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追想のヒガンバナ  作者: 希塔司
第1章 「悪魔」
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第3話「私のルーティン」

 仕事を終え、依頼主と会い残りの報酬をもらう。聞き出した情報もしっかりと依頼主に伝えて別れた。



 その後どうするかは依頼主次第。もう私には関係ないことだ。


 さてと、終わったから帰るとしよう。そう思い私は車から降りると周は少し寂しそうな顔をしてこんなことを提案する。



「なぁあやめ、腹減ったからメシ食いに行こうぜ。」


 普段ならお腹がすく時間だから夕食を作っていなければ誘いに乗ろうとした。


「悪いけど私は家に料理を作ってる途中だったの。また今度ね。」


 周は少し落ち込みながらもすぐに切り替えた。やはりもうすぐ40歳になろうとしている男は違う。


「しょうがねぇな。次は絶対付き合えよな」



 そう言って周は車に乗り込み街並みの中へ走って行った...


 さてと、料理の続きをして今度こそゆっくりと赤ワインを楽しまないと。そう思い足早に家に戻った。


 依頼を終えて再び料理を作り直して赤ワインを堪能した。そして1日の終わりには日記を書く。幼い時から欠かさずに行っている。



 まぁ殺した人間の特徴だったり、どんな殺し方をしたかなどを分析をする。殺し屋稼業をする以上獲物などの分析や対策を行うようにはしている。


 時代は常に変化していく、私に関しての情報だったり漏れたりして対策をされるかもしれないからつねに警戒は怠らない。



 それと共に1日の面白い出来事なども書いている。その方がより日記っぽくなるからと昔、母に学んだ。



「『今日はしっかりと依頼をこなしました。

あの男が悶え苦しみながらいろんなことを話してくれたので捗りました。


 そいつはしっかりと地獄へ落としました。お母さんと会わないでほしいな。でもお母さんは天国だから大丈夫っか!』っと、これでよし。」


 こんな内容ばかりだ。子供っぽいと思われるかもしれないから日記は誰にも見せたくない。見せちゃったらその人を私個人の一存でやってしまいそうだから。



      ーーーーーーーー



 さてと、実は私に趣味がないと周に言われてるがそんなわけないでしょと思い普段から記録している。


 そこで今日は私が依頼がない休日どんな風に過ごしているか簡単にまとめてみた。


 題して、『純白の淑女の1日ルーティン』




 まずは朝は大体10時くらいに起きる。

正確には目を瞑っているだけになる。夢なんてもうほとんど見ていない。



 それから歯を磨いたり顔を洗ったりなどしていきながらコーヒーを煎れていく。


 麦の国からのブレンド方法で苦味がまた奥深い味わいになっている。朝食の準備をしていきながらコーヒーを堪能していく。



 朝食ができて食べながら朝はラジオや新聞などの号外などを参考にいろんな記事を見ていく。


 些細な記事でも気になったものは紙に書いておく。もし関連する依頼があればある程度情報が絞り込めるように。


「帝国の十将に、新たに任命された『猪狩博』が式国の外務官と接触...ね。」


  帝国の十将とは帝国に多大な貢献と戦地の輝かしい実績を積んだものに送られる名誉ある勲章らしい。以前周から教わった。


 そんなこんな情報を仕入れていると、いつのまにか昼近くぐらいにまでなるから買い物をしに行く準備をする。


 今日は金場という帝国の特に栄えている街に向かう。主に食糧や衣類、あとは行きつけのお店2軒回る。


 とはいってもほとんど庶民には縁のないような高級な品ばかり。大体は明治末期から飛躍的に伸びていった成金が集まる街。



 私は普段からいろいろな情報を入手しては活用をする女、無論流行っているファッションにも。


 ここ最近はモダンガールと呼ばれるスタイルが流行り出している。私も今日はそのスタイルに和服要素を取り入れたオーダーメイドの服を着て出かける。もちろんいつも使っている武器を忍ばせて...



 金場はやはりこの帝国の流行の要。食事、ファッション、技術、音楽など世界中から幅広い分野の最新情報が得られる。



「さてと、アイスクリームを食べに行こうかな」


 洋菓子と呼ばれるお菓子が若い貴婦人に人気のようだ。


 チョコレート、アイスクリーム、ビスケットといったお菓子は特に富裕層から支持を受けて次々と帝都にお店が出されている。



 最近ハマっているのがこのアイスクリームと呼ばれるお菓子。冷たくてなおかつ甘いお菓子で口の中でとろける感触がたまらない。周りは見るからに事業家夫妻や資本家ばかりが中心。庶民には全く手が出せない高級品ばかり。



 ちなみに私はこの仕事でたんまりと稼いでいるから普段からこういったものを食べたりしている。小さい頃の私が見たら怒り散らかすだろうなと思い出す。



      ーーーーーーー


 その後は新しい食器やワイングラスや美容品を購入したりするといつの間にか夕方の18時過ぎになった。そろそろ晩御飯の時間。


 今日は話題のビフテキと呼ばれる料理を食べにいく。正式名称ビーフステーキ。


 話題となっているお店の一番の料理コースの目玉。式の国から伝わってきた料理だ。



 ナイフ、フォークを使用して食べていく。

そして私が1番楽しみにしているのはワイン、赤ワイン。



「シャテンゼイコール、【1882年】産でございます。」



 私は大のワイン好き、特に血のように赤いワインが大好きで初めて口にした時の衝撃を今でも覚えている。口の中でまるで血を飲む吸血鬼のお話のように大好物になってしまった。


 シャテンゼイコールを私はさっそく色艶、匂い、味や風味を楽しむ。年代物だから渋みがあり、どちらかというと酸味よりは苦味が深い味になっている。



 あぁ、ワインを飲んでいる時が今の私の唯一の楽しみ。この仕事をして疲れた私の心にピッタリ。普段から闇の中で生きているからこそたまにはこうして光のあたる場所でのひとときが恋しくなってくるもの。



 ちなみに子供の頃に接種された薬剤の副作用で私はいくら飲んでも酔わない、酔えない...

 

 周りが顔を赤くして朗らかな笑顔になってるのに私はそれができない。以前私を酔わせてくれた、いや正確にはその人の態度に酔えたことはあったけどもうその人はいない。



 1人静かにワインを楽しむことしかできなくなっていた。



 ちなみにコースの金額は17金、庶民の年収50年分の金額が、たった一食で支払われるのは狂気の沙汰としか言えないがあっさりと私は払えてしまうのもまた狂ってるのかもしれない。



      ーーーーーーー


 そうして夕食を楽しんだ私は家に帰り、風呂に入って買った美容品をさっそく使用していく。今日は化粧をして出かけていたから化粧落とし、化粧水や美容クリーム、乳液などを顔や体に塗る。



 いくらこの仕事をしているからって私も女。肌の手入れとかは欠かせない。もし普通の生活をしていたなら、この仕事をしなかったら、私は実は女性向けの化粧品や服を販売する事業を興したかったと思ってた。



 あとは家にある赤ワインを開けて一杯してからベッドに横になる。その前に軽く一服をしに屋上に上がる。



 夜の街並みを見ながらタバコを吸う、気に食わないけど夜景は好き。繁栄の象徴となる帝都の街並みがこの帝国の発展した証拠となっている、近々国会議事堂近くにタワーと呼ばれる建造物を建て始めるのだと聞いた。


 

 いつか、いつか私はこの街を、帝国を打倒するという目標がある。全ては私の復讐のために。全てを奪った帝都を崩壊させる。



 たとえそれで多くの人が苦しむ結果になっても、私はやり遂げる。同じ苦しみを味合わせるために...

 




「悪魔に代わり、人を斬る」



 それが私の口癖。



ーーーーーーーー


 とまぁ、私のルーティンはこんな感じ。休日は基本それなりにあるから毎日こんな感じに生活している。



 そんな中、今日ある手紙が届いた。依頼だ。電話以外にもこうして古典的な依頼の受付もしている、電話はやはりまだ一般庶民には普及していないから。



 今回の依頼主は10代の女性。依頼内容は...



「恋人の殺害...」



 相変わらず人間が考えることはよくわからない。私は支度をしてまずは手紙に書いてある時間に待ち合わせ場所へ向かうことになった。



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