不穏な空気、北にも南にも
旧セルバ国王都。十年前より、この街の名前は変わっていない。支配者であった王族は、幼い子供を残して皆処刑されているからだ。その遺児も、遠い異国に送られて不在。国の実力者たちは、軒並み王族と(本人の意思を問わず)運命を共にした。
なので、いまだにこの街の呼び名は王都である。対外的には旧王都などと称されている。
その近隣に、砦がある。明らかに不自然な砦だ。旧王都の守りにほとんど寄与しない。せいぜい、これがある方向から攻撃を避けられるぐらい。そんなことの為に砦など建設しない。建設と維持にどれだけの費用が掛かる事か。
そう。この砦は旧王都の為にあるのではない。アルクス帝国の貴族が、この地下にあるサイゴウダンジョンの為に作り上げたものだ。
旧王都の者たちは、この砦に恐怖を覚える。当然だ。国を滅ぼした原因なのだから。それに、街の犯罪者や荒くれ者がこの砦に連行されると絶対に帰ってこない。
ダンジョンに食われたのだ、というのがもっぱらの噂である。そんな恐ろしい場所に好き好んで近づく者はいない。
なので、異変に気付いたのはほんのわずかな者達だけだった。主に情報の売り買いを生業とする彼ら彼女らは、砦の兵士たちが様変わりしている事に気づいた。
いつもの、粗暴で横柄な兵士たちの姿が一人も見えない。モンスターの姿もない。代わりにいるのは、とてもきれいな鎧を着た顔の知らない兵士たちだけだ。
何かが起きている、とは気づけてもそれ以上は分からない。砦の中に入ることは適わないからだ。
では、実際はどのような事が起きているのか。
監査である。
「只今、サイゴウダンジョンに監査が入っております。住人の方々におかれましては作業にご協力ください。只今……」
サイゴウダンジョンの地下五階。居住区画に録音された音声が繰り返し再生される。監査部が持ち込んだこれは複数あり、区画の隅々まで音を届けていた。
地下五階には、街が広がっていた。ミヤマダンジョンの地下にあった廃都よりは流石に小さいものの、セルバ国の旧王都よりは大きく設備も整っている。ダンジョンの能力と帝国の建築技術を合わせれば、理想的な居住区間を作ることはそれほど難しくはない。
管理された気候が、過ごし易い空気を保つ。広々とした公園は、緑もあれば川もある。道は舗装されゴミ一つ落ちていない。当然のことながら、不審な侵入者などいるはずもない。
これが、多くのハイロウが求める理想郷。大小の差はあれど、ある程度設備が整ったダンジョンはこのような街を作るに至る。
ただし、住んでいる者たちの質には明確な差が出る。
「ここは、オーバン男爵の御屋敷です! 許可なく入ることは……ガッ!?」
「ダンジョン監査部だ。邪魔立てするな」
屋敷の入り口に立っていた兵が、重装甲の鎧騎士に殴り飛ばされる。道が開いた所で、次々とコボルトやゴーレムが屋敷に入って行く。
監査部の調査対象は、ダンジョンのすべてに及ぶ。貴族の屋敷も例外ではない。そもそも、ダンジョン監査部はオリジン直属の組織。貴族だからといって配慮する理由など一つもない。
扉が次々と開かれる。豪奢な応接室や遊戯室。温室や風呂。美食の為の食堂と調理室。これらについては問題はない。法に触れない限り、好きにしてよい。
だが監査を拒む家というのは大抵において、そうする理由を隠し持つ。
「止めろ! ここには入るな! 私を誰だと……ごはぁ!」
屋敷の主であるオーバン男爵が、戦闘用重ゴーレム(実際はアンドロイド)に排除される。そこは、一見ただの客室である。だが、コボルトの鼻はごまかせない。
短い脚をせわしなく動かして壁の目の前に立つ。そして、懐から取り出した短杖を一振り。込められていた解呪の呪文が放たれると、幻が消えて地下への階段が現れた。
まるで城の一部かと思わせるような、豪奢な下り階段。鎧騎士は躊躇いなくそれを下る。途中、罠や魔法による攻撃があったがそれで足を止めることはなかった。魔法と超技術による守りは、それらを鎧にすら到達させる事がなかったのだ。
下り切ったその先に現れたのは、きらびやかに飾られた退廃の園だった。
「……何ともまあ、品のない」
「ぐるぅん」
鎧騎士とコボルトは心底呆れたと言葉を放った。地下五階と六階の間に設置された隠し階層。広々とした空間に、所せましと配置された退廃的な設備の数々。
あらゆる違法薬物が楽しめるドラッグバー。違法な奴隷市場(売られているのは外国の王族や貴族)。人間、亜人、モンスター問わず死ぬまで戦わせる闘技場。
特に目を引くのは、小さな周回走路だ。見目麗しい男女が、四つん這いになって手足を動かしている。
彼ら彼女らも、元は王族や貴族。先ほどまで奴隷市場で売られていた者もいる。尊厳を奪い取られ、獣の様に走ることを強要されている。
それを笑い、罵声を浴びせる。周回遅れのものなどは、酒瓶を投げつけられている者もいる。
こんな設備が、あちこちにあるのだ。くぐもった悲鳴に目を向ければ、釘で張り付けにされたラミアにむけて投げナイフを投じる者の姿。
「ははは! ほぉれ! 動いて見せろ! できんだろうがなぁ!」
「動くと貴公の腕ではあたらんからな」
「ぬかせ! そうれ、もう一度!」
ナイフが蛇体に刺さる。口を封じられたラミアはまともな悲鳴を上げられない。
「わん」
「うむ。やれ」
コボルトは飛び跳ねた。まともな跳躍ではない。呪文による強化の乗ったそれによって、一瞬で着飾った愚か者の目の前に到達。それどころか。
「……は? ああ!?」
着地の瞬間、鋭く伸ばした爪によって両目を引き裂いた。いかにハイロウといえど、まともな訓練から久しく離れればこうも無様に成り下がる。次の瞬間には、二人目のハイロウの目も容易くえぐられた。悲鳴が上がる。
それを聞きつけて、警備の者が動き出す。だがしかし、あちこちの隠し階段から鎧騎士やモンスターが次々と侵入してくれば対応も追いつかない。
「静まれぇ! 我らはダンジョン監査部である! 抵抗は無意味だ! 大人しく床に這いつくばれ! さもなくばただでは済まさん!」
オーバン男爵の隠し階段から入った騎士が大声を張り上げる。その返答は、魔法攻撃であった。炎、氷、雷。次々と監査部に叩きつけられる。が、どれもが彼らを傷つける事ができない。
「くそ! なんだあの鎧は! 帝都はあんなものを作っていたのか!?」
「何としても逃げ出さねば。ここで捕まっては全てが終わりだ!」
「だが、逃げた後どうする!? 調べれば我らがいた事など簡単に……」
そして、迎撃そのものも大変にお粗末だった。身を隠すことすら疎かにしてやたらめったら術を飛ばしている。なので、制圧は簡単だった。先ほどのコボルトのように鎧騎士が突撃する。
「ぬぅんっ!」
「「ぎあぁっ!」」
重厚な質量の突撃をまともに食らって、耐えられるものは居なかった。ゴミの様にハイロウ貴族が吹き飛ばされる。それに巻き込まれて豪奢な調度品や料理などが無残な姿となってまき散らされた。
「き、貴様……我らに対して、何と無礼な……。我らを誰だと……」
「ふん。覚えておるとも。イートン子爵とサリス子爵だな。そういう貴様らは、我が顔を覚えていような?」
鎧騎士は、そういいながら兜のフェイスガードを引き上げた。
「貴様など、知る、はずが……」
わずかに見える精悍な男の顔に、ハイロウたちはみるみるお顔を青ざめる。
「……そんな。うそだ。まさか」
鎧騎士は心底面白くなさそうに鼻を鳴らした。
「いかにも。前アルクス帝国皇帝、ニキアス・ノエ・アルクスである。このような所で、貴様らの顔を見たくはなかったな」
なお。山のようにいる帝国貴族の顔をいちいち覚えているはずもない。実際は鎧に搭載された識別機能の助けを受けたのである。当然、震えるハイロウたちが知るはずもない事である。
「お、始祖騎士団……」
「その通り。そもそも、ダンジョンに突入して不正を暴ける組織など、我ら以外に無いと知っていように。そこまで腑抜けたか」
がっくりと、観念して倒れ伏すハイロウたち。ホールを見渡せばまだ抵抗を続ける者達がいたが、好転の兆しは何処にもない。一人、また一人と鎮圧されていく。
ニアキスはフェイスガードを下ろすと、鎧に仕込まれた通信機能を使用する。
「こちらニアキス。白姫様、現場は押さえましたぞ。そちらはいかがか」
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「今取り込み中です。ちょっと待っててください」
サイゴウダンジョン最下層。ダンジョンで最も豪華に飾り立てられたそこを、ダンジョン監査部が蹂躙していた。もちろん、手加減している。戦闘不能になった者はヒトもモンスターも多数いるが、死者は一人もいない。
一つ擁護するならば、サイゴウダンジョンの防衛力は決して薄くも弱くもない。このダンジョンに金をつぎ込んだハイロウ貴族たちの後押しによって、徹底的に強化されている。十年そこらのダンジョンとはとても思えぬ戦闘力である。
数十体のゴーレムをはじめとした多数のモンスター。豊富な罠。立体的な迷路。とどめとばかりにゼノスライムである。
侵略してきたゼノスライムを徹底的に解析。品種改良したうえで、ダンジョンコアの制御を受けたこの怪物。本体はダンジョン内に設置したハイヴマインド。戦うのはそこから分裂した兵士スライムだ。
兵士スライムはどれだけ倒されてもいい。ハイヴマインドから精神波によってコントロールされる端末にすぎないからだ。端末が破壊されても、また本体からリスポーンできる。そしてその兵士はハイヴマインドが取り込んだ、旧王都の犯罪者たちの人格と経験を使用している。戦闘や奇襲の経験も豊富。決して逆らわないし、逃げ出さない。
ハイヴマインドに餌(知的生物の脳)を与えるだけで、使い減りしない兵が手に入る。そんなものが守っているのだ。サイゴウダンジョンが弱いはずがない。
だが、それでも無敵ではない。あらかじめ種を知っていれば特に。
「ワンッ!」
白姫と呼ばれる監査部のコボルトが、一吠え。もちろん、ただの咆哮ではない。心魂を込めたものだ。故に、精神波の遠隔操作をかき乱す。人の形をしていた兵士スライムが、形を失い床に伸びる。そこに短杖から放たれた炎が浴びせられる。
水分を失って、小さく縮まるスライム。こうなっては精神波が再度届いてもまともに動けない。ハイヴマインドに戻せば再利用可能なので、損失にもならない。
このように、的確な手段によってあらゆる戦力が無力化されていく。罠に至ってはほとんど発動しなかった。当然である。このダンジョンのコアの制御は、一時的にグランドコアが握っているのだから。
「ふむ……ダンジョンマスター殿。抵抗は以上でおしまいですか?」
コボルトが呼び掛けた先には、一人の青年がいた。黒髪の、眼鏡をかけた日本人。サイゴウダンジョンのマスター、サイゴウヒデトである。彼は顔色を真っ青にして、震える指でコボルトをさす。
「おまえ……おまえ、なんなんだよ。コボルトのくせに、化け物かよ」
「ずいぶんなお言葉ですね。長生きして経験豊富なだけですよ。さて、終わりという事でまず暫定的な評価を。戦力は悪くありませんでした。ええ、典型的な金太りダンジョンですね。応用力がまるでない」
「うぐっ……そ、それがどうした! お前に迷惑かけてないだろ!」
「迷惑かどうかという話ではございません。貴方は、このダンジョンを預けられた存在。防衛に穴があるのは貴方の怠慢です」
その瞬間、顔を真っ赤にしてサイゴウが吠える。
「預けられたぁ!? お前らが勝手に俺をここに縛り付けたんだろうが!」
「その通りです。貴方には選択権も拒否権もありません。死にたくなければダンジョンを守るしかない。それはお判りでしょう?」
怒りのあまり、サイゴウは言葉が出なかった。だから手が出た。荒れ狂う感情のまま、コボルトに向かって飛び掛かった。
コボルトは慌てることなく迎え撃った。延ばされた両腕をかいくぐると、サイゴウの顎めがけて拳を振り上げたのだ。さながら、昇る竜のごとき拳だった。
「がっ!?」
まさかぶん殴られるなどとは思いもよらなかったサイゴウは、反射的に顎を押さえた。腹の守りが全くなかったのと、程よく膝が曲がっていたので。
「ふっ!」
コボルトの拳が、腹部に突き刺さった。人体急所の一つを的確に突かれ、悶絶する。一歩間違えれば死に至る事すらありうる場所だ。いかにダンジョンコアによって強化されていても限度はある。
今度は腹を抱えてうずくまる。つまり、顔の守りがおろそかとなった。コボルトは容赦しなかった。
眉と眉の間。鼻の下。顎の下。稲妻のような三連撃を的確に見舞う。鍛えていてもコボルトは非力。なので技を用いる。さすれば、ダンジョンマスターもこれこの通り、顔を押さえ悶えるしかない。
サイゴウを無力化できたことを確認し、コボルトは手を打ち払った。
「さて、それでは今後についてです。とりあえず、このダンジョンに住み着いていたハイロウたちは全て追い出します。犯罪者も多数いたことですし」
「ま、まて。そんな事されたら……」
「ああ。ダンジョンマスター殿は特に何もしませんのでご安心を。マスターを裁く法は帝国にはありませんので」
犬歯をむき出しにして笑うコボルト。いけしゃあしゃあ、とはこういう時に使うのだなとサイゴウは思った。
「今までの経験から言いますと、ダンジョンに飢え切ったハイロウたちと言えどこういった処置を受けたところに入ろうとするものは中々おりません。いつ追い出されるかわからないダンジョンですからね。再び呼び込むためには、うちの許可証が必要になるかと」
「それ、よこせよ。すぐに!」
「ええ。では今回の監査結果を書類にしますので、改善項目をクリアーしてくださいね。そのあと改めてチェックさせていただきます。やる気があって何よりです」
「お前ぇ……コボルトの癖しやがって……っ!」
憤怒の形相で立ち上がるサイゴウ。それに対してコボルトは、一瞬しゃがみ込んで足のばねをためた。そしてとんぼ返りの勢いで、サイゴウの顎を蹴り上げた。
仰向けにひっくり返るサイゴウ。華麗に着地したコボルトは、倒れ伏すダンジョンマスターを見下ろした。
「たかがコボルトに負ける程度のダンジョンマスターに、いったいどれほどの価値がありましょうや。そういう口はもっと強くなってから利きましょうね、小僧」
「うぐ……ううう……うあああああ……」
めそめそと泣き出すダンジョンマスターに背を向けて、コボルトは一人の老貴族の前に立つ。歯を食いしばって睨みつけてくるその老人に、冷たく言い放つ。
「さて。それじゃあ帝都までご同行願いましょうか、マジナ伯爵」
「横暴だ……これが、長年帝国のために尽くしてきた我らにする事か!」
コボルトは、爪を立てて貴族の顔を引き裂いた。皮膚が破れた程度だ。致命傷には程遠い。
「寝言を言うな。たとえ皇帝といえど、ダンジョンを腐らせて許されるわけもない。忘れているようだから改めて教えてやる。帝国は、ダンジョンの為にあるのだ。……連れていけ」
悲鳴を上げるマジナ伯爵が、ゴーレムに担ぎ上げられ運ばれていく。ため息一つつくと、コボルトは襟首の宝石飾りに仕込まれた通信機能を使用する。
「お待たせしました。こちらも大体片付きましたよ」
『それはなにより。……しかし、膿を出しきるのは骨ですぞ。ハイロウ達だけが商業派閥……いえ、独立復権派の手先とは限らんのですから』
聞こえてきたニアキスの言葉に、ふむと唸る。独立復権派。帝国に併呑された国々の出身者たちが作り上げた派閥である。表立って活動しており、中には念願かなって再度独立した国もある。もちろん、ダンジョンは取り上げた形になっているが。
しかし、それはあくまで極少数。帝国に、独立させた方が益があると証明できた者達だけ。残念なことにそこまで聡明なものたちは多くない。大抵は、かつての栄光栄華を求めて不平不満をまき散らしているだけの派閥である。
彼らの厄介な所は、往々にして極端な手段を取りがちな所である。帝都の街頭で騒ぎ立てるなど可愛いもの。地方都市で反乱を起こしたり、ハイロウ貴族を人質に取って立てこもったり。テロリズムに走る者も珍しくない。
このサイゴウダンジョンは、彼らの資金源として利用されていた疑いがあるのだ。
「構わないでしょう。それが連中への新たな手掛かりになるかもしれませんし。それに……」
コボルトは、横目でいまだ泣き崩れるダンジョンマスターを見やる。
「ここの立て直しには、外部の力が必要でしょう。まともな助力は難しいでしょうから、連中が支援を継続するなら助かるというもの」
『……また腐らせるのがオチでは?』
「今回はそこまで放置はしませんよ。立ち直り次第バッサリ切り離します」
コボルトは歩く。仕事はまだ片付いていない。隅々まで調べなければならないし、それをまとめて書面にしなければならない。
「さあ、さっさと片付けますよ。この次の監査も決まっているんですから」
『ここの南にできたダンジョンでしたか。できて早々、許可証の申請を出すとはやる気があって何よりですなぁ』
「全くです。全てのダンジョンマスターがそうであればいいのですが」
オリジンに仕えて長いこのコボルトは、世界の真実を知っている。長い長いオリジンの戦いを知っている。だからこそ、ダンジョンを台無しにするものたちに容赦しない。
「それでは急ぎましょう。時間は有限ですよ」
彼女がミヤマダンジョンで若いコボルトに告白されるまで、後七日。
/*/
ミヤマダンジョンがダンジョン監査部のチェックを受けてから約半月後。ダリオ男爵の領地、グルージャの町の南。バルコ国との国境付近。
さびれた街道を、多数の人々が重い足取りで進んでいた。その数は五百に届く。ほとんどが、民間人だ。女子供に老人。けが人も複数。痩せた馬が引く荷車にも、自分で歩けないものたちが満載になっている。
その先頭に、騎士がいる。彼もまたくたびれていた。鎧は修繕の後が目立つチェインメイル。髭も伸び放題だし、何日もまともに水浴びもできていない。それでも、集団を統率する意思がある証のように目に力が残っていた。
彼らの前方から、一人の男が走ってくる。この集団が放った斥候だ。元は狩人という事もあり、体力はまだ残っていた。鍛え方が違うのだ。
「失礼しやす。お話にあったとおり、森へ入る道がありやした」
「あったか。……いけそうか?」
「一応、それなりの人数が行き来した後はのこってやした。自分が先頭に立てば、なんとか。ですが……本当にいくんですかい?」
狩人の男が不安を隠さずに言う。その表情は、周囲の者たちも一緒だ。騎士を補佐する従者たちも、同じ顔をしている。
それでも、騎士は頷いた。
「分かっている。我らは何かしらの策謀に利用されている。しかし、ここまでに我らが使った医療品や口にした食糧。それが無ければ生き残る事すらできなかった」
騎士は歩みを進める。ほかの者達も後に続く。
「それに、これだけの数は流石に国境の町では受け止めてくれまい。であれば、例の話に乗るほかないのだ。我らが生き延びるためには」
集団は進む。それ以外の道が無いが故に。
「ダンジョンに、向かうぞ」
ストーリーテラー・クラン ユニーク・ジツ! レイニーストップ! イヤー!
……という冗談はさておき。これにて間章は終了となります。これより第四章の執筆のために
お時間をいただきます。またしばらくお待ちください。
それでは、次回もミヤマと地獄に付き合っていただく。




