エンディング
あの大量の人物紹介を書ききった理由。
俺が初めて凌いだ大襲撃。あれの失敗は、三大侵略存在のバランスを崩したらしい。先輩曰く、『それぞれでリソースの取り合いが始まった』のだとか。おかげで互いが互いを食い合い消耗を進める事態に。
それは満天の星のようにあった連中の支配世界を、急速に減らしていく流れに繋がっていた。俺たちは歓喜した。いよいよ終わりが見えてきたと。しかし先輩は、グランドコアとジャガル・フォルトは強い警告を発した。
後先考えない、全部を注ぎ込んだ最後の攻撃が来る。そういわれてしまっては仕方がない。ダンジョンマスターは準備した。できうる限り、あらゆる手段をもって。
そして、俺がマスターになって約三百年ほど過ぎた頃。ついに最後の大襲撃が起きた。それはもう、攻撃という言葉が適さなかった。生きている津波だ。害意ある物量だ。あとからあとから、尽きぬことのない化け物の群れ。
俺たちは必死になって抗った。三百年積み重ね鍛え上げたあらゆるものを使って戦った。耐えられず、いくつものダンジョンが消滅した。知り合いのマスターが何人もこの世を去った。
うちのダンジョンも、ギリギリの戦いを強いられた。……が、まあ。正直言えばいつもの事なので、そのように対処した。あらゆるものがボロボロになったが、何とかしのぎ切った。
オリジンが大襲撃の終了を宣言して数日後。グランドコアが星に住むすべての生命に通達を出した。
『現時点をもって、ダンジョンによる世界防衛を終了する。もはや異世界からの侵略は起きない。侵略存在はその能力を失った。ダンジョンは解体。マスターは解放する。繰り返す。現時点をもって、ダンジョンによる世界防衛を終了する』
労いのひとつもない、奴らしい言葉だった。で、まあ世界は混乱した。そりゃそうだ。三千三百年の長きにわたり世界を支えたアルクス帝国の根幹が無くなるというのだから。
特にハイロウの嘆きは相当なものだった……当初は。しかしハイロウの宿痾、レイラインで伝達されていた世界の恐怖についての情報が無くなったのを感じ取ったのか、徐々にそれは弱まった。
しかしそれでも、精神的かつ経済的重要拠点だったダンジョンが消えるのを易々と受け入れられるはずもない。帝国は、変動の時代を迎えることになる。
それは俺も同じだ。今回の大襲撃でもダンジョンはボロボロになった。それを解体して、地下を綺麗にして。財産やら大事なものを地上に移して。ダークエルフ達に新しい場所を用意してと何かと忙しい。
俺は、地上に移した赤い巨石を眺める。長く時間を共にした相棒を。……別れではない。形が変わるだけだ。
やることは分かっている。石が、割れる。その中にある小さな宝石を手に取り、俺はそれを己の胸に押しつけた。
そして……。
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・ミヤマダンジョン
ナツオ・ミヤマ (深山夏雄)
多くの友人や仲間を見送りつつも、三百年ダンジョンマスターをやり遂げる。引退後はプルクラ・リムネーに住まいを移す。せっかくなので、旅や新しい事をしようと考え中。第二の人生に思いをはせる。
イルマタル・ヤルヴェンパー・ミヤマ
夫を支えて、家族と共に過ごす。仕事人としては優秀だったが、家の中では若干問題が。長年描き続けた絵の置き場がないと苦情が出る。しょうがなく友人知人に送り付けた。数百年後、全く画風が違うのに同じサインが入っている絵が話題になる。その時点でも生きていたため大騒ぎに巻き込まれた。
エラノール
周囲にせっつかれ、ガーディアンになって三十年後やっとミヤマの妻となる。エルフ的にはかなり早めだが、彼女の両親はそれ以上だったので親戚は寿ぐだけだった。子供が生まれたが、かまいたがる母との戦いに明け暮れる。
ミーティア
ダンジョンが無くなってもミヤマに取り付いている。ダンジョンコアの契約が無くなったので、代わりのものを自分で用意した。そうでなければ何をするか自分でも分からないから。まだしばらく続くミヤマの行く末を酒を飲みながら楽しんでいる。
ロザリー・ブラントーム・ミヤマ
ダンジョン運営や財産運用、防衛戦などを大いに楽しむ。が、外に修行へ出させた三男が実家の非主流派に抱き込まれミヤマダンジョン乗っ取りを企てる。それは無事に解決したのだが責任を取って離婚を申し出た。しかし、ミヤマに泣いて縋られて断念。せめてもの禊として以後ダンジョン内の責任ある立場から退きただのガーディアンとして過ごす。三男とは絶縁。実家とも長く不仲という体で過ごした。
メルヴィ・ミヤマ
イヤイヤ期を抜けた後は、大変聡明な女の子になった。まあ、あまりミヤマには懐かなかったが男親というのはそういうものだ。ミヤマはメルヴィだけでなく、自分の子はダンジョンの外に修行に出した。ダンジョンで増長したハイロウをたくさん見ただけに、そういった連中と同じになってほしくなかったからだ。いくつかの土地で修業したメルヴィは、後にミヤマダンジョン傭兵団に参加。そこで見初めた青年をダンジョンに連れ帰って、ガーディアンにしてもらえるよう父親に願い出た。ミヤマはにっこり笑ってブッチャー&クラッシャーを装備した。妻と仲間に止められたが。
ヨルマ・ハカーナ
名声が地に落ちたクローズ子爵。彼の力によってそれがかつて以上に輝くことになった。おかげで上位貴族のお嬢様を押し付けられる羽目に。幸いなことに彼女は良い子だったので、ほかの妻とも仲良くやってくれてた。その後生まれた子供に家督を継承し、今はミヤマの傍で執事長の座にいる。
コボルト
コボルトの寿命は五十年ほど。ミヤマダンジョンで大事にされたコボルト達はそれなりに長生きし、天寿を全うした。トラヴァーとアミエーラの子孫は優秀な者が多く現れ、シャーマンやアルケミストになったものが多かった。トメキチの子孫はよく働く者が多かった。怠けものが出ることもまれにあった。ともあれ皆よく働き、ミヤマに愛され、幸せにこの世を去って行った。そのたびにマスターは涙を流した。それも含めて、コボルト等は幸福だった。
コボルト(クロマル)
多くの仲間や家族がこの世を去る中、常にミヤマを支え続けた。本能はガーディアンでいることが不自然であると理解していた。多くのコボルトがその道を選ばない理由がこれだ。自然であるべきだと。それでも彼は主の傍にあり続けた。自分たちを愛してくれる人を支えるべきだと強い意志をもって。何の力も無くても、誰かのために立てる彼は間違いなくヒーローだった。
白姫
いちコボルトとして、母親として静かに暮らす……とできればよかったのだが。昔の友人からの相談や助けを求める声は止むことが無かった。彼女もミヤマダンジョンのガーディアンである。主の許しなくできるはずがない。が、その彼女の友人というのはアルクス帝国の重鎮たちである。ミヤマもノー、といえるわけがなかった。そのコネのおかげで助かる事も多かったのだし。そんなわけで、多忙な日々はまだしばらく終わらないようだ。
スライム・クリーナー
ダンジョンが無くなったため、お役御免……となる事はなかった。仕事先がプルクラ・リムネーに変わっただけだった。このモンスターが清掃活動において極めて優秀なのは皆が知る所。今も変わらず汚れた所を綺麗にしている。
シルフ・エリート(エアル)
契約はなくなったが、彼女はこの地を去ることはなかった。より自由になり、行動範囲も広がったが必ずプルクラ・リムネーの空に戻ってきた。姿を現すことは稀になったが、住人達を見守っている。ミヤマにだけは例外で、一声かければ必ず現れた。
マッドマン
湖の近くと墓場にいるのをよく確認されている。基本的に無害だが、場を荒らすものには割と容赦はしない。アンデッドが森に出ると、どこからともなく現れてそれを土葬してしまう。その姿の方がよっぽどホラーであると与太話にされている。
サラマンダー (アグニ)
人の生活の中から火が消えることはない。ダンジョンが無くなっても、炭焼き小屋や鍛冶場は必要とされる。その中の火を覗けば、トカゲの姿が時折現れる。親しいものが声をかければ炉の外までやってくる。ミヤマが近づけば、声掛けすらいらない。
レケンス
ダンジョンとの契約が無くなっただけで、彼女の立場は何も変わらない。水の大精霊として、土地を守っていくだけである。そして自然に敬意を払うものには、相応の加護を与える。彼女からしてみれば、ダンジョンと契約していた時期などはほんの一瞬の事であった。しかし、楽しい日々だったことには違いない。これからも、エルフ達と共に森の中でおだやかに過ごしていく事だろう。
ホーリー・トレント
ダンジョンが無くなっても、ラーゴ森林がアラニオス神の神域であることに変わりはない。特に指示を受けたというわけでもないのだが、彼はそのまま大地に根を下ろし続けている。モンスターがやってくることはこれから減るのだが、なにせこの地にはミヤマがいる。きっとまたいろいろ起きるのだろうと、トレントは確信していた。
ストーン・ゴーレム(シュロム)
ミヤマの屋敷を守っている。昔ほど戦う事はなくなったが、その様相は不埒ものを近づけない。そしていざとなれば昔通りに大暴れである。ミヤマの「物騒な」外出に出動することも多い。彼は主に忠実だ。これからも、変わらず。
ゴーレム・サーバント ルージュ、ノワール等
ダンジョンが無くなってもやることは変わらず。新しくなったミヤマの屋敷で働いている。働けば破損することもたまにある。しかし主はしっかりとメンテや修理に出してくれるので、彼女らが機能停止するのはまだまだ先になりそうだ。もちろん、彼女たちにとってそれは本望である。
ウッドゴーレム
数は増えたが、仕事は変わらず。ダンジョン終了後もミヤマの下で工事で使われている。必要とされる事が彼らの喜び。整備してもらえるし、文句は何もない。工事部で今日もコボルト達と仕事をしている。
ダンジョンアイ
ダンジョン消滅後も、程よい生息地を用意してもらってそこに住む。やはり地域一体で情報共有できるというのはとても強い。プルクラ・リムネーの防衛隊や警備兵に重宝される。もちろん、ミヤマ達にも。
ブッチャー&クラッシャー
何かと危険な目にあうミヤマを守る最後の砦。ダンジョンの住人達からの信用をこの剣と鎧は最後まで裏切らなかった。定期的に自分たちをアップグレードし、能力を向上。その為の訓練も泣き言言わずこなしきった。魔剣と鎧は数あれど、彼らほどのそれはわずかしかない。これからも、ミヤマを守り続ける事だろう。
エルダン
変わらず、仲間と愉快に冒険者生活……をしていたのだが。ある日妻と一緒に長らく姿を消す。いい加減皆が心配していた所に妻と一緒にひょっこり戻ってきた。そして開口一番『すみません、亜神になってしまって諸々に手間取りました』と。ミヤマダンジョンが大騒ぎになる。
エンナ
夫と一緒に帰ってきたら亜神になっていた。娘は混乱した。本人はいつも通りだったからたちが悪い。そして、そのまま前のように師範として働き始めた。混乱は加速した。挙句、孫を可愛がり始めた。娘は反逆した。つまるところ、たいした変わりはないという話。
ジジー・オイボレターノ
仲間たちとの大冒険の末に亜神に至る。……が、だからといって彼の在り方が変わることはなかった。欲望の神に仕える身である。どれほどそれに溺れても、身を滅ぼすことなどありえない。使える時は使う。そうでない時は意識すらしない。そして真に不要になったら諸共捨てる。彼はそれができる男である。なので、ダンジョンが消え去った世界でも、彼はいつも通り。お姉ちゃん侍らせて酒飲んで。声がかかったら仲間と冒険するのだ。
レン・ウーフェン
亜神に至ったが、彼も特に変わりはない。そもそもがドルイド。自然と共に生きるのがその在り方である。亜神になった程度、星という巨大な命に比べればたいしたことはないのだ。せいぜい、使用できる呪文回数が増えてラッキーだなあ、程度の認識である。これからも、異世界へ冒険に向かっていく事だろう。
ラニ
亜神になっても変わりなし。そもそも、英雄などともてはやされてもスタンスを崩さないのかこのチームである。なのでダンジョン無くなってもいつも通り。冒険して、金儲けして、魔法覚えたり教えたりして、エウラリアとイチャイチャする。この世界で指折りの自由人かもしれない。
エウラリア
仲間たちと同じく、彼女にも基本的に変わりはない。冒険し、信仰し、布教し、ラニとキャッキャウフフする。特に布教面においてはミヤマダンジョンで大きな成果をあげられた。しかしダンジョンが終わり環境も変わった。新しい時代に即したものを考えねばならないと信者たちは言う。じっくりとやっていきましょう、と変わらぬ彼女は微笑みながら言った。
バラサールとバルバラ
ガーディアンの席というのは、少なくはないが無限にあるわけでもない。ダンジョンが大きくなり年数がたてば足りなくなってくることもある。マスターの妻などの一部例外を除けば、百年から二百年程度で自主引退するのが帝国の通例である。そんなわけでこの二人も時期を見計らって後輩に道を譲った。とはいえバラサールは「湖面の月」の仕事でのがあるし、バルバラも酒場の経営者としてまだ働いている。ハイロウとしてはやっと中年に入ったような年齢。子供たちは手がかからなくなったとはいえ、まだまだ引退には早い。
パラマとジア
ダンジョンが無くなった後は、帝都に戻った。子供たちはプルクラ・リムネーに残ったが。こちらに仕事があるのだから当然の流れだった。住む場所は若干もめたが、結局クローズ子爵家の屋敷となった。家臣としても、ダンジョンで世話になっていたからわだかまりは少なかった。そして一番幸いだったのは、ヨルマがもらった貴族のお嫁さんの事。とても愛らしい人物だったため、身分の差を超えてとても仲良くなった。そもそも、遠慮して別の場所に住もうとしていたパラマ達を半ば強引に呼び寄せたのが彼女だったのだ。そんなわけで、彼女たちは姦しく過ごしている。年齢考えろ、とヨルマは思うのだがもちろん口にはしない。
ホルグ
子や孫に囲まれてすっかりおじいちゃんとなった。鍛えていたため身体はしっかりしているものの、やはり若い者達には勝てない。そういうものだと穏やかに受け入れる。老人の数少ない特権だと彼は若々しい仲間たちに囲まれながらそう思っている。
ペレン
ダンジョンが無くなるという事は、ダークエルフ達の安住の地が消滅するという話になる。なのでミヤマは、ダンジョンに住んでいた全てのダークエルフが住める場所を用意した。もちろん、その場所は周囲から知られぬ所にある。これを見てペレンは、同族たちにこう呼びかけた。ミヤマとの約束はまだ続いている。安住の地を与えられたのだから、彼を謀る事はまかりならんと。ついでに、こうも続けた。あの男の悪運は、まだまだ続くぞ。どれだけ楽しめるかは、言うまでもないだろう? かくしてダークエルフ達は闇に潜み、ミヤマに付き従うのだった。
女神官
念願かなってミヤマの側室の座につく。子供も男女二人作った。内外に燻る熾火氏族の地位が確固たるものであると主張できるようになった。が、勿論それをことさらに表したりはしない。ミヤマの趣味でない事は調べがついているからだ。もちろん、侮った相手には容赦せず。それに関してはマスターもある程度は黙認するからだ。ダンジョンが無くなっても繋がりは変わらず。表には出ないが、ミヤマを陰から支えている。
ラマス
ダンジョン終了後も小部隊を率いてミヤマの傍にいる。守る場がなくなったがそれがなんだ。この男の波乱に満ちた運命は変わっていない。そしてその場には我らが入り込む隙間が必ずある。一族の為己の為、強者となったダークエルフは策を練る。
ニナ・ドゥーニ
無事、ミヤマの側室の座を勝ち取る。というかまた駄々をこねた。そしてミヤマが折れた。ダメだこの娘、俺が面倒見ないと。ついでに何名かのダメな子らも引き取った。で、彼女らの新しい仕事は他でもない、これからやってくる貴族娘どもを蹴散らす事である。もうちょっとまともな表現をするなら、結婚先や就職先の世話係である。自分らの立場を危うくさせる若い娘たちはなるべく入れたくない。彼女たちは奮起した。なお、当然ながら権力などない。そんな気を起こさせない程度にこき使われている。
アドベンチャラーズ チームA
ハイランたちのチームは、結局ミヤマダンジョンで生涯を過ごすことになった。仕事があったし、友人知人も多かったからだ。特にドワーフのゼンダ、エルフのバレリス、ハーフリングのマーブルなどは村ごとダンジョンに来ていたため故郷がこの場になってしまった。元の場所の復旧には時間がかかるが、長命種なのでのんびりとやるらしい。ハイランとドナの間には子供が増え、移動が難しくなったというのもある。ともあれ、かつての冒険者チームはその後も楽しく共に過ごしたという。
アドベンチャラーズ チームB
大襲撃中の働きが評価され、ヘルムとネピスはサイゴウの信頼を得た。ミヤマからの紹介もあったし、何より貴族でないところがいい。複雑な内情をもつサイゴウダンジョンでは彼らのようなポジションに着ける者は貴重だった。以後彼らの子孫は長くサイゴウに仕えた。蛮族と路地裏出身の二人からすれば望外の出世だった。生涯その立場には慣れなかったが。デルクは故郷の僧院に入った。大襲撃での働きは、彼に相応の地位へと押し上げた。やはりデルクもその地位そのものを喜びはしなかったが。カーラとナイヴァラは色々あってミヤマの側室となった。政治である。それぞれハーフエルフ集団と燻る熾火氏族以外のダークエルフ達からの後押しが決め手だった。本人たちは幸せに過ごせた。大襲撃後に彼ら彼女らが顔を合わせたのは一度きりである。以後は、それぞれの人生を歩んだ。
ハシント氏族のダイロン
プルクラ・リムネーで長老衆の一人となる。ミヤマの助けもあり、なんとか街の実権は一族で握り続けている。だがやはり、こういったものは水物だ。何かとトラブルやら失敗やらがあり、そろそろ危うい。まあそれもしょうがないし、そろそろ重いものを下ろしていいんじゃない? とはミヤマの言葉。しかし彼らにはアラニオス神への誓いがある。命尽きるまで、それを守り続けるのだ。
アドラン
相撲の行司をやらないかと唐突に周囲から打診される。とても困惑する。神事であるのは理解したがあれはちょっと文化違いすぎるだろう、と。でもすっかり相撲ファンになったプルクラ・リムネーのエルフ達。頼み込まれて行司の修業をした。着物姿にまた女性陣が大いに沸いた。まあ彼は何しても基本的にこうなので、本人は大して気にも留めないが。そんなわけでプルクラ・リムネーにも相撲部屋ができた。
ラウキアン
立派な青年エルフとなり、氏族長の座についた。若いころからダンジョンで様々な経験をしただけあって、同族間でもその傑物ぶりが噂になるほど。だが欠点がないわけではない。まあ、完璧な存在など多次元世界見渡してもいやしないのだがそれはともかく。彼は友人の命日になるとその者の墓へ赴く。……その数が多いのだ。若いころ、定命の者と多く交流を持った。それらはすべて天寿を全うしてしまった。エルフは友情に厚い種族である。彼の姿が見えない時は墓場へ行け。竪琴の音色が聞こえてくるから。
バザルト
ミヤマダンジョンのガーディアンとして長く勤め上げる。嫁も貰い、息子が育った後はガーディアンの座を譲った。トロルの寿命はエルフ並。いまだ現役であり、ミヤマから声をかけられればすぐさま戦いに出る。おじいちゃん無茶しちゃだめでしょ、と孫に叱られたりもする。何度かヨルマにリベンジマッチを仕掛けては負けているのでしょうがない面もある。
ポワン
大家族を作ったのちに寿命でこの世を去る。ガーディアンにはならなかった。オーク族はミヤマダンジョンの戦士として重宝された。その中にはポワンの血を引くものが少なからずいた。彼を知る者たちは、その面影を懐かしそうにしていた。
トラモント
諜報ギルド「湖面の月」のマスターをダンジョン終了後も続けている。スパイや破壊工作員への対策は、決して終わる事はない。特にミヤマが地球に係る事になってからは、そちら側の工作員まで増えてしまった。手配したのはミヤマの義兄、涼である。ときおりこちら側にきて報告などを受ける時、自分たちのトップがエルフだと知ると皆そろってテンションを上げている。特別感があるらしいのだが、トラモント的には首をかしげる所である。
ナイトデューク
度重なるやらかしに、ついにミヤマからさじを投げられた。捕縛されて、キアノス神の御許に送ることに。色々問題はあったのだが、それでも肩を並べた戦友だったのは事実。戦士たちによる送別会が行われた。そのラストで送られる予定だったのだが、全力でなりふり構わぬ逃走を開始。しかし残念、想定内の事態だったのであっという間に捕まる。最後は聞くに堪えない罵詈雑言……ではなく、フェチ極まりない性癖の数々を叫びながら首を刎ねられた。灰は海へと流された。魂はキアノス神の御許で説教中である。
ボルケーノ
大襲撃後、同族と結婚。もうちょっと派手に稼ぎたいと夫婦でミヤマダンジョン傭兵団へ参加。各地で名を上げる。ナイトデューク送別会にはわざわざ戻ってきた。そして案の定やらかしたのできっちり張り倒した。あの世への餞別である。神様に迷惑かけるなよ。
ヴェーネ&フィアンマ
姉妹それぞれ、良い相手を見つけて結婚。半悪魔には珍しく普通に家庭を築いた。結婚後は戦いを引退し、主婦として働く。強さも名誉もある彼女たちは、ご近所の奥様方に大変頼られた。ちょっと力が強い程度の乱暴者などは彼女らに勝てるわけがなく、ご近所トラブルに引っ張り出された。その分私生活では助けられたが。
カラスのバードマン
ミヤマダンジョンの滑空兵、ガーディアンとして長く現役を続ける。引退後は教官となり、故郷で若手を育成する。空を飛べる種族しか参加できない兵科である。アドバンテージは大きい。家族のため一族の為、そしてミヤマの為。優秀な滑空兵を育て続けた。
ロモロ
ミヤマダンジョンの門前町に小さな店を構えた。大繁盛とはいかないが、日々の雑貨を求める人は多かった。子供に店を継がせ、波乱万丈の人生に幕を下ろした。色々あったが、友人知人にミヤマにまで送ってもらったのだから言うことなしだろう。残念ながらその店は数代の後に畳むことになった。時代の流れである。だが子孫はしぶとく代を重ねていった。ロモロの血族らしい、とヨルマは笑った。
”頂点たるもの”アンビシオン
無事、陸地にたどり着いて芽吹き木としての生を全うする。さらに転生し、とあるエルフの里で子供となる。海と魚が大嫌いだが、とりあえず森の中にそれはない。おそらくよほどのことがない限り引きこもる事だろう。それをしっかり見守るアラニオス神。彼の試練はまだ始まっていない。
・ヤルヴェンパー家
エドヴァルド・ヤルヴェンパー ヒルダ・ヤルヴェンパー
不良家臣の処分をミヤマの協力により若干ながら進められた。全部掃除できるほどロクデナシどもはぬるくない。それでも多少なりとも肝を冷やせたので、愚かな行いは多少控えるようになっただけマシと考えた。当主の座を譲ったエドヴァルドはヒルダと共にヤルヴェンパーダンジョンのガーディアンに。時折休暇を貰っては孫の顔を見に行っている。
セヴェリ・ヤルヴェンパー
公爵となり結婚もした。相手を探すのが血縁的な理由で難しい公爵家だったが、彼の場合はちょうど血が遠くなった相手が見つかった。が、それがよりにもよって城塞蜘蛛に仕える公爵家だった。避けようとするのが一般的感覚だが、貴族社会では悪手。ミヤマダンジョンでいろいろあったからこそ、妻として迎え入れることにした。相手側もそんな気概を気に入ったようで夫婦中は意外と良好。子供もできて、当主としての勤めは順調である。時折、ミヤマダンジョンへ遊びに行く余裕もあるくらいは。
ユリウス・ヤルヴェンパー クリスタ・ヤルヴェンパー
息子たちがガーディアンになったのを機に、ダンジョンから出る。内部粛清を強行しようとしたのがダンジョン入りの原因。無理を押して入れてもらっていたという理由もあり、頭痛の種が少数ながら取り除かれたので出ることにした。以後は孫の手伝いなどをしながらのんびりしつつ、残りのろくでなし家臣を見張っている。
ウルマス・ヤルヴェンパー
家族でミヤマダンジョンに住まいを得る。そしてセルバ、バルコ国へのヤルヴェンパー公爵家の影響力を一定量確保し続けた。支配しては淀んでしまうし手間も多い。ほどほどがちょうど良く、見極めは難しい。その仕事があるからこそ、居場所があるとウルマスは理解していた。娘は大成し、立派な英雄として各地で名を馳せるのだがそれはまた別のお話。ちゃっかり夫婦でミヤマダンジョンのガーディアンにもなった。
レナード ケトル商会
ミヤマダンジョン一度目の大襲撃が終わった後、後継者と一緒に方々の復興事業に参入する。そして一通りの道筋をつけた所で引退。以後は商売に手を出さず地元でのんびりと過ごす。聞かれれば助言はしたが、それ以上は絶対に手を出さなかった。彼の葬儀の参列者は多く、その中にはダンジョンマスターも複数いた。もちろんミヤマも。
ヤルヴェンパー
ダンジョンが無くなっても彼女に変わりはない。巣穴の温泉にのんびりと浸かり、時折縄張りに入ってくる巨大モンスターを退治。公爵領で美食を楽しみ、ときおり帝都に足を延ばして娯楽を嗜む。オリジンの事は気にしているが、何やら楽しい事を見つけたようなので遠くから見守っている。
ムルタラ家 オルヴォ ソイニ
ヤルヴェンバー領の重労働施設で数百年過ごす。死亡しても蘇生させられ、費用は借金となる。刑期を終えた後は、ハイロウとしての能力を封印されて放逐された。その後の事を知る者は誰もいない。
・ブラントーム家
クロード・ブラントーム アンナ・ブラントーム
息子に家督を譲り、念願かなってダンジョン入り。ガーディアンとして大暴れしながら第二の人生をエンジョイした。が、乗っ取り未遂事件によってそれがぶち壊される。ブラントームの汚名を濯ぐために領地に戻って爪と牙を振るった。当主時代に殴れなかった連中を掃除できたのは喜ばしい。なお、怒りで我を忘れる夫を容赦なく張り倒すのが妻の仕事だった。
ダニエル
ミヤマダンジョン乗っ取り未遂事件で一番割を食った人。彼が配下を御しきれなかったといえばそれまでだが、多数いるそれらをすべてまとめ上げるなど土台無理な話。その都度処理していくしかない。極めて苛烈にそれらを両親と共に処分し禊とした。二百年ほど領主を務め、息子に家督を譲って妻と共にミヤマダンジョンに戻る。ガーディアンでいられた時間は短かったが、本人は青春時代に戻って幸せだった。
ブレーズ
兄よりも先にガーディアンとなった事で長い事いじられる。それはそれとして乗っ取り未遂事件の処理に彼も引っ張り出され、東奔西走することになった。最終的に件の三男は遠縁の傭兵団に放り込まれ一から鍛え直されることに。その仕事も彼に押し付けられた。やはり苦労人である。ミヤマに労ってもらえたので本人としては良し、らしいが。
アラモ 私兵軍の将軍
一族を率いてミヤマダンジョン入り。屈強なリザードマン戦士団は水辺でその能力をいかんなく発揮した。レケンスと協力して多くの戦果を挙げる。その先頭に立っていたアラモは、ある日ついに腰をやってしまう。以後、戦士として戦えなくなった彼はガーディアンと部隊長を引退。ダンジョンで余生を過ごす。訓練場で新兵を鍛える仕事は生涯止めることはなかった。
家妖精のドモヴォーイ ブラントーム家臣団のまとめ役
変わらずブラントームの城を守り続けている。子へ、孫へと移り変わっても彼の仕事は続く。家が存続することが彼の喜びだからだ。ダンジョンが無くなっても、それは変わらない。
近隣領主(ヒト、吸血鬼、ジャイアントアント)
ブラントームの寄子貴族達は、それぞれ別の道を歩んだ。ミヤマダンジョンに入るもの、ブラントームから離れるもの、乗っ取りに加わって断罪されるもの。様々だ。大襲撃で滅んだ所もあれば、色々を吸収して勢力を拡大したものもある。それらすべて、時代の流れで移り変わった。幸せもあれば、不幸せもある。それが生というものだ。
タロロとケンタウロスの人
大襲撃後に故郷に帰る。ダンジョンで戦った事は大いなる名誉であり、それぞれが地元で大物として扱われるようになる。しかしながら子孫はそれを活かせなかった。親のコネだけでやっていけるほど楽なものではない。調子に乗ったり、あるいはしくじったり。ミヤマダンジョンとは疎遠となった。しかしその後の血族が、また縁があってミヤマダンジョンに訪れたりもした。歴史とはこのような振る舞いを見せるものだ。
イーヴォ
人狼。大襲撃後、ブラントーム家へ引き渡される。そのまま鉱山送りに。脱走を何度も企ててそのたびに失敗し、さらに過酷な場所へ。刑期を終える頃には痩せた野良犬のような姿になっていたという。
・ソウマダンジョン
ヤタロウ・ソウマ (相馬弥太郎)
エルフの妻が寿命でこの世を去ったのを機に、ダンジョンマスターを引退する。一度だけ日本に帰り、両親の墓の在った場所へ。すっかり変わり果て、面影もないのを確認してからソウマ領に戻る。数十年後、妻と同じ墓に入った。
ハルヒコ・ソウマ
爵位を息子に譲ってガーディアンになろうとしていた所に、まさかの後継者指名を受ける。今まで実力で領地を統治していた実績がものを言った。他に適した者もいなかったため、二代目に就任。ダンジョン終了まで苦労が続いた。肩の荷が全部下りた後は、隠居し森番として静かに過ごした。
リンタロウ・ソウマ
荒事さえなければ、司祭の生活に変化はない。勤めと祈り。この二つに誠心誠意尽くしていれば日時などあっという間に流れていく。しかし彼は相撲の行司でもあるので、そちらの勤めが何かと騒がしい。血の気の多い連中が、行司の判断に物申すなど地方に行けばよくある話だ。当然、迎え撃つのはリンタロウ自身。アラニオス神の司祭として、ヤタロウの息子として、相撲の行事として。生半可な鍛え方はしていない。まあそんなことは稀だが、騒がしさはそこそこある。変わらぬものなど何もない。いつかアラニオス神の元へ向かうまで、それらすべてを修行として受け入れ続けている。
リンジロウ・ソウマ
侍としてガーディアン育成に励む。ヤタロウからダンジョンマスターになる事を打診されたが若い者の方が良いと固辞する。戦場では柔軟な思考が必要であり、自分ではそれができない事をよく理解していた。一人の戦士として、新たなマスターを支え続けた。
ハガネヤマ
偉大なる親方も年には勝てない。エルフほど長生きもできない。相撲部屋も神殿も後進に譲り余生を過ごす。歳食ったドワーフほど厄介な物はない。何かと口を出してきて若い衆からは煙たがられる。しかし同時に、彼らほど含蓄深いものもいない。時折、その鍛え続けた経験から良いアドバイスが飛び出る。それでも頑固爺なのは変わらないが。
オオツルギ
ハガネヤマから親方の座を譲られる。神殿や鍛冶場はそれぞれ別の弟子が引き継いだ。一人で三つはもともと無理な話だったのだ。才能のあるものは指導者として向かないとはよくある話だが、彼の場合は当てはまらなかった。良い相撲取りを多く育て上げることになる。
・セルバ国
マンフレート・セルバ
大襲撃後に国王の座を息子に譲る。一度は侵略され断絶同然となった国なので、権威の移譲が正しく行われることを内外に知らしめる必要があったからだ。老いた後では、トラブルが起きた時にリカバリーが効かないというのもあった。幸運にも、これに関して問題は些細なものでおさまった。余生はサイゴウの相談役として過ごす。彼のお供でミヤマダンジョンへ向かえば、懐かしい顔ぶれに会えるのもよかった。おおむね幸せだが、夫との時間を取られる事で娘からやきもちを焼かれるのが若干辛い所だった。
デルフィーノ・ピエリ
大襲撃後、静かに息を引き取る。襲撃後半ではすでに意識があいまいになっていた。これまでの激務と、慣れない環境が彼を消耗させていた。大襲撃の犠牲者と共に、国葬で送られる。セルバ国の歴史に名を残した。
サイゴウ ヒデト (才郷 英人)
大襲撃後、彼はセルバ国の復興に力を入れた。町や村を立て直し、道を敷き直した。正確に言えば、国家事業として行われたそれに金を出しただけだが。しかし、金や物が動いた事は復興を大きく後押ししたのは間違いない。サイゴウダンジョンで抱えていた他国にもこれを行い、大きな貸しを作った。十数年後、それがもとで平和的に周辺小国を併合。セルバ国は大国と呼ばれるレベルの土地と人口を確保した。国は彼によって滅ぶ前よりも豊かに発展した。そして、国を挙げてサイゴウへの感謝の祭典を開いた。王都に呼ばれ、彼らの顔を見るまでサイゴウはただのヤラセだと思っていた。広場に集まった人々の笑顔。それを見てやっと自分が許されたのだ理解し、人目をはばからず号泣した。その後、マンフレート王の娘である姫と結婚。ダンジョンが終わる日まで過ごした。その後、住まいをバルコ国の港町に移した。陸タコ達と穏やかに暮らしている。
陸タコ
サイゴウと一緒に海辺の街で暮らす。普通のタコより陸に上がるという選択肢がある分、生存力が高い。しかも知能もあるからコミュニケーションも取れる。数百年後、新しい亜人種として認識されるようになった。
超能力タコ
巨大な瓶が必要になるまで成長。ダンジョン終了後は、自分の種族の未来を予知する。いくつかの選択肢の中から最も穏やかなものを選ぶ。己のような超能力タコは一代に一匹程度がよい。そうでなければ種族内で争ったり、他種族と戦争したりするからだ。才能のある一匹を見出して弟子にする。それを育てながら、サイゴウの隣で静かに時を過ごした。
ヒュドラ
つがいをもらって子供を増やした。ダンジョン時代は二十匹を超えるヒュドラ軍団を率いて大暴れした。ダンジョン終了後はサイゴウと別れて温暖な場所、南の大島に住処を移した。なかなか弱肉強食の世界だが、歴戦の猛者たちなので負けはしない。新たな土地で生命を謳歌している。
ダリオ・アロンソ子爵
大襲撃終了後、領地復興の道筋をつけた所で領主を引退する。それまで補佐として息子を付けていたため、引継ぎはスムーズに行われた。息子からはまだ働いてくれといわれるが、ミヤマのご機嫌伺いの仕事をするんだよと逃げる。実際はこれ以上続けると権力の譲渡が難しくなるからという理由もあった。ミヤマとの繋がりが太いダリオは、周辺領主だけでなくセルバ、バルコ、ブラントームなど各勢力から特別視されていたのだ。引退後はミヤマダンジョンに妻と共に住居を移し、相談役としての日々を過ごす。昔馴染みも多く、楽しい余生を過ごした。
ラーゴ森林周辺領主の皆さん
ミヤマの助けもあり、大襲撃後の復興は順調に進んだ。運悪く事故や事件に遭遇する所もあったが、それについてもダンジョン側で対処した。……しかし、時が過ぎれば人も変わる。継承をしくじり、ダンジョンを侮る領主が付いた場所とは疎遠となった。周辺地域の経済や権威は、ダンジョンに繋がっている。そうなった領主の末路は、語るまでもない。そのように悲喜こもごもありながら、時は紡がれていった。
ハリー会長
大襲撃終了後に老衰でこの世を去る。病で何度か危ない時があったのだが、それはダンジョンにいたこともあり適切な医療処置を受けられた。純粋に寿命であった。晩年は、復興に向けて動き出す国を幸せそうに眺めていたという。
ブラス・モジャ
大襲撃からしばらく後に天寿を全うする。老年に至ってやっとサイゴウへの恨みを捨てることができた。……というより、筋違いの恨みだったという事を理解したというべきか。大地を埋め尽くす怪物の群れ。それを防げるのはダンジョンしかない事を目の当たりにすれば、その場を求めるハイロウが浅ましくなるのも頷けた。だからといって国を滅ぼしたのを許せるはずもなく、晩年はハイロウ許すまじと怒りながら過ごしていたらしい。ダンジョンマスターを恨むなとも。それを聞いてサイゴウは苦笑していたという。
アベル・グラシア
大襲撃後に仕事を引退。息子に後を引き継がせる。復興は一大事業だ。ダンジョンの内外へ仕事が多く、とてもではないが老年に差し掛かる体では持たない。そんなわけで引退し、ミヤダンジョンでできつつあるオヤジクラブの一員となった。……メンバーに元国王とか元近衛騎士とか入ってきた時は普通にビビったが。
ライン
復興景気で湧くリベラートで晩年を過ごす。子も孫もできた。もちろん市民権も得た。それらの場を整えてくれたのが国とサイゴウであると自分の子が大人になる頃には理解した。晩年、偶然サイゴウの近くに寄ることができたので若いころの振る舞いを謝罪した。彼はラインの皺だらけになった手を取って、許してくれてありがとうと言葉をかけた。互いの心の棘が抜けた瞬間だった。
・バルコ国
ジルド・カリディ・バルコ
息子が成人してしばらく後に国王を退位する。理由は、セルバ国と大体同じである。幸い、こちらも大きなトラブルは起きなかった。それを見て、ジルドはミヤマダンジョンに住まいを移した。権力から離れる為と、いざという時の備えの為だ。引退した友人達も集まっていたため、それらとのんびり過ごす……のはなかなか難しい。ミヤマダンジョンにトラブルが絶えたためしがないからだ。
カルロ
ジルドよりも前に騎士を引退。無理の利かない年齢では騎士は務まらないからだ。後進育成をしていたが、ジルドがダンジョン行きを決めたため同道する。その後は、かつての通り友人として振舞った。
ハリー
大襲撃後しばらく後に天寿を全うする。故郷と国の復興を見ることができた。ジルドの子が立派になるのも見届けた。良い人生だった。
リベリオ・カザーレ伯爵
若いころからの無理がたたり、復興半ばにして倒れる。爵位は子供に譲り以後は療養に努める……予定だったのだが、地元にいると内外から何かと仕事が持ち込まれる。それを怒った息子が、父親をミヤマダンジョンに送ってしまった。迷惑な話だろうと思ったのだが、マスターが喜んで受け入れたので厄介になることにした。来てみれば、見知った顔の多い事。笑いながらその輪に加わった。
マルコ・カザーレ
大襲撃後に、故郷で天に召される。寒い冬の事だった。波乱に満ちた人生だったが、喜びと幸せもあった。子や孫に囲まれて見送られた。
ピエトロ・フォーリノ
カルロと同じころにやはり引退。なんとか息子も騎士として勤め人となりひと段落。だが元近衛騎士でも引退後は悠々自適な生活とはいかず。ほそぼそと剣術道場などを開いていた。残念ながらこちらはあまりうまくいかず、数名の弟子を育てた所で道場を閉める。これからどうしようかと悩んでいた所で、ジルドのダンジョン入りに誘われた。
恰幅のいい商人
大襲撃終了後、息子に商売を譲る。隠居するつもりだったが、ダンジョン生活で沢山のコネができた。これでもうひと商売できるのでは? と思い立ってしまった。ある程度の道筋をつけた所で、次男にぶん投げて本当に引退した。
・アルクス帝国
オリジン
最初に手を付けたのは権力の譲渡だった。三大侵略存在の縮小が確認されてから、そのための準備を粛々と行っていたので辛うじて事故を防げた。次に、ダンジョン機能に頼った帝国統治の抜本的改革。その時代の皇帝、三大守護神、六公爵家当主と話し合う。現在ある技術に置き換え作業を進めた。そして現人神を止めると宣言。これはもめた。帝国の多くの臣民が止めないでくれと嘆願している。まだ当分、この問題は続くだろう。それはそれとして、彼女は旅に出ることを考えている。やっと、放浪者に戻れるのだと虚無感を抱いて。
ダンジョンメイカー グランド・ダンジョンコア
ダンジョン終了後、機械化惑星をジャガル・フォルトへ返還。人形の身体からも離れ、ただのアルケミックコアに戻る。ほとんどの能力を失う結果となったが後悔はない。そんな機能はない。かつてと同じように、オリジンと一体となった。それで十分である。
トッポ&ペコ
コボルト幸せ商会は閉店することになった。オリジンの付き人は続けるが、それ以上に後進育成に力を入れる。長く働いて培った知識を継承するために。それがコボルトでなくても問題ない。大事なのは、オリジンを一人にしない事だ。
クラトス・ニキアス・アルクス
任期を終えて皇帝の座から降りる。そして働きを認められオリジン騎士団入りを果たす。帝国を支える六公爵家にはオリジンにも秘密にしている事がある。はるか遠い昔、帝国の前身たる王国が生まれた理由を彼らは長く伝え続けていた。記憶は消されたが、記録は残されていたのだ。それは、オリジンを裏切った罪の記録だった。一族が、民がどれほどオリジンに助けられていたかという記述も大量に残っていたが故に、自分たちの命惜しさに信頼を裏切った事実が罪の重さを大きくしていた。だからこそ六公爵家は帝国に、オリジンに尽くすのである。クラトスもまたその一人。皇帝の座などただの仕事にすぎない。オリジンの責務が終わるその日まで、奉公することで一族の罪を購うのだ。……という話をダンジョン終了後に代表としてオリジンに告げる仕事を押し付けられた。オリジンが大泣きしたのはその場にいたものだけの秘密である。
ニキアス・ノエ・アルクス
大襲撃終了後に、オリジン騎士団を引退する。帝都で余生を過ごす……といった落ち着いたことはせず、元の身分を隠して各地を旅する。そして、悪党貴族を見つけてはこれを成敗する。もちろん私刑ではなく、しかるべき部署に報告するだけだ。その過程で昔取った杵柄を振るったりもする。懲らしめてやりなさい。いや、やっぱ俺がやるわ。
マニウス・ポンペイウス・ルフス
結局彼は、ダンジョンに住む事はかなわなかった。大抵のハイロウにとっては、それが普通だ。帝都に住めているだけ、彼は全体的に見ればマシな部類に入る。さらに、ミヤマダンジョンへ旅行の予約を入れれば、割と優先的に席が回ってくるのだから十分だろう。細い伝手ではあるが、これから代を重ねて太くしていけばいい。そう思っていたのだがまさかダンジョンが無くなるなんて。
ビル・オルド
放送局を退社後、フリーのコメンテーターとして働く。なかなかの人気で方々で仕事をしたがそれを嫉妬される。スキャンダルを捏造され、それを払しょくするために決闘することに。代理人を用意したのだが相手側の工作で潰される。もはやこれまでと諦めた時、どこからともなくコボルトマスクをつけた謎の女性戦士が助っ人で現れた! オリジン様にとても良く似ているが一体誰なんだ……というのが帝都臣民の正しい振る舞いである。なお、無事に名誉は守られた模様。
ナルシス・ドゥーニ
妹がマスターの側室になった。普通ならば貴族として栄達の道が開けたも同然である。しかし実際にはどうしようもない娘を引き取ってもらったという形。むしろデカイ借りができた。そんなわけで新しい仕事は、彼らの成功にすり寄ってくる有象無象からミヤマダンジョンを守ること。これがもうひたすらに大変で、栄達には程遠い。しかしダンジョンへの縁は太く確かになったのは変わりない。ハイロウ貴族たちは納得して仕事をつづけた。
マダム・フルッタ
大襲撃後に興行主としての仕事は引退。ただの主婦になった。しかしマダム・フルッタの名は残った。以後、同じ趣味をもつオーク女性がそれを名乗り地下で興行を打つことになる。もちろん、女性陣はきわどい姿をしている。客は喜ぶ。マダムも喜ぶ。ヨシ!
ティフォーネ
ダンジョン終了後も、生活に変わりなし。同じ場所でそのまま生活していく。せいぜい、旅行先のバリエーションが増える程度である。ほぼ神と変わりない存在であるから、再び世界に危機が訪れない限りそのままでいる事だろう。もっとも、彼女の友人たちはいろいろやらかすのでそれの対処で忙しくなるかと思うが。
アマンテ
ダンジョン終了後、再びオリジンにボコられて使役契約を結ばされる。放置すれば大災厄を引き起こすのはみんな分かっていたからだ。本人としてもその気は満々で、隠し拠点をあさって見れば帝国乗っ取りの策略の証拠がこれでもかと出てきた。本人はてへぺろ、と舌を出して誤魔化した。オリジンが尻を引っ叩いた。再び負けたわけだが、オリジンの傍に居られてアマンテは喜んでいる。策略は配下にやらせればいいし。実際地球と火星で悪だくみ中だし。
オスカー・ビクスラー レオナ・クロイツァー
新生したビクスラーダンジョンは、無事に大襲撃を乗り切った。周辺からの信用もある程度回復し、かつてとは違う繁栄への道を歩み始める。そんな中、ダンジョンマスターオスカーは……ストレスをためていた。ダンジョン運営が軌道に乗るまでは我慢していた。しかし安定した今はもう我慢しない。彼は自分の顔にメイクを施し、衣装を変え、賑やかな場へと道具を持ち出し躍り出た。道化として。生きるために仕方なく覚えた技だったが、お客さんを楽しませるのは純粋にうれしい事だった。一月ほどはバレなかったが、結婚したレオナに見つかったら即発覚。こってり叱られた。そしてその後はレオナが見張る場所でやることになった。ダンジョンマスターが一人でいるんじゃありません。
テオ
結局クローズ子爵家に就職することになった。ヨルマの仕事は多岐にわたり、よくもまあこんなに手を伸ばすものだとテオも呆れるほどだった。しかし彼もまた器用な男である。なんだかんだそれらをこなして出世した。
ウド・フンペ
ダンジョン終了後、恩赦で解放された。すっかりスリムマッチョマンになった彼は、そこそこ金も持たされたことだしふらりと旅に出た。初めて地上を歩いて、その厳しい暮らしぶりに驚く。気が付いたら傭兵として名を馳せていた。力が必要とされていた。そして彼には力があった。そういう事だ。
マジナ伯爵
大襲撃を生き延びたが、彼は生きてダンジョンに戻る事はかなわなかった。無理がたたって病に倒れた。僧侶の施す治療の奇跡の効果もなく、そのままこの世を去った。その数十年後、血族がダンジョン入りしたのをキアノス神の御許で確認し、新たな輪廻へ旅立った。
モーガン・クローズ
ダンジョン終了後までオリジンの元で働き続けた。恩赦で解放されたのちは、帝都を去るつもりだった。しかしその動きをしっかりヨルマは把握していた。丁寧に屋敷に迎え入れられた。流石に三百年も過ぎれば過去のわだかまりも記憶の彼方である。晩年は屋敷で過ごすことになった。孫に囲まれての幸せな老後。彼のしたことを考えれば過ぎたるものと思うかもしれない。しかし彼は戦い続けることで罪を償った。許す許さないは当事者の考える事である。
ダンジョン背信者幹部
モーガンのように、はじまりのダンジョンの過酷な環境に耐えられるものは稀である。プライドが高かった連中などは、年を越す前に心が折れる。後はもう、呪いをかけられてゾンビのように使い倒されるだけだ。摩耗して蘇生すら不可能になったら廃棄される。背信者達の幹部が、生きてダンジョンから出ることはなかった。
・地球
深山正一と桃子
ミヤマが日本と交流を初めてしばらくして、やっとダンジョンに連れてくることに成功する。盛大にお祭りが開かれてひたすら恐縮した。新しい孫の顔を見られてご満悦(その時はロザリーの子もいた)。その後、移動できないミヤマの為、盆と正月はダンジョンで顔を合わせるようにした。子供二人で話し合い、老いた後はダンジョンで過ごすことになる。人手はミヤマの所の方が多かったからだ。孫やコボルトに囲まれて、不思議な老後を迎えた。
冬美と涼
ミヤマがオリジンに掛け合い、一時的に娘のマスター権限を冬美が預かった。理由は、学校は卒業させてやりたかったから。あくまで一時的。それ以上は譲歩しないというオリジンの言葉通り、数年で娘に返した。涼は地球側で決戦世界とのつなぎとして働き始めた。理由は三つ。家族の為、地球の為、そして自分の利益の為である。地球側が極端な行動を取った場合、負けるのは目に見えていた。それをされれば、娘にもミヤマにも被害がでる。当然の行動だった。そして、二世界間の貿易に噛むことができればその利益は膨大だ。このようにしてこの夫婦は、しばしの間地球でその勢力を強めた。もっとも、寿命は人に合わせたが。
秋
高校を卒業後、ダンジョンマスターを約束通り十年勤める。その後、父親が起こした貿易会社に就職。帝国との取引で活躍する。なんといっても元マスターというのは強い。さらに叔父は現役なのだ。そんなわけで会社ではよく目立ち、声をかける男に事欠かなかった。しかし彼女が相手に選んだのは社外の人物。最終的には父親から継いで二代目社長となり、会社をさらに大きくした。
コロタ
ミノリのコボルト。生涯、ミノリの傍にあり続けた。伴侶ももらい、その後は一家で世話になった。ミノリのアルバムを開けば、マスターになった後には必ずコロタが写っていたという。
小竹 大和
決戦世界のダンジョンマスター 地球編主人公。帝国側、日本側双方からの無茶ぶりに翻弄される。一応ミヤマ等のフォローを貰えるが、本人も腹を据えて(開き直って)反撃する。とりあえず動画配信ね。社会人になった秋と結婚する。そしてそのままダンジョン終了までマスターを続けた。余談だが、地球編執筆の予定はない。
野坂 陸
十年マスターを務め、引退。ラケルタのいる田舎に引っ込み、引き取ってきたコボルト達で野球チームを結成。コボルト野球で動画を作る。世界的に大ヒットし、ハリウッドからオファーが来るほどになった。地球でコボルトが受け入れられるようになった立役者。
ラケルタ
日本の山間部、田舎にじわりじわりと信者を増やす。さらに、地下世界の探索者も彼女の加護を求めて信仰した。それを目障りと思った者は多く、何かと妨害を受けたがダンジョン側の支援もありことごとくを蹴散らした。後に信者が日本各地で市議会や県議会で議員になっていく。え? 宗教団体ではないぞ? 信仰は個人の自由じゃよな? よし、次は国会じゃな。
昼神と猫屋敷
帝国との交渉窓口を手に入れて評価される。しかし、その後に起きる様々なトラブルに奔走させられる。地球側はあちら側の技術と資源を手に入れたい。帝国側は面倒を持ち込まれたくない。様々な摩擦が国内外で発生する。専門の部署が立ち上げられそこを任される。押し付けられたともいう。出世はしたが、仕事は増えた。
・世界
決戦世界
ダンジョンが終わったため、大いなる変革の時を迎えている。発展を阻害していた大襲撃はもうない。しかし地下世界がある為モンスターの脅威は残る。レイラインパワーは未だに溢れんばかり。これらは時間の流れで失われるが、それでも数千年を必要とするだろう。帝国も技術優位は少しづつ失われていく。ダンジョンという欲求を失ったハイロウは、各々ヒトらしく振舞っていくだろう。多くの争いが起きることが予想され、帝国首脳陣はその備えをしている。各国は帝国一強の時代を終わらせるために蠢動する。神々はそれを見守り、解放された悪神は野心を燃やす。そしてアマンテは眷属を各地に放った。新しい時代を迎える世界は、いかなる名前を得るのだろうか。神々ですらそれをまだ知らない。
地球
三百年間、異世界からの干渉を受けて多くの変化があった。地下世界の物資、魔法の伝達、怪物の地上侵攻、ダンジョンとの接触、人体の機械化、超能力者の発生、帝国の工作。そんな中、火星でテラフォーミングが始まる。それ自体は順調に進んだが、統治には多くの問題を抱えている。宇宙というフロンティアに手を伸ばしつつあるが、混迷はより深くなっている。それでも、人間はしぶとく生きている。
ジャガル・フォルト
世界移動能力を失ったとはいえ、三大侵略存在が絶滅したわけではない。なので今度はこちらから攻め込む番。移動要塞はその戦力を今まで観測していた全ての世界に送り込むことを決定した。これからも戦いは続く。一かけらも残さない。そしてそれが終わったら、自らの所有者を復活させる。恐るべき巨大要塞は、まだ止まらない。
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決戦世界のダンジョンマスター 一巻もエントリーされています。
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