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ルルナさんとの1日 Part1

朝食に期待をしながら階段を降りるとそこにはすでに食事を取っている人達がちらほらいた。


朝食の内容を見ないように気をつけながらあの女性のもとへ行き朝食をお願いする。


「すみません、朝食の方よろしくお願いします。」


「あ、シルヴァさんおはようございます。今朝はパンかお米を選べますがどちらにしますか?」



いきなり突き出された選択肢。


唐突な質問に対応しようと思考が急回転を始める。


昨晩は米を食べたので今朝はパンにするか?いや、でも日本人として朝はお米を食べたいし……でもパンも気になる……今日はルルナさんと会う約束をしているからその時にお腹が鳴ったら困る。やはりここは腹持ちのいい米か?うーん…悩みどころだ。


悩んだ末に導き出した答えは、


「追加で払うので、どちらもお願いします。」


どちらも食べちゃえという回答。


「朝からたくさん食べますね!追加は銅貨一枚になります。サービスで何か一品つけておきますね。」



そして、席に着きしばらく待っていると料理が運ばれてきた。

しかしそれは、あの女性ではなくキツネのような耳と尻尾を生やした可愛らしい少女によって運ばれてきた。


「お、お待たせいたしました。朝食になります。」



あまりの愛くるしさに少々のフリーズ。



「あ、うん、ありがとね。」


料理を受け取るとキツネの少女は一目散に厨房へと駆けていった。

え?何もしてないのに嫌われた?

まぁ、気を取り直して料理を見る。



〜黄金のリンゴ今日の朝食〜


・スウィートコーンのコーンスープ

・純白米のほかほかご飯

・もち米で作ったモチモチ米粉パン

・自家製ウィンナー

・雷鳥の卵のスクランブルエッグ

・朝摘み野菜のサラダ

・自家製ヨーグルト(サービス)



今朝もとても美味しそうなメニューが並ぶ。

まずはコーンスープで体を温め、次に特製のドレッシングをかけて野菜を頬張る。

自家製ウィンナーは一本がとても太くてボリュームがあり、雷鳥の卵て作ったスクランブルエッグは口当たりがとても滑らかで卵とバターの味わいが優しく口の中に広がる。

米粉パンも噛めば噛むほど甘味が出てきて美味しい。

自家製ヨーグルトはアロエをトッピングして食べたが、これも優しい口当たりのヨーグルトに歯ごたえのあるシャキシャキしたアロエがマッチして絶品だった。


食事を終えた後は一旦部屋へ戻り身支度を済ませたのち宿を出た。

現在は朝の七時、

チェックアウトは十時までなのでまだ随分と余裕がある。


宿を出ると窓から見ただけじゃわからなかった食べ物の香りに次々と襲われた。

昨日の夜には無かった様々な屋台が立ち並んでいる。


これは…失敗だったか?

朝食を食べ過ぎたことを後悔しながらもしっかりとした足取りで屋台の料理を見定めていく。

屋台を一通り見たところでどれを買うかを選別していく。


「うーん、串焼きか?海鮮系かな?うーん……揚げ物?」


そう唸っていると何処からともなく妖精さんの声が聞こえた。


「シルヴァ様、おはようございます。」


「あれ?あ、うん、おはよう。」


今朝起きた時は妖精さんはいなかったのに、いつの間に現れたんだ?

そう思っていると妖精さんが今現在の自分にはとても価値の高い情報を教えてくれた。


「屋台で何を買おうか悩んでいるのですか?」


「そうなんだよ……。」


「宿で美味しそうな朝食を済ませだけど屋台の美味しそうな物も食べたい、けどお腹が……と思っているシルヴァ様にとても嬉しい情報です。」


少し毒のあるような言い方だった。

あれ?妖精さんってこんな怖かったっけ?


「実は、所持アイテム一覧に収納すると合計収納時間168時間までアイテムの劣化はありませんが、それを過ぎると徐々に劣化していきます。ですので今買ったものも一週間以内であれはまだ買った時の美味しさそのままで食べることができます。」


それを聞いた瞬間自分の何かが音を立てながら崩れ落ちたような気がした。

そこから数分間の記憶がなぜか飛んでいる。


妖精さん曰く、色々回って選別対象に上がっていた食べ物を片っ端から買っていたという。

自分が気がついた時にはもう遅く残り銀貨三枚と銅貨四枚そして所持アイテム一覧を見てみると膨大な数の食料。

よくみるとそこには、全然知らない果実なども表示されていた。

妖精さんに聞いてみると、バツが悪そうに


「それもシルヴァ様が買っていました。私への贈り物だとか言って……」


などと言っていた。

いつも助けてもらっているから、これくらいは仕方がない。


そしてその日の朝は自分がこんなにも食欲に忠実な人間だと知ることができた、そんな朝だった。



時刻は八時五十分。

そろそろルルナさんと会う時間だ。

そういえば会う約束はしていたが、何処で会うかは決めていなかった。

その時ステータス画面がいきなり表示されて見覚えのないアイコンが出てきた。

手紙のようなアイコン、もしやと思い押してみると案の定メール機能だった。



[ルルナです。]


おはようございます、ルルナです。

昨日は本当にありがとうございました。

それで今はどの辺りにいますか?



下にある返信ボタンを押すとキーボードらしきものが現れた。

いきなり出てきたので少し驚きながらも、返信のための文章を打った。



[おはようございます。]


おはようございますシルヴァです。

今は黄金のリンゴという宿屋の前にいます。



返信するとすぐさま返信が返ってきた。



[わかりました。]


それでは今からそちらへ向かいますのであまり動かないで待っていると助かります。



女性に足を運ばせるのは申し訳ないので場所を教えて貰えば自分が行くということを伝えようとキーボードに手をかけたその時、既に時遅し。

ルルナさんが手を振りながらこちらへ向かって歩いてきているのが見えた。

恥ずかしながら自分も手を振り返す。

からの赤面。


小走りでルルナさんの方へ駆け寄った後に今日はどうするのか聞いた。

どうやらルルナさんは フェアリーズギフト の販売店と家が近かったらしくすぐ買ってすぐ始めていたので自分より少し長くこの世界にいるらしい。

そこで今日は昨日のモンスターの素材を売りに行くついでにこの村のことを色々案内してくれるそうだ。


つまり、女性と二人きりで村ブラ……え?デートじゃね?

と思っているのは自分だけでルルナさんの方はただの善意だと思う。


まぁ、とにかく今日を楽しむことにした。


まずはモンスターの素材を売りに商館へ行くことにした。

今更ながらこの村、始まりの村って言ってるけど市町村の市ぐらいはあるんじゃね?

それじゃ何、始まりの市?

そんなくだらない事を考えているとルルナさんに怒られてしまった。


「何ボーッとしてるんですか?早くいきますよっ!こっちです!」


怒っても可愛い。


そしてルルナさん案内のもと二人で並びながら商館へと歩いていく。

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