昏き古城 part2
扉を開けると無数の赤い光を灯しながら何かが散って行った。
「ねぇ、あれって何?」
僕が質問するとロバストがすぐに答えてくれた。
「あぁ、あれはね………」
「あれはですね、 レッサーデーモンスパイダー ですよシルヴァ様。背中に悪魔の様な模様がありその模様が赤く光るんです。ちなみに肉食です。」
答えてくれようとしたロバストを無理矢理さえぎりリリィが答えた。
ありがとう、リリィ。でもねそれは良くないよ、うん、よくない。
と言える度胸もなく
「あ、ありがとう。リリィ。」
ただそれだけを言った。
ロバストの方を見てみるとほんの少し、若干……引いていた。他の2人も引いていた。
ただリリィだけが満面の笑みを浮かべていた。
「中に入る前に少しいいか?」
今度はユウスケが何かある様だ。
「スモールホーリーライト!、サンライズ!」
ユウスケが魔法を唱えるとエントランスホールの様な場所の中心に大きな光と、小さな青い光を放つ玉が各人の周りに1つずつ現れた。
「あ、はいあとこれはちゃんと塗っておいてね。」
そう言ってユウスケが全員に何かを配る。
それをもらうとみんなは あ、忘れてたー という様な顔をしてお礼を言っていた。
配られた物を見てみると [虫除けクリーム]だった。
しかも手軽なスプレーじゃなくめんどくさい塗るタイプ!!!
いや、ありがたいんだけど……うん、ありがとう。
「ユウスケ、ありがとう!」
素直にお礼を言う。
「いや、全然!気にしなくていいよ!」
なんて事ないよというような顔で返される。
「よしっ!陣形はロバストが前衛タンク、ユウスケは中衛遊撃、シルヴァは……中衛でなんかしてて、そんで俺が後衛サポートでいい?」
TKGの極みが陣形の提案をする、それに僕以外の皆は不満は無いようでこれに決定した。
「ねぇ、TKG、俺は?」
「……え?サポートとか、その他担当?」
引きつった爽やか笑顔で返される。
TKGって呼んでも大丈夫みたいだ。
「わかったよ、頑張ってサポる。」
渋々了解をする。
色々あって長くなったが早速中に入る。
ギィィィ……バタン!!
お決まりの様に扉がひとりでに閉じ、もしやと思い開けてみようとするがやはり開かない。
「無理だって!全員死ぬか、ボス倒さなきゃ出られないよ!!!」
TKGが今までにない程の笑顔で答える。
え?何がそんなに面白い?
……このエリアは思ったよりハードモードでした。
エントランスホールを抜けて広い廊下に入る。
大きい光の玉はついてこないが小さい青い玉は付いてきた。なんだかペットの様でカワイイ。
サンライズとかいう魔法の光が届かなくなったところで一旦止まり暗闇に目を馴染ませる。
スモールホーリーライト?の光量は低く淡い青の光で目への負担は少なく暗闇の中でも目が光になれる問題は無かった。
こんな雰囲気でいつモンスターが現れてもいい感じなのにモンスターは一向に現れない。
少し安心しながら廊下を進むと白い靄がかかったように視界が悪くなった。
「ユウスケ頼む!」
前の方にいるロバストが叫ぶ。
「わかった!ホーリーサークル。」
ユウスケが魔法を唱えた瞬間僕たち全員を覆うほどの魔法陣が現れた。しかも目のことも考えてかなり光量が少なめだ。
魔法陣の中には靄は入ってこれないようで魔法陣の周りをウロウロしている。
「これは何?」
また、ロバストが答えてくれようとしたが先ほどのことを思い出したらしくリリィの方をそっとみる。それにつられてみんながリリィに注目する。
「あれはですね、スモーキーゴーストです。あの煙に包まれ続けていると昏睡状態に陥ります。そこを他の肉食系モンスターにムシャムシャ食べられて終わりです。」
リリィの説明が終わるのを待ったのちにユウスケがスモールホーリーライトをスモーキーゴーストに向かわせる。
少し光量が上がったスモールホーリーライトが通った後は綺麗さっぱり白い靄が消えていた。
話を聞くにスモールホーリーライトは光量を上げる事でによって実体の無いモンスターを消滅させる事が出来るらしい。
可愛くて頼もしいペットだ。
スモーキーゴーストを倒し?進むと何個かの部屋が見えてきた。
一番手前の部屋に入ると部屋の中心に宝箱がポツンと1つだけあった。
「待ってくれ。」
部屋に入ろうとするとTKGがみんなを止め宝箱に向かって何かを投げた。
宝箱にあたって落ちたものは 果物ナイフ だった。
果物ナイフが当たった衝撃で宝箱が開く、開いた瞬間宝箱の周りに魔法陣が現れ骸骨のモンスターが10体出現した。
「みんな行くぞ!」
TKGがみんなを鼓舞しそれにみんなが答える。
「「「おうっ!」」」
ロバストが中型のシールドと剣で敵を殴る。
どうやら打撃攻撃が有効らしく骸骨は簡単に崩れた。
続いて、ユウスケが魔法で石を出し直接ぶつけ、TKGは麺棒を出しそれを投げてぶつけている。
次々と敵を倒し気付いた時には全てが終わっていた。
今回も自分の出番はなく終わってしまった。
少し気を落としつつ宝箱の方へ向かう。
中には紫色に淡く光る石が数個入っていた。それをみんなで分けて次へ進む。
残りの部屋は後3つ、早速次の部屋の扉を開ける。
その部屋は森に繋がっていた。
「ねぇ、これって?」
つい疑問の言葉が出てしまう。
「この部屋は俺達も初めてだ。」
先ほどまでの威勢はどこに行ったのか、皆この部屋の情報はないようで難しい顔をしている。するとリリィの説明が始まった。
「あのドアは開けるたびに入口がランダムに変わる扉なんですよ、でも安心してください!出る際はちゃんと入ってきた場所に繋がりますっ!」
「このエリアのことはわかる?」
なんだかリリィが自信に満ち溢れているので聞いてみる。
「いえ、全く。」
全く悪気のないような顔で答える。
実際悪くも何でもないんだけど…。
出口はちゃんと繋がっているらしいので扉を開けようとしてドアノブに手を掛けたその時いきなり目の前に文字が浮かんだ。
[脱出条件]
・モンスター20体以上の討伐
・昏きに潜む吸血の王の討伐
なお帰還魔法、帰還アイテムなどは無効。
死んだ場合はこのドアの前での復活。
このエリア内にいる間はプレイ時間に加算されない。
書いてあることをみんなへ伝えると皆絶望していた。
どうやら脱出条件の 昏きに潜む吸血の王 は現時点の俺たちにとってはかなりの強敵らしい。
ユウスケ曰く、アブノーマルコンディションスパイダーを同時に4体相手にする程の難易度のようだ。
「ねぇ、リリィなんか昏き潜む吸血の王の情報とかってある?」
久しぶりの困った時の妖精さん。
「そうですね、……………。」
結構な情報量だったので例のごとくまとめると……。
・ 昏きに潜む吸血の王 は 吸血の王 の上位個体。
・出現条件がよく晴れた夕刻の洞窟でのみ。
・吸血状態にされると全てのステータスが30%ダウンとHP、MPが毎分削られる。
・昏きに潜む吸血の王のHPが30%まで低下で盲目攻撃を使用してくる。
・強い光を嫌い強い光を常に当て続けることで敵の攻撃命中率が3%低下。
・MP又はHPと引き換えに 群れ集う吸血蝙蝠 を召喚する。
・弱点は炎系統や光系統の魔法攻撃、斬撃系の物理攻撃。
以上のように序盤ではかなりのチートキャラだ。
でも、弱点がわかっているだけでもありがたいと思う。
早速昏きに潜む吸血の王が居る洞窟を目指し出発する。
大体の方向はロバストがギフト 千里眼 を使って調べてくれた。
道中では ポイズンサーペント などの中型のモンスターや 靱爪虎 などの大型のモンスターが多く出て小型のモンスターは1匹も見られなかった。
だが今回は守られっぱなしではなく少しだが貢献することができた……と思う。
千里眼のお陰で予想以上に早く昏きに潜む吸血の王がいる洞窟に着いたので各々戦いの準備をする。
ユウスケはトラップ制作や薬を調合して、ロバストとTKGは装備の手入れをしている。
自分はもしもの時に使えそうなアイテムなどの整理をしておく。
各自準備をしていると段々と日が落ちて来てちょうどいい頃合いになって来た。
「ギフトッ!毒弱化、麻痺弱化、身体能力強化(小)、ジャンプ力上昇。」
「ギフト、魔法攻撃耐性(中)、物理攻撃耐性(中)発動。」
「ギフト発動。怪力、意志の鎧、身体能力強化(小)、身体能力上昇(小)、剣術。」
TKG、ユウスケ、ロバストが順にギフトを発動していく。
みんながギフトを発動しているのを見て絆の結晶のインパクトが強すぎてすっかり忘れられていたギフトボックスを開封する。
ギフトボックスを本当に使用しますか?
YES or NO
もちろんYESだ。
それではギフト 不眠不休 をお送りします。
効果の詳細を確認しますか?
YES
[不眠不休]
このギフトを発動している間は眠らず休まず行動し続けることができるが効果を切るとそれまでの疲労などが1.8倍として襲ってくる。
最大発動時間は8時間。
再発動時間は20時間。
早速ギフトを使用する。
「ギフト 不眠不休 発動。」
今のところ体に変わった様子は見受けられない。
そろそろ効果が切れるであろうクッキーを追加で食べさらにスキル 俊敏 を発動する。
現在発動中の効果
シルヴァ
・不眠不休
・俊敏
・全ステータス値30%上昇
・状態異常耐性値50%上昇
卵かけご飯の極み
・毒弱化
・麻痺弱化
・身体能力強化(小)
・ジャンプ力上昇
・全ステータス値30%上昇
・状態異常耐性値50%上昇
ユウスケ
・魔法攻撃耐性(中)
・物理攻撃耐性(中)
・全ステータス値30%上昇
・状態異常耐性値50%上昇
ロバスト
・怪力
・意志の鎧
・身体能力強化(小)
・身体能力上昇(小)
・剣術
・全ステータス値30%上昇
・状態異常耐性値50%上昇
みんなの準備が整ったところで洞窟に足を踏みいれようとした時、全長60㎝はありそうな蝙蝠の大群が出てきた。
それは一度で収まることはなく二度三度と続いた。
岩陰に姿を隠しなんとかやりきりユウスケのサンライズで他に蝙蝠がいないことを確認し洞窟の中へと入って行く。




