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陽神装甲ソルテラス〜特撮ヒーロー異世界で神話となる〜完全版  作者: ソメヂメス
太陽神ソルテ降臨と聖地カガミ
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新年の神事告知 聖地カガミ起動

 俺はソーラリアンに乗ってエンリーク神殿の紋章の部屋に帰ってきた。ソーラリアンを神気に戻して紋章の部屋の出入り口である礼拝所の扉を開けると、聖女シルフィーとフランチェスコ神殿長を先頭に多くの神官と神官騎士が跪いて待っていた。


 やっぱり凄い神気が部屋から溢れてたんだろな、今日はこうなっていることは予想出来ていたし、だんだんと慣れてきた。とりあえず人払いをして2人に最重要事項を確認しようかな。


「オーミ王国王家とアリエイル王女に連絡はつきましたか?」


「はい、ソルテラス様から直々にアリエイル王女に年始はエンリーク神殿に滞在するようにと指示を受けたと伝えたところ、王族全員が早急に準備を整えて当神殿に向かうそうです。遅くとも年をまたぐ日の前日までには到着しますので神殿の方でも大至急で受け入れの準備をしております」


 ちょっと待て、今のフランチェスコ神殿長の報告だけど色々と気になる事が多すぎてどこから突っ込んで聞いたら良いのか分からない。


「えっと……ソルテラスからの直々の指示だと言っていましたけど、もしかして王族には俺がソルテラスだってバレているんですか?」


 アリエイル王女は俺がソルテラスに変身して戦っているところは見ていないはずだし神殿の人間は神官、神官騎士、下働きに至るまで箝口令が出されているのでバレていないはずだ。なんで王族にもバレているんだろう? ここの人達は俺を神だと思っているから箝口令を破るとは思えないし。


「あ! ご安心下さい王家でも知っているのは国王とアリエイル王女だけです」


「それよりも何で王家に俺の正体がバレているのかが気になるんですけど」


「あっ! その事ですか? 実は…………」


 シルフィーの話だとアリエイル王女は自力で俺がソルテラスだと気付いたようだ。


 まず、出会った時に俺が紋章の部屋から出て来た事。そして俺がこの国と言うかパンゲルアの事を全く知らなかった事。俺が聞いたことの無いカガミという苗字を名乗り、さらに苗字と名前の順番が逆だったことからこの国の人間では無いと推理したらしい。


「最初は他国の貴族だと思ったそうです。ですが神殿から抱きかかえられて脱出した時に服の素材が見たことの無い丈夫でキメの細かい生地で出来ていた事もあり、この世界の人間では無いかもしれないと思ったようです」


 確かにこの世界に化繊のジャージなんか存在しないよな。それにしてもそれだけの情報でそこまで察する事が出来るなんてアリエイル王女はなかなか鋭い感覚と洞察力を持っているんだな。


「そして、ダイチ様がアリエイル様を抱えて太陽に通ずる道を走った時の身体能力が人間離れしていた事、私を救出する為に神殿の中に潜入した後にソルテラス様が現れた事、それに私が紋章の部屋から拐われたタイミングでダイチ様がそこに現れた事を総合的に考えた結果ダイチ様がソルテラス様と同一人物だという答えにたどり着いたようです」


 最初は誤魔化そうとしたようだが王女があまりにも鋭い推理をした為に神殿長とシルフィーが表情に出してしまい無言の肯定をしてしまった事と、オーミ王国は太陽神の加護により創設され発展を遂げた国だから神の戦士であるダイチ=ソルテラスの手助けは国家を挙げて行うべきだと説得されて、アリエイル王女と国王には俺に関しての事情を詳しく話したそうだ。まあ、アリエイル王女が俺の正体を知っている方が話が早いからいいだろう。


「王族が全員来るんだったら、年始に行う儀式がより効果的になりそうですね」


「「新年にいったい何が起こるのですか?」」


 二人の質問が見事にハモる、ここは俺も役者の端くれなんで芝居がかった説明をさせてもらおうかな。


「年が明けて最初の日の出と共に、太陽に通ずる道の先遥か上空に太陽神ソルテ様がお住まいになる聖地カガミが姿を現しこの世界に留まる事になります」


「太陽神ソルテ様がお住まいになる聖地ですと!?」


「聖地の名がカガミと言うことはやはりダイチ様は神の一族…………」


 神殿長とシルフィーが物凄く驚いた顔をしている。俺がソルテラスだって分かっている人間に対してはもう開き直って神の戦士として付き合ったほうがいいだろう。


「神殿の襲撃、ソルテ様への狼藉、ギャバン卿のバンパイア化未遂事件……すべてはソルテ様の力を奪い、このパンゲルアを我が物にしようとする謎の存在の仕業」


 2人が緊張の面持ちで俺の話を聞いている。俺もだんだん役者魂に火が付いてきてテンションが上がってきた。


「ソルテ様は自分の力を悪用しようとする邪悪に対抗すべくこの俺、ソルテラスを地上に使わし聖地と共に自らパンゲルアに降り立つ事を決意されました」


 ちょっと話を盛り上げ過ぎたかな、神殿長とシルフィーの瞳が希望に満ち溢れていて、俺の次の言葉を心待ちにしているのが分かる。


「聖地カガミがパンゲルアに降り立つ新年に聖女シルフィーとアリエイル王女の2人を聖地カガミに招待し、太陽神ソルテ様と面会してもらいます」


 俺が今回の儀式のメインイベントを発表するとシルフィーが固まってしまった。しばらくしたらプルプルと震えだし珍しく感情を剥き出しにする。


「わっ、わっ、私がソルテ様にお会いすることが出来るんですか!?」


「聖女シルフィーには太陽神ソルテ様との連絡役として定期的に聖地カガミを訪問してもらいます。アリエイル王女はソルテ様と深い縁のあるオーミ王家の代表としてソルテ様が直接祝福を与えたいそうです」


「私の身に光栄過ぎる役割を与えて下さり感謝の極みです」


 跪いていたシルフィーが今では完全に土下座の姿勢になっている。やっぱりこの世界は土下座が定着し過ぎだ。


「俺は今日聖地をこの世界に引き込む準備で神気を使い過ぎたので休ませてもらいます。そしてまた明日聖地に出向いてソルテ様との打ち合わせをしますので紋章の部屋を使わせていただきます」


「そういえばダイチ様、随分とお疲れのようですが大丈夫ですか?」


「力を使い過ぎて消耗しましたが一晩眠れば回復する程度ですので心配は無用です」


 シルフィーはすぐに神官達に指示を出して大至急食事とサウナの用意をさせた。風呂文化の根付いたパンゲルアだがエンリーク神殿は湯船が無くスチームサウナだ。


 出された食事はトマトと鶏ガラベースのスープにたっぷりの野菜と鶏肉、マカロニのようなパスタが入った洋風ちゃんこ鍋みたいな料理と硬めのパンだった。


 ニンニクと香草がたっぷりと入っていて茹で卵も入っている。披露している俺を気遣って滋養があって食べやすい物を用意してくれたんだろう。サウナにはマッサージ係と垢すり係の若い神官(神職なので勿論男だ)が用意されていたが落ち着かないので丁重にお断りした。


 久しぶりに疲れたせいかベッドに入るとすぐに意識を失い気が付けば窓から朝日が差し込んでいた。俺の神気をメインに聖地を作ったからだろうな、相当なエネルギーを消費していたようだ。アークデーモンやオリアーティを倒した時もそんなに疲れてなかったから神気で物質を形成する事は神様にとってかなりの負担なんだな。


 朝食を済ますとシルフィーに声をかけて紋章の部屋に行く、シルフィーは俺の顔色が良くなっているのを見て安心していたようだ。ソルテ様と面会する事が出来、定期的に顔を合わせる役職を与えられた事がよっぽど嬉しいのか珍しくテンションが高く足どりも軽い。


 紋章の部屋に入ってすぐにソーラリアンを呼び出す。聖地には空気があるし座標もソーラリアンのナビゲーションに登録済みなのでソルテクターを装着する必要は無いだろう。


 発進して亜空間に入るとすぐに聖地カガミの中につながっていた、やっぱりソーラリアンは高性能だな。一晩経って訪れた聖地は昨日とは少し印象が変わったような気がする、上手くは言えないが昨日は無機質だったものが今日は生気に満ち溢れているといった感じだ。


「ダイチさん、おはようございます」


 振り返るとソルテ様がいた、昨日の白いワンピースでは無く水色の装飾の少ないシンプルなデザインのドレスを着ている。


「おはようごさいますソルテ様、昨日と服装が違いますが着替えたんですか?」


「ふふふ、私は聖地にいれば服装を自由に変える事ができるんですよ」


 いくつかのドレスやワンピース、日本で見た事のあるカジュアルな服やビジネススーツ等、数種類の服に早変わりした後、元のドレス姿に戻り腰に手を当ててドヤ顔をするソルテ様。


「ダイチさん、神殿にどうぞ! ケーコさんともそろそろ回線が継ながるはずです」


 ソルテ様に手を引かれて庭園を抜けて神殿に向かう。やっぱり水や草花に生気があって活き活きとしているように見える。


「あっ! ダイチさん、気がつきました? ダイチさんが戻った後にケーコさんの指示で聖地カガミのユーザー登録と初期設定というものをしたら私の神気に馴染んで聖地が元気になったんです」


 神殿に入ると礼拝堂のようになっていて5列並べられた長椅子には全部で30人くらいは座る事が出来る。内装は落ち着いているが非常に凝ったデザインだ、ナタさん張り切ったな。


 奥の方に観音開きの美しい装飾を施した扉があり、ソルテ様に手を引かれて扉の前に連れてこられた。


「この部屋の中が私の仕事場です。この世界に影響を与えたり、神託や加護を授けたり、地球と連絡を取るための装置が置かれています」


 ソルテ様が本当に嬉しそうに大きな身振り手振りで俺を案内していると、扉の向こう側から聞き覚えのある音楽が聴こえて来た……これって「陽神装甲ソルテラス」のオープニングテーマ「ライジング・サン」じゃないか。


「あっ! ケーコさんがアマテラネットを接続したようです。行きましょう、ダイチさん」


 ソルテ様が扉を開き、部屋に入る。さっき流れた「ライジング・サン」は着メロだったようだ。


 中にはソファセットがあり正面に大きな鏡がある。鏡というよりは小規模な映画館のスクリーンのようだ。呼び出し中になっていたがソルテ様が手をかざすとケーコさんの姿が現れた。


「おはよう大地君、疲れはとれた?」


「一晩ぐっすり眠ったら全快です、今日はケーコさんだけですか?」


「そーだよ、みんな仕事があるからね。私はフリーのCGデザイナーだからね、注文の仕事は全部終わらしたから私はしばらくソルテ様とパンゲルアの担当者として年始まで付き合うからよろしくね」


「この鏡は地球とのテレビ電話ですか?」


「タブレットPCだと思ってくれたらいいわよ。アプリはまだ揃ってないけどソルテ様の神気を使った操作で天候操作や運命操作、天啓を与えたり加護を与えたり色々なことが出来るようになるの」


 今は地球とのリンクしか無いが新年の儀式でパンゲルアと接続され本格的にソルテ様による変革が出来るようになるそうだ。


 そして俺たち3人は新年の神事とパンゲルアの今後、謎の組織への対策について話し合った。ソルテ様とケーコさんは聖地で神事の準備。俺はパンゲルアに戻って神殿と王族への指示と準備、そして謎の組織への対策だ。


 そして王族が神殿にたどり着いた。


 これからが本番だな。

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