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ランドセル革命~ ランドセルの代わりに革命軍を背負うことになりました~  作者: (原作)まとめなな (執筆)アッチシア (挿絵)七瀬葵
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6.革命軍と無限タブレット

 再び夢の中。

「エンジゾル盗賊団の件で、君に褒美を取らせよう」

 そんな、神々しい声が聞こえた気がした。


「う、う~ん。何だったんだろう? 今の声は」

 目を開けると、ベッドの側の棚の上に、手のひらよりも大きな黒い機械が無造作に置かれていた。

 このタブレットは…?

 スマートフォンを大きくしたような液晶の機械。

 …そうだ! これは、ボクが元の世界で学校の帰り道に拾って、夜遅くまでゲームをして寝落ちしてしまったタブレットだ!

 もしかすると、このタブレットを使えば元の世界に戻る方法が分かるかもしれない!


 ボクはあの時のように、タブレットの電源を入れてみる。あの時にホーム画面にあった《神聖なるリベルズ:Divine Rebels》のアプリがない。

「見た目はあの時のタブレットと全く同じだけど、中身は違う…?」


 そこでボクは、このタブレットで何をすることができるのか、いろいろと試行錯誤してみた。


<できること>

・インターネット検索

・2020年8月1日時点までの現実世界の小説や漫画、アニメの閲覧。

・充電容量は減らない。

<できないこと>

・この世界で使える魔法は調べられない。

・生態系は参考にならない。


 どうやらこの世界に関することは調べられず、前にいた世界の情報しか調べられないみたいだ。ということは、これがボクの拾ったタブレットなのかどうかは分からないけど、間違いなく前にいた世界から送られてきたタブレットなんだろうな。

 でも、これだけしかできることがないなら、すぐに元の世界に戻ることはできなさそうだな。

 ボクは何でもいいからできることをしようと思い、インターネットで武術の動画を参考にして、訓練を始めた。

 前みたいに逃げ回っているだけで勝てる保証なんてどこにもないんだから、ボクだってもっと鍛えないと。


 ボクは、動画サイトのビーチューブを見ながら武術の動作を真似ていた。

「ここをこうやって、こう!!」

 まるっきり動画通りにはならなくて、どうしてもぎこちない。まっすぐ拳が動かない。

「何をしているんですか?そんな黒い四角い箱をじっと眺めて」

 突然ボクの後ろから声をかけてきたのは……

「たしか…ジャンヌさん?」

「噂には聞いていたけど、本当に記憶がなくなっているようね」

 やはり、彼女はジャンヌさんだ。タブレットを拾ってゲームを始めた時、オープニングのムービーに少しだけ登場したのを覚えている。

「…じゃあ、私との記憶も忘れているのね」

「いや…す、少しは覚えていますよ! ほら、名前も見た目も覚えてるし」

「…はぁ、まあ仕方ないですね。普段通り生活していたら思い出すでしょう。それで、今は何をしているのですか?」

「何かあったときに備えて武術の訓練を」

「武術、ですか?なら、私にもぜひ教えて下さい」

 ジャンヌさんは、目を輝かせて言った。

「わかりました。このタブレットの画面を見てください」

「タブレット? 画面? 何も見えませんよ?」

 そうボクに問う。タブレットの画面には、確かに武術の動画が流れている。

 もしかして…ボク以外には、画面に映っているものが見えないのかな?


 じゃあ、こうする他ないか。

 身振り手振りで動画をガン見しながらジャンヌさんに問いかけた。

「こうやって、こうやって、こう!!わかりますか?」

 僕は、足がもつれながら盆踊りみたいな格好でボクシングのパンチを身振り手振り伝えてみた。

「は、はぁ…」

『…何が何だか分からない…』

「じゃあ、やってみようか」

 僕はジャンヌさんに声をかけた。

「わかりました。はぁっ!!」

 脇を締め、しっかりと構えて、気合を入れた。

「こうやって、こうやって、こう、ですね!!」

 なんとジャンヌさんは動画が一切見えていないはずのに、ボクよりも見事なパンチを再現した。ボ、ボクの立場は…(がっくり)


 数日後。


 タブレットの動画を参考にした訓練を続けた結果、多少、筋肉みたいなものがついた気がした。

「ようヨーク。なんか運動してるんだって?ジャンヌから聞いたぜ」

 久しぶりにドゥッガーニが顔を出した。

「う、うん」

「じゃあ久しぶりに手合わせしようぜ」

 え?!

「驚くなよ。ガキの頃はいっつも殴り合ってたじゃねぇか」

「じゃあ行くぜ。ふんっ!!」

「ま、待っ…」

 ドカッ!!


 思いっきり拳が顔にめり込んだ。まるで漫画のように。

 あぁ…星が、チカチカする…。

 ばたん、きゅー。

「なんだよ。鍛えているって言うから思いっきりぶん殴ってみたら。ちょっとの訓練で俺に勝つなんて無理。まだまだだなぁ」

「…やられてばっかりで、終わるかよ!」

 ボクは身体から湧き上がる力で立ち上がり、ドゥッガーニに立ち向かう。彼の前で一瞬背中を向け、そのあと一気に距離を詰め、右手で彼の首根っこを掴んで反対側に叩きつけた。

「ぐはっ!…なんだよ、そんな技もってるならあの時に出せよ!」

「…いやいや、ボクだって知らなかったんだよ!」

 その後、ボクはその技を再現しようと何度も試みたが、失敗に終わってしまった。

「たぶん、MPが足りないんだろう。今のヨークの最大MPだと、一回しか使えないとっておきの技なんだな」

「なるほど…じゃあもっと鍛えないといけないなあ」

「なんだったら、これからは俺も運動に付き合ってやるよ。一緒に鍛えようぜ」

「うん。助かるよ」


<1時間後>


 はぁ…。暑い。


 運動の合間に、タブレットで、陣形についての辞書を調べてみた。

「ふむふむ。陣形で戦局は左右されるのか。方円という陣形で背中合わせで移動し、四方八方からの攻撃に対処したり……」

 

「こんどは何やってんだ? ホーエンとか聞こえたけど」

「陣形の話を調べているんだ」

「陣形? なんでまた。前だったら、『ただひたすらにぶん殴る』っていうだけだったのに」

「そ、それは…」

「まぁ、勉強するのはいいことだしな。俺は頭使うの苦手だからよぉ。そういう戦略とかはヨーク。お前に任せるぜ」

「う、うん。勉強するよ。もっと勝てるように」

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