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青百合戦記  作者: 夕凪
運命を紡ぐ蒼炎編
21/39

この手で掴め

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおいくぞーーーー」


激しい轟音を鳴り響かし埃で汚れながらも俺は、右手だけで大剣を振るい魔王ギルギスの持つ黒剣とぶつかり合う。何度目の打ち合いか知らないが、俺の脳裏にはこいつを倒すしか思考に残っていない。

俺が持つバカでかい魔剣『サイフリート』は、もちろん片手で振るえる重さではない。俺の持つ青い炎が大剣を纏わすことで不思議と重さが感じられなくなったからだ。もちろんこの力は事前に知ったわけではない。本能的に発揮されたんだ。まるで重さが燃焼され軽く感じるくらいに扱える。だが、それでも青い炎の浸食で大剣は、黒く変色しているのを見えた。



「やはり、魔力無効化の効果をもってしてもこの炎に耐えられないか。だったら朽ちる前に倒すまでだ」

そう思いながら、ボロボロのに変色したのも関わらずにさらに攻め続けた。


「はんっ!!」

対するギルギスも黒剣から黒い魔術らしい何かを纏って攻撃を仕掛ける。無駄だ。俺の炎とこの魔剣は、魔術を受け付けない。俺は空の左手で炎球を繰り出し、さらに大剣で連続に斬り続ける。だが、斬った感触はない。何が起こったんだ。よく見るとギルギスは、纏っていた黒剣で、俺の攻撃をすべてはじいた。らしい。

どういうことだ。すべての攻撃は、魔術さえも打ち消せるはずなのに、手ごたえないんだ。それどころかギルギスがまだ余裕の表情を見せてる。なぜだ。



「どういうことだ?なぜ俺の攻撃は魔術を通用しないのに攻撃が通らないんだ。もしかしてあの黒剣にも何か能力が」

「いいや儂の剣には、インヴィーのような大層な剣は手にしておらん」


ギルギスはさらに接近し剣同士がぶつかり合い鍔迫り合いする。その衝撃で赤と黄色の火花がバチバチと鳴り響いた。なるほど、奴の能力なら打ち消せないな・・・・・・厄介だ。


「これは、儂の能力の一つと思って良い。それ以上は明かせんがな」

「くそがっ」

黒い何かいやオーラと言うべきか、さらに大きく広がり、このままでは、押しつぶされる。

そして、俺の大剣からパキッっと音が響いた。どうやら、前からあった刀身のヒビがさらに大きく広がってた。

「どうやらお前の剣も限界のようだな」

「そう思い通りになってたまるか」


俺は、背中から青い炎でブーストしこの場から逃れ天井まで飛び上がり遠距離で青い炎を高火力で放出しようと構える。なぜその思考に入ったかは、分からないが恐らく乗っ取られた体の影響だろう。

俺はそれを気にせず奴が動きを見せる前に決めようとした。

「喰らえ」

俺は、渾身に高火力で下のギルギスまで放出する。その反動で壁に少しめり込むもその威力は、床下までにも燃え盛る程の爆炎で、その火力範囲は、今までの最高距離の倍以上程の力だった。俺の今の能力ちからはまだ明かされてないが、先の重い大剣を軽く持ったのと言い、どうやら自分の気持ちの変化で力も変わる・・・・・または、この炎が段々と俺を支配して完全に乗っ取ろうとしてるか分からないが、自分の能力ながらやれ恐ろしいと思った。

ともかく考えるのは後だ今はギルギスを倒すことが先決だ。俺は、炎を放出しながら奴を探ろうとする。

すると何か嫌な予感がした。いつの間にか俺の横にギルギスが恐ろしく詰め寄っていた。こいついつの間に・・・・・・


「はあああああああ」

ギルギスが叫び横に斬りつけようとするが、俺は、大剣で防御をするもそれは、青い炎に犯され美しかった銀色の刀身が灰色に染まりかかっていた。さその上崩落が続き、ヒビも広がっていた。俺は、剣を構うばかりで力を抜け地面に叩き付けられる。だが背中に青い炎を放出したおかげで大したダメージはなかったようだ。


そして、ギルギスは素早い身のこなしであっという間に天井から降り間合いを空け構える。どうやら奴も俺の炎を恐れてむやみに攻められないらしい。

俺は、次の攻撃が最後と思い懐から教会からリュミエールから貰った母の形見を取り出し片方の手で、構える。全く面識のない母親の形見で使いたくなかったが俺は、決心する。とにかく一撃だ・・・・・・俺の炎は、並の武器を纏うことで一発で崩れるから、それに賭けるしかない。


「これで決める・・・・・」

「お前もかなら儂も全霊を注ぎ迎え撃つとしよう」

言葉を交わした後、俺が疾走する時ギルギスも同じタイミングで駆け上がった。これですべてが決まる。

俺は、右手にある大剣に炎をの量をさらに強め、強化にはかる。大剣はきしみ、蒼く染め上がり最後の灯を振るえ挙げように力を入れる。対するギルギスも黒のオーラがさらに濃く激しさを増しているように見える。

そして、再び黒剣と大剣のぶつかり合いが始まった。案の定限界が来たか。俺の持つ大剣は、打ち合うのを最後に、砕け散った。


「くそ、持ったなかったか・・・・・」

ギルギスは、俺の力に抑えられたか黒剣を持つ右手は、後ろに大きくのけぞられていた。

「ぬん!!」

ギルギスののけぞる声がするも俺は、砕け散り宙に舞う破片の中に、左手に握りしめた短剣の青い炎を纏わせる。奴がのけぞってる間がチャンスだ。そう思い一撃を決める。



ガキッっと鈍い音がする。気が付くとギルギスは、当たり前の表情で左手に覆った黒いオーラが、俺の短剣の攻撃を封じた。

奴の左手は黒いオーラを覆った為ダメージがなかった。そんな・・・・・最後の一撃だったのに、俺は、一気にどん底に叩き落される感覚が走った。

そして、気が付くとギルギスの右手は、すでに俺の首を撥ねようと首筋めがけて迫ろうとしていた。


「終わりだ・・・・」

ギルギスの口元が緩く勝利を確信した風な顔をしている。そうか・・・・・俺死ぬのか。

やはり俺は、神様にとことん嫌われてるようだ。こうやって俺を狂わして楽をさせないようにしてもてあそんでいるんだ。俺が何をしたんだ?あなたを認めなかったからなのか。それとも俺の存在を元から気に食わなかったのか?だったら転生してまでもこんなことやる必要なんてないじゃないか。

ほら、今見たいに黒剣がかなりスローで俺の首筋を迫ろうとしてるじゃないか。普通ならスパッっと終わらせるはずなのに中々来ないじゃないか。殺すならささっと殺せよ。

俺は、諦め半分で時を遅くされた世界で無意識にギルギスが剣を握っている右手に捕まろうとした。なぜかは分からないが、誰でもよかった。この手を掴んで俺を助けて欲しかった。そう思った。



「オオオオオオオオ!!」

俺は、謎の叫び声で現実に引き戻される。意識が朦朧としながらも周りを見る。気が付くと俺は、ギルギスの剣を持つ右手を握りその炎が奴の腕に移り燃え移ったように見えた。

青い炎はあっという間にギルギスの右手の平を燃やし尽くし、俺の手の平には奴の持ってた黒剣を持ってた。


「何が起こったんだ!いつの間儂の手をに掴んだんだ」

ギルギスも今起きっている状況が分からなく頭の整理がついてないらしい。俺は、何が起きたか分からないが、とにかく黒剣を青い炎に纏わせ、目の前の敵に向けて振り払う。

その一撃は、浅く見えたが、目の前の相手の傷口から血が噴き出しダメージを負っているのを見える。俺は、斬った中で、すべてを思い出す。・・・・・・・・そうか俺は、目の前にいる俺がいる世界の平和を脅かす存在と戦っているんだ。こいつを倒せば、村の皆やリュミエール・・・・・・そして。ミスティも救われる。

俺は、一瞬の出来事を振り返り剣を両手に握りしめる。ギルギスも油断したものの黒のオーラの手刀で向かい打とうとする。俺は、瞬時にそれを避け剣先をギルギスの胸元に貫こうとした。



「バ・・・・・馬鹿な儂が・・・・・・儂が築いた居場所が・・・・・」

「終わった・・・・・・」

青い炎を纏った黒剣は、静かに燃え尽きチリになった。そしてギルギスは、深い音を立てて後ろに倒れる。

突き刺した剣が完全に消えた為炎は、奴に燃え移らなかったが手ごたえはあった。たぶん死んだと思った方がいいだろう。


「これで本当に終わったのか」

俺は、念には念を入れて青い炎を繰り出し奴に近づき完全に消滅しようと考える。

だが、その時、黒いオーラがギルギスを包み込んでくる。


「くそまだやるのか・・・・・」

「いいや、儂の負けだ」

ギルギスは、満身創痍の状態で声が響くそしてギルギスは、右指を指し軽く降ろそうとする。すると、空間が切り裂いているように見え、その先の黒い空間から嫌な瘴気が漂っている。



「お前の勝ちだ。このまま手を引いてやる・・・・・」

「ふざけるな!どこに行くつもりだ。ここで終わらせてやる」

俺は、青い炎をそれに向かって放とうとするが、ギルギスの放った黒いオーラがそれを遮った。



「安心しろ。もうここには攻めない。しばらくひまが欲しい所だ。儂はこれから故郷に戻る」

「故郷だと?」

「ああそうだ。儂ら魔族同様に神に見放された土地、仮に魔界と言うがそこに還るとしよう」

「・・・・・・・・」

「お前・・・・たかが儂を倒したくらいで調子に乗るな・・・・・儂以外にもこの世界には数少ない魔王が息を潜んでいる。そいつらは儂と同じ野望を持ちいつか神に復讐すべくその時を待っているんだ。儂も暫く身を隠し回復した後に復帰するつもりだ。いいか儂は再びこの大陸に戻ってやる。その時まで愚かな人間と神共はしばらくの安泰を祈れ」

そう言うと、ギルギスは、空間に逃げ込み闇の彼方へ帰ってしまった。その瞬間を俺は、最後まで見届けてしまった。



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