アイアン・ヘイロー その1 警告
結界で覆われた黒の街が盗賊団から守ってからの後、俺達は、盗賊団を馬車に連れて一度集落に戻ることにした。
だが、ミスティさんは、報告の為に盗賊団を近場の街の駐屯所に連行する事となった。
休職いや監視の仕事を放ってまで本来の仕事をこなすなんて仕事熱心というかなんて言うか・・・・・・・
で、俺ミスティさんに代わり俺の監視は、ロシェになったっていうわけだ。
ロシェもあの結界前を解こうとしたが、俺を監視もといつけることで今回の事を不問にすると言う事で、ロシェは断る理由はなかったのだ。
まあ、ともかくミスティさんによると二、三日くらい集落に戻って来ないというわけで、俺はしばらくロシェと依頼とアイテム漁りをすることとなったのだ。
「なあ、ロシェ本当にこれで、出現する敵が違うのか?」
「本当ッスよ、それが原因で何人もの命を落としたもんスから気をつけた方がいいッスよ」
俺は、そう愚痴をいいながら、ロシェの馬車に乗りながらある場所に向かう。
そこは、俺が泊まっている集落の北東にいきするアンシャール遺跡と言う古代の遺跡だ。その遺跡は何度か依頼で来たことがあり、出現する敵やアイテムなどはしょぼすぎてRPGのゲームで言うといわゆる序盤のダンジョンのような感じだった。
今までは依頼できたのだが今回は別だ。
なんでもその遺跡周辺では、特定のアイテムを持つと特定の敵が出現し尚且つ秘密部屋まで出現するらしいからだ。
「信じられねえな。まさかあの巨人の核を持つなんてな・・・・・・・」
俺は、そうポケットから緑に帯び円状の形をした夜行巨人の核を取り出す。
見た目は錆びついた鉄くずに見える。本当にそれがそんな力を秘めているのか疑問でならなかった。
ことの発端はあの騒動の翌日ロシェと共に質に拾ったアイテムをあらかた売り飛ばす所、ロシェにその核の売買を止められたことだ。
普通に売れば20万センズは確実だったのにもったいなかったが、ロシェによるとその秘密部屋には、守ってる敵は強いが見たことがない古い遺産が眠っており、その総額は、この核の100倍の価値があるそうだ。
俺もそろそろ家を買える位の金額を手に入れたいと思うので、ロシェの案内で、ここに向かう事となった。
で、そんな訳で俺は、その出現する敵について詳しく聞こうとする。
「で、その遺跡にいる敵って何が出るんだ?俺が前に行った所では、コウモリやサソリの魔物やしょぼすぎる見た目のゴーレムとかを見かけたのだが・・・・・・」
「と、とんでもないッスよ。そんな下級と比べるなんて・・・・・・あそこには、機械兵が出るんスよ」
「機械兵?」
「そう、噂によるとあそこには、隠し通路の奥に古代の機械兵が眠っているッス。一説によると、この地に目覚めた邪龍の猛攻を止める為に作られた兵器らしいッス」
「邪龍?そんなものもいたのか?」
「大昔の話ッスよ。今は、このアルダー領のどこかに眠ってるって話ッスよ。でもその話は、おとぎ話では誰もが知ってる話なのになんでアルマさんは知らないッスか?」
「え?」
そう言われても俺、この地に転生されて意識が戻ったのは、三か月前の話で、そんなおとぎ話なんて視る訳ないよな。軽く誤魔化すか。
「忘れたよ。そんなものは」
「それに、なんでアルマさんは、普段ドゴンさん達の集落の人には猫被っているのにうちらといると本性を出すんスか?」
「え・・・・・・・?」
ロシェは、馬車を引きながら後ろに振り返り、不思議そうに疑いをかけている。こいつ、意外と感が鋭いな。
「別にいいだろ。人には隠したい事情があるんだよ」
「そんなもんっスかね?」
「そうだ」
「それも、そうッスよね。隠し事は誰にでもあるッスもんね。それも人間の摂理っスね」
「お前、意外と賢いな」
「こっちも這い上がる為に必死に勉強したんスよ」
ロシェはこれ以上詮索せずに普通に会話が戻る。まあ、バレても転生したなんて信じてもらえないだろうな。
「それより、もうすぐアンシャール遺跡の領域ッスだから警戒した方がいいッスよ」
そしてロシェは、そう警告する。そう思うと俺は一本道を進む馬車の周りにある林を無意識に振り向く。
「なあ、それって急に出るのか」
「どうやらそうらしいッスよ。機械兵は、巨人の核を匂いで感知してその所有者を奪い去って行くッスよ」
「なんでそんなものを奪うんだ?」
「そこまでは、知らないッスよ。だけど一つ言える事は狙うのは、あくまで所有者のみで所持してないものは狙われないらしいッスよ」
そう、ロシェは無関心に答える。そりゃそうだよな。あいつは核を所有してないから狙われる保証はないし・・・・・
だけど俺はいけるだろう。なんせこっちは『青い炎』があるんだ。そんなもの一瞬で潰せるさ。
ゴロゴロゴロゴロ
「ん?なんの音っスか?」
その時俺は腹部から強烈な痛みを感じる。その音はどうやらロシェにも聞こえるくらいの音だった。
お、おかしいななんでこんなに腹が痛いんだ。変な物を食って・・・・・・もしかして今朝食堂で食べたデザートのプリンがイタんでいたのか。
確かにアレは、いつもと違ったからな。なんか妙にミルク臭くて食べる感じがしなかったもんな。
てか、なんでそんなもの俺は食べたんだ。大体俺は、プリンよりゼリー派で、プリンはたまたま朝食についてたんだから、無意識に食べただけなんだ。
こんなことなら俺の炎で焼きプリンにして、プリンイタみを直そうと思った。
それなのになんでこんな痛い目にあうんだ。あ~~~~あトイレ行きてぇ。
と思いながら俺はやや間抜け声でロシェに聞く。
「ロシェ~~~~」
「わ!!!!なんスか。その泣きじゃくった顔は!!!」
「悪いけどここら辺トイレはないか!今すぐ野糞したいんだけど」
「別にいいッスけど、もしかして腹痛ッスか。今頃になって怖くなったスか?」
「そんな訳ないだろ。今朝のプリンがアタったんだよ。今すぐ降ろして野糞さしてくれ」
「分かったっスよ。一応アルマさんも女性なんスから、あんまり汚い言葉は言わないで欲しいッスよ」
そう小言を言いながらロシェは呆れながら一度、馬車を止める。
俺は、ロシェに礼をいい。俺は尻を抑えながら、馬車に降り、林の中糞が出来るような場所を探す。
大体、女性としての立場って俺、一応人格は男なんだよ。無意識に言うのはしょうがないだろう。
それに、今時のギャルとか普通に糞とかいうだろ。糞言わない女性なんてそんな幻想よを抱いているのなら俺は、大笑いしてやろう。
それくらい現実の女性は腐ってんだよ。勿論は志和さんは、別だ。
俺は、そう思いながら草場に隠れ糞をする。
~~~~~~~おトイレタイム~~~~~~~
「ふう~~~~~出た出た、」
俺は、腹から出る永遠の痛みをすべて吐き出し、開放する。良かった。どうやら間に合ったようだ。俺は涙を堪えながら拳を握り締める。
ここで糞をするのは汚いがこれも自分の為だ。さて、紙を拭くか。そう思いながら紙を取りだそうとした。
だが・・・・・・・
「あれ?紙がない。おかしいな」
俺は、慌て、ポケットやカバンをぶちまけ、紙になるものを探すためにカバンの中をいろいろ取り出す。
だが、あるのは、布袋に水筒や巨人の核など冒険に必要な日用品で、唯一の紙は、ミスティさんから借りた魔導書だ。確かこれは、俺が魔術を使えるようにミスティさんに渡されたものだったな。
でもせっかく渡された大切なものだから紙として使うのはなんか抵抗はあるな・・・・・・・・どうしよう。
「ロシェーーーーーーー!!!!!!紙はないのかーーーーーー」
俺は、魔物が出ようとも関わらず叫んだ。緊急時代だから仕方ないだろう。
「そんなもんないッスよ。紙がなかったら草と土を使って拭けばいいじゃないッスか」
「そんなもんできるか!!!!!」
「なら、自分でなんとかするッス」
ロシェは半ギレながらそう返答する。なんてこったこれは絶望な状況だ。拭く紙がないなんてどうすればいい。
大体草と土なんて古典的な事なんて普通出来るわけないだろ。ゆとり世代舐めるな。俺は、そう愚痴を垂らしながら半場諦めの状態で仕方なくミスティさんの魔導書を取り出す。
汚すなと言われても、たかが一ページくらいだ。それくらいなら許してくれるだろう。そう思いながら尻丸出しで、紙を破こうとしたその時、
ガサッガサッ
「!!!!!」
何かがこちらに来る音がする。ロシェかと思ったが、それは、彼女の反対方向に向かっているのでそれはない。なら魔物か。なら来い。この状況でも普通に倒せる。そう思いながら片手に炎を灯す。
そしてその音は、だんだんと近づきそれが飛び出す。
その正体は、赤みがかったサラサラでツヤが桃色の長髪が目立つ三つ編みの少女で背中には自分より長い槍を背負っているのが見える。
「・・・・・・・・・あなたは?」
「どうも・・・・・おトイレ中です」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ゴソゴソ
俺は、苦笑いしながらはしたない姿で向かえる。
だがその少女の瞳は、吸い込まれそうなほど明かりが見えなく何を考えてるか分からないが、何かを察すると鞄から何かを取り出そうとする。いやなんかリアクションとれよ。
「これ、必要かな?」
「紙か?」
「それ以外に何が見える?」
「あ、ありがとう」
そう、機械的な振る舞いに白紙を取り出す。俺は藁にも縋る思いでそれを受け取りすぐさばにお尻をふく。
そして女性は、普通に後ろに向き俺のトイレタイムを待っていた。
そして俺は、トイレタイムを済ませ、余った紙を女性に返す。
「あ、ありがとうお陰で助かったよ」
「ううん、いらない。あなたが使ってくれたらうれしい」
「もしかして汚かったか?」
「そんなことはない。いいから使って」
「ありがとう」
女性はそれを受けとらなかったので俺は改めてそれをしまう。
「ごめん何か借りが出来て・・・・・・」
「いい。それより、これを」
女性は、手に握っている巨人の核を握りそれを返す。
「巨人の核・・・・・拾ってくれたのか?」
「落ちてたから・・・・・」
「そうか・・・・・・・」
「だけどその代わり約束して・・・・・・これを持ったままあの遺跡に入るのは止めて欲しい」
「もしかして止めてくれるのか?」
「いいえ、ただこういう無謀な挑戦をやる人を止めて欲しかっただけ。これを持っててもどの道隠し通路にはいけない・・・・・」
「もしかして隠し通路の事を知ってるのか?」
「・・・・・・・・・・祖父がそれを持って遺跡に入った所機械兵に殺された」
「ごめん・・・・・・なんか」
「別にいい」
彼女は以前感情がないままそう語る。
「ありがとう一応注意事項は受け取るよ。だけどそれでも俺はいくよ。でも安心してくれあくまで様子見で、ヤバかったらすぐに逃げる」
まあ、本当にヤバかったらな。『青い炎』はチートだからまず来ないだろう。
「良かった」
「なあ、もしかしてあんたも冒険者かそれとも騎士候補か?」
「いいえ私はただの・・・・・・・ガイドよ」
「それにしても、いかつい長槍を持ってるな」
俺は、そう、長槍に目を向ける。
「ただの護身用」
「だけどガイドにしちゃ言葉数が少ないな」
「言葉数が少なくてもガイドにはなれるから」
「ああ・・・・・・・そうですか」
「では、あたしはこれで失礼するわ。くれぐれも深入りしないように」
「分かった」
そう言葉を残し名も知らぬ少女は、林を後に去っていた。寡黙そうで表情が見えなくて機械的だったけどいい人だったな。もしかして彼女が機械兵だったりして・・・・・・いやそれはないだろ。機械がそんな嘘を言うと思わないけどね。
おっとそうだったロシェを待たせてるんだった。早く戻らないと・・・・・・・
俺は、退屈に待ってそうなロシェの元に急いで戻ることにした。




