ソルテ様の身体と聖地を作ろう 出現ソーラリアン!
今回から書き直しの完全新作となります
ケーコさんの爆弾発言に俺とソルテ様は硬直している。しばらく固まっていたら映像のケーコさんの隣に、懐かしい顔が現れた。
「加賀美くん元気そうだね。宮下さん、前振り無しに言うから加賀美くんとソルテ様が混乱しちゃっているよ…………あっ! ソルテ様はじめまして、私は「陽神装甲ソルテラス」のチーフプロデューサー……えっと制作責任者の柿本と言う者です」
「柿本さん!」
俺をソルテラスの主役とスーツアクターに推してくれたチーフプロデューサーの柿本さんだ。ケーコさんが呼んでくれたんだな、会えて嬉しい……と思っていたら懐かしい顔があと2人現れた。
「大地君、元気でやってるかい!? こっちは最終回の脚本が終わってやっと一息つけたと思ったら、すぐに後番組の企画だよ。まあ大地君に比べたら大変さでは負けるけどね」
脚本家の小浜さん! 人生経験も豊富で仕事でもプライベートな事でも良い相談相手になってくれた。
「大地! てめえ! 俺が締め切りでヒイヒイ言ってる時に異世界転移なんて美味しいイベントに巻き込まれやがって! 今回からは俺も一枚噛ませてもらうからな、お前が帰って来るまでトコトン付き合わせてもらうぜ」
ナタ タイシさん! ソルテラスのデザインや設定を担当した漫画家兼イラストレーターだ。……このメンバーって「陽神装甲ソルテラス」の基本設定、制作、シナリオの中心人物じゃないか。
「驚いた? 大地くんをサポートする為にここにいる4人以外にもソルテラスのスタッフのほとんどが、後番組の制作や次の仕事で忙しいのにパンゲルアとソルテ様、大地君の為に協力を買って出てくれたのよ」
「さっきまでみんなで俺の仕事場に集まっていろんな案を練っていたんだぜ。とりあえず基本方針は固まったから代表で俺たちがソルテ様に会いに来たんだよ」
ケーコさんとナタさんが俺にここに来た理由を言うとナタさんはソルテ様に向かって挨拶をした。
「初めまして、俺はマンガ……絵描きでデザイナーのナタ タイシっていいます。ソルテラスのデザインは俺がやってんですよ」
「こちらこそよろしくお願いします」
挨拶をした後ナタさんがソルテ様の姿をマジマジと見ているとソルテ様が恥ずかしそうにモジモジしている。
「この姿は石像なんだろう? やっぱり職人が想像で作ったのかな?」
「はい、オーミ王国の職人さんが自分の理想の女性を想像して作ったそうです」
「うん! 基本形はこんなもんでいいだろう。あとは丸みをつけて全体の線を柔らかくして……そんで清楚さと神聖さを出すためにあまりグラマーにし過ぎないようにしようかな」
それこそ漫画だったら俺とソルテ様の頭の上には無数の? マークが浮かんでいるだろう、何が何だか全く分からない。
「だからあ! 加賀美君とソルテ様はさっきの会議の話を知らないんだからまず説明しないと! 勝手に話を進めるから2人とも全然話について行けてないよ」
柿本さんに注意されたナタさんは、やっちまったという顔をして頭を掻いていた。
「説明は柿P達に任せて俺は自分の仕事をするわ。ソルテ様、聖地もアンタもいい感じに仕上げとくぜ」
ナタさんが姿を消すと柿本さんが順を追って分かり易く説明をしてくれた。
俺がオリアーティを倒してロクジョウの町を救った事により大量のポイントが手に入り、アマテラネットがバージョンアップしたらしい。
ケーコさんが最初に考えていた構想では10万ポイント貯まったらエンリーク神殿に太陽神ソルテが宿る泉を作り神域として、そこにソルテ様を憑依、常駐させて様々な奇跡を起こしたり直接力を行使できるようにする事だった。
しかし俺の大活躍によって想定以上のポイントが貯まり、アマテラネットがバージョンアップした事により出来ることが大幅に増えたみたいだ。
「ところで加賀美君、ソルテ様って何で出来てると思う?」
「へ? いきなり聞かれても……この身体は石像なんですよね」
「石像に乗り移っているソルテ様自身は何だと思う?」
駄目だ、サッパリ分からない。ソルテ様の方を見ても、全く分からないという顔をしている……自分の事なのに。
「まあ仮説なんだけどソルテ様だけではなく神様っていう存在は、意思を持ったエネルギーと考えるのが妥当だと思うんだ」
小浜さんがSF的な解釈で説明してくれる。いろんなドラマの脚本を書いているけど本人は大のSFファンで毎年のようにSF絡みのイベントに参加しているし、ソルテラスの設定に関してはかなり熱がこもっていた。
「みんなで話し合った結果かなり有力な仮説がいくつか出たんだけど、その中で最有力なのが謎の組織の目的の一つがソルテ様だってことなの」
ケーコさんの発言に俺とソルテ様が凍りつく。確かに言われてみればズーランとアークデーモンはソルテ様を杖に閉じ込めて何かしようとしていたし、オリアーティの言葉の中にもそんな感じのものがあった気がする。
「ソルテ様はこの世界の根幹を成すエネルギーだから凄い力があるわ。それを謎の組織は加工して自分達の思い通りにしようとしているのよ」
「例えて言うならソルテ様は原油のようなモノなんだよ、様々なものに使うことが出来る。奴らはその強大なエネルギーを使って自らの目的を果たそうとしてるのさ」
ケーコさんと小浜さん説明でソルテ様が意思を持った超エネルギーであり、謎の組織に狙われていると言うことがよく分かった。
「ところで謎の組織はソルテ様の力を使って何をしようとしてるんですか?」
「それは分からないけど、世界の根幹を支える力だからね、世界征服とかじゃないかな。ゲーム脳のヤノケンと由美ちゃんは大魔王の復活とか言ってたけど」
あの2人なら言いそうだな、でも出来てから5000年そこそこのパンゲルアの歴史でそんなモノが現れた事があるなんて聞いた事が無いしな。そう思ってソルテ様を見ると真っ青な顔で震えている、まさかいたの? 大魔王!?
「あの……言い方を変えれば彼らが狙っているのは私の……この世界の命って事ですよね」
あ、そっちか。でも確かにエネルギーとしてのソルテ様を使うと言うことは、パンゲルアの命その物を手中に収めるという事になるよな。
「だから私はソルテ様を泉という形がある物にして敵に自由に使い難くしようとしたの。その時の段階じゃ水の形にするのが一番セキュリティーが高かったのよ」
「女神の泉となれば信仰の対象にもなるしね。ちなみに神気は人々の信仰によって上がるんだ、アマテラネットのポイントも加賀美君がソルテラスとして人々に希望を与えた事によって増えてるみたいだしね」
えっ! やっぱりソルテラスって神様扱いなんだ。ギャバン卿なんか闘神様って言ってたし。あれ? そう言えばこの世界の人達はソルテラスやソルテ様の力の事を神気って言っていたけど…………
「エネルギーやポイントってこの世界の人達が言う神気ってヤツですよね? 俺のは狙われないんですか?」
俺の疑問に小浜さんが嬉しそうな笑みを浮かべて答える。
「おっ、良いところに気がついたね大地君、それは君の神気が肉体に定着しているからだよ。それに対してソルテ様はフリーのエネルギーだから捕まえると加工が可能なんだ」
あっ、 なるほど!それでソルテ様の身体を作るのか! 身体があればエネルギーとして狙われることが無くなるんだ。
「気が付いたみたいね大地君、それで身体があれば住むところが必要だよね。それで住居兼仕事場の聖地を作ろうと思うの」
「どこに作るんですか? やっぱり神殿の近くですか?」
「亜空間だよ大地君、次元の狭間に作る事によってセキュリティーを高める。さらに力の流れも俯瞰で見てコントロール出来るからやり易くなるんだ」
分かり易く説明するとパンゲルアの次元と地球が存在する次元の間に仮想空間を作ってインフラを作ることによって対話や通信をやり易くする事と、外からパンゲルアを見る事によって外から取り込む力の管理や内部での出来事の処理を円滑にするシステムを構築することが出来るらしい。
「亜空間に作る聖地は地球との常時リンクが可能だし、インフラを整備すればソルテ様が自身のエネルギーを使ってパンゲルアに色々な影響を与える事が出来るの。全部アマテラネットのバージョンアップで可能になったのよ」
小浜さんとケーコさんの話がひと段落すると、ヒョッコリとナタさんが顔を出す。
「ソルテ様のラフデザイン終わったぜ。ラフが出来たら作れるんだろ? あと聖地のデザインも完成だ、完璧だとは思うけど一応目を通しておいてくれ」
向こう側ではナタさんの描いたデザインを見たみんなが感嘆の声を上げている。
「ソルテ様も見ますか?」
「私は、出来上がりが楽しみですのでやめておきます」
「俺もいいよ、実物が見たい」
「じゃあ早速、亜空間に行って聖地の製作をしようか」
パンッ! と手を叩いて柿本さんが簡単に言うけど亜空間に行って聖地を作るってどうやるんだ? 俺がポカンとしていると小浜さんが呆れた顔をしてからかうように言う。
「ソルテラスには異次元を移動する手段があるじゃないか、忘れたのかい?」
「えっ! まさか使えるんですか?」
「呼んでみなよ」
俺は両足を開き、腕を大きく回してポーズを取りながら叫ぶ。
「ソーラリアン!!」
目の前の空間に七色の光が弾けて、SF的なデザインのサイドカー付きバイクが現れた。あれ? 劇中とデザインが結構変わっているけどなんでだろう?
書きだめが無くなったので今後は週一、二回の更新が出来るように頑張ります。




