4.この世界には魔法がある 後編
ピフはポケットからリンゴを取り出し、食べてみた。
りんごはスライムの体内に取り込まれ、シュワシュワと溶けていき無くなった。
着ぐるみスライムであるが、ジッパーを閉じる事で完全なスライムとして生きているらしい。ピフの口の中にはリンゴの甘酸っぱい感覚があり、お腹にも満足感がある。
てれれてってってってーん
祝福されたスライム レベル3
生態.人間らしいスライム 好物りんご
スキル.着脱 異次元ポケット∞
そうか。なら、魔法を使ってみたらどうなるのかな。
ローラの加護「魔網の支配者」発動中は時間の概念さえ支配し、発動が決定されるまで恐ろしくゆっくりと時間が進んでいるように感じるが、ピフの思考が恐ろしく早いともいえる。
「魔網の支配者」により祝福されたスライムが使用可能な術式を構築。
てってれー
祝福されたスライム レベル3
生態.人間らしいスライム 好物りんご
属性.水 new!
スキル.着脱 異次元ポケット∞
ローラの加護「魔網の支配者」により水属性から派生する全ての術式に対応。
属性から特異属性へ。水から原子化物へ。
使用可能属性魔法付与。
うーん。何となくだけど気加熱とか摩擦熱とか、そういう難しい知識が頭の中でぐるぐるしてる感じ。例えばスライムの体内に含まれる「塩」の成分は、酸が電離して生じた陰イオンと塩基が電離して生じた陽イオンがイオン結合してできた化合物といったような情報が知識の帯となってぐるぐるしている。
てってれー
祝福されたスライム レベル3
生態.人間ぽくないスライム 好物りんご
特異属性.原子化物 new!
水 レベル1 new!
氷 レベル1 new!
雷 レベル1 new!
火 レベル1 new!
スキル.着脱 異次元ポケット∞
うぉ。火まで使えるのか。あ。ついに、人間ぽくなくなってしまった。これ、魔法を実際に使ったら人間やめちゃうのかな。
うーん。魔法の名前とかあった方が使いやすいよな。レベル1っていうと、ミネラルウォータ、かな。それと、アイス、ボルト、ファイア。よし。イメージだ。
「ミネラルウォータ」
伸ばした触手から水がピューピューと飛び出し、スライムの体内に取り込むと、うん、美味しい飲料水だ。よく考えたらウォーターでいいのに、贅沢な水になってしまった。
てれれてってってってーん
祝福されたスライム レベル4
生態.人間になりたいスライム 好物りんご
特異属性.原子化物
水 レベル1 ミネラルウォータ new!
氷 レベル1
雷 レベル1
火 レベル1
スキル.着脱 異次元ポケット∞
うーん。なりたいってことは、じゃないってことなのか。
とりあえず、次だ次。
「アイス」
む。何も起こらないな。触手が心なしかヒンヤリする、、、もしかして触った物を凍らせるとか?、と近くにあったペンに触れるとパキュッと薄い氷に包まれてしまった。
「ボルト」
触手からバチバチッと静電気が跳ねる。
「ファイア」
触手からロウソクの炎のような火がゆらりと立ちのぼり、風に吹かれたように揺らいで消える。
てってれー
祝福されたスライム レベル4
生態.人間になりたいスライム 好物りんご
特異属性.原子化物
水 レベル1 ミネラルウォータ
氷 レベル1 アイス new!
雷 レベル1 ボルト new!
火 レベル1 ファイア new!
スキル.着脱 異次元ポケット∞