表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陽神装甲ソルテラス〜特撮ヒーロー異世界で神話となる〜完全版  作者: ソメヂメス
ヒーロー番組の主演が人生の転機すぎた
6/36

接続アマテラネット!旅立ちとソルコマンダーの新機能

「大地君が消えてからみんな心配してたのよ、一週間どうしてたの?」


 俺はこれまで事を話した。世界の危機を救うために聖女と女神によってこの世界に召喚されたこと、ソルテラスに変身してデーモンを倒したこと、ソルテ様の今の力では帰れないこと、これからこの世界を旅して世界を平和にし、ソルテ様の力を強くして元の世界に帰れるように頑張る事を話した。


「へー! そんな事になってたんだ、大変だったねぇ!でもこっちも大地君の扱いをどうするかで揉めていたの、何せいきなり目の前で超常現象が起きて光に包まれたと思ったら消えちゃったんだもの失踪扱いにするかどうかでね」


 確かにいきなり超常現象で人が消えたなんて言ったら、打ち上げパーティーの参加者全員が疑われちゃうよな。


「それよりも何でケーコさんとこうやって話が出来るんですか?」


「あたしソルコマンダーの機能設定と画面デザイン、CGの担当でしょ、自分のパソコンのソルコマンダーのフォルダー開いたらアマテラネットって見覚えの無いファイルが入ってたのよねー」


「えっ! 知らないファイルを開いちゃうなんてケーコさんにしては迂闊なんじゃないですか?」


「そんな怪しいファイルあたしが開くわけないでしょ! そのファイル勝手に開いて起動したのよ、こっちの操作受け付けないし、それにずっと大地君が消えた時と同じような光を出してたから無茶苦茶ビビったよ」


 ……ちょっと待てよ、確か俺を召喚する時ソルテ様の力だけじゃ全然無理だから地球の神様の力を借りたって……あっ!!


「アマテラネットって言いましたよね、実は俺が召喚された時コッチの太陽神ソルテ様の力じゃ足りなくて天照大神が力を貸してくれたって言ってたんですよ」


「普通なら荒唐無稽でとても信じられない話しだけど実際に大地君が光に包まれて消えたのをみんなで見たし、こうして別の世界にいる君と話が出来てるしね。今ここで起きていることは否定しようが無い、アマテラネットは天照大神が運営するプロバイダーで間違い無いと思う」


 地球との繋がりがあるのは正直心強いな。ソルテ様とこの世界の為に戦うって決めた時に、帰る望みはあるけど帰れない覚悟もしていた。正直ケーコさんの顔が見れて、話しが出来て涙が出そうだ。


「おっと! 通話可能時間が5分切ってるじゃない、とりあえずTV電話機能で加賀美 大地との通話が可能って表示が出てたから使ったけど機能とかちゃんと調べてないの。とりあえず一度ログアウトして何が出来るか調べてソルテラスのスタッフとも相談して連絡するよ! じゃあねぇー!」


 ケーコさんが通話を切った後もしばらくソルコマンダーを眺めていた。


 陽神装甲ソルテラスのスタッフは特撮ヒーロー番組にしてはクレジットされるスタッフに女性が多い。チーフプロデューサーの柿本さんが能力があるけど陽の目を見ないスタッフを集めたら結果的にそうなったらしい。


 その中でもケーコさんは一番俺と仲の良かった女性スタッフだった。俺は正直な話、女性が少し苦手なんだが職人肌で化粧気が無く人当たりの良いケーコさんとは同年代だということもあり、年の近いキャストやスタッフと一緒に飲みに行ったり遊びに行ったりしていた。正直、友達だと思ってる。


 懐かしさに涙が込み上げて来るとソルコマンダーにメッセージが入っていた。


「アマテラネットは私のパソコンとソルコマンダーを繋ぐものです。大地君がそこで活躍するとポイントが貯まりTV電話の時間、このメールの文字数がポイント加算されてポイントを消費してソルコマンダーに追加機能を付けることも出来ます。大地君がソルコマンダーを手にしてからの行動はアマテラネットで掌握出来るので必要そうな機能を追加しました。もう文字数がないので終わります。大地君が活躍すると通話もメールも能力も増えるから頑張って下さい」


 文字数が足りないみたいだから必要最低限のメッセージだけどありがたい。頑張ればまたケーコさんと話せると思ったらヤル気が出て来た!とりあえずソルコマンダーの機能をチェックしてみよう。


 MAP……行った所、知り得た情報を自動で地図に記入。現在地表示、ナビゲーション機能あり。


 データーベース………聞いた情報をデーターとして保存。書物、啓示、壁画の文字などのスキャン、解析可能。


 ヒーリングライト……毒、呪い、精神制御、石化等の状態異常を回復する光線。ソルテラス時は全身、ソルコマンダーではモニターから照射。


 義体……ソルコマンダーがレアアイテムとして狙われないように、使用時以外は革製の腕当てに義体して目立たなくする。デザイン、材質は変更可能。


 結構な便利アイテムになったな、ありがとうケーコさん。今日は休んで明日からの旅に備えて寝ておこう。


 早朝だというのに俺の旅立ちを神殿総出で見送りしてくれている。正直言ってやめてほしいけど拒否権は無さそうだし神殿に関しては神様扱いされる事は諦めている。バランさんとロッテの居心地が悪そうだけどもう少し我慢してね。


「それではダイチ様、世界の浄化と弱者救済の旅が無事に成すことが出来るよう心よりお祈りいたします」


 シルフィーが跪き俺に祈りを捧げると、神官、巫女、神官騎士が一斉に跪き俺に向かって祈る。全員が綺麗に揃って顔を上げ姿勢を正すと神殿の門を抜けて街道に向かう。


「はあぁぁぁ……肩凝った……バランさんごめん! 疲れただろ、ロッテも居心地悪かったよな」


「でもダイチは神様のお使いなんだから仕方ないよ、エンリーク神殿じゃ神殿長様よりも偉いんでしょう」


「俺とロッテがこうして村に帰れるのはダイチのおかげだ。神の使者云々とは別に感謝している。神官達は俺達親子をソルテラス様に救済された最初の人間としてあの事件の責任を不問にしてくれてるしな」


「ところでバランさんは傭兵だろ、仕事は戦場や町じゃないのか? 村に奥さんがいてロッテと2人で暮らしているのか?」


「妻はロッテを産んだ後、産後の肥立ちが悪くてな……俺は孤児だったから妻の両親や兄弟に世話をしてもらっているんだがロッテが不遇を受けないように傭兵稼業で稼いだ金を渡してるんだ」


「お父さんが心配しなくても、お爺ちゃんとお婆ちゃんも叔父さん達も優しいよ。お兄ちゃん達も遊んでくれるし、お父さんもお仕事の合間に会いに来てくれるから大丈夫だよ」


 村の家族の話しが出るとバランさんは心配になったらしく少し早足になった。街道に入ると小さな町がある、モンゼーヌというこの町は神殿に運ぶ物資を扱う商人や神殿の補修などをする職人の店舗と住居、巡礼や参拝、儀式を受ける人達が利用するための飲食店や宿泊施設がある。


 バランさんは町の外れにある牧場に向かって行った、沢山の馬がいるから馬を預かったり貸してくれる所だろうな。


「あ、ダイチ馬には乗れるのか? 神殿からダイチの馬を手配するように連絡してるそうなんだが」


 俺は時代劇で馬に乗る役をしていたし、落馬スタントも経験している。どちらかというと乗馬は得意なほうだ。曲乗りや流鏑馬だって出来るんだぜ。


「ああ普通に乗れるよ、借りた後はここに返しに来ればいいのか? バランの馬も用意してあるのか?」


「いや、長い旅路になるだろうと神殿が買ってくれるそうだ値段は気にせず好きな馬を選べばいい。俺はここに自分の馬を預けているから大丈夫だ」


 俺は頑丈そうな栗毛の雄馬を選んだ、牧場主の話しだと足が速く頑丈だが少々気性が荒いそうだ。


しかし俺とは相性が良いらしく、言う事をよく聞くし扱いやすい。名前はハヤテだ、出演者として俺の名前が始めてクレジットされた忍者の名前で愛着がある。


 俺達はパン屋で焼きたてのパンを買ったあと朝市でフルーツを買い、バランさんの村へ向かって馬を走らせる。急げば今日の夕方には村に帰れるそうだ。


 途中、馬を休ませる必要もあり少し休憩を取る、朝買ったパンとフルーツで昼食をとりながらソルコマンダーをチェックしてみる。今まで通った道とその周辺が地図になっていて地形や休憩に適した場所、近くにいる動物や植物までデータに残っている。モンゼーヌの町の情報、町長から店舗情報まで入ってるのはビックリだ。どれだけ高性能なんだよ! 旅してるだけでいくらでも情報が入るのか、凄いな!


 何度か休憩を挟んで陽が傾く頃にはバランさんの村、ヨコナ村の入り口にたどり着く事がが出来た、しかし様子が少しおかしい。人が出歩いておらず妙に静かだ。


 異常に気付いたバランさんが近くの家に入ると後遺症に苦しんでいたロッテと同じような症状の男の子を調子の悪そうな女性が看病している。


「リッタ義姉さん! トッド! やはり魂を抜かれてた後遺症か!?」


「バラン!? ロッテちゃん!? あなたち無事だったの? 魂を抜かれたって!? あの魔導士に何かされた後、みんな調子が悪くなって村中こんな感じよ」


 やはり魔導具や魔術で無理矢理魂を抜かれるのは心身共に負担が大きいらしい。この状況が続くと衰弱や合併症などで命に関わるかもしれない。


「この村の住民は全部で何人だ?」


「みんな合わせると100人ちょっと……ってバランこの人は?」


「俺のことは後だ! バランさんすぐに村人を全員を一箇所に集めてくれ! 調子の悪い者もそうでも無い者も1人残らずだ!」


「分かった! リッタ義姉さんも何も言わずに手伝ってくれ!」


「分かったわ、とりあえず協力する」


 村人全員が村の中心にある広場に集まった時にはすっかり日が暮れていた。全員調子が悪そうだ、特に子供達が重症みたいだから急いで新機能を試そう。


「陽着!」


 俺はソルテクターを装着した、この人数だと広範囲がいいだろう。


「陽神装甲! ソルテラス!」


 必要無いのかもしれないが変身ポーズと名乗りと共に決めポーズをとる。変身ヒーローにとっては必須だ。ソルテクターから放たれた光と俺の姿に村人達は呆然としてる。


「ヒーリングライト! オールレンジフラァァァシュッ!」


 俺の全身から眩い光が放たれ、村全体を包み込む。思ったより派手だな、ソルテ様降臨の時くらいの効果はあるだろうか? 光が収まると村人の1人が叫んだ。


「治ってる!」


 すっかり日が落ちているというのに村は歓声に包まれた、老若男女みんな抱き合って喜んでいる。ソルテクターを解除してバランさんに声を掛けようとしたら村人に囲まれた。


「ありがとうございます!楽になりました」


「先ほどの神々しき鎧姿!眩い光!あなた様は一体?」


「さっきまでの倦怠感が嘘みたいだ!」


「グッタリしていた子供達が光を浴びるとあんなに元気に!ソルテラス様、本当にありがとうございました!」


 村人達が喜んでる姿はとても嬉しいけどまた神様扱いされそうだな・・・どうしたものか……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ