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陽神装甲ソルテラス〜特撮ヒーロー異世界で神話となる〜完全版  作者: ソメヂメス
ダイチ ロクジョウの町で冒険者となる
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正義のヒーローとして

 ロクジョウの町に着いたらすっかり日が落ちていた、今日は結構疲れたから飯は屋台ですまそうかな。


 俺はベイマンさんの屋台でシナバを食べることにした。行列に並び順番が回って来ると、長女のモヤンが俺に気づいて声をかけてきた。


「ダイチ今日は遅かったんだね、兵士が結構ピリピリしてるし何かあったの?」


「ゴブリンが大量発生してたから大規模な討伐をしていたんだ、町の警備兵にも厳重に警戒するように指示があったんじゃないかな。シナバ大盛り全部のせで」


「あいよ!シナバ大盛り全部のせ一丁、今日はまた豪勢だねぇ。結構稼げた?」


「数が多いからそれなりにな。それよりも今日は少し疲れたからシナバ食べたら、銭湯で汗を流してすぐに寝るよ」


 たっぷりとトッピングされた具沢山の大盛りシナバを掻き込むように食べたらちょっとだけ元気になった。


 隣に座る常連の行商人に「やっぱりシナバは一気に啜り込んで食べるのが一番ですよね」と親近感を持って話しかけられる、彼ともスッカリ顔馴染みだ。


「よう!ダイチこれからジュリーさんとこで一杯やるんだけど一緒に行かねーか?」


「最近そっちの景気はどうだ?こっちはやたら仕事が増えて大変だぜ、冒険者飽きたらこっち来いよ」


 ジュリーさんの店で最近良く顔を合わせる半獣人の傭兵達だ、ファカサゼン連邦出身でガサツだが分別があって陽気で気の良い連中だ。


「今日は結構忙しかったんで風呂行って寝るよ」


「そうか、バランさんが心配してたからたまには顔見せとけよ」


 銭湯に行き、湯船に入るといつものように職人や商人、冒険者等、色々な職種の人達が談笑している。


 この間の人族至上主義霊長派のテロ未遂や今日の真人類派の件は箝口令が出されているので関係者以外は知らない。


「最近ちょっと物騒じゃねえか?今日ギャバン様が騎士団と役人を引き連れて町から出て行ったの見たぜ」


「日が暮れたくらいに帰って来たけど、馬車に何人も縛られた奴がいたから盗賊じゃねえの?」


「いや、役人の中に宮廷魔導師がいたから魔道具がらみかもしれないよ」


 トップシークレットの割にギャバン卿の動きは派手で町の住民に何かあったのではと勘繰られている。


 あの御仁は結構戦略家だから色々な噂話を先行させて、真実に辿り着け無いようにする作戦なのかもしれないな。


「ダイチ、冒険者ギルドで何か聞いてないか?」


「ゴブリンの大量発生があって今日討伐したくらいかな」


「そう言えば前に変なゴブリンの群れを見たな、なんか軍隊みたいに行進したり訓練みたいな事をしてたんだ」


 そのあとも他愛もない話をして風呂上がりに柑橘系の果汁の入った水を飲む。ここでの風呂上がりの定番だ、残念ながらコーヒー牛乳は無いが腰に手を当てて飲み干すのはどこの世界でも同じみたいだ。


 自分の部屋に帰るとソルコマンダーにメッセージが来ていた事を思い出した。開くとソルテラス変身時にブーストジャンプとブーストダッシュを使えるようにしてくれたということだ。


 テロリストを相手にするにはいざという時に起動力が必要だと思って、温存するつもりで取っておいたポイントを使って追加してくれたようだ。


 そうか…………なんかモヤモヤすると思っていたらそういうことか。町では不穏な噂は流れていても、多くの人はいつものように働いて、食事をし、家族や友人と過ごして笑い合い合って変わらぬ日常を送っている。


 何の目的かは知らないが人族至上主義両派閥を焚き付け無差別テロを行おうとする謎の組織の存在。


 前の金属製ゴーレム軍と気持ち悪い化け物達を放置していたら……人族至上主義霊長派のテロリストと真人類派のジャンキー共が魔道具を使って暴れ出したらどうなる。


 敵は正体も目的も不明で魔道具やモンスター、頭のイカれた奴らを使って何をするつもりか、何でそんな事をするんだってずっと考えていたんだ。


「テロリストを相手にするには起動力が必要」


 その通りだよケーコさん! 奴らの目的や理由なんて関係ない! やっている事はこの町で暮らす何の罪も無い人達の幸せや命を奪うテロ行為だ。


 ギャバン卿やコムさんは町の重鎮として、組織の長として奴らから町を守る為に尽力している。


 俺は冒険者ダイチではなく正義のヒーロー「陽神装甲ソルテラス」としてこの町を守るんだ。


 この1ヶ月間この世界の生活基盤を築いて、冒険者としての生き方を確立することを重視していた。


 だが俺がこの世界に呼ばれて来たのは冒険者になるためじゃない! ソルテ様とシルフィはこの世界の危機を救う存在として俺に助けを求めた。


 色々なイレギュラーがあったとはいえ、俺はデーモンを倒して世界を救った。


 しかし世界の危機は終わらない。謎の組織が暗躍し罪の無い人々の生活を脅かすというなら、この町の……いやこの世界の敵を俺が倒そう!


 ソルテ様は心優しい神様だ、神殿のフランチェスコ神殿長と聖女シルフィーは天然だけど真面目に人々の幸せを祈っている、ギャバン卿は質実剛健で聡明な人物だし、ロクジョウの町にも知り合いや友達が出来た。


 この世界の為に戦う理由は十分にある。相手の正体や目的なんて関係ない、俺はこの世界を守る為に戦う正義のヒーロー「陽神装甲ソルテラス」だ!


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