始まりの終わり
俺の名は東崎有馬いわゆるオタクで馬鹿で引きこもりに片足がついている高校生だ。
この運動ダメ勉強ダメ、容姿も地味な普通な顔の最底辺の男にとうとう彼女ができた。
相手は志和という年上の大学生だ。出会い系をやっているだと?違うぞ。ただたまたまやってたオンラインゲームに彼女がリーダーのギルドに入ってたまたまオフ会に顔を合わせてたまたま会話がはずんで何度かLINEや直接会うことを繰り返すことでなんとなく付き合う形になった。
彼女は美人ではない方でどちらかというとネクラな見た目と黒髪長髪で目が前髪でかかってほぼ見えなくてコミュ症で友人が少なそうな感じで俺と同じオタク女子だ。
そりゃ最初会った時はそりゃ引いたさでも彼女とはアニメの趣味、ジャンルがほぼ俺と同じだ。
ちなみにそれは美少女の日常アニメだ。普通こういう女子は腐向けの作品が好きだと思っただが、彼女はその作品を熱心に語ってくれたら自然と彼女の外見何て気にならなかった。
絶対彼女は前髪を上げたら美人になるそう思ったから・・・・・・いやそうでなくてもありのままの彼女を愛したい。
なぜならこれが俺の初めての恋なのだから・・・・・・・・・・・・・・・
そして今日は日曜日で彼女になってからの初デートだ。
俺は今日初めてリア充になるんだ。そんでもってラノベ見たいに勢いで底辺から上を目指す。それが俺のこれからの目標だ。
身だしなみ良し・・・・・・そう思いながら俺は今日来た服を見る。
よし悪くない。今日の為に徹夜で考えた服だ、気合入れないとな。
俺は待ち合わせ場で30分前も待っている。ちなみに場所はテンプレだが近くの公園だ。めちゃくちゃドキドキする。そういやまだキスどころか手も握ったこともなかったけ。そう思うと余計緊張する。早く来てくれ・・・・・・・
「ん?」
俺は急に眼がおかしくなった気がした。なぜなら一瞬だけ公園の周りが青い炎によって包まれていた。
木々や遊具も人も青く燃え盛れていたしかも誰も気づかずに・・・・・・
何が起こったんだ。俺徹夜した影響かなそう思いながら俺は目をこすりながら再度確かめようとする。
その時、
「有馬君・・・・・・・・・どうしたの」
「ひゃあ」
変な声が出た。後ろに声を掛けられたのは俺の彼女である志和さんだ。その声のせいで彼女も驚いている。
「あの、どうしたのかな。・・・・・・・変な声を出して?」
「いや、急に声を掛けられてうっかり」
「あらごめんなさい」
「謝らなくていいですよ俺が悪いんですから」
「そ・・・・・う」
彼女が声を掛けるとその炎は全く見えなくなった。やっぱり幻だったんだな。
そう思い周りを見渡す俺それに対し彼女は
「ねえ、本当に・・・・・・・・大丈夫なの?やっぱり今日のデートはやめた方がいいんじゃ・・・・・・・・」
「大丈夫ですよ。本当に・・・・・今日の事で頭がいっぱいで昨日は全然寝れてないだけです。
「そう、偶然ね私もよ。貴方の事を考えて全然寝れなかったの」
「志和さん・・・・・・・・・」
よく見ると志和さんもかなりふらついているようだ。どうやら俺と同様にあまり寝付けなかったようだ。
いやそんなことより付き合ってからの初デートだ。彼女の服装をよく見てみよう。
白のワンピースとロングスカートと言う組み合わせと青いネックレスをしていてとても魅力があった。
まさに清楚なお嬢様の感じだ。まあ一つ不満なのは、やはり髪型は変えずに前髪は目までかかって表情が見えないところだ。
彼女によると人前では目を隠すには理由があって詳しくは教えてもらってないんだけど小学生の頃、とある原因でひどいいじめを受けたらしくそれ以降目元を隠し地味に影を隠し存在を薄くしたらしい。
まあ、以前の彼女は会う時はいつも地味な黒ジャージで女性ぽさがなく彼氏の俺がいうのもあれだがやや不気味だったが、今は華やかになってたので彼女なりに成長したんだろう。
「志和さん可愛いです」
「え?どうしたの・・・・・・…急に」
「服装とても似合ってます」
「もう・・・・・・・・・そんなこといわないの」
褒めて照れてる志和さんがとても可愛く見えた。
「そういう有馬君もかっこいいよ」
「そんなことないですよ。前会った服装とそう変わりませんよ」
対する俺の服装は地味な黒シャツ白のカーディガンで黒ズボンと言う服装だ。
もっと気合入れて服装を考えるべきだった。
「あの良かったら空いてる時間で俺の服選んでくれません?」
「・・・・・・・・・・・・え?どうして?今のままでも十分にかっこいいのに・・・・・・・・・・・・」
彼女はポカーンとした感じで不思議そうに思っている。かっこいいとか普通に嬉しいけど・・・・・・・
「ありがとうございます。だけど僕的にはもっとオシャレを極めたいと思います。少なくとも彼女であるあなたの前ではかっこをつけたいんです」
やっべ緊張しすぎてセリフがクサすぎた。
「ええ、いいけど・・・・・・でも私が選んでいいの?・・・・・・・・・・だって私ボッチだし男の子のセンスなんて全く分からないし」
やや気難しそうな顔を彼女をしていた。だけど俺は・・・・・・
「さっきも言ったでしょう。俺はあなたが好きな物だってあればなんだって着ますよ。なんせ俺はあなたの彼氏なんだし・・・・・・・・・」
「有馬君・・・・・・・・・分かったわ・・・・・空いてる時間があれば買い物をしましょう。私が有馬君が似合ってるのを選んであげるわ」
「ありがとうございます」
初デートで彼女に服を選んでくれるなんて嬉しいかぎりだ。
「じゃあそろそろ行きましょうか。・・・・・・・・・・・・・あの手を握ってもいいですか?」
「う・・・・・ん」
調子に乗った俺は彼女に手を握るようにと要求するそれに対し彼女は照れ隠しながら手を差し出す。
よしこの手を握ればこんな俺でもようやくリア充になれる。よし握ろう・・・・・・・・・
「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
その時公園中がこだまするような悲鳴が鳴り響いた。なんだよ・・・・・・・これからいいとこなのに。
「何なの・・・・・・今の?」
「分かりません。何でしょう?」
俺達は叫び声の方向に顔を向けた。そしてしばらくすると・・・・・・・
叫び声の方向から人々が何かから逃げるようにひたすらにこちらに逃げていた。
みんな必死そうに逃げている。まる自分が今命が狙われるような顔をしてるかのようにバタバタと逃げていた。
そして俺達も逃げようとするがなぜか逃げない俺を含め志和さんもなぜ彼らは逃げているのかとその理由が知りたかった為あえて逃げなかった。
人々が逃げ惑う中で俺達は叫び声の原因である男を目撃した。
「あああああああああああああああああ糞があああああああああ」
その男は奇声を吐きながら白昼堂々と出刃包丁のような物をところかまわずに振り回しながらこちらに迫っていた。
「志和さん逃げましょう。あいつと関わるとやばい」
見た目だけで充分にヤバい雰囲気をしているここをいち早く逃げないと・・・・・・・・
俺は彼女を連れて逃げようとするが彼女は動けない。
「志和さんどうしたんですか?」
「ごめんなさい有馬くん・・・・・・逃げようとしても体がどうしても動かないの・・・・・・」
志和さんが恐怖で体が震えて動かないようだ。くそ、こんな時に・・・・・
「有馬君逃げて・・・・私の事はいいから・・・・・・・」
「何を言ってるんですか。俺はあなたを連れてここから逃げますよ」
そう言いながら俺は志和さんを抱え逃げようとするが生憎俺はそのような筋力もないから中々この場から逃げることが出来ないようだ。
人々が悲鳴でこだまする公園でこの場で逃げきろうとする俺達だが神はそんなことを許さなかった。
刃物を持った男が俺達二人の方に視線を向けてきた。
「ああん!!クソカップルが何逃げようとしてんだぶっ殺すぞオラ!!!!」
その男は怒声と同時に俺達に迫ろうとした。どうやらその男は俺達を切り刻むつもりだ。
くそったれめ、まだ警察は来ないのかよ。これだけの悲惨な状況だぞ。そろそろ助けにこいよ。
俺はそう思いながらその男に視線を向ける。
刃物が俺達に切り刻むまであと数センチしかない。このままだと二人とも死んでしまう。だがそれはだめだ。俺は咄嗟に彼女を離してその男のナイフを受けるようにした。
本当は、かっこよく刃物を掴んでその男をなぎ倒したかったが俺にはそんなヒーローじみたことは出来ない。
刃物は俺の左胸に貫いた。それと同時に胸から大量の血があふれ出した。
その感覚は痛いというものじゃないとても熱く意識もハッキリできない感覚だ。
「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア有馬君!!!!!」
志和さんから声にならないほどの悲鳴が流れてきた。どうやら俺は刺されたようだ。
彼女の泣き顔が見たいのだがまずはその男を押さえつかないと・・・・・・・・
そう想いながら俺は残りの力を出し切り刃物を持った男を押さえつけた。
「くそが、クソガキ放しやがれ!!!!」
男は抵抗するかのように刃物を刺しながら俺に殴りつけようとする。殴られても今の俺にはそんな感覚はないなぜなら意識や痛みもハッキリしてないからだ。
俺はその男を意識がもうろうしつつも見つめる。なぜならその男は俺と同じ目をしていたからだ。
恐らく俺と同じ社会の落ちこぼれだ。目を見ただけで分かる。この社会に何もかも嫌気をさした目をしていた。
だから俺は奴の心情が分かる気がする。ここで暴れて人を傷つけてモヤモヤを発散する気だ。
確かに俺もそう思った。毎日が嫌で嫌で学校にも家にも居場所がない寂しい奴だ。いつかその行動を取って周りに自分を認識してほしいそう思ったことがほんの一瞬もある。
だけど今は違う。俺には志和さんと言う彼女がいる。彼女がいるから俺は常人になれるんだ。
そう想いながら俺は意識が消えかかるまでに押さえつける。俺がこの場で放したらその男は志和さんに手をかけるから何としても食い止めなければならなかった。
そしてそれから意識は全くなかった。
そして俺は目を覚める。目を覚めると激しい痛みと熱さで呼吸が真っ当に出来なかったが俺はどうやらその公園の芝生で血まみれになりながらも横になっていた。
周りが何の音か分からないようにうるさく感じる。
横には志和さんが泣くのをこらえながら俺を介抱してくれる。
顔はずっと上の空を見ており視線を志和さんの方に向ける気力はないが声は彼女の声に間違いないようだ。
「志和さん・・・・・・・お・・・・・・・・・・・れは?」
「喋らないで・・・・・・・・もうすぐ救急車が来るからもう少し待ってて」
「あの男は」
「有馬君が押さえ込んだおかげで犯人が隙ができたおかげで他の人達と協力してその男を拘束したの・・・・・・今警察が連行しているそうよ」
「そ・・・・・うです・・・・・か」
なるほどあの音はサイレンの音か・・・・・・
だけど今はそんなことはどうでもいい。なんか意識がハッキリしないどうやら俺はもうすぐ死ぬのか。
「有馬君お願い意思を持ってて・・・・・」
志和さんごめん俺はもうだめだこれ以上言える元気がもうないよ・・・・・・
せっかくの初デートがこんな事になるなんて・・・・・・・・
せめて最後に志和さんの顔を見ないと・・・・・
そう思った瞬間志和さんが俺の顔を覗き込んだ。顔は相変わらず長い前髪で素顔は見えないがどうやら俺を心配していたせいか顔に涙跡が滲んでているのが見えた。
後は彼女の素顔がハッキリ見えればいいんだけどな
そう思った瞬間奇跡は起きた。急に公園中に強風が吹き荒れた。
「何?」
志和さんだけじゃなく周りの人々も驚いている。
だが俺が驚いているのはその強風じゃないその風の影響で前髪が靡いてやっと彼女の素顔が見えた。
その顔はとても美しく女優並みの容姿でしかも茶と黄の二色の瞳をした彼女の素顔を見てとても感動して涙を流した。
俺はその美貌より左右、色が違う二色の瞳に心を奪われた。
なぜなら俺はオッドアイ萌えだ。
アニメやゲームでしか持ってない属性を幸運なことに好きな女性が持つなんてこれ以上嬉しいことはない。
「う・・・つく・・・・しい」
俺はそう最後に言葉を発した途端に意識が完全になくなった。
彼女の声も完全に聞こえない。
どうやら俺の人生は終わりを告げたようだ。
思い返せばあの青い炎は今の状況を予知する予言のような物だったんだな。
だけど今はどうでもいい。・・・・・・・・いいんだ。
来世でまたがんばろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
だけど最後に志和さんを抱きしめたかったな・・・・・・・・・・・・・・・
それが心残りだ。