!!」
「お願いします!」
キャリーノさんはベッドの隙間から1枚の紙をどこからともなく取り出した。
え、どっから出したんですか???
~~五感的試験要項~~
ここまでの試験を突破した者、貴殿の素晴らしい実績を褒め称える。次の試験は合格、不合格を問わない。単純な能力を問う試験である。ただし、この試験の結果が次の試験の結果に大いに影響をするので覚悟をして臨め。
・試験内容 ???
・日時 特別選抜者は第一試験日から1か月後
「……今回の試験要項短めで詳細全然書かれてないですね……」
「まあ今回の試験はとりあえず気を引き締めたほうがいい、ということだけ言っておこうかな」
キャリーノさんは教官でありながら、僕をそばで支えてくれる。ほかの参加者さんとは少し優位な立場にいるのではないかと少し罪悪感を覚える。
「……緊張してる?」
「……え」
「顔、こわばってるよ」
はにかみながらキャリーノはつんつんとレアムの頬をつつく。
「何を心配しているかはわかんないけど、別にレアムはレアムの実力でここまで来てるんだし、次の試験も君ならきっと大丈夫だよ、自信もちな」
レアムの手を手繰り寄せぎゅっと抱きしめる。キャリーノにはお見通しなのかもしれない。僕が思っていることとか、僕が何を求めているのかまでも……
「ありがとう、キャリーノさん」
レアムはそっとキャリーノの体を包み返した。
一方同時刻、森の奥にて。
「今回、軍試験においてカーム様がが探しているであろう少女が先日の試験会場にて例の少女が見受けられました」
「やっと見つけたか……とりあえずは様子見だ、いいか、何があっても彼女が傷つくような事象をおこさせるな」
「仰せのままに。このまま計画通り軍に忍び込みつつ彼女を見守っていきます」
「ああ、頼む」
森の奥にて本日もいつものように密談が行われていた。紅に染まった髪をゆらゆらと揺らしながら彼は呟いた。
「待っていろ、咲陽……」