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青百合戦記  作者: 夕凪
運命を紡ぐ蒼炎編
24/39

チャチャル村防衛戦線 その2 剣を抜け

この話は三人称視点です

チャチャル村にいる魔族が全滅が確認をした所でフェインズは部下の騎士に協力してくれた村民を一旦広場にて集めるよう呼びかけた。フェインズは、本来は魔術部隊に在籍する騎士なので剣術等の技術はあまり持ち合わせていない。だが、暗殺で魔族を仕留めたとはいえ程よく活躍したと言えるだろう。それに魔術をこの場で使うと次の作戦の事を考えてマナの温存を決めているのでこんな所で使うのは彼のプライドは許さないだろう。


そして、フェインズは、霧の中目的地である広場にたどり着いた。広場は命令通りにミリーニャが一人で全員を仕留めたのだろう広場は、先程までのバカ騒ぎわなく静けさを現わしていた。そのかわり血みどろで腐敗臭が漂い大勢の魔族の肉片がそこら中に転がってよりそこに置かれてるテーブル、椅子、酒の樽もすでに赤一色で文字通り血祭りと化していた。

そして、その光景を見て血池をバシャバシャと歩みながらフェインズは頭を抱え後に後悔した。

「・・・・・・・・場所変更した方がいいな」


そう思いフェインズは村人にこの惨たらしい光景を見せない為広場の周囲に魔障壁の結界を張ってこの先の侵入を封じた。

「マナの消費はただただあるが戦力を欠けるよりは増しだろうな」

そうため息を吐きながら呟いた。そんな中、一人の影がフェインズの前に颯爽と向かってくる。それはどうやらミリーニャだった。


「ああーーーーくそ!!!ボクが一番にたどり着いたと思ったのに~~~~~なんだよ隊長様がすでに来てたのかよ」

「早かったな・・・・・・」

ミリーニャは、自分が一番にたどり着けないのが悔しく感じていた。その幼稚な姿にフェインズのイライラはさらに高まったようだ。


「所でミリーニャ、酒屋での襲撃村長側は巻き添えを食らってなかったのか?」

「うん。ちゃんと命令通りに魔族を切り刻めたから大丈夫だと思うよ。どうするここ周囲、察知しても魔力の気配のかけらもみあたらないよ。次の作戦行くのか」

「ああ。そうだな」


そしてしばらくすると、この作戦を手伝ってくれたガイ達率いる反乱軍が広場に集まり合流する。皆息は切れかかっているが幸運なことに死傷者はいないようだ。


「皆どうやら集まってくれた。此度の戦果犠牲者がいなく戦えたのもあんた達のおかげだ。おかげで我々騎士は何も気にせず村外の敵を殲滅に謀ることが出来る感謝する。この恩は戦いが終わってから返したいと思う」

そう言いながらプライドの高いフェインズは、深々とこの場にいる村民に頭を下げた。いかなる相手でも協力してくれた相手には必ずとも頭を下げて礼をするのはこの騎士団の流儀だ。だがフェインズは流儀関係なくこの場にいる全員に感謝をしていた。


「ああ後は任せたぞ騎士の皆さん」

「その代わり祝勝会では特上の酒をおごってくれよな」

「皆・・・・・・・・・・感謝。ではここにいる数少ない騎士の者指揮を取る。ここにいる村民のおかげでこの周囲を掃討することに成功した。これからが我々の仕事だ。皆剣を握れ。」

「はっ」

フェインズが剣を地に刺し指揮を取り、ミリーニャ達三人と言う数少ない騎士達は、腰に下げてる剣を抜き前に構えそれに敬礼する。そして彼らはこれから作戦の為に円を組もうとする。その時彼らの周りにわらわらと物陰から出てきて取り囲む。それらの正体は村長派の村民だ。彼らには弓を構えて騎士たちを狙おうとしている。そして、その陣形の中から村長がムスッとした表情で前に出てきた。それに対し騎士達は、すでに彼らが忍んでたのを知っててあえて様子を見ようとする。なぜなら騎士たちにとっては、この程度の弓矢程度には対処の方法があるのでわざと泳がしていた。



「・・・・・・・・何のマネですか?村長」

「ええい。お前達は何をやっている?」

「何を?はてそれは何の事でしょうか?」

「質問を質問で返すで無いこの状況は何だと言っている!!」

フェインズのとぼけた返答により村長はさらに激怒をする。そして、フェインズはミリーニャに周りに声が聞こえないくらいに声を掛ける。


「(おい、ちゃんと眠らせたんじゃなかったのか?)」

「(ん?別にいいじゃないかボクならそれを使わずにいけたよ)」

「(とっ言うことは掛けなかったのか。ちっややこしいことなった・・・・・)」

それを聞いたフェインズは頭を抱え落ち込む。どうやらフェインズの本来の目的はあの酒場の襲撃で村長側を眠らし拘束することでこのようなめんどくさい事態を回避しようと考えたがバトルジャンキーのミリーニャがそこまで考えてないせいで彼のストレスが溜まってしまうのだった。


「おい何をこそこそしている。お前達の責任だぞ。せっかく魔族様の機嫌を取ったのにそれをすべて水の泡にするなんてな。恥をしれ」

「お言葉ですが村長。つまりあなたは魔族側に完全に服従するっていうのか?」

「・・・・・・そうだガイ。我々が今日まで耐えてきたのは村を守る為だそれ以上もそれ以下もない。ここは私が生涯共に生きていた場所だ。それを守るなら例え悪魔とでも契約をしても構わない。逆らうならお前達村の仲間でも生かしてはいかない」

村長は指示し村長側の村人は一斉に弓を構える。それを見たミリーニャはおかしく笑っていた。



「ハハハハハハハハハ面白いこと言うね。言っとくけどボク、君達より強いんだよ。雑魚がいくら束になって勝てると思ってんの?」

「ヒッ!!!」

ミリーニャは、喋る中で笑みを止め殺気を放ち剣を抜く。それでも村長は反論する。


「だ、黙れ。貴様たちも一度魔族側に敗北したはずだ。それ故になぜもう一度戦おうとする?」

「・・・・・・・確かに我々は一度負けた。実際残りの仲間は、体や心にも傷が深く残り再起は不可能だと言える。だが今回は勝機がある。なぜなら我々には『青い炎』がいる」

フェインズが青い炎と口をした瞬間ガイ以外の村民はざわざわと騒いでいた。


「『青い炎』だと?馬鹿なアルマリアは既に死んだはずだぞ!?」

「ほう、彼女が『青い炎』を使えるとすでに知れ渡ったか。あの時広場に手我々の処刑の場に目を向けている人は知っているが、この世に存在しない炎を使い我々騎士やあんた達を救ってくれた。安心しろ彼女の死は我々が仕込んだデマだ。そして今『青い炎』と我らの騎士の一人ミストラルがすでに魔城にて乗り込んでる。これから我々残りの騎士は村外の魔族を迎撃しつつ魔城に乗り込むつもりだ」

「アルマリアが生きているだと?確かに俺もあの炎を見たがすごかったな」

「そうだ。あの炎はおぞましいながらも頼もしく感じた。これならいけるかも」

「そうだな」

村長側の村民はアルマリアの活躍を思い出しながら徐々に構えてた弓を降ろそうとする。それを見た村長はあせり激高する。



「何をしている。お前達いいから弓を構えろ。奴らのたわ言に耳を傾けるな」

「たわ言ではありません。アルはリュミや村民の為に今戦っているのです。ここは彼女たちを信じてやってはどうですか?」

「ぐぬぬ。ガイ貴様・・・・・・」

ガイはこの場から前に出て村長を説得するために前に出る。その時・・・・・



カンカンカンカンカンカンカン

と村の鐘が村内に響きおこる。その音に皆警戒する。そして村の高台に警備をした見張りが村長に向かい連絡する。


「どうした?」

「はあっはあっ警告。今魔城方面にいや他の方面にも魔族が集結しこの村周囲に取り囲まれております。数は恐らく100以上かと」

「何だと!?」

話を聞いた村長はよろめきながらも急ぎ村の外に向かう。




そしてしばらくして、村長が村の外れに向かうとその先の霧の中から鈍い音と赤い炎の玉がぞろぞろと近づいている。そして・・・・・・・

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」

ある魔族の一人の雄たけびで周囲の霧は晴れる。その前方には50以上の魔族の軍勢がこれから村を攻めようと前進しようとしていた。そしてその軍勢は一度止まった所である魔族の一人が前進し叫ぶ。


「お前達よくも我々の事を図ってくれたな。残念ながら村の周囲は既に囲んでいる。諦めるんだな」

その魔族の言う通りこのチャチャル村の周辺にはこの前方の軍勢の他にも魔族が包囲しもはや逃げられない状況になっていたのだ。

「ひぃぃぃぃぃぃぃお許しを~~~~」

村長は情けない声で謝ろうとするが奴ら魔族は聞かずに、手を上げ他の魔族を指示しさらに前進する。

彼らの目は殺気目出ておりこれから惨殺しようとする勢いだ。



「村長南部、西部の方面の軍勢もさらに歩み始めようとしてます」

「く、ええい他の村民に協力し魔障壁を張って食い止めろ~~~~~」

「ですがそれでは長く持たないかと」

「く、ここまでか」

村長派の村民は前線に出て魔障壁を出現しようとする。だがそれはあえて時間稼ぎには遠く破られるのは確実だろう。だが、それでも村民は、自分の故郷を守るべく力を尽くそうとする。

そして、魔族が村に攻め入る数百メートルの時に遅れてフェインズを含む騎士がやってくる。



「・・・・・・・・無駄ですよ村長。あんたらの魔力じゃ破られるのは確実だ。俺らがやる」

「お前達の責任だぞ。お前達のせいで・・・・・・」

「分かった。分かった説教なら後で聞く。それよりあんた他の方面の魔族もこれくらいの距離で来るのか?」

余裕の表情でフェインズは、村長の声を無視し見張りの村民に聞く。

「え、ええ。恐らく他の方面にはまだ到達してないかと・・・・・・」

「そうか・・・・・・それでも少ないがまあいいか」

それを聞いたフェインズはほくそ笑み村長を押しのけ前に出る。そして、



「おいあんたら、さっさとこいよ。我々騎士がこれから殲滅する。それともこんな小汚ない豚足ではここに来るのもやっとか?」

「くそ・・・・・・・・が舐めやがって」

剣を前に差し出しあからさまに挑発をする。そして当然のごとく魔族の足がさらに加速してくる。それを聞いた村長を含む村人はもはや放心状態でこの男は何を考えているんだと可笑しく感じていた。

そして、他の魔族よりさらに早く駆け抜け我が先だと勢いづける魔族の一人がフェインズの前まで早くも数メートル程にたどり着いた。そしてそいつは、持ってる両斧をフェインズに向けて切り刻もうとする。



「死ね~~~~~~~」

「・・・・・・・」パチン

その魔族の下品の声が飛び交う中フェインズは、指を鳴らす。すると地中から数本の土で出来た槍が飛び出し貫き串刺しとなった。魔族の斧がフェインズの額が届く数センチ、斧が額に届く時に発動し、その魔族はその声を最後に絶命し汚く血がその槍に染み込んでいた。


「なんだ?何が起こった?」

「怯むなぁぁぁぁぁぁ進めええええええええ」

その光景を見ながらもさらに他の軍勢は怯まずに前進する。そして、フェインズはそれを予知したか両手を広げる。

「拡散しろ・・・・・・・・」

その声に反応しその串刺しにした槍は、さらに拡散し魔族の群れに地中から次々と槍を飛び出し這いながら進み魔族に向かってくる。そしてその複数の槍はその軍勢を貫き進む。

「ああっ!!」

「ぐえっ!!」

「なんなんだこれはぁぁぁぁぁぁ」

魔族の無残な断末魔を響きながら視界に入る魔族を次々と狙いフェインズの視界に魔族がいなくなる頃にはその槍の進行は止み周囲には串刺しとなった魔族の死体が広がっていた。その光景を見てガイや村長を含む村人は口が上がったままだった。



「ど、どうなっているんだこれは?」

「これで他の場所も大丈夫だろ」

フェインズはさらに一歩進み足を地に擦る。そしてガイに今の状況を詳しく説明する。

「俺らは事前に魔族側にこのラインを超えると自動的に先程の槍が飛び出す術式を仕込んだんだ。これに反応すると魔族の臭いを探り自動的に攻め入るようにしたんだ」

「だったらもし、魔族側がここに攻め入れず魔術なんかで攻めてきたらどうするんだ?」

「言ったはずだ。このラインに入ったらだ。それは魔術にも反応する仕込みだ」

「しかしこんな便利なものがあるなら初めから村の中にいる敵を攻めれば何とかなるだろうに」

「これは、協力だが既に内部に入った魔族には反応しない。それとも何かこの村を巻き込んで発動したかったのか?」

「いいや。そんなことは・・・・・・」

「それにこれは一日一回が限度だ。使うたびにマナの消費が激しいこの日の為に貯めたのがあっという間になくなった」

「フェインズさん」

そう言ってフェインズは、ふらつき膝が足に着き、額に汗をかいていた。

それをみてガイは、フェインズの方に向かおうとするその時、緑色の何かがフェインズの方に向かってそれを受け止める。ガイは打ち出した方向を目を向けるとそこには数体のゴーレムを連れているリュミエールとヘカテ先生だった。


「叔父さん!!」

「リュミエールなぜここにそれにそのゴーレムは一体?」

「これは彼の生み出したゴーレムの養分を肩代わりさせたいわば私の守護神のようなもので、今後貴方たちを援護する存在と言えばいいんでしょうね。ちなみにリュミエールちゃんは私の事を手伝うことを条件にここに来てくれたんですけどね」

「叔父さん。村の人から聞いたよ。頑張って私達の事を守ろうとしてたんだね」

「よ、よせよ」

リュミエールはガイの方に向かい安否の心配をしていた。それを見た先生はニヤリと笑った後再び呆れた表情でフェインズの方に向かった。



全くあれ程無茶はしないでって言ったはずなのに貴方も相当無茶をしますね。フェインズ君」

先生は呆れた顔で、複数の術式を構えてフェインズを魔術で治療をしようとしていたのだ。そしてその緑色の何かが消える頃には、フェインズには先程の疲れは見えなかったようだ。


「傷が消えている」

「いえ傷を治しておりません。貴方たちも知っているのでしょう。この霧は傷の癒えにはあまり効果が見られないのを。私が回復させたのは彼の中に流れる魔力その者です」

そうフェインズが回復されたのは彼の身体ではなく魔力そのものだ。そもそもこのカーディナスの作った魔術は、相手の感覚を惑わすだけではなく魔力による回復をさせにくくする効果があった。なのでアルマリアの怪我やフェインズ達騎士の傷も本来ならば治癒の法で治せるはずがそれを無効化されされにくくされてしまったのだ。その為ヘカテ先生はこの霧を打破する結果術での打ち消しは出来ないが魔力そのものを相手には適応されることを知ったのだ。


「先生ありがとうございます。助かりました」

「いえいえ。どういたしまして。それよりどうやらうまくいったようですね。貴方の先程の力でこの周囲の魔族の気配が消えました。ここからが大詰めですね」

「・・・・・・はい」

フェインズと先生はこの先にある魔城に目を向く。そして村長を含む村人は今の状況が全く理解していなくポカーンとしていた。



「おい。ヘカテもしかしてお前もこいつらに加担してたのか?」

「はいそうですよ。村長それが何か?この周辺には魔族がいないから罰を受ける権利はないはずですよ」

「ぐぬぬぬ・・・・・そうだとしてもまた魔族共がここを襲おうとする時はどうするつもりだ。先の術も一回しか使えぬと聞いたはずだぞ」

「ご心配なく・・・・・・この後ろにいるゴーレムがすでにこの村の四方に付けております。これなら単体相手なら怖くないでしょう。他にまだありますか?」

「うぬぬぬぬぬぬ・・・・・分かった。お主の好きにせい。お主達引き返すぞ」

そう言って村長派の人間はこの場から撤退しようと引き上げようと準備をする。


「フェインズといったな。村の事を頼むぞ」

と最後にそう言い残しこの場に去った。そしてその後ろ姿をミリーニャ達はやれやれとため息を吐いた。



「あ~~~~あの頑固爺さんもようやく認めてくれたか~~~~~」

「・・・・・・・・まあなそれよりミリーニャ準備できたのか?」

「ああ。いつでも乗り込む気は満々だよ。隊長殿指示を」

「そうかいろいろあったがこれから作戦を出す。いいな?」

「はっ」

騎士達の号令が飛び交う中これからフェインズ達騎士は魔城に向かうべくその部下に指示を取ろうとした。


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