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青百合戦記  作者: 夕凪
黒龍の巫女と強欲の因子編
34/39

貧民出身はただ者じゃない

俺は、夜行巨人との戦闘後荒廃した砂の大地にてミスティさんとロシェを探す。周囲は、その巨人が崩れ去った後なので周囲に砂埃すなぼこりが散って視覚が見えない状態だ。まいったなこれじゃあ何も見えないな・・・・・・

と思い俺は視界が遮る場所を避け、周囲が見渡せる渓谷の上に降り、それと同時に光の翼を解除し、その上で、周りを見渡すことにした。すると、その砂地の周囲には、光の粒がいくつか見られている。おそらくミスティさんや盗賊団のものだと思っていいだろう。俺は、休む間もなく、青い炎を放ち光の翼をはためかせ飛び出そうとしたその時・・・・・・・



「あれ?どうしたんだ?俺の体・・・・・・・」ドサッ

青い炎を放出したのはいいが、その瞬間激しい疲労感が襲い、極度に足が震えはじめた。

もしかして、あの翼を出した反応なのか?だとしてもこれほどな疲労感は今までにないぞ。

俺は、これ以上考える気はなく、青い炎をせっかく放ったので肉付きのいい尻を地面について一度一息を付く。



空は、風が吹かれて涼しく感じるのに、なんだこの虚しさは、せっかくミスティさんやロシェを助けようとしたのに、当の本人は疲労で、全く動けなくて、回復するまでここに待機とかどう考えても、チート主人公がする事じゃないよね。

そう心に思った瞬間、俺の耳元で何かノイズのようなものがザザッと聞こえる。




『ア・・・・・・ルマ君聞こえる?』

「この声はミスティさんですか?今どこに?」

ノイズで耳障りな音が聞こえるが、この声の主は間違いなくミスティさんだ。




『ザザ・・・・・・・・ザザ今西部の渓谷の上から・・・・・・・ザザ君の炎が見えたよ。今・・・・・・・通信術式で微弱ながら音波を送ってるんだよ」

「そうなんですか・・・・・それにしても、通信もできるなんてこの世界の魔術は結構進歩してるんですね」

『ザザ・・・・・・アハハまあ、開発されたのはごく最近で、通信できるのは、二キロ・・・・・・・ザザ・・・・限界・・・・・・・ザザ・・・・・・で・・・・・・・・ザザ・・・・・』

「ミスティさん?」

ノイズがさらに激しく後半何を言ってるか聞こえなかった。





『ザザ・・・・・に・・・・・・かく・・・・ザザザザ・・・・今・・・・・・・光・・・・・・灯・・・・からそこまで・・・・・・てザザザザザザザザザザザザザザザザ』ブツン

そこから通信が完全に途絶える音がした。どうやら、『今から光で目覚ましを灯すからそこまで来て』と言う内容らしい。

そして、伝達通りに通信が切れたと同時に目印として、無数の光が、とある砂地の方角にさしていたのだ。

ともかく、疲労感はあるがもう一度、『光の翼』を放出する。



「うっ!!!!!」ガクッ

やっぱりだこれを再び発動すると、再び疲労感がくる。たぶんそれは、慣れてないのが、原因だと思われる。とにかく慣れるまでは今は辛抱だ。俺は、そう心に意識しながら、渓谷の上部に向かって飛び降り羽ばたいた。二度目の飛行は多少のふらつきがあるが、動きやすく感じてしまうのだが、何時その翼が強制解除してしまう恐れがあるかも知れないので俺は、すぐにそこに向かった。






「うわっ!!!!」ドボン!!!!

そして、予想通り、ミスティさんの方角までの数十メートル。背中のマナで構成された翼は、徐々に劣化し、消失されそうになったので、俺は、、やや墜落されそうな勢いで砂地に直撃した。

その衝撃で、砂地は巻き上がれて周囲に砂埃が再び散ってしまった。あの高さなのに幸いにも怪我は無いのは、奇跡だと言っていいだろう。

まあ、どんな形とは言え、目の前に、砂埃で汚れたミスティさんと再会できたのは良かったと思う。





「アルマ君、再会出来て、嬉しいよ」

「おっと、抱きつかないでくれよ」サッ

「ギャッツ」

俺は、飛びかかって抱きつかれレズプレイされそうと予測をしたのでそれをさらりと避け、ミスティさんは、砂地に向かってダイブして砂地に埋もれる。

ミスティさんはまぬけながらもそこから起き上がる。




「こ~~~~~~らお姉さんがせっかくサービスしようとしたのに避けないでくれないかな」

「アンタが飛び掛かるとロクな事ないんだよ。その証拠に嫌らしい手癖をしているのを自分で見ろ」

「ムッ別にいいでしょ。私だって触る権利はあるし」

「ない」

俺は、あっさりと即答する。ミスティさんは物足りなさそうにしてるが気にしないことにしよう。





「ところで、ロシェはここにいないのか?」

「ううん。ここにはいないよ。だけど居場所は分かってるけどここから飛距離が遠いからアルマ君を呼んだの。今すぐその翼で、あの結界の方に向かってくれないかな」

「場所は、分かったのか?」

「うん。勿論この眼でね。とにかくそこまで今すぐ飛ばして」

ミスティさんは『理の天眼』を持つ左目を示した。この眼なら信用できるので俺は、彼女の柔らかい手を握り『光の翼』を再び発動し、あの黒い街並みを閉ざした結界に向かって飛ばした。

だが、連続で『ソレ』を発動した反動で、飛行中がかなり不安定になる。






「へえ~~~~~~これが空を飛ぶことか。初めての経験だ。短時間でここまで覚えるなんて大したものだよ」クチュクチュ

「くっコントロールが効かない。やはり二人乗りじゃ不安定かな?・・・・・・・はあ・・・・・はあ」

「失礼だね。私これでも君より体重が軽いんだからやっぱり君のでっかいオッパイが原因なのかな」クチュクチュ

「失礼な事いうな。・・・・・・・・・ハア・・・・・・ハアたかがオッパイ二つでコントロールが効かないなんて聞いたことない。後どさくさに向かれてオッパイと秘部ひぶに手を入れるな。マジで墜落するぞ。・・・・・・・・本当にやめろ。そこ・・・・・びんか・・・・・・・・イク本当にイクから・・・・・・あああ」

重さや疲れも原因であるが一番の原因は、そこに手を入れたせいで感じたせいで、集中が途切れてしまうのであった。しかもミスティさんのイカせテク前より上達しやがって本当に漏らしそうになったじゃないか。

しかもそれと同時に変な声が出たし散々だ。






「アルマ君今の声可愛かったよ・・・・・・」

「ハア・・・・・・・ハア本当に・・・・・・降ろすぞ・・・・・・」

「ゴメン。冗談だよ。お詫びにマナを回復させて安定させるから」

「ああ・・・・・・だけどこの次はやめてくれよ・・・・・・」

ミスティさんは、小悪魔染みながらもマナを回復さしてもらったおかげで飛行がマシになりより速度が上がったとので、あっという間に結界前に着いた。





そしてそれと同時にミスティさんは、灯りを照らし周囲を見えやすくする。そして、そこにはロシェらしき少女が結界前に立ち、それを解析しようとしたのが見えるので、俺達は、それを阻止するべくそこに向かった。





「ロシェ。何をしてるんだ?」

ビクッ

ロシェは、驚いたネズミのように軽く飛びながらこちらを見る。ロシェの手つきはまさにやましいことをしてるように結界を解こうとしてた。



「何って、ウチは何もやってないッスよ」

「じゃあその手はなんなのかな?明らかにこの結界を解いてこの街にある宝を奪おうとしているね?この結界を解いてここから侵入すると、騎士として君を拘束しなきゃいけないよ」

「・・・・・・・・・・・」

ロシェは、一度解析しようとした両手を降ろし、しばらく沈黙した後に何かがキレたかのように発する。







「べ、別にいいじゃないスか。こっちだって生活が懸かってるから必死なんスよ。うちは、生まれつき親も知らないでずっと一人で生きてきた。勿論勉強なども一度もやったことない為文字を書くことも魔術の知識も皆無。得意なのは窃盗で金をまきあげ、止む無く人を殺したこともあった。そんなクズを誰が認めてくれるんスか?うちは、ただこんな泥みたいな田舎で済むのは、止めて王都で安定した職業に就きたいだけなんス。ミスティさんあんた達だってそうっス。あんた達が騎士じゃなかったら今までこんな振る舞いはしてなかった。騎士の人間は正義感で然程いい身分の人間だがエリートで下等な人種を差別する人間なんス。

生まれついて、ぬくぬくと生きてたミスティさん達騎士にそう言われたくないッス・・・・・・・フレアス」ボウッ

ロシェは、怯えながらも手の平から火球を構え抵抗をしようとする。

いや、俺は別に、騎士じゃないけど、ロシェは勘違いしてるようだから反論しとくか。どの道こんな火球直撃しても俺の炎で打ち消せるし・・・・・・・






「おい・・・・・」

「ロシェ、私は、別に生まれついて何不自由ない生活を送ってなんかないんだよ」

俺が喋ろうとしたら、ミスティさんにセリフ乗っ取られた。



「こっちに来ないで欲しいッスさもないとそれをぶつけるッスよ」

「いいよ・・・・・・・来て」

「怪我してもしょうがないっスよ。言っとくがうちは火炎魔法が得意だからこれを食らったらひとたまりもないッスよ」ボウ

宣言通り、ロシェは、火球を取り出し、それはミスティさんの方に一直線に向かう。




「フッ」バシュン!!!!

だが、その火球は、ミスティさんの見えない魔術によって相殺していった。以前ミスティさんの表情は静かなままだった。

ロシェはそれを見ると驚きを隠せず口をパクパクと開いていた。

「そそそ、そんなうちの得意魔術が・・・・・・こんなに容易く・・・・・だけど、今度はより強力な・・・・」

「無駄だよ。この程度な魔力いくら放っても何度でも相殺することができる。それより、私の話を聞いて・・・・・・」

ミスティさんは、左目の天眼を不気味なほど見開きながら、周りを注意しながら語る。




「これはよく人が勘違いしてるようなんだけど、騎士のほとんどは身分のいい人種や才能のいい人種になるのけど中には、ロシェのような身分の低く学の無い人間にもなれるんだよ。・・・・・・・・無論私が、そうだった。私は、ただ貧しく母や自分の為に必死こいて努力をした。勿論君のようにゲスイ事をして何度も憲兵に仕置きをされたこともあった。だけどそれを諦めずにやることで今の地位を立った。それだけだよ」

「そ、そんな事信じられないッス」

「別に信じないのは勝手だけど、ここにいる・・・・・・彼・・・・・・いや彼女アルマリア ピュールシュはまだ騎士ではないが、彼女の母親は、『炎舞の白騎士(ブレイブ二ル・ブランリッター)』有翼騎士団では数少ない辺境な村々に出身だよ」

確かにそれは俺の母親だけど、正確に言うと転生先の母親で会ったことなんて全く記憶にないけどな。





「ええ、アルマさんがあの騎士の娘・・・・・・・」

ロシェは、まさに憧れを抱くかのように俺に目を向く。確かに嘘はついていないが。そうゆう風にしとくとするか・・・・・・




「そ、そうだ。俺が、リリー ピュールシュの娘だ。今は、冒険者としての見習いだが、実戦を生かしていつか騎士を目指そうとしている。だから・・・・・・馬鹿な事をやめろ。今ならやり直せるはずだよ」

「・・・・・・・・・・・うちは」

「いや、お前はよくやったよ娘よ・・・・・・・」

「何?」

「やはり来たね・・・・・随分遅い到着だね」

ふとその聞きなれた声に反応すると、結界の・・・・・いや俺達の周囲には、盗賊団がここぞとばかりに囲んでいた。




「ほう、俺達が来るのが分かったって感じだな」

「そりゃね、あなた達の男臭さがプンプンと漂ったら分かるよ」

「フッ、分かったら何よりだ。それじゃ黙ってここから立ち去ってもらおうか。宝は悪いが俺達がもらう」

「それは、出来ない相談だね。目の間にいる不穏分子をほっとく訳ないよ」

「だったらここで、俺らにやられるべきだ。流石の騎士様でも俺ら20人以上に相手は務まるかな?」

「ミスティさん、手伝っていいか?」

「いや君は疲れているからいいよ。」

「いや俺はまだいける・・・・・・」ガクッ

「ほら入ったこっちゃない。あの翼の使いすぎだから引っ込みなよ」

「くっ」

俺は、動きだそうとするが疲労感がすさましく動くのが困難だった。




「じゃあ行くよ。ロシェ。殺すしか出来ないアルマ君は引っ込んで」

「え・・・・・・・うち明らかにそっち側の人間じゃ・・・・・・・」

「こいつらを倒したら特別サービスで許してあげる。君の力が必要なんだ。いいよね?」

「はい」

「ついでに言うけどなるべく殺さないでね。生きて拘束したいんだ」

「はいっす」

そう言うと、ミスティさんとロシェは、飛び掛かり盗賊団に立ち向かうべく前進している。俺完全に蚊帳の外だな。




「はっ」

「うわぁぁ」

「さらに腕を強化」

「グハッ・・・・・」

「くっ・・・・・・・こいつら強すぎる全く歯が立たない・・・・・」

「まだだよ。これじゃ足りない。全力で術式を展開するよ」

ミスティさんは相変わらずの近距離の強化魔術と複数の術式の展開で敵盗賊団を無双しているのが見え、敵が砲丸投げのように吹っ飛ばされるのが見え敵がゴミのように見える。こりゃミスティさんだけで充分かな?



「このガキャ・・・・・・・」

「ふりゃ・・・・・・・・」スパ―――――ン

「くそっ・・・・・・」

「心配しないでくれッス。峰打ちッスよ」

「だったら魔術で・・・・・・」

「悪いけど魔術でもうちに勝てないッスよ『メルトアウト』」ドコ――ン

「うわっこのガキ。爆破魔術まで・・・・」


しかもロシェはスラム育ち特有の格闘技術と火の爆破魔術でこっちも敵を次々と倒してるのが見えた。

だが、肝心の俺は、疲労で戦えないってどういう事だ?一応主人公なんだぞ?



そして気が付くと敵は屈強な男しかいなくなりついにその男が腰を上げる。




「ほう・・・・・・思ったより中々骨のある奴らじゃないか。だが、お前らの勢いはこれまでだ」ズン

やられる部下を見て苛立った屈強な男が前に出て自慢の筋肉と馬鹿でかい斧を構え前に出る。





「来るがいい。この私がいる限り、お前達に勝ち目はない。これまで自慢の腕力で様々な魔物を一撃で倒した。女子供でも容赦しない。覚悟しろ」

「どうやらボスが来たようだね。アルマ君出番だよ」

「え?、さっきまで戦うなって言ったのに・・・・・」

「もう充分休んだでしょ。それにさっきからつまらなそうにしたから大物は君に任せるよ・・・・・」

「ちょっとまて、ただお前らが戦いたくないだけだろ」

「だってこのおじさん臭そうで脳筋だから、同じ脳筋の君となら割があうかなって」

「脳筋はアンタだろ」

「いいからいいから前に出て」

俺は、ため息を吐きながらしぶしぶと前に出て、ボスである屈強な男の前に出る。




「ミスティさんこの相手は、かなり手ごわいからここは二人でやった方がいいんじゃないッスか?」

「いいって、いいって、ここはアルマ君に任せて」

この野郎好き勝手言いやがってすぐに終わらせてやる。





「話は終わったか・・・・・・・随分待ったぞ」

「アンタこそ、盗賊団の癖に待ってくれるなんて人がいいじゃないか」

「俺達は、盗賊団ではない。ただこの世に発見されてない。財宝を手にするためのハンターだ。あんな奴らと一緒にしちゃ困るな」

「同じさ・・・・・・アンタみたいに法を破って財宝を手に入れようとする奴は、盗賊と同じさ」

「ふっ違いないな。だがこっちも頼まれた事は最後までやらないとな・・・・・」フッ





その声を最後に音は鈍い音を立て、斧を振り回そうとする。だが俺は、瞬時に『青い炎』を自分に乗っ取らせ、連続でその攻撃を避ける。



「隙だらけだぜ」ドコッ

「くっ・・・・・・・・」ドサッ

そして隙が出たのを見ると、華麗に鞘から剣を抜き、柄で、そいつのわき腹を狙い重い音を響かせた後気絶をさせる。





「これでいいのかミスティさん?」

「うん、ありがとう。アルマ君・・・・・そしてロシェも君達のお陰でこの結界は守られたよ」




そして、気が付くと朝になり、その光により俺は一瞬その光を防ぐ。

俺は、その光を慣れ始めた頃になると、この渓谷外の砂地は、砂埃と朝焼けの中複数の盗賊団が倒れた所で俺は、また極度な疲れが襲い、ミスティさんとロシェが盗賊団を捉え荷馬車に入れようとしたところで後ろに音を立てしばらくの眠りについた。




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