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第二十話 拍手喝采

よろしくお願いします

「怖い」

と、イオキは直感でそう思った。

その道は今まで何度か通ったが、いつもの雰囲気と違い、暗い長い通路だった。

そしてその二つを強調するのは無音、つまりイオキ達は毎回ここを通る時は、ワイワイ、又は静かにだがヒソヒソと喋りながら行っていたのだった。

その無音、そしてその他はまだ幼いイオキには恐怖、お化け屋敷などと同じ怖さに襲われていたのだった。

そして謎の呼び出しそれがまたその怖さに拍車をかける原因となってイオキはその雰囲気に飲まれて押し潰されそうになっていた。

だがしかし、お化け屋敷のそれとは違い、その感情はこの場合、イオキだけじゃなく、エイカ以外の全員が感じていた。

そしてその沈黙、つまり無音を破ったのは当然の如く、エイカだった。

「私たち!どこに連れて行かれるの?」

(それはお楽しみさ)

と、アイカと別れた後、ドアを開いた所にいた二人の人の内一人がそう薄らと笑を浮かべながらそう言う。

もう一人は下を向いているのみだ。

(まぁ、強いて言うならば、地獄、又は天国かな!)

その言葉を受け取り、皆恐怖する中またしてもエイカは笑顔だ。

「天国!?やったー!私行ってみたかったんだよね!」

(ハハ!それは良かったなぁ)

「じ、じ、地獄!?こ、こわい、助けてアイカお姉ちゃん、、」

(フン!最高だな、その表情)

「え?」

(まぁ、そうこう言ううちに着いたぞ!)

と、ソイツはそう言う。

「え!?ここは主人様の部屋とは、違うじゃないか!途中から思ってたけど、俺らをどこに連れて行くつもりだ!」

と、お兄ちゃん達は口々にそう言う。

(まぁまぁ入れって、)

そう言話れるがままに皆その部屋に入る。


そしてそこに広がっていた光景に皆、更に言葉を失う。

「な!?ろ、牢獄!?きみが悪いぜ」

と、お兄ちゃんの一人が言う。

そしてそのお兄ちゃんはその部屋に入らなくていいとソイツは言う。

(そのかわり、俺ときてもらう。)

そしてそれ以外の皆は牢獄の中に入れられ、お兄ちゃんは、そう言われるがまま連れて行かれるのだった。

そして順々に、呼ばれていき、居なくなる。

そしてついに、イオキの番がやって来る。


「怖い、助けて」


それと同時に、「助けてあげて」

と、何故だか怖がるイオキの顔が思い浮かんで、アイカも思う。


「助けて」 「助けてあげて」


「助けて」 「助けてあげて」


「助けて」 「助けてあげて」


と、二人は同時に何度も何度も繰り返す。


(着いたぞ)

と言って、その二人はに扉の前に立つ。

そしてドアを少しだけ開けて、イオキを中へと押すように入れる。

「寒い、暗い、怖い、助けて」

と、イオキはそう小さく呟きながら前へと進む

そしてその進む先に居たものに、恐怖する。

「ななな、」

そしてソイツ(魔獣)の下を見ると足や手などが転がっていた。

そしてあたり一面に血の海が広がっている。

「ぎゃアァァぁぁああ!!」

と叫ぶことしかできない

そしてその声に反応して魔獣はイオキの方へと向かう。

そしてイオキの方へとゆっくりと近づいて行き、イオキの目の前で口を開いて止まる。

「助けて、イオキ、いや、、に」

そのあまりの怖さにイオキはぎゅっと目を瞑る。

そしてその声に反応してついつい目を開ける。

そしてその場面を凝視してしまう。

そう、お兄ちゃんが死にかけの姿で血を吐きながらもう原型を留めていない姿でその魔獣の口から話しかけていたのだった。

「お、おお、お兄ちゃん、いま!いま!いま!た、たすける!!」

と言って、イオキはせっかく魔獣が鎖の長さが足りなくてイオキにこれ以上近づけないというのに、イオキは魔獣目掛けて走り出す。と同時に拍手が聞こえた気がしたが気にしない。

そしてイオキは魔獣にその小さな拳を向けてそれを直撃させるが、それは所詮、子供の拳で全く効果ゼロだったのだ。

そしてイオキはその魔獣に頭から喰われる。兄と共に

そして一口目で

足と胴体を離され、

二口で

体を砕かれる。

三口で

頭を砕かれた。

そしてそのままゆっくりと兄と共に飲み込まれ、消化されたのだった。


そして誰一人としてアイカの元へは帰ってこなかった。


ありがとうございます

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