適性診断開始!
高校生活忙しすぎて今回短めです。ご了承ください( .ˬ.))"
次回は多めに書けるよう頑張ります!
程なくしてメアリーとキャリーノがレアムの元へ現れた。
「レアム、さっきはごめんね!! 上司として不甲斐ないよぉ(;-;)」
「いえいえ、お2人が良好な関係でいらっしゃられるようで良かったです(?)」
「レアム、あなた何言ってるのよ。まあキャリーと2人にしてくれたのはありがとう。あと、適性診断を滞らせてしまったのは私からも申し訳なく思っているわ」
突然のメアリーさんからの『レアム』呼びに胸が高鳴る。なんか少しは距離が縮まった気がする!!!
「それじゃあ、そろそろ適性診断を始めましょう。レアム、準備はいい?」
「は、はい!」
「……それではキャリーノ様は1度席をお外しください。レアム様にはこれより適性診断を行っていただきます」
メアリーの急な店員モードによってこれから本当に適性診断が始まるんだと思わされる。
「適性診断の内容は至って単純、柔軟性、瞬発性、基礎的な体力等を測定させていただきます。では、まずはコチラから」
「これは……ランニングマシン……?」
「まあそうですね、こちら5分で速さが時速0.5km上がります」
あれ、思ったより楽そう。
「それでは乗ってください」
「はーい」
5分で0.5kmって多分3時間くらい走れる気がするんだけど……適性診断は優しめなんだろうなぁ。
「では初めは時速10kmに設定しますね」
「ん、え、??」
「それでは、スタート」
その合図と同時にランニングマシンが起動し、いきなり時速10kmの速さとなった。足がもつれて即効転げ落ちるなんてことになったら、もう恥ずかしくて生きていけないので、めっちゃ頑張って体勢を立て直し、走ることに集中する。レアムの頭の中は走ることより計算で埋め尽くされていた。
待って待って待って、今が10km/hだから、5分後には10.5km/hで、10分で1km/h加算されるんだから、単純計算で6倍の1時間後にはえーと、えーと16km/h……!?これ1時間経った時に僕生きてる!?
「レアム様、ノルマは2時間でございます。2時間を超えていただけませんと、この後がよりシビアとなってしまいますのでできる限り2時間を突破してください」
2……2時間ってことは32km/h…え、車だよ、?
現実的に考えて無理だよ……?いやそもそもこの世界にリアリティ求めちゃダメだ!魔法が使われてたりしてる時点でダメだ!
「2時間なんてむりぃぃぃ」
レアムの悲痛な叫びが部屋に響き渡ったのだった。
ダダダダ………
「……ハァッハァッ……あっ、!?」
その時、レアムの足がもつれランニングマシンから放り出された。
「う、いたァ……」
あれからどれだけ走っていたかはもう覚えていない。最初こそ計測しようと意気込んでいたものの、最早それどころではなくなりひたすら走ることに全振りをしていた。
「お疲れ様でした。コチラのタオルをお使いください」
「あ、ありがとうございます……」
実際にやってみて思ったことは、自分の体が結構強いこと。持久力を測る運動は、どちらかというと足がだんだん動かなくなって、減速して走る時間が延びることでつらい……というのが典型的なパターンだろう。だが、レアムの場合、足よりも先に自分の肺がきつくなった。そのため、元気な足がキャパオーバーするまでの根性試しをさせられたのだった。
「レアムお疲れ様。はい、お水」
「あ、キャリーノさん……ありがとうございます」
キャリーノからもらった水を口に含む。喉が少し潤ったことで、先ほどよりも呼吸が落ち着いてきた。
「お休みのところ失礼いたします。続いての柔軟測定に移らせていただきます」
まだ休んで3分程なのに次に行くのか……
既に満身創痍なレアムだったが、メアリーの早くしろオーラに押され、仕方なく次の測定に向けて切り替えた。
「続いては単純に前屈、開脚といった様々な項目を実施し、評価させていただきます」
これはさっきとは違って在り来りなものである。そこまで大変じゃなさそう……(2回目)
「それでは開始します」
ふんふんふーん♪
レアムが適性診断を死物狂いで行っている反面、キャリーノはある書類を読んでいた。しかも優雅に紅茶を片手に。なんなら鼻歌まじりに。
「……おかしいなぁ、レアムと瓜二つなこいつはここにいるのに、なんでレアムの情報はここに載っていないんだろう」
そう、彼女が読んでいる書類は、軍本部資料館に保管されていた、エストレイア国の民衆情報である。(※2話参照)
レアムが探している人物はこいつであり、絶対になんらかの因果関係はこの2人の中であるはず……でもレアムの情報が一切記載されていない今、ある手がかりはこいつの資料のみ。
この男……カーム・スピアは転生者である。これだけ容姿が似ていれば、レアムとカームは前世で血の繋がりを持っている可能性が高い。だが、転生するというのはとても稀である。不慮の事故や何らかのトリガーによって転生は起きるからだ。そのため大体は前世で残忍な、残念な死を遂げた者たちが転生してくる。『前世では妹を庇い、死亡』……この妹が今のレアムにあたるのではないだろうか、とりあえずカームの過去を調べることがレアムの情報に直結するかもしれない。そうときまればまずは……
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」
突然、ものすごい悲鳴が聞こえてきた。この声は……レアム?
「もうむりですぅぅぅぅぅぅ!!!!」
そういえば今あの子はたしか……柔軟……笑
……一旦調べるのは後にして、とりあえずレアムを労いに行こう笑
キャリーノは飲みかけの紅茶を空にし、レアムの方へと駆けていった。
「お疲れ様でした」
「ひっ……ふぅ、はぁ、……がちやばい……」
あれは測定なんてものじゃない、ただのゴリ押し身体伸ばしだ!!!!
「レアム〜!ダイジョブですかーー!」
「大丈夫だと思うなら病院にぜひ行っていただきたいです……」
「いやぁ、メアリーのスパルタ柔軟、よく頑張りました!私も自分が測定受けた時、めちゃくちゃ痛かった記憶ある!笑」
「まあまあ、これでレアムの限界は引き出せたから結果オーライでしょう?」
「まあ適性診断でいい点残しておけばこの後のトレーニング楽になるだろうしね!」
「それじゃあ次は瞬発力測定を……」
「ちょっと休憩させてください!!!」
「あ、ごめん」
その後謎のモグラ叩きをさせられ、鬼ごっこをさせられ、腕立てや腹筋の測定をされられ……といった細々な事を沢山やった。
「……よし、これで全部終わったよ」
限界縄跳びチャレンジを終え、ようやく全ての診断内容が完了したようだ。
「今日の診断結果を元にレアム様の能力パラメータを作成させていただきます、このパラメータを元に今後トレーニングをして行きます。とりあえず今日はお疲れ様です。ゆっくり体を休めて下さいね」
「……ありがとございました……」
外に出ると日は半分程沈んでおり、鮮やかな夕日が目に飛び込む。
もうまじで動きたくない、とりあえず帰ったら寝たい……
「レアム、ほんとによく頑張ったね!今日は帰ったらすぐ寝な!私はレアム寝てる間にチャチャッとやることやっちゃうよ!」
「あ、僕もそのやることやら手伝った方がいいですか?」
「いやいやいやいや、寝て!?」
「じゃあお言葉に甘えさせていただきますね……」
つたない歩き方ではあったが、なんとか宿に着きレアムはそのまま即効眠りについた。
レアムが入眠したのを確認し、キャリーノはすっかり日が沈んだ夜の街へと消えていった。