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青百合戦記  作者: 夕凪
黒龍の巫女と強欲の因子編
32/39

色気と追跡

俺達は、あの後商人の馬車で無事集落に戻った。日はとっくに暮れている中俺は予期せぬ疲労により先に宿屋に入り先に部屋で休むことになった。ちなみにミスティさんはあの後、騎士団が管理している近場のギルド集会場にて依頼達成の報告での報酬受け取りとそこで手に入れたアイテムの売却を行ってくれるそうだ。今回は予算不足で馬車を借りれなくて徒歩で目的の場所に行った為時間はかなり食ったな。やりくりの為今後このような無駄を省く為にそろそろ馬車代よりも安値で現場に向かう方法を考えないとな。



だけど今回の依頼でそれなりにいい仕事をしたからミスティさんが暴飲しなければ一週間は安定した生活は送れるだろう。



それはともかくなぜ俺は、あの時黒い土地にそこの住民の魂があるのだと口走っていてさらにその魂を救おうと言い出したのか分からなかった。だけどそんなのはどうでもいい。ひとまずミスティさんの帰りを待つことにしようと思い俺は、ひと眠りすることにした。





そしてその後ミスティさんが換金から戻って多少のセクハラを受けながらも、夕食を食べる為に宿屋近くの酒場に向かった。ちなみに依頼金を合わせての換金額は、予想以上にここの宿屋の一か月分の宿泊代だ。やっぱり予想以上にロックビーストがいたのは幸いだったな。とにかくこれを期に地道に稼がないとな。

そして場所は酒臭さとオッサンの加齢臭とタバコの煙が漂う酒場にて移り、とりあえず空いてる席であるカウンター着くことにした。そして、この酒場の店主である狼の獣人のドゴンというオッサンが、声をかける。俺はそれに対し、チャチャル村でアルマリアを演じたように女々しくした。



「ミスティさんにアルマちゃんいらっしゃい。いつもこんなオッサン臭い酒場に出向いてくれて嬉しいかぎりだぜ」

「ドゴンさんありがとうございます。おじさんだけですよそんな事を言うのは」

そして、加えて胸の谷間を見せるようにする。


「嬉しいね、アルマちゃんだけだよこんな事を言ってくれるのは、」(泣き)

「大将口説くのは程ほどにしとけよ。嫁さんにどやされても知れねえぞ」

ハハハハハハハハハハハハハハ

「うるせえぞ。それよりテメエらサッサとツケ払いやがれ」

俺達美人二人にデレデレしてる店主にそれを茶化す常連がこの酒場の日課となっている。

ちなみに俺は、なぜまた演技をしてドゴンさんの機嫌を良くしてるのかと言うと別に誘ってるわけではなく少しでも料金をまけてくれるように工夫しているのだ。これも女体になって異世界を生き抜くためだから仕方ないことだ。



「それよりお二人さん何をしやす?」

「とりあえずいつものでお願い」

「それとミスティさんにはなるべくお酒を与えないでください」

「むう、別にあんまり飲まないんだからいいんじゃないかな?」

「ハハハハハハハハハハミスティさん、アルマちゃんが言ってんだからそうした方がいいですぜ」

「分かったよーーと」



そう注文を受けたドゴンさんはケラケラ笑いながら厨房に戻る。ドゴンさんは見た目は強面な野獣に見えるが実はいい人で、サービスにおつまみやまけてくれるから正直助かる。ちなみにドゴンさんの奥さんは、俺らが泊まってる宿屋の女将で、より親しみやすくなるから助かる。こんな感じでここ二か月間は、この集落で依頼をこなしてるが、そろそろ王都あたり遠場に移りたいのだが、親しみ過ぎて返ってここから出たくないと思ってしまう。



ちなみにこの集落で親しんだのはドゴンさん夫妻だけではなく他にいるそれは、おっと噂をしたら来た。

そのボーと緩い感じで赤髪の小柄なそばかすが似合うのがそれだ。その彼女が二人分のステーキをスローペースで持ってくる。



「おまちどおーーースミノス牛のステーキッスよ」

「いつもありがとうロシェ」

「へへ当然ッスよ」

この地に良く生息するミノス牛のステーキを持ってきてくれた彼女は、ロシェと言いこの酒場の店員だ。

彼女はここの店員だけではなく宿屋の手伝いやここ周辺のガイドもやってるいわゆるなんでも屋だ。

背は小さくロリっぽく見えるがこれでも俺と同じ17歳なのが驚きだ。



「おいロシェ、なにとろくやってるんだ。タダでさえ繁盛してるんだ。真面目にやらねえと給料減らすぞ」

「え~~~~~それは困るッスよ」

あまりの遅さでドゴンさんは呼びかけでロシェはトコトコと厨房に戻る。ちなみにロシェは俺が演技してるのは知ってるがそれはどうでもいいだろう。

そんな中ミスティさんがある話題を口にする。



「ねえアルマ君これからギルドで働くつもりなのかな?」

「え、それはどういう意味ですか?」

俺は一応店内で演技してる身だからアルマリアの口調で対応した。



「わたしも一生君の監視を続ける訳にはいかないし、ちゃんと目の届くところで動いて欲しいと思うんだよ」

「つまり、騎士団に入れっていうことですか?」

「そう受け取っていいと思っていいよ。その方が楽だ」

「だけどいいんですか?俺・・・・・・いえ私は、上に目を付けられてるから入団を認めないと思いますけど」

「それは、大丈夫私の師匠は上の人間だから口を聞いてくれると思うよ。まあ、仮に入るとしても養成学校の入学や入団試験などの細かいことを受けなければいけないけどね」

「一言も入ると言ってませんが・・・・・・・」

「それは違いない。だけど君は、この世界の事を知りたいんだよね。まずは王都を目指した方がいいと思うよ」

「・・・・・そうですね。一度そこに向かいたいと思いますね」

「アハハハハハハハだけど王都は物価が高いからしばらくは資金を集めるのに大変だけどね」

「そこはあなたが暴飲しなければ、簡単に行けると思いますね」

「そ、それは勘弁してくれよ」

王都か・・・・・・そういえば今頃リュミエールは王都の学校で魔術の勉学に勤しんでるのかな。まあ、近いうちにそこに向かうとするか。まあ、その件については後で部屋話す事にしようか。



その時店の扉が豪快に開く音が聞こえ店内にいる客は全員それに注目した。そこに入ってきたのは屈強なむさくるしいオッサンが馬鹿でかい武器を背負いながらぞろぞろと入ってきた。ん、いやそれだけじゃない中には顔を見えないが黒いローブを来て杖のようなものものを持つ魔術師らしい男もいた。



「なんだぁ?おめえさんらは、ここはタダでさえ狭えのにえもの持ちながら入るとは失礼だねぇ」

「失礼店主俺達は別に飲みに来たわけではない。ここにロシェと言う娘はいないのか?」

「ウッス、ロシェはあたしッスけどなんのよスか?」

ドゴンさんの後ろからロシェがピョコと可愛く出てきた。それを見ると屈強な男の一人が酷くため息をした。



「お前さんもう約束の時間は過ぎてんだ。そろそろ目的の場所に向かわないと困るんだよ」

「ロシェまさかお前、ここで働く間にコッソリガイドを受けたんじゃねえだろうな」

「ハ、ハハどうもすみませんッス」

そして今度はドゴンさんがさんが大きくため息をしてロシェの頭に向かってげんこつをかます。

そして、バコン!と快音が響いてロシェは頭を触って半泣きの状態で痛がっていた。



「い、痛いッスよ」

「バッカ野郎あれ程店で働いてる時、他の仕事を受けるなって言っただろうが」

「しょうがないッスよこっちも生活が掛かってるスから背に腹は代えられないッス」

「っちしょうがねえ。受けたもんはしょうがねえ、店はもういい。今から準備しろ」

「はいッス」

「その代わり次こういうことがあったらここで働かせねえからな」

ロシェは軽く敬礼のようなポーズをして店の奥に入った。



「すいませんねお客さんあいつ、しばらくしたら戻ってくるので依頼場所でお待ちしてくれませんかね?」

「ではそうすることにしよう。ではいくぞ」

「ちょっと待ってよオジさん達」

屈強な男達が店から出ようとすると、ミスティさんは呼び止めた。



「なんだね?お嬢さん」

「オジさん達は一体誰かなっと思って」

「おかしな事をいうお嬢さんだ。この背中に背負ってる武器を見て分からないのか?我々は、ギルドに所属してる討伐隊でこれからノックス渓谷に向かい、夜行巨人ノクターンジャイアントを討伐するために向かってるのだがお前達も見るからにギルドに所属してるから分かるだろう」

「じゃあどうして、魔術師も同行してるつもりかな?夜行巨人は物理系の攻撃は聞くが魔術系の攻撃はあまり聞かないはずだよ」

「馬鹿か、パーティメンバーには必ず一人回復役がいるのは定石だろう。別におかしいことは言ってないはずだ。それより我々はこんなくだらない話をこれ以上続けるつもりはない。外に出るぞ」

軽く睨んでその男達は、外に出て重い空気は消え去り元の賑やかな空気に戻った。



「ミスティさんどうしたんだ?」

「彼・・・・・・・嘘ついてる」

そう意味深な言葉をしたが、その後俺達は、会話をしながら食事を楽しんだのだが、俺は何故かその後の事に着いて覚えてなかった。






「アル・・・・・ちゃん・・・・・・・・アル・・・・・・・・・アルマちゃん・・・・・・」

なんだ・・・・・・誰だ俺を呼んでいるのは・・・・



「おい、いい加減に起きねえかい!!!!」

「!!!!」

突然の大声で俺は目を覚める。そして俺は周りを見ると、酒と煙草臭さが漂う酒場にいたようだ。だが前の光景と違く客の数は大分減っており、なによりなによりミスティさんの姿は無かった。



「アルマちゃんもういい加減起きな。もう遅い時間だからそろそろ宿に戻った方がいいぜ」

「ドゴン・・・・・さん?」

「ほら涎ふきな」

俺は渡されたハンカチで涎をふきながら状況を整理し、いつもの演技でドゴンさんに聞くことにする。



「あの、私どれくらい寝ましたか?」

「あれから3時間くらいだぜ。おめえさん心地よく寝てたがこっちも商売だからいい加減に起こすことにしたぜ」

「ミスティさんは、どこにいるんですか?」

「ああ、彼女ね。彼女ならさっきの屈強な男達が出て行った後におめえさんが急に寝に入った後、トイレに行った後戻って来ねえんだ」

どういう事だ。なんでミスティさんが三時間も経ってもトイレから戻って来ないんだ?とにかく俺は何かあったかのを悟り俺は、店を出る為お金を払おうとする。



「ドゴンさん今夜の代金です。では失礼します」

「ちょっと待たんか。もしかしたら俺の長年の勘だがミスティさんはあの男達と一緒に馬車に潜んでノックス渓谷に向かっていると思う」

「どうしてですか?」

「あの男達が出ていった間ミスティさんはずっと険しい顔をしていたし、それにホンの一瞬だがおめえさんのドリンクに魔術で細工させたのを見えたんだ。アレは恐らく催眠術だ。それを掛けて後トイレに行ったから間違いない」

なんで、そのことを早く言わないんだよ。



「だけどそこに行ったと確信はねえんだ。まず宿屋やに戻った方がいいぜ」

「・・・・・・・・分かりました。ありがとうございます」

そう言って俺は、この酒臭い酒場を後にするがだがその前にドゴンさん達むさくるしい男の前で・・・・・



「今日は御馳走様でした。また来ますね♡」(ニッコリ)

「オオオオオオオオオオオオオオ」

俺は、誘惑する口調で谷間を見せて頭を下げた。それと同時にオッサン達の歓喜の声が店中に轟いたので俺はその間に出ることにした。これも日課だ。これくらいしないとまけてくれないし、それにこれからの生活の為に情報を掴む為に友好を築くことも大切だろう。ちなみに俺はビッチではないし精神は男だから男に興味ない。



そしてあの後、宿屋に戻ったが案の定ミスティさんは戻って来なかったらしい。その後集落内にいろいろな人に尋ねた結果、ドゴンさんの感は見事に的中し、ロシェが所持してる馬車に男達を乗せた後、馬車にしがみついてここから出たと情報があった。

俺も今すぐ他の馬車を借りて現場に行きたいのだが、生憎本日の馬車の移動の時間は過ぎており、時間外の移動は予約が必要なので、一蹴された。



「・・・・・・こうなったらこれでいくか」

俺は、暗闇で外灯があまりついてない集落内で気を集中し青い炎を背中に発現させ、その後一点に集中する。

俺はその炎をロケットブースターのように放出させて、ノックス渓谷に向かおうと考える。

その力はどれくらい早いか測ったことはないが、恐らく全速の馬車より早いと予想した。

なぜミスティさんは、あの男達がいる渓谷に潜んでついていったのは分からない。だけど、俺はそれについて確かめなければいけないからだ。

そう思いながら、炎を巻き上げ、土煙が周りに舞いながらも炎を噴出させ、夜の荒野を疾風の如く駆けだした。









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