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青百合戦記  作者: 夕凪
運命を紡ぐ蒼炎編
12/39

例え他があなたを認めずとも私はあなたを認めよう

俺は、ミスティに連れられて、古城を後にする。その間に会話がなくひたすら魔族の手からのがれようとする。

ミスティは草木を駆け抜け俺を引っ張りながら遮二無二しゃにむに走る

疲労感で頭がいっぱいで何をどう理解すればいいか分からないが、一つ理解してるのは、彼女が助けてくれたことだ。



そして、しばらく走るとミスティは、俺の手を放し木の陰で横になろうとする。それと同時に、パキッと何かが砕けた音がした。そして彼女は汗だくの中息を大きく吸う。



「ふうっ。ここまでくれば大丈夫かな?」

ミスティは、木の陰でくつろぎながらそう言う。



「ほら、アルマリア君もここでゆっくりしなよ。」

俺と視界があったミスティは、地面をポンポンとたたいて隣に座るよう呼びかける。

俺は彼女の言われた通りに横に座り、ゆっくりと休み息を吸った。

「ふう・・・・・・・・・・」

「どう落ち着いた?」

「ミスティ・・・・・・・俺」



俺が彼女にお礼を言おうとすると、突然抱きつかれた。

「!?」

「もう!勝手に出て行っちゃってお姉さん心配したんだから」

ミスティは甘えた声でささやく。普通なら勝手に村に出て行った俺に怒ってビンタの一つを覚悟したのにここで抱き着くことに以外を感じた。

その抱きつきは疲れたせいで、痛く感じたが、それと同時に温かく母性を感じた。勝手に出て行って勝手にピンチになってた俺をこんなに愛してくれるなんて、ついさっきまで彼女を想像して壁を殴ろうとした自分が恥ずかしい。



「ごめんなさい・・・・・・・」

「ふふっもっと甘えてもいいのよ」

「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。・・・・・・」

俺は自然と涙を流ししばらく彼女を謝りながらその温かさを堪能たんのうした。



「どう?スッキリした?」

抱きつくのを止め木の陰で寄り添いしばらくボーーとしたミスティが声を掛ける。

「・・・・・・・・・そのありがとう。あんたがいなかったら俺は、奴らに捕れえられていた」

「私はただガイさんに頼まれただけだから・・・・」

「叔父さんに?」

「そう、あの後君の叔父さんは血相変えて村長さんの家に飛び込んで私に頼んで来たの『どうか娘を止めてくれ』ってまあ村のそこにいた連中は、追放された人間なんて知ったこっちゃないと反発を受けたけど飲み仲間にああ頼まれちゃどうしてもね・・・・・・・」

ミスティは、ワインを食いっと飲むようにイメージして語る。



「それで急いでこの山に飛び出してきたの。そこで私はこの目を使って君を探すことにしたの。もちろんこの霧に対しては役に立たないけど、君の青い炎だけはなぜか反応することができたの。そしてそれが的中し、君が暴れた後の青い炎を見つけたの。私は、それを辿って簡単に古城までたどり着いたわ。君がさんざん暴れたおかげで魔物に出くわさなかったおかげで余計の魔力を使わなくて助かったわ」

そう左目を示して言った。



「そうか・・・・・・・・じゃああの時、あんたの手を触れたら魔族は俺達の事を気づかないんだ?」

俺は一息入れた後あの時気になったことをミスティに聞いた。

「あれね。私の最も得意としている幻惑魔術を使っただけよ。その力は触れるだけで発動し私の範囲に入ったことで魔族に私達の存在を誤認ごにんさせたの。」

「すごいなそれ」

「褒めても何も出ないよ。私はただ師匠の術を見よう見まねで使っただけ、その得意魔術に私のオリジナルはないの・・・・・・」

「それは、違うと思う。あんたは俺を助けてくれた。そこのオリジナルだろうと偽物なんて関係はないぞ」



我ながら臭いセリフを言うとミスティは、顔を赤くなった。

「もう、子供の癖にお姉さんをからかうんじゃありません」

「何を言ってんだ。俺は17だぞちなみにこの体の事を言ってんだぞ」

前にリュミエールに自分の年齢を聞いた。そしたらこの体と前世の俺が死んだ年齢は偶然同い年だったらしい。

「17でも子供だよ。人間二十歳はたちにならないと大人じゃないよ」

じゃああんたは何歳だよ?」

「ええ~~それ異性に聞くそれ?デリカシーないよ」

ミスティは、やや引いた表情をする。

「デリカシーもなにも俺は中身は男でも外見は女だぞ。同性じゃないか」

「何その理論?・・・・・・・・・分かったよ教えるよ・・・・・・・よ」

「え?なんだって?」

「だから23よ!!!!!!文句ある!!?」

ミスティは、恥ずかしながらも声を荒げこの常闇の森に響きあった。そして不気味にカラスが鳴り響いた。



「バカ。声がデカいぞ」

「君が言わせたんだから仕方ないよ」

「まあいい。しかし23とは、意外と年いってんな」

その瞬間俺の左耳から轟音が走る。俺は恐る恐るそれを見ると、ミスティが俺がもたれていた木に正拳を入れる。俺の左耳がかする位の距離だった。その正拳は無駄に熱気を放ってしばらくすると拳を降ろした。



「言い忘れたけど幻惑魔術の他に強化魔術が得意なの。それは誰も教えてもらってないオリジナルの魔術だからそれを試すなら何時でも相手になるよ」

ミスティは不気味に笑いながらそう言った。俺はそれを見て青ざめていた。

「す、すみません」

確かに年いってんなと言ったけどそれは、あんたとそっくりな俺の彼女より年いってるなと言う意味だぞ。

っていうかそこら中に響きあって俺ら静かに身を隠す気あるのか?



「ふふっ素直な子は好きよ。お礼にいいものを上げる」

ミスティは、腰を下ろし持ってきたカバンから何かを取り出す。それは、何かが入った包みと水筒だった。


「これは?」

「ご飯まだでしょ?これ一応私の軽食だけど食べて」

その包みの中にはサンドイッチが入っていた。それを見ただけで自然とよだれが出てしまいそうだ。



「いいのか?」

「ホントは会議の合間に食べる予定だけどいいの。少ないけど食べて」

そう言われると俺は、夢中でサンドイッチを食らいあげた。空腹のせいで味は分からないがとても美味しく感じる。



「美味しい・・・・・・」

「でしょ。これ朝に作ったんだけど、魔術で旨みを維持させたから味はそんなに悪くないと思うの」

マジかよ。今真夜中で日にちが経ってるかも知れないんだぞ。それでとても美味しく感じるとか魔術万能すぎるだろ。


「これ全部いいのか?」

「うんいいよ。私まだ空いてないから・・・・・・・・それよりふふ。また涙出てる。またなぐさめてあげようか?」

ミスティは、くすっと笑った。どうやら俺はその満足感でまた涙を流しているようだ。

「むっ。べ、別にいい。今は夢中で食べさせろ」

「はいはい」

そうやって俺は無言で食を満たした。



そしてしばらく落ち着いた後、俺達は、山を降り、そこには、光が見える。遠目だが、あそこの風景は間違いないチャチャル村だ。ようやくここに戻れたんだと俺は一息入れる。

だがこれからどうするんだろう?村に帰っても俺は追放された身だから帰れないし、もしかして村の人達をほっといてこの山を抜け出すつもりなのか?

俺はそう不安感をいだきながら進む。

すると、ミスティは、足を止める。着いた先は、周りに木々もない草原だけの広い空間に立っていた。

ミスティは、少し考えてすぐに行動した。



「アルマリア君申し訳ないけど今すぐここ一帯をを燃やしてくれない。なるべく手ばやくに」

「分かった」

ミスティは、彼女が示した周りに草木の少ない空間を燃やしてくれと言われた。俺は、彼女の言う通りに青い炎を出現させ、周りを燃やし、あっという間に周りは燃え尽き一帯は平地になっていた。



「それでどうするつもりだ?」

「こうするつもり。君はしばらく待ってて」

彼女は、豪快に黒の装束とカバンを投げ捨て、片手にチョークを取り出し腰を落とし平地に何かを書こうとする。普通地面にチョークで書いても何も書けないのに彼女は平然とそれを作業する。

すると地面から文字が浮かび上がってくる。どうなってんだ?



「これはね。私の血で媒体とした特殊のチョークでなの。そしてこうすることで・・・・・」

彼女は小さな陣を描き片手に持っている日記のようなものを取り出しそれを置いた。



「設定・・・・・・・完了」

彼女はそう呟くと、その日記は風に吹かれたようにページがペラペラと開かれて中から黒い何かがうじのようにわらわらと出てきた。何あれ!?キモッ。苦笑いをしながらもそう思った。

って最初はそう思ったがよく見るとそれは文字のような形をしておりそれらは、地面に動き回った。



「解除」

ミスティはそう呟くとそれらは、動くのを止め、ズルズルと地面に張り付いていた。そして気が付くとここら平地一体に、魔法陣のようなものが出来ていた。そしてその本はさっきまで文字が沢山だったのにいつの間に白紙になっていた。


「たった今ここに君の居場所を作ってあげたわ」

「どういうことだ・・・・・?」

「簡単な事。先程ここら一帯を結界で覆わせてさらに匂い、姿まで消したの」

そして今きずいたら今までいた時とおかしい。先ほどまで霧が凄かったのに今では晴れてそしてなにより背景が青白かった。


「ねえ試しにこの魔法陣から出て見ない?」

そう言われ俺は、魔法陣から出る。すると、先程までの濃い霧の世界に戻り、後ろを振り向くとミスティとその魔法陣が消えていた。



「聞こえる?さっきの場所に戻ってくれる?」

「ああ」

姿が見えないのにミスティの声がそこら中に聞こえる・・・・・・不気味に感じた俺は急いで、元いた場所に戻ると先程までなかった魔法陣が現れそこにミスティがいた。



「驚いた?」

ミスティは舌を出し小悪魔染みながら言う。



「これは、一体?」

「先ほど言ったでしょ。私の得意魔術は幻影を見せるって、ここにある世界は他の生物には干渉されない。つまりここにいれば誰にも気づかれずに過ごせるってこと・・・・」



「すごすぎて言葉にならない・・・・」

「そして仕上げは・・・」


彼女は、そのすでに置かれた白紙日記をペラペラめくる。そして最後に記載された、文字がぎっしりのページを見せる。するとその文字は、先程みたいにうねうねと動き魔法陣の中央に張り付いて、地面に溶けた。

すると、突然の煙が現れそこにはテントのようなものが現れた。



「そうここが今日からの君の寝床。ほとぼりが冷めるまでまでここにいてもらうよ・・・・・って聞いてる?」

俺は彼女が巻き起こした様々な奇跡のせいで頭が追い付かなくて、ショートしていたようだ。



「聞いてる・・・・聞いてる。ごめん。俺この世界には慣れてなくて今起こっていることがさっぱりで・・・・あのうねうねとした文字は何?」

「本当に君の前世は、魔術に関連しない世界にいたのね。ふぁぁあ。さっきのは、文字を、つかさどるルーンの魔法。それでこの日記に書かれている魔術印を動かし簡易かんいにセットさせたの」

ミスティは眠たげか・・・・あくびをして説明する。


「ふぁぁぁ。もう寝るよ」

そう彼女はフラフラしながらテントに入ろうとする。

「え?俺と一緒に寝るのか?」

「当り前でしょ。予想以上に魔力を使いすぎたから家に戻る元気ないし・・・・いいじゃない。女同士だしここまでサービスさせてよ」

「分かったよ。勝手にしろ」


俺も疲れたせいであまり言えないから、あっさりと認め、テントの中に入る。

中に入ると案外広い空間で中は意外と温かくご丁寧に布団が二つ敷かれていた。ミスティは、即布団に飛び込んでしばらくすると熟睡していた。



「ふう俺も寝るか」

俺も急に睡魔が襲い彼女に釣られ、メガネを外すのを忘れ布団に倒れこむ。そして倒れた先では偶然ミスティと顔を合わせていた。俺前世に彼女はいたが童貞だから間近に女性と寝ると妙に緊張する。ましてやその彼女に似ているから余計悪い。だがどうやら俺の睡魔は、その緊張を解き深い眠りに導いてくれたようだ。

俺は深い眠りに入る直前にミスティの顔を見て頬を触る。



「ありがとう。俺あんたのこと誤解してた。本当に感謝してる」

「くーーーーーーー」

ミスティは、寝言で返事をする。その後俺は、意識を失い深い眠りに入った。

































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