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ランドセル革命~ ランドセルの代わりに革命軍を背負うことになりました~  作者: (原作)まとめなな (執筆)アッチシア (挿絵)七瀬葵
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エイトリア編 第0章:『“世界”への扉』

 ――キーンコーンカーンコーン


「今日も翔太くん家に遊びに行ってもいい?」

「ごめん乱世くん、今日はお父さんとお母さんと出かけなきゃいけないんだ」

「そっかー。じゃあまた明日遊ぼうね」


 ボクの名前は平旦乱世。小学3年生。

 ゲームが大好きな普通の小学生。

 さっきの子はデルタちゃん。いつも猫耳のカチューシャをしている青と白のワンピースのぎざぎざ模様のスカートの女の子。


 いつも放課後は翔太くんの家に行ってゲームをするんだけど、今日は翔太くん、忙しいらしい。


「帰ってもやることないし。つまんないなー」

 暇すぎるから、いつもと違う道で遠回りしながら石ころを蹴って帰っていると、その石ころの先に電子タブレットが落ちていた。


「あれ、誰かの落し物かな?」

 別に盗むつもりはないけど……周りを確認すると、人はいなさそうだった。

「帰って中を見てみようかな。持ち主の情報が分かるかもしれないし」

 ボクはランドセルの中の教科書とノートの間にタブレットを挟んで、蹴っていた石のことを忘れて駆け足で家に帰った。


「ただいまー」

「おかえり。あら乱世! 手洗いなさいよー!」

 ボクはお母さんの言葉を無視して、すぐに二階に上がって部屋にこもった。


 学習机の側にランドセルをおろし、急いでタブレットを開いてみる。

「なにこれ、アプリ全然入ってないじゃん!」

 ホーム画面には、アプリが全然入っていない。デフォルトのアプリ以外で唯一入っていたアプリのアイコンは、立派なお城のイラストだった。

「《神聖なるリベルズ:Divine Rebels》……? 見たことないアプリだな。ゲームかな?」


 ボクは《神聖なるリベルズ:Divine Rebels》をタップして開いた。壮大なBGMが流れて、アイコンと同じお城のイラストが描かれたタイトル画面が開かれる。「つづきから」はなかったので、「はじめから」のボタンをタップして、ゲームをスタートした。


 スタート時に出てきた説明によると、リベルズは最新型のAIであるChat OPTを用いたゲームで、AIが搭載されたNPCと会話しながら進めていくものらしい。

 ボクが試しに「Chat OPTって何の略?」と入力してみると、ゲーム進行役のキャラクターから「Chat OPTは、アム・ハルトマンが作ったChat Optimizationの略です。日本語では、チャット最適化といいます。最新型のAIで、既存のAIの中で最適な答えを導き出すシステムが構築されています。アム・ハルトマンは共同経営者としてAI研究と開発の分野で多大な貢献をしています。」と返事がきた。

「すごいなあAIって。ゲームなのに、本当に人間と喋っているみたい。最新型のゲームだ!」

 ボクは完全にリベルズのとりこになった。 体験版に感動したボクは、さっそく大手OS会社のミクロゲートソフトのアカウント登録をしてゲームにログインした。



 ストーリーは「中世のエイトリア共和国編」から始まった。

『このキャラクターは、革命家のワールド・ヨークスルー。これからあなたが操作するキャラクターです』

 そこには、がたいの良い眼帯の男が腕を組んで立っていた。

「こんなにがっちりしたおじさんが主人公なのかー。自分でキャラメイクしたかったなあ。まあでも、確かにこいつ強そうだな」


 家の中に立っているワールドを操作して外に出てみると、家の前で男と女がワールドを待っていた。

 ボクはワールドを操作して喋らせる。


「おい! お前たちは何者だ! 革命してやろうか!」

「どういう意味だよ! 何者って……、俺はお前の親友のアルド・ドゥッガーニだ! お前が革命軍のNo.1、俺がNo.2だろ。」

 軍服を着たオールバックの男が答える。ワールドとは親しい仲みたいだ。

「全く、失礼ですわ。私はヴァレリア・オーギャスタ。革命軍で諜報員たちを取りまとめております」

 女は喪服のようなおとなしめの服装で、丁寧な言葉遣いで答えた。


 なるほど、僕は革命家のワールドとして、革命軍のこの二人と協力しながら革命を起こすんだな!

 ボクはまたワールドに話させる。

「ああ、アルドとヴァレリアだったか。寝ぼけていて見えなかったよ」

「全く。ワールドはたまにそういう抜けたところがあるからなあ。そんなんだと俺がNo.1になっちまうぞ!」

「本当に。こんなので革命できるのか、心配ですわ」


 ボクが入力したセリフに合わせて、ゲームが自然に進行する。こんなゲームは今までプレイしたことがない!


 その夜、ボクはそのタブレットが落とし物であったことも忘れて、お母さんの「早く寝なさい!」という説教も無視して、ベッドの上で夜な夜なリベルズを進めた。


 強い相手と戦いながら、どんどん成長していくワールド。ボクはワールドにセリフをしゃべらせながらも、まるで自分がワールド本人になりきったかのような感覚に陥っていた。


 「中世のエイトリア共和国編」もかなり進み、そろそろ終わるのかなと思っていたその時、ワールドはいきなり画面外から何者かに頭を叩かれた。

「え! せっかくここまで進んだのに! あんなの初見殺しじゃん!」


 ボクは急にどっと疲れと睡魔を感じた。そういえば、セーブもせずに進めてしまっていた。

「せっかく頑張ったのに。ワールド死んじゃったよおおおお~」


 ボクが諦めてそろそろ寝ようかなと思っていると、横たわるワールドが映った画面から、眩い光が噴き出してきた。

「な、なんだこれは……」

挿絵(By みてみん)


 ボクはそのまま、タブレットの爆発的な光の中、意識を失った。

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