「世界中の誰よりも愛している」ってどういう意味?
「上杉達也は浅倉南を愛しています。世界中の誰よりも」
『タッチ』の有名なセリフです。私は漫画を読んだことはありませんし、アニメもまともに見たことは無いのですが、アニメの名シーン特集のような番組で取り上げられたりしていた記憶があります。『タッチ』以外でも、「世界中の誰よりも愛している」というようなセリフはわりとよく見かける口説き文句です。こんな言葉を言われたらキュンキュンする!という女の子もいるかもしれません。
でも私は、昔からずーっと気になっているんです。「世界中の誰よりも」ってどういう意味なんだろう、と。
これ、二通りの解釈ができませんか?
一つ目は、浅倉南を愛している人物は世界中に何人もいるが、その中で浅倉南への思いが最も強いのは上杉達也である。
二つ目は、上杉達也が愛している人物は世界中に何人もいるが、その中で愛情を最も注いでいる相手は浅倉南である。
おそらくここでは前者の意味で言っているだろうと思いますが、どちらなんでしょうね。
というかそもそも、どちらの意味だったとしても、これを言われたら嬉しいのでしょうか。
前者の意味だとすると、だから何?ってなりませんか。「僕の気持ちは他の誰にも負けないよ!」なんて、言われた方にとってはどうでもいいような気がします。自分のことを一番愛してくれるからといってその人を好きになるとは限らないわけですし。女の子は自分が好きな人より自分を好きな人と一緒にいた方が幸せになれる、みたいな考えが背景にあるのでしょうか。「一番愛しているから他の人より色々尽くすよ! お得だよ!」みたいなことだとすると、なんだか打算的で嫌です。
愛の強さを強調したいのかもしれません。でも比較対象である他の人の愛がそれほど強くなかったら、その中で一番でも大したことはないでしょう。
後者の意味だとすると、ナンバーワンよりオンリーワンがいいんだよ!って思ってしまいます。たとえ事実とは違うとしても、愛を囁くなら上辺だけでも「君だけを愛している」と言った方がいいのではないでしょうか。
他の誰かと比べるような愛なんて欲しくないのです。
相対的なものより絶対的なものに魅力を感じます。
まあ、私は今までこんなこと言われたことはもちろんありませんし、これからも無いでしょうけど。
『タッチ』に対する批判のつもりはありません。念のため。